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規制されるのは漫画だけでは済まない

毎日jp;都青少年健全育成条例:改正案 漫画、ゲームなど性描写の規制強化

 東京都は18歳未満を対象にした児童ポルノの規制強化のため、今月30日に開かれる本議会で「都青少年健全育成条例」の改正を目指している。改正案には実在する児童ではない漫画やアニメ、ゲームのキャラクターを想定した「非実在青少年」への規制や、ただ画像や図版を持っている行為を規制する「単純所持」規定が盛り込まれている。これに対し漫画、アニメ、ゲーム、出版などの業界関係者は、表現の自由を阻害する恐れがあるとして反対運動を始めた。18日に開かれる総務委員会の動向が注目される。【内藤麻里子、臺宏士】

 いまの所は漫画・アニメのみが鉾先となっていますが、いずれは小説、WEB、ありとあらゆるメディアに規制の手が及ぶでしょうね。

 さて、あの売れに売れまくった村上春樹の「1Q84」も未成年との行為が描写されていますので、東京都条例違反で販売、単純所持禁止ですね。
 ――と思いきや、(実写は当然のこととして)追加で規制されるのはアニメや漫画のみで、小説は除外されています。小説で幾らHなシーンを描写しても18禁にゾーニングされないのは、小説のみに許された特権があるからです。
 しかしそんな特権はいずれ崩れ去ります。昔から官能小説は問題として取りざたされていますので、漫画・アニメさえ片づけば、次は小説くらいしか、偉い人達には規制するものがなくなります。
 実のところ、児童の受ける性的虐待は援助交際の他、実父・実母によるものがほとんどです。ですから、こんな規制をいくら盛り込んだところで、決して児童への性犯罪が減ることはありません
 むしろ、今までゲームやアニメで発散していた喪男層が欲望を抑圧された結果、さらに性犯罪が増えるかもしれません。そうなってくると、今度は当然「更なる規制を!」→「小説も規制しろ!」ということになります。
 そうなったときに鍵を握るのが、世界的な大作家の存在です。ぶっちゃけ日本には村上春樹しかいません。大江健三郎じゃ話になりませんし……。

 もしも漫画版やアニメ版の「1Q84」が出る場合、ノーカットだと、現在の条例改正案でも100%条例違反となります。少なくとも村上春樹なら性的表現が片っ端から編集された「1Q84」なんて望まないでしょうけれどもね。
 しかし、これが小説まで児童ポルノを排除した条例に改正された場合は、小説版「1Q84」も絶版の恐れがあります。それどころか、単純所持禁止となり、廃棄の義務が出てくるかもしれません。
 そこで「1Q84」の発行部数を想像してみましょう。数百万の犯罪者を一挙に生産してしまいます。(笑) 廃棄するにしても、まるで焚書のようなことに。他にも児童ポルノ描写のある、過去の名作は幾らでもあります。15歳未満ならまだしも、18歳未満なんてぶっちゃけ児童じゃないんですよ。セックスなんてやってて当たり前の年齢なんですから。
 こうなってくると名作小説を例外とするか、法改正をあきらめるかの二択になってきます。

 もちろん、一部のエロ漫画が突っ走りすぎなのが一番の問題なんですけどね。小学生と明記された登場人物と致すというのはいかがなものかと思います。私でさえ“引く”んだから、免疫のない普通の人はよっぽどかと思います。
 だからといって、そういうのをガチガチに規制するのにも反対なんですよね。規制ではなく、作家や出版社の良心で自浄できるようにならないと、地下に潜って凶悪化するばかりで、結局意味がない。

Posted at 2010/03/18(Thd) 23:21:13

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