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7.3 設計管理

7.3.1 一般

神戸化学株式会社の主たる製品は、市場型製品ではなく注文生産品であり独自の製品を設計・開発する業務はない。

開発部の主たる設計業務の概要は以下のごとくである。

(1) 顧客の要求を満たす製品の情報を収集し, FMEA及びVE検討を詳細に行った後、製品図をCADにて作成、および製品仕様を定める。製品仕様に関しては製品のリサイクルに対する容易性を考慮する。
(2) 製品仕様を満たし生産性を考慮した金型仕様図面の要素解析を金型制作メーカーと共同で行う。金型図面は金型制作メーカーが作成する場合が多いが、自社 CADによる制作も行う。
(3) 金型制作マーカーが作成した金型図面の承認を行う。ただし、自社制作図面は開発部長が承認する。
(4) 新規金型による試作と確性試験を実施後、顧客要求仕様の適合性を確認する。
(5) 加工方法、金型材質、収縮率、ゲート方式等を金型制作メーカーと共同で討議し、金型発注仕様を決定する。
(6) 量産に用いられるQC工程表を作成する。

上記の業務を遂行するに当たっては、「設計管理規定」に従って設計管理スケジュール表を作成する。スケジュール表には以下の段階を設け、設計業務内容、各段階の日数、担当者名、評価責任者、及び関係部署名を記載する。当該スケジュール表は、関係部署に配布され、必要に応じて討議・伝達する。

第一段階  「顧客品質仕様書」に基づく新製品の製品設計、また必要なる
      場合には、顧客要求の追加情報の収集
第二段階  CADによる製品の詳細図面の作成、金型制作メーカーへの詳
      細説明とコストを含む意見の収集、新規金型の制作、および試
      作品の作成、金型不具合の修正
第三段階  精密検査の実施後顧客試験スペックに基づく確性試験の実施、
      初回初品検討会の開催、過去の製品に関する情報の検索と整
      理、顧客評価のためにサンプル提出の決定、予定販売価格と利
      益の算定、協力マーカーの使用の可否、原材料の供給体制状況
第四段階  量産化決定のための初品検討会の開催
      顧客評価の結果発表、コスト削減の可能性検討、QC工程表の
      作成と決定、量産後の再検討の時期および内容の決定、他製品
      の生産への影響度、要員配置変更の有無

 なお、初品検討会の出席者等は「設計管理規定」に定められる。

開発担当者は、量産時に不測の不具合発生を防止するために設計に当たっては以下のことに留意するとともに必要に応じ文書化し、初品検討会で討議する。すなわち、

1)試作段階では確認できなかったが、金型構造上の懸念
2)製造工程管理及び季節変化による作業環境の変動による影響度
3)リサイクル特性を含む原材料の性能限界と変更時の留意点の明白化
4)予測される不具合の内容と緊急時の対応策
5)製品のリサイクルの容易性、およびバリ等の破棄物量の推定  

7.3.2 設計のインプット

 開発部は、営業担当者の作成した「要求品質仕様」、顧客の作成した製品図面、「営業報告書」などにより得られた情報に基づき、慣行となっている暗黙の要求事項や P/L法などの法規制上の問題点をも含め製品設計のインプットの集約を行う。

開発担当者は、集約されたインプットを「設計管理規定」に定められた「顧客品質仕様書」に記入し、技術開発本部長および営業部長の承認を得る。

技術開発本部長は、製品の環境への影響度が著しく、また法規制上の問題を解決できない可能性が高く企業業績の長期的観点から、社長及び販売部長との討議の上製品化を拒否する責任と権限を有する。

7.3.3 設計のアウトプット

開発部は、「顧客品質仕様書」に記入されたすべての要求事項に対して検証、および妥当性の確認が出来るように、金型図面、検査項目と合否判定基準、製品の性能試験方法などを作成する。また、顧客の要求事項には含まれていなくとも製品の構造、性能、外観、精度、価格等の独自意見、ないしは推薦事項も含まれる。

特に、量産数量の多い場合には金型の許容精度、作業上の安全性、また連続射出成型機への脱着容易性と耐久性に関する判断基準は重要なる情報であり、過去のデータベースなどを引用する。

 設計のアウトプットとしての文書は、「設計管理規定」に定められた承認者により確認、承認された後、関係部署に配布される。

7. 3.4 設計の審査

「設計管理規定」に定められた関係部署の出席者の下で技術開発部長の主催する初回初品検討会を開催する。当該検討会においては、設計のインプット、およびアウトプットの文書類のすべてを審査・討議する。討議の目的は、金型発注およびサンプル作成の是非を決定する。

討議の結果、製品の設計内容が不十分でさらに検討を要する必要のある場合には、次回検討会の開催を定める。次回検討会までに準備しなければならない情報の内容と実施責任者を定め、文書として記録する。文書は、技術開発部長の確認と承認の後、関係部署に配布される。

7.3.5 設計の検証および妥当性確認

初品検討会で決定された金型図面により作成された金型を使用し、製品のサンプルを作成する。作成サンプル数は「設計管理規定」に定められる。作成されたサンプルに対し、初品検討会で合意された検査および性能試験を実施する。検査・試験結果が合否判定基準を十分に満たしていることを検証する。

検証結果は、技術開発部長により確認・承認される。承認された検証結果は営業部長に伝達され、顧客の評価に供するサンプル提出を依頼する。

営業部担当者は、顧客による妥当性の確認・評価の結果を速やかに関係部署に連絡する。

製造部、もしくは岐阜工場は、「設計管理規定」に定められた試作生産を実施し、QC工程表、検査方法と検査基準、不具合発生率、作業の操作性、作業時間と製造コスト計算など量産時の妥当性を検証する。検証結果は、報告書として配布され、品質記録として保管される。

上記のすべての検証結果および妥当性の確認結果は、量産化決定のための初品検討会において討議される。討議の結果は、品質記録として保管される。

7.3.6 設計の変更

量産化決定のための初品検討会で設計の変更が必要となった場合には、その理由および変更内容を定め、初品検討会議事録として保管する。

 顧客が設計途中で変更を依頼してきた場合には、その内容を記録し、関係部署に伝達する。必要なる場合には、臨時初品検討会を開催し、「要求品質仕様」の見直し、「顧客品質仕様書」の変更した後、顧客承認を得る。変更が行われ必要なる場合には、第二段階の金型設計図面の作成に戻り、設計の各段階を繰り返す。


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