内訳:
荒木飛呂彦『ゴージャス・アイリン 愛蔵版』 :1,210円
うすた京介 コンビニ版『すごいよ!! マサルさん1』:300円
合計2冊 :1,510円
「ゴージャス・アイリン」
表題作の「ゴージャス・アイリン」は見事に荒木飛呂彦の世界が出来上がっている。絵はジョジョ第一部。マイケルなジョナサン。純朴なアイリンはエリナ。
しかし描き下ろしのイラストは「ストーン・オーシャン」の絵柄で、時代の差を感じてしまった。「ストーン・オーシャン」といえば男のようなジョリーンが活躍するストーリーだが、荒木氏はこんな可愛いキャラも描くひきだしを持っていることを、思い出させられてしまった。
因みに殺し屋やマフィアが登場するなど、世界観は第五部。アイリンも恐らくはスタンド使いに違いない。これを基にすれば静・ジョースターの話も描けそうである。『心の底から透明』になる、とか。いやいや、非力ながらも透明になるのだから「魔少年ビーティー」の方が近いか。
「魔少年ビーティー」
ちょっと番外編的なビーティー。本編はジャンプで読んだが、突然の終了にびっくりしたことを記憶している。どうして続きがないのか――と。しかし思えば、あの調子で続きを描き続けていたなら、藤子Fのようなイメージになったかもしれない。そう思うと、打ち切りで良かったのかもな、と変な安心をしてしまう。
当時としては画期的な作品だったが、今ではもう珍しくないところが残念。しかし類似作品はどれも、荒木作品ほどにはゾクゾクさせてくれないのだが。
「バージニアによろしく」
小品としては面白いのだが、しかしこれも藤子Fのイメージがどうしても重なる。それに今の荒木氏とは違い、登場人物が完全に死んでいて、始終プロットに振り回されっぱなし。プロットの内容のみでなく、技術的にも読者に救いを与えない(あくまで読者に対してであって、登場人物に対してではないことに注意。手腕不足ではなく、そういう種類のプロット上のテクニックという意味)作品で、私の読後感は最悪であった。
しかしこの作品、好きな人は偏愛するだろうな。
「武装ポーカー」
ジョジョ第三部の「ダービー・ザ・ギャンブラー」の話ついでに噂には聞いていたが、実際に読むのははじめて。
この作品もまた初期の荒木作品らしく、プロットに偏っている。登場人物は主役級の二人は生きているが、その他大勢は完全に『一つの役割のために生まれてきた人々』であり、ハリボテと同じである。
登場人物もバッチリ活かしている「ダービー・ザ・ギャンブラー」とは大きく異なるし、荒木氏の漫画家としての成長を物語る、いい材料だと思う。とにかくそれだけ「ダービー・ザ・ギャンブラー」は演出・人物・ストーリー・プロットと、どの要素をとってみても凄いのである。
「アウトロー・マン」
これは、大昔にジャンプで読んだ。ろくろく記憶にないのだが、当時から異彩を放っていたことだけは覚えている。そして恐怖した。この作品、はっきり言えば解らないことだらけなのだが、そこがいい。一方で、細かい点の描写が詳細で、妙に人を惹きつける何かがある。
今読むと、説明口調が気に障ってしょうがない。不可解さを演出するなら徹底的に解らなくしてしまった方がより恐怖感は増す。しかし、少年漫画という枠では難しいのだろうな。編集さんから「もっと説明を入れてください。でないと解りませんよ」なんて言われたりして。
うすた京介 コンビニ版『すごいよ!! マサルさん1』
うすた氏のギャグの根底の一つは間違いなく“パロディ”。早い話、朝目新聞のギャラリーなどに掲載されているような作品と変わりない。
そしてウけのとり方はしっかり“オトす”というよりは、“ヌキ”に近い。キメるべきところでキメないことがこの上ないおかしみを生むわけである。サッカーで譬えるならスルーパスがそのままコロコロとゴールに転がり入ってしまうようなもの。わけ解らんか。(笑)
――で、コンビニ版=ダイジェスト版なので全く読んだことのない人が読むと逆にストレスが溜まる。昔ジャンプで読んでいたり、立ち読みしていたり、アニメ版を見ていたりした人がちょっと思い出し笑いをするために読むのには、いいかもしれない。
どのくらい話が飛んでいるかを示すために収録話数を挙げると『1,8,12,15,18,21,24,31,35,42』となる。具体的に収録作品を知りたい人もいるかもしれないが、目次を機械的に写すのは芸がないのでやめておく。
ところで、より新しい「ピューと吹くジャガー」の方はあまり面白いとは……。
いやいや、やめておこう。笑えればいいんだから。
Posted at 2006/04/09(Sun) 14:20:04
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