内訳:
野狐禅『便器に頭を突っ込んで』 :1,500円
合計1枚 :1,500円
……本当は他にも大量にCDを購入したのだが、それは後々まとめて紹介したいと思うので。
野狐禅メジャーデビュー以前のCD。
現在の野狐禅はライブとCDが別物の世界で、ライブでは鍵盤1個とギター&ボーカル&ブルース・ハープの、最大四つしかパートが無い。しかし、心にズゥゥン! と響くのはこちら。一方、CDの場合はドラムやベースが加わって、音楽そのものの質を高めているが、ライブで聴くほどのパンチ力は無い。
その、ライブそのままの魅力を放っているのがこの一枚。ギターは粒が潰れ、ピアノはボヨンボヨンとふらふらした録音。演奏技術や音質、クォリティといった高級な要素をやたら気にする人にとってはダメな一枚なのかもしれないが、心をぶん殴られる感受性を持った人や、等身大に響いてくるサウンドに心を預ける人などにはお奨め。
「便器に頭を突っ込んで」
ぐでんぐでんになった時に自然と口ずさんだり。『生きて、何がある? 生きて、何かある……』――もうあかんわ、などと思った時に聴くと、心に沁みます。
「金属バット」
私はこのCDではこの曲が一番気に入っている。『綺麗事はうんざりだ馬鹿野郎!』って科白――まさに語り倒しなので、歌詞というよりは科白――がお気に入り。
しかし、なぜかタイトルを見ると「妄想代理人」の少年バットを連想。
「少年花火」
ライブではなぜか人気のある曲の模様? 『安心してください。僕はもう、彼らの輝きを直視できない、ダサい大人になれましたよ』ってところにジーンと来てしまう。私も大人になってしまったのだろうか。女の子と話す時には永遠のセブンティーンなどと言い張ってはいるのだが……。
それにしても、野狐禅の歌詞ってのは文学的なものが多い。綺麗事を歌い上げるんでなく、格好悪いことでも、正直に告白しているというか。ストーリー性も強いし――しかも、作り話と感じさせない。
「さらば、生かねばならぬ」
時々口ずさみます――『見て見て、馬鹿がいるよ!』
片想いの相手のことを考える時に、よく頭に浮かぶ気が。あと、上野公園で似顔絵描きを見掛けたときも。
「初恋」
よく、頭の中に反芻されるのは『僕のこの目ん玉は 他人の心の裏側をのぞき込むためでなく、自分自身と正面から向き合うためにあるんだ』というフレイズ。孤独な人間というのは、他人の心の中を覗きまくってしまうもの。
この歌を聴くと、なぜかカフカのことを思い出す。フランツ・カフカというユダヤ人作家は非常に孤独な生涯だった。恋人(4人ぐらいいたので、誰だったかは忘れたが)によると『彼は他人の心の中が見えすぎてしまっていた』のだという。なるほど。他人の心が見えてしまうからこそ、孤独にもなるわけだ。
「君の瞳は何を見てるの」
この曲はイイ曲すぎて、陳腐だなぁ。ライブのシメにおあつらえ向きというか。
Posted at 2006/04/11(Tue) 22:22:40
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