I teie nei e mea rahi no'ano'a

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故アラファト議長は偉大だった

http://www.cnn.co.jp/world/CNN200601260029.html
 先日のパレスチナ選挙についてだが、イスラム原理主義組織ハマスが多数の議席を獲得しそうだ、とのこと。まだ結果はわからないが、パレスチナの和平へ向けた動きにミソが付く可能性がある。最悪の場合は崩壊してしまうこともありうる。再び中東戦争にまでこじれていく可能性も全く無いとはいいきれない。
 今回の選挙の結果は、和平路線への失望に他ならない。確かに、それを期待出来るだけの役者が揃っていない。色々と汚い噂もささやかれてはいるが、故アラファト議長以外にパレスチナの議長として適任者はいなかった。あの難しいパレスチナ問題を和平へ向けた動きとしたのは何よりも故アラファト議長の求心力が決め手だった。少しくらいの悪いことや根回しも出来ないようでは、あの地域の問題は解決することは出来ない。
 イスラエルの方も、ポストシャロンが問題になっており、全くこれから中東問題はこじれる要因以外が見つからない。

 そもそもなぜあの地域があれほど揉めているのかというと、パレスチナ人が住んでいた土地に、十九世紀末に起きたシオニズム運動によってユダヤ人がイスラエル国家を作ってしまったからである。
 ユダヤ人というのはバビロン捕囚によって古代イスラエル国家が滅亡、以降ローマ軍による強い制圧、ナチスによるホロコーストなど、数多くの歴史上の災難に見舞われており、土地を持たずに世界中に散らばっていた。彼らは(民族的・宗教的)国家というものを持っていなかったために、特殊な立場にあり、常に迫害を受ける立場にあった。そこから自分たちの国家を持つために先に挙げたシオニズム運動が起こったのである。
 現代ではイスラエルは欧米側にあり、その背景にはキリスト教とのシンパシーなど宗教的理由や、利害関係の他、それらの国で同化したユダヤ人の多いことも挙げられる。そのために、欧米側からの支援が厚く、軍事力の面でも、国際的立場でもアラブ系のパレスチナ人と較べると遙かに強力である。恐らくそのいびつな形が紛争の最も直接的な原因と思われる。なまじっか強力な軍事力があれば、話し合いをするよりも軍事力で屈服させた方が早いためである。

 これも運命、といえばそうなのかもしれないが、どうにもやり切れないものがある。

Posted at 2006/01/27(Fri) 03:01:31

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