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文学・芸術など創作方面を中心に、国内外の歴史・時事問題も含めた文化評論weblog

AIは裸の王様

科学ニュースあらかると;マウスの脳がコンピューター上に再現された (BBC)
 先月の記事です。
 すぐ記事にしないでしばらく考えていたのですが、やっぱり現代の技術力では、人間には完全に人の心を模したAIを作れないということを痛感しました。また、人の心の構造について、全くわかっていないということも。

 この実験をどこまで突き詰めても、結局人の心の構造を解明することはできません。
 結局、従来まであった脳の特定部位の働きについての研究や、ニューロンやシナプスの働きの構造をコンピューターで実践しただけに留まっています。

 SF作品のように記憶をデータ化して自由に読み書きしたり、過去の人物の保存された脳をコンピューター上に再現して意見を聞いたりするのは面白そうですが、そのようなテクノロジーはまだ影も形も見えていません。
 生き物の思考や記憶は運動のようなものだという説もありますから、だとすると保存することは不可能ということになります。仮に保存できたとしても脳に書き込む段階で同じ運動をしなければならず、それは恐らく恐ろしいほどの苦痛を伴うものだと思います。
 尤も、人は学び直すという過程で数多くの発見をしてきたのですから、そんなものは永久に存在しない方が人類のためかもしれませんし、歴史上の人物は大抵美化されていますから、現代に復活させたところで、幻滅するだけでしょう。

 心理学は精神医療への道を開きましたが、しかしAIが、精神医療に役立つとは思えませんし、何か新しい分野が切り開けるような気がしません。
 工業的にも、人間を完全に模したAIが難しい以上は、オリジナルに劣るAIを開発するよりも、何かに特化した機械を生み出した方が遙かに有益ですしね。

 単に話し相手を作るという意味のAIであれば、優れたスクリプトとデータベースを用意するだけで、現代のテクノロジーでも実現できます。
 ただ、その手間があまりに厖大すぎて、遊びのレベルでは手に負えないわけですが……

参考文献:
ロジャー・ペンローズ「皇帝の新しい心」(レビュー
などなど

Posted at 2007/05/08(Tue) 23:23:28

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