スリーブの分解までを解説しているサイトは多いですが、ここで紹介するのはそこから先。分解したけどそれでもアンビルから抜けない時の対処法です。どんなに検索しても見つからないので、仕方なく自分で対処。
電動インパクトに規格の違う六角軸のビットを入れるとアンビルから本格的に抜けなくなります。差し替えドライバー専用品と一緒に使っているとき、日が落ちてくると間違って手に取ってしまうことがあるんですよね……。
その場合、スリーブを外して分解してもアンビルからビットは抜けないほど食い込んでしまいます。プライヤーで掴んで地面に叩きつけようがまったく抜けません。
まず、先端の止め輪を外してスリーブを分解。画像ではスリーブが下がっていますが、実際に取れない状態だとスリーブが挙がっているため止め輪の合口が見えません。しかもビットが邪魔になるため、ラジペンやマイナスドライバーでは外せません。画像と同じくの字になったスナップリングプライヤーという専用工具か、先端が曲がったピンを使えば外れます。ビットを取ったのにスリーブが外れない状態になりますが、プライヤーでスリーブの根元を掴んで思いっきり叩きつけると外れます。金属のボールを失くさないように、ポリ袋に詰めてから行います。狭いのでギリギリですが、ボルト&ナットを仕込めるなら挟んで緩めることで外せます。
アンビルの取り出しは、電動インパクトの先端カバーとなっている【ハンマーケース】のネジを外せば簡単に出せます。せっかくなので、アンビルの入っている場所は古いグリスを拭ってから新しいグリスまみれにしてください。私はベアリング用に使っているウレアグリスを使いました。こういう稼動部にどのグリスを使えばいいか悩んだ時はウレアグリスが一番です。二硫化モリブデンなどは研磨剤みたいなものなので、高速稼働部には良くありません。しょっちゅうメンテできる、比較的どうでもいい場所はシリコンでOK。
次に用意するのは卓上万力と、大きめのボルト&ナット。
卓上万力は中華製ならネットで1,800円弱。ボール盤や、バイスやドリルで板に穴を空ける時に固定しておくツールです。パーツ加工をする人なら必需品です。カムシャフトからベアリングを外すのにも使えます。がっちりホールドしておいてくれるというのは、何かと便利なので買って損はなし。
これでビットを固定し、ボルト&ナットをその間に挟み、アンビルの羽と万力のエンドに当たるように設置。ナットの頭が逸れないようにレンチで緩めていくだけです。叩いても引いてもどうやっても抜けなかったビットがあっさり抜けます。
画像で私はフライホイールプーラーという特殊工具を使いましたが、一般的なボルト&ナットで問題ありません。ナットは長めのものだと使いやすいです。
アンビルは電動インパクトのパワーでがっちり食い込みますが、差し替えドライバーから抜けなくなった程度だったら、万力で固定してから足で踏んで引っ張るだけで抜けます。
外れる原理はベアリングプーラーや、フライホイールプーラーと同じ。バイク整備をやっている人にとっては日常茶飯事なんですけど、いざ目の前で問題が発生すると色々と知恵を使うことになります。
Posted at 2020/06/06(Sat) 21:19:00
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