2000年版の理解に役立つ
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現時点でのISO9000品質システムは、英国規格が母体であったために、現在の企業運営にはすでに時代遅れと言わざるを得ない。一方、来年末に発効する2000年版は、名前も改め品質マネージメント・システムとなる公算が大きい。その最大の特徴は、顧客のニーズや期待を満たすだけでなく、事業業績とその力をも高めることを目的とし、まさに経営の質向上を目指すマネージメント・システムの構築と実施を求める規格に変身しようとしている。
したがって、品質マネージメント・システムは、利益を拡大させる利点のみならず、コストやリスク管理に貢献し、もはや企業の総合的な企業運営の指針である。ただし、すでに構築された品質システムからの大きな乖離はなく、追加・変更によって現行品質システムを十分に生かすことができる。そのことを理解していただくために、新規格に基づくプラスチック成形業の品質マネージメント・システムのマニュアルを作成していくこととした。社員200名弱の組織規模で、自動車・電気部品の供給者で、経営の質を高め、経営の変革が求められている企業を想定している。 2000年版ISO9004では、「文書化よりも(品質の)達成に焦点を置く」ことが経営者に求められる品質に対するアプローチであると指摘している。また、規格に沿った章取りは必ずしも必要のないことだ。したがって、品質マニュアルではどれが正しいかとか悪いかなどは決して言えない。もっとも重要なことは、自社の業務を適切に、効率よく進めることができる品質マニュアルを作ることである。まして、審査機関の監査員の個人的好みなどを受け入れる必要性など一切必要ない。しかし、あえて目安となるガイドラインはと問われれば、以下のようなことが言える。 品質マニュアルの各章は統一した書式を使う さらに、最近の経験で明らかになったことは、審査機関の日本人監査員は「書類審査」というサービスを対価に相当する「価値」を顧客に提供すると言う基本的なことをする意識に欠け、「書類審査」でもっとも必要と思われる品質マニュアルをチェックする要点も待ち合わせていなかった。言い換えれば、マクドナルドのハンバーガー販売以下のサービスを顧客に強制しているに等しい。これでは、監査員の質によってサービス内容が大きくばらつくのも当然の結果である。システムを求める立場にある者が、システムを持たないという矛盾である。たまたま日本で認証取得希望企業の数が多く、その「需要」に対し監査員の「供給」がショートしたための現象にすぎないと思うしかない。がしかし、これでは、日本人が自らをスポイルしていることになる。ここに危機感と嫌悪感を感じた。 それはさておき、多分、日本ではどの審査機関も品質マニュアル審査の基準を持っていないではないかと考え、これを作成した。すなわち、「品質マニュアルの自己点検チェックシート」である。いま品質マニュアルを作成されている方々のご苦労は計り知れない。ぜひ参考にしていただきたい。そして不必要な気苦労を少しでも低減できることを期待している。(ほんの少しだけ残したままだ。完成させる予定はない。) |
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ご注意ください
この品質マニュアルは2000年版ISO9001の原案CD2に基づいて作成されたものであり、
必ずしも現行規格ISO9001:2000と完全な整合性はない。