内訳:
クリスピー物語 :294円
マルセル・グリオール「水の神」せりか書房:3,675円
クライスト『O侯爵夫人』岩波文庫 :630円
ジュースキント「コントラバス」同学社 :1,365円
辻原登「花はさくら木」 :1,785円
ナショナル・ジオグラフィックス5月号 :980円
合計6冊 :8,729円
ぅゎ、使いすぎ。新品購入が多かったので仕方がないのだが……
『クリスピー物語』 ネスレ文庫
□ーソンで購入。売れっ子作家目白押しなのに、活字離れは深刻らしく、売り上げ不振の様子。(笑) そもそも1個買えば、2個目は買わない商品なのだから、一度に5個納品というのは、コンビニにとって厳しいだろう。コンビニで文庫が5個も売れればかなりのものである。
1.鈴木光司「クロスロード」
2.大石 佳「魚になったミジンコ」
3.牧野 修「押し入れ」
4.森山 東「チョウになる日」
5.小林泰三「少女、あるいは自動人形」
6.北野勇作「妻の誕生」
ホラーじゃない鈴木光司って好きだわ。
ショート・ショート・アンソロジーなので、気楽に読めるし、あまりネタをバラすものでもないので、この辺で。
マルセル・グリオール「水の神」せりか書房
ドゴン族の神話についての民族学的研究。フランスにおける民族学の成功例と言っていいかな。ドゴン族はシリウスにまつわる独特の神話を持った部族であり、その神話が実際のシリウスと共通する点があったために話題となった。中には神話であることをすっかり忘れて、あたかも事実であるかのように科学的検証までするような、問題を履き違えた人もいるが、それはお門違いもいいところ(おまけに宇宙科学の知識そのものもあやふやで間違っている箇所があるが。ニュートリノが何であるかも知らないようだし、連星の引力関係が不安定なことも知らないらしい。誰でも書けるネットの弊害)。
例えばキリスト教徒は聖書を“事実”と主張してはいるものの、誰も創世記に書かれたことなんて本当は信じていないわけで。モーゼやイエスは実在の人物“かも”しれないが、それらが起こした奇跡には必ずトリックや作り話があるはず。たまたま事実と合致する部分があっても、神話は神話と割り切らないと、とんでもない勘違いをしてしまう。
神様が他の天体から来た――という神話は、シュメール神話も同じであるし、ヤハヴェにしろアラーにしろ、神様の異常さ加減を見れば、宇宙人として読んでも実はそんなに違和感が無い。オカルトに過敏な人達が、過剰反応をしているとしか思えない。神話はそのように触れるものではないと思う。
クライスト『O侯爵夫人』岩波文庫
1.O侯爵夫人
2.チリの地震
3.聖ドミンゴ島の婚約
4.ロカルノの女乞食
5.拾い子
6.聖ツェチーリエ
7.決闘
いや、クライスト面白すぎ。電車で読んでいたら2回も駅を乗り越してしまった。『えぇ、こんなんアリですかぁ?』と尋きたくなるような展開が凝縮されている。右のページに書いてあることが、既に左のページでどんでん返しされているという、現代小説以上にスピード感のある構成。
実際クライスト自身も、たまたま出会った見ず知らずの女性と一緒に自殺する――という性急な人生だったそうだが……。特に「チリの地震」と「聖ドミンゴ島の婚約」が印象に残った。救われない話だから、少し後味が悪く何度も脳裡をかすめてしまうのだ。
パトリック・ジュースキント「コントラバス」同学社
ドイツ語圏らしい、一人称テクニックが詰まっている。バス弾きが喜んだり、怒ったり、落ち込んだりと、様々な面を見せていく。こんな人が実際にいたら、間違いなく多重人格……かもしれない。しかし翻訳がべらんめ調なので、だんだん読むのがしんどくなってくる。こんなのもアリなんだな、と思わせる一作。
辻原登「花はさくら木」
時代モノらしからぬ時代モノ。言葉遣いはまるで現代そのもの。
田沼意次の時代――あまり書かれなかった時代のことなので、実際これで良かったと思う。語尾に『ござる』が付きまくっていたり、皇家・宮家を相手に慇懃な言葉が交わされていたら、却ってシラけたことだろう。小説の世界では、標準語で済ませた方がいい例は沢山ある。戦国モノで信長が史実通りに『だぎゃぁ』と方言丸出しで喋っていたら、やはり迫力がない。嘘でもいいから、迫力のある言葉遣いの方が面白いに決まっている。
なお、文章は軽快で、非常に読みやすくなっている。これは模倣したいところ。
ナショナル・ジオグラフィックス5月号
ユダの福音書目当てだったが、書いてあることは全てネットで入手出来ることと大して変わりない。
私は普段雑誌を読まないせいか、なかなか面白く読めた。アフガニスタンとオーストラリアの女子小学生の比較なんて面白かった(別に女子小学生が良かったわけではない)。貧困地域では医者を志す子供が多いし、裕福な地域では娯楽方面を志す子供が多い。解りきったことだが、実際にサンプルを見ると妙に納得してしまう。
Posted at 2006/05/04(Thd) 22:15:23
文学・歴史・民俗学 | コメント(0) | トラックバック(0) | この記事のURL
この記事のトラックバックURL ->