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7.5 生産 およびサービスの実施行動

7.5.1 一般

7.5.1.1 新規製品の工程管理 

  プラスチック成形は金型を使用して同じものの形を成形するという方法である。したがって、金型の製作精度が製品の第一義的品質を決すると言える。よって、顧客の品質仕様を満たすための手順の詳細を「工程管理規定」に定める。図3は、当該管理規定に定めた新規製品受注後、量産化までのプロセスの概要を示す。

 (図3 生産工程フロー図を添付)

 各部署は以下の業務を行う。

 1)営業部は、顧客からの新規製品の受注を受けた際には、図3の手順が適切かつ速やかに
  実施されるように顧客の要求事項を関係部署に連絡する。
 2)開発部は、顧客が要求する新規製品の製品図面の作成を支援する。
 3)技術部は、金型手配を行い、「トライ依頼票」などに必要事項を記入して生産技術グループ
  に試験成形を依頼する。必要な場合には、設備、冶工具等の製作手配をする。
 4) 営業部は、初品受注品の品質確保を目的とする「初品検討会」を関係者の出席のもとで開く。
 5) 生産技術グループは、「トライ依頼票」に基づき試験成形し金型の生産性等を評価し
  結果を技術部に報告する。
 6) 品質保証室は、試験成形された試作品の評価を行い「検定結果報告書」、
  もしくはその同等の文書を作成する。不具合が確認された場合には、不具合是正を
  技術部に指示する。
 7)営業部は、承認された「検定結果報告書」、もしくはその同等の文書を顧客に提出する。
 8)品質保証室は、顧客承認の確認後、「QC工程表」を作成し生産本部に量産の指示を出す
  「QC工程表」には生産工程、およびその管理項目が記載されている。
 9)生産本部は、最終承認された金型および冶工具を用いて量産を始める。

7.5.1.2 生産計画の作成

   製造部は、上記の「各旬計画」又は「号機別生産計画表」に基づいて、当日の生産品目と数量を確定し、「生産段取表」を作成する。「生産段取表」には、使用する設備名と号数別の製造品名、品番、使用材料名などの必要事項が記入される。

   7.5.1.3 作業伝票の作成

 製造部は、「生産段取表」と共に、当日製造される製品の「作業伝票」を作成し、各製造作業者に対して当日の作業の指示を行う。「作業伝票」には、品番、品名、生産量など作業者が製造を開始できる情報が記入されている。

7.5.1.4 成形加工の工程管理

 1)段取り作業者は、所定の品質の確認のために設備運転条件の設定を行い、 立ち上げ運転を行う。
  初品チェック作業者もしくは品質保証室担当者は、立ち上げ運転による
  「初物」の品質チェックを行う。又、寸法管理を必要とする製品は、
  X-Rs管理図を作成し、合否を判定する。合格の場合には、製品の製造が開始される。
  不合格の場合は、設備運転条件を再設定する。
  なお、確認結果は「初物チェックシート」に記録される。
 2)製造作業者は、工程内検査を「工程管理規定」にしたがって検査した結果を
  「成形工程チェックシート」と「作業伝票」に記入する。
  なお不適合品が連続して発生した場合には、その内容、数量、発生原因などを
  速やかに上司もしくは品質保証室に、報告する。
  不適合品は、「製品識別管理規定」にしたがって、良品から隔離される。

7.5.1.5 二次加工の工程管理

 製造担当グループ長は、「作業指示書」を作成し、作業者に品名、作業内容、数量などを指示する。作業者は、「作業伝票」に品名、図番、作業者名、不良数、不良内容などを記録する。詳細は、「工程管理規定」に記載されている。

7.5.1.6 製造設備と工程能力

 製造作業者は、工程能力を継続的に維持するために、「設備管理規定」に基づき、以下に記載されている設備維持の業務を行う。

 1)設備チェックシートによる日常点検および月次点検
 2)工程内検査に用いる検査機器の日常点検
 3)成形作業途中の設備点検

7.5.2  製品の識別

 製品の識別は、「製品識別管理規定」にしたがって、以下の手順で行われる。

 1) 原材料は、メーカーによって定められた製造番号(材料名、ロット番号)により識別される。
 2)製品の識別には、顧客との間で合意・承認された製品図面に記載された品番(図番、
  部番等も含む)と共に品名が併用される。さらに、射出成形機による製品の製造履歴
  を確保するために、品番、品名、材料名、材料ロット番号、射出成形機の号機、
  および製造年月日が「P管」に記録される。
 3) 二次加工される場合には、射出成形の一次加工時に用いられた品番および品名とは異なる
  新たな品番および品名が用いられる場合もある。
 4)一次および二次加工の工程に於いて、製品は運搬用容器に入れられ、その容器には、
  製品の識別に用いられる品番、品名、製造ロット(年月日)、個数などが記載された
  「現品票」が貼付される。
 5)「現品票」は、製品が出荷されるまで、製品に貼付される。ただし、初品および
  変更品の場合には、「現品票」と共に「初物品」帳票が用いられる。この「初物品」には、
  品番、品名、初物内容などが記載される。また、顧客から要求される重要部品に対しては、
  製品に製造年月が表示される。

7.5.3 顧客資産

 金型など顧客より支給を受けるに際する管理の責任は、営業本部長、生産本部長、もしくは技術開発本部長にあり、以下の管理が適切に行われるよう担当者に指示する。

 1) 顧客が支給する金型については、試打ちを行い製品の形状および外観と成形性を
  確認し、使用に適さない場合は、記録し顧客に報告する。
 2) 顧客が支給する金型以外の支給品については、受け入れ時に確認を行い、欠品、
  損傷、または使用に適さない場合は記録し顧客に報告する。
 3) 顧客が支給する支給品については、紛失、損傷、劣化、腐食等が発生しないように
  適切な手段で保管する。

7.5.4 取扱い、包装、保管、保存、および出荷

7.5.4.1 取扱い

 生産管理部物流グループは、材料、半製品、製品の損傷または劣化を防止するため、取り扱いは注意して行う。運搬時には適切な機具を用いる。

 加工または出荷待ちの材料、半製品、製品は、その図番および製品名により識別され、定められた場所に保管する。また、腐食、風雨などによる損傷を防止するため、保護あるいは回避の対策を行う。「現品票」は通い箱もしくは段ボール箱に表示される。

7.5.4.2 包装

 半製品または製品の輸送および顧客への引き渡し後での損傷または劣化を防止するため、定められた容器仕様に従って収納を行う。

7.5.4.3 保存

 出荷まえ製品は、倉庫もしくは工場内に保存される。これらの製品は、腐食、風雨、外傷などによる損傷を防止するために適切に保存される。

7.5.4.4 出荷

 出荷検査に合格した製品は、製品を保護するために指定された容器形態で、契約をした運送業者により顧客に納入される。また、自社運搬車により顧客の工場倉庫、または外部契約倉庫に搬入される製品もある。

 神戸化学株式会社の管理責任は、顧客に納入されるまでとし、運送途上の品質保証については、必要に応じて当該運送業者と討議し、顧客搬入の重要性を認識させる。

7.5.5 生産プロセスの検証

 神戸化学株式会社の製品の中で特殊保安部品以外は、経済的見知より全数検査は行われない。したがって、突発的成形工程条件の変動による不適合品の発生を完全に検証することはできない。

 また、検査基準書に求められている目視検査は、技能教育により検査確度を向上させ得るものの作業員の健康状態等によりその確度は上下する。ただし、現時点ではこの検査方法を代替する経済的、かつ妥当なる技術は存在しない。  

7.5.6 関連文書

 工程管理規定(文書番号)
 設備管理規定(文書番号)
 製品識別管理規定(文書番号)
 取扱い・保管・引渡し規定(文書番号)
 製品識別管理規定(文書番号)
 不適合品管理規定(文書番号)
   


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