佐藤泰志原作の『きみの鳥はうたえる』の映画化作品です。タイトルの元ネタはビートルズの"And Your Bird Can Sing"。時代を彷彿とさせますね。
以前の『海炭市叙景』に続いて佐藤泰志作品が映画化なんて、梅田昌志郎先生に話してもびっくりしていましたが、何にせよ2018年に公開。私はDVDにて購入。
演技は役者らしい演技ではなく、小津映画のような人物は棒立ちで抑揚無台詞を読み上げる、いわゆる狙った棒演技。BGMはほとんどなくだいたい環境音のみ。無音のシーンが多く、爽快感があるわけでもなく、終始蔭鬱とした空気が漂ってきます。映画としてはそれなりに気合いを入れて覚悟を決めないと視聴が大変かと想います。
登場人物は言うなれば社会の底辺で蠢いているダメ人間です。男も女も上司も全員ダメです。若さだけが取り柄の青春。ここまでダメ人間を描かれると清々しささえ感じますが、上澄みの綺麗な部分だけを描いた作品には、今日日やる意味もあまりありませんからね。
執筆当時は70年代の末から80年代初頭かと思いますが、舞台は80年代ではなくスマホも存在する現代日本にアレンジされています。あまり違和感はないですが、原作より暗い雰囲気さえあります。小説ではあっさり流れている部分が、映像だと重く感じます。同じ貧乏でも深刻さが違うように感じますが、当時と現代の社会的な面の違いかもしれません。
ネタばらしになるので書きませんが、原作での静雄が母親の見舞いへ行った後のオチはバッサリとカットされて、ただよくある青春の一コマとしての映画としてまとめられてます。映画としては正解でしょうね。
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去年には書いておきたかったのですが、なかなか視聴する時間がとれませんでした。
いつも思うのですが、兼業専業問わずに超人気作家がtwitter上でリアルタイムで頻繁にツイートしまくっているのが、一体どこから時間作ってるのか不思議でなりません。
Posted at 2020/01/20(Mon) 15:34:04
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