I teie nei e mea rahi no'ano'a

文学・芸術など創作方面を中心に、国内外の歴史・時事問題も含めた文化評論weblog

演出のはなし

 まんが日本昔ばなしは1,700話近くあるという。あの単調な絵とたった二人の声優という地味な素材で、あれだけのロングラン、そして広い層への支持を得たのには、それなりに理由があるだろう。
 ここでは、まんが日本昔ばなし再現ちゃんねる(仮)を借りて話を進めようと思う。
 怖い話に「猫岳の猫」と「ねこ岳の怪」がある。
 この二つのはなしは、物語もプロットもほとんど変わらない。「猫岳の猫」の方が古い作品で、「ねこ岳の怪」の方が新しい作品だが、演出においてより恐怖感を煽っているのは古い「猫岳の猫」の方。“間”と“密度”の使い分けが恐怖感を強くしている。
 一方「ねこ岳の怪」の方は無駄のない展開と、最後の確認付けなどプロットは良くできているのだが、慣れた視聴者にとっては、少し物足りないものがあるだろう。
 前者の出典は女性、後者は男性で、男女の違いもあるかもしれないが、それはとりあえず置いておく。

 戦慄さえ覚える「猫岳の猫」と、どこか愛らしさの漂う「ねこ岳の怪」とは“時代の差”もあるように思う。5年前の猫にしても、後者では若く描かれており、しかもほんわかした回想シーンを挟むことによって視聴者に強い思い入れを抱かせる。人によっては猫に愛着さえ抱くかもしれない。前者では、ただ単に助けてくれた老猫に過ぎない。
 この二つの作品に限らず『まんが日本昔ばなし』全体にしても、早朝の放送に変わってからは演出が大人しくなったことは確かな事実のよう。
 80年代から90年代に掛けてアニメや漫画は急速に『可愛さ』を重視するようになってきた。と、同時に視聴者に対し、恐怖表現や残酷表現などあまり過激なものを見せなくなってきた(一部団体がうるさいのかもしれないが)。恐怖漫画では未だに昭和的絵柄が使われており、可愛さの表現に較べれば、恐怖の表現はあまり進化していない――もしくは昔ながらの絵にこそ、恐怖が潜んでいるのかもしれない。

 現在、VHSや朗読テープが販売されている。他に、DVD販売の可能性もあるらしい。どうせなら、全話DVD−BOXへ……。何十万円になるかは知らないが、単なる懐古ではなく、得られるものも多いかもしれない。

Posted at 2006/02/23(Thd) 03:19:36

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