「相撲界に激震!」 カウント2・9(第八十一回)
相撲界に激震が走っている。八百長疑惑騒動は法廷へと舞台を移し、横綱朝青龍が証言台に立つという前代未聞の事態にマスコミも大騒ぎだ。
ぶっちゃけ相撲にはそれほど興味は無いのですが、2時っチャオでデーモン小暮閣下がそれでも相撲を援護しようと苦しいコメントを述べている姿がなんとも痛々しく感じられます。一つ疑問があります。これだけの大騒ぎになりながらなぜNHKは大相撲中継をいまだに続けているのでしょうか。
新弟子のリンチ殺人事件、大麻所持事件、八百長疑惑裁判とこれだけのマイナス要因を補う「旨み」があるのでしょうか。民間放送だったらとっくにスポンサーが離れて放送打ち切りになっているでしょう。実際フジテレビの看板コンテンツだった格闘技のPRIDEは、暴力団との癒着を週刊誌に指摘されたとたんに放送打ち切りとなり消滅してしまいました。なんで相撲はOKなの?教育上よくないと思う人も多いと思うのですが。 
 
横綱としての品格にあれだけ口やかましかった内館牧子さんが大麻・八百長問題を静観しているのも何か腑に落ちない感じです。金で勝ち星のやりとりをする八百長行為を糾弾、撲滅しようとは思わないのでしょうか。「横綱はプロレスラー小橋建太を見習ってもっと稽古しろ」などと発言していた内館さんですから、案外星のやりとりには寛容なのでしょうか。それともプロレスもガチだと信じている全くの格闘オンチなんでしょうか。朝青龍の稽古を抜き打ち視察するその熱意で、力士の持ち物を抜き打ちチェックして大麻や違法薬物の摘発に努めていただきたいです。 
 
今にして思えば漫画家のやくみつる氏が死亡事故再発防止委員になったというのも角界の大麻汚染を象徴していました。名前がよくないのです。薬(やく)が満るですがら。ときに真実はこういった思いもかけぬ形でメッセージを発することがあるのです。 
 
今回の八百長裁判がどんな結果をもたらすかは今はまだわかりませんが、このさいカミングアウトしたらどうでしょう。相撲はスポーツではなく、支度部屋での星のやりとりも含めての出世争いなのだと。いいじゃん、それで。誰もガチだなんて思ってないって。16回世界チャンピオンになったリックフレアーは現役のプロレスラー時代にインタビューでこう語っていました。チャンピオンは興行会社の重役会議での投票によって決められる。一番信頼の厚い者がチャンピオンになるのだ、と。なんとすがすがしく潔い言葉でしょう。NHKは即刻大相撲中継を取りやめてプロレス中継を始めるべきです。みちのくプロレスがいいですねえ。そして紅白歌合戦のトリは気仙 沼二郎の「海の魂」で決まりです。はぁーよーいとこらさっさあ!(2008年10月10日) 



「無敵のハンディキャップ」カウント2.9(第八十回)


 10月8日、青山劇場にて松尾スズキ演出「キャバレー」を観劇。まずはパンフレットを購入、最初の松尾さんの文書でいきなり期待感が爆発。続いて現れる待雪泰子さん演じるサリー、いやサリーを演じる松雪さんの美しい姿に鳥肌がぞわっと。この舞台はすごいぞ!と確信。このパンフレットは絶対に買うべきでしょう。 
 
 幕が開きMC役の阿部サダヲさんが一気に観客を絢爛豪華で退廃的なキャバレーの世界へといざなう。翻訳物にありがちな違和感や飲み込みにくさは微塵も感じられず、非・ミュージカル俳優による変に上手すぎない歌と踊りがかえって役者本人の個性を際立たせ、物語を明確に伝えてくれる。明確というよりもまるで心に言葉が突き刺さってくるかのようだ。秋山菜津子さんの歌、踊り、演技が特に印象深い。 
 
どういう経緯で「キャバレー」の演出を松尾さんがやることになったのかはわからないが、あえて言うなら演劇の神様のお計らいなのだろう。まるで「松尾スズキ物語」とタイトルを変えてもすんなり受け止められるほどに現在の松尾氏の心情が赤裸々につづられた舞台だった。今も胸の中で拍手が鳴り止まない。 
 
 
 10月13日、北沢タウンホールで障害者プロレスドッグレッグスを観戦。オープニングでの鶴園選手の開会宣言にしびれた。「元気があれば何でもできる。片足が無くっても何でもできる!」。亀田家や安田忠夫にしおしおとなっていた心にしみわたる勇気の出る言葉だ。 
 
今回で3回目の観戦だが、良い意味で広く楽しめる格闘イベントになってきているのを感じた。隣の座席にいた小学生の女の子を連れたお母さん二人組みも終始笑ったり歓声をあげたりしながら盛り上がっていた。耳の聞こえないイケメンレスラー二人に女性ファンの黄色い声援が飛び、盲目の柔道家の鋭い投げ技絞め技に格闘技ファンの歓声が沸き起こる。 

試合後のロビーで観客のお見送りに出てきてくれた鶴園選手と一緒に写真を撮らせていただいた。リングで戦っているときも試合が終わってからも、常に観客を意識している鶴園選手のプロフェッショナル精神は素晴しい。次回5月18日の新宿FACE大会が今から待ち遠しい。(10月17日) 


「那須でCMの撮影」カウント2.9(第七十九回)

 5月27日、午後8時に都内某所に集合。生命保険会社のCM撮影の仕事で出演者スタッフともにロケバス2台に乗り込み一路栃木県は那須郡へ。ロケ現場はゴルフ場でロッジに着いたのは夜11時頃。山深く携帯の電波もほとんど入らなかった。 
 
 5月28日、朝5時30分にロッジを出てクラブハウスに集合。メイクと衣装合わせを済ませてお弁当の朝食をとるとゴルフ場へ。8時から撮影は始まった。スタッフは総勢50名程、天気は良かったが風が吹くとけっこう寒い。 
 
 「グリーンでパターを決めようとするゴルファーがスズメ蜂に襲われそうになる」という設定のCMで、出演者は蜂に襲われそうになるゴルファーと、それを見ている3人のゴルファーとキャディーさんの計5人。私は3人でグリーンを見ているゴルファーの一人だった。 
 
 とにかく撮影の現場というのは待つのが仕事なのだということがよくわかった。キャディーさんと3人のゴルファーの我々は寒かったり退屈だったりで、待ち時間に小噺をやって出演者の方をなごませたり監督には「本番中にしゃべらないで」と叱られたり、メインの役の人はグリーンを行ったり来たりのお百度参りで太陽が雲に隠れてはもう一回、スズメ蜂が上手く動かなくてもう一回と、収録が終わった夕方6時には皆たいそうくたびれていたに違いない。 

 6月の終わり頃にはどうやらオンエアされるようだが、1秒間くらいはうっすらと映っているのではないかろうか。今回のギャラの振込みは4ヶ月程先になるらしい。何から何まで待つのが撮影の仕事なのだ。
(5月29日 例によりミクシィの日記より転載) 



「芸協まつり(仮称)」カウント2.9(第七十八回)

 2月27日、早朝息子がつるりと産まれる。ハッピーバースデー・ディア・マイ・サン。子育てに奮闘する毎日だ。 
 
 3月22日、西新宿の芸能花伝舎にて落語芸術協会の定時予算総会に出席。平成19年度の事業計画および収支予算に関する議案を検討する。普段芸人にとってはあまりなじみのない事業や予算の話題なので、事務局長からの簡単な説明を聞いてその場で承認をするだけなのだが、質疑応答の際には「浅草のワリが少ないんじゃあないか」だとか「落語協会と比べて芸術協会のワリが少ないのでは」などといった生々しくも卑近な質問が飛び出してくる。決して業界の地位を向上させようといった建設的な意見が出ないのが芸人らしいと言えば芸人らしい。 
 
 そんななか珍しく向上心のある発展的な話題として盛り上がっているのが、この秋に開催される「芸協まつり(仮称)」についてだ。「芸協まつり」とは桂平治を中心とする若手の噺家が企画を出し、10月28日(日)に芸能花伝舎を借り切って開催される落語芸術協会のファン感謝イベントで、落語ファン・演芸ファンはもちろん、ただなんとなく遊びに来たという老若男女まで、たくさんの方々に喜んでいただけるイベントにするべく現在アイディアを出し合っている。噺家バンド・にゅうおいらんずやアロハマンダラーズのライブ演奏や三遊亭小遊三の卓球道場、玉川スミが皆さんの悩みを聞き幸せへと導く「オーラのおスミ」などなど、盛りだくさんの内容で芸人とお客様がふれあいながら楽しめるお祭りなので、ぜひたくさんの人に遊びに来ていただきたい。10月28日は芸能花伝舎でお会いしましょう。(3月26日)


「ドッグレッグス@新宿FACE」 カウント2.9(第七十七回)


 明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。だんだん更新の頻度が下がっていくカウント2.9ですが、今年も力を抜いてだらだらと続けていければと思っております。mixiの日記はまめに書いているので良かったらそちらもご覧ください。 
 
 1月13日、新宿FACEにて障害者プロレスDOGLEGSを観戦。前回見た北沢タウンホールよりも照明と音響の設備が整っているので会場の雰囲気はぐっといい。 
 
 聖飢魔Uのライデン湯沢殿下にも似たメイクで登場する遠呂智(おろち)選手の試合はアグレッシブで惹き付けられた。この日ミラクルヘビー級チャンピオンとなった彼の試合に感銘を受けた私は、高座に上がる前に弱気になりそうなときは「遠呂智のように!遠呂智のように!」と心の中でつぶやいている。ちなみにミラクルヘビー級とは障害の重度が思い切り重いという意味だ。 
 
 盲目の柔道家・ハードロック選手はもしかしたら曙よりも強いんではなかろうか。健常者2人との2対1ハンディキャップマッチでも相手を捕まえるや電光石火の投げと絞めで危なげなく勝利してしまった。「ハンデをもらっているのは健常者2人の方です」という実況に場内は大うけだ。 
 
 障害王・鶴園誠選手の強さ、格好良さにはリングサイドの女性ファンもうっとりと熱い視線を投げかけていた。スケボーに乗った天使・ケニー君のようにほとんど上半身だけの身体だが、その逞しい肉体は美しく、コーナートップから客席を見渡して髪の毛を整えるポーズで見る者のハートを鷲づかみにしてしまう。あっという間に相手を絞め落とすチョークスリーパーはまるでヒクソン・グレイシー、ホドリコ・ノゲイラのようだ。 
 
 女装レスラーのラ・マンは今回もセーラー服にルーズソックスで登場し、脱いだら中はセパレートの水着姿だった。試合ではドッグレッグス代表の北島代表にかかとで顔面を蹴り続けられてのTKO負け。だが「死ぬのでは?」という下馬評をくつがえして無事家族のもとへと戻り、今回もメインの役割をしっかりと果たしていた。 
 
 初の新宿FACE興行はお客様も満員でとても良い盛り上がり。全試合が大晦日のK−1ダイナマイトのメイン戦よりも素晴しかった。ドッグレッグスは全試合筋書き無しのガチンコ。この日の選手のファイトから、変てこな世の中を生き抜く勇気をもらいました。今年も精一杯芸道に精進いたします。 
(1月22日) 



「パンとジェームズと宮沢さん」  カウント2.9(第七十六回)


 10月13日、飛行機で一路九州は熊本へ、玉名市の高瀬蔵多目的ホールで落語会を開いた。題して「蔵で聴く落語とピアノの会」。私の落語と妻のお友達の片山恵美さんのピアノ演奏でお送りする二人会だ。会場は古い商家の蔵をホールに改装したもので、落語をやるのにちょうど良い大きさと雰囲気だった。おかげさまで130人の満員のお客様で大いに盛り上がる。ネタは「転失気」と「湯屋番」。ピアノはショパンの「ノクターン作品27−2」「別れの曲」、ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」「西風の見たもの」など。初の試みだったがとても反応が良く、来年には第二回目もやらせてもらえそうだ。  

 翌10月14日、阿蘇のカドリー・ドミニオンへパンくんとジェームズと宮沢さんに会いに行く。昨日の落語会にご家族とスタッフの皆様を連れていらしてくれた宮沢さんが、みやざわ劇場の一番前の席を取っておいてくださったのだ。今回のショーは「パンinイリュージョン」というマジックのショーで、パンくんやジェームズたちがまるで山上兄弟のように華麗なるイリュージョンを披露したり、その舞台裏を見せてくれたりする。落語とコメディーが大好きな宮沢さんの舞台なので、終始笑いの絶えない素晴しいステージだった。舞台終了後のポラロイド撮影では、私と肩を組みやさしく手をにぎりほっぺたをくっつけて写真に納まるパンくん、最高のおもてなしをしてくれた。舞台ではいつも高木ブーさんのように大人しいジェームズも、バックステージでは大はしゃぎでまとわりついてきて意外な一面を見せてくれた。 

 3回のショーが終わると宮沢さんとトレーナーの穂積さんにホテルまで送っていただき、夜は宮沢さんおすすめの馬肉料理屋さんで御馳走になる。これがまた実に美味しい。食事中は落語の話、お笑いの話に花が咲き、あっという間に楽しい時は過ぎる。私がパンくんのおつかいでこんな企画はどうですかと持ちかけると「それはいい!面白そうだなあ」との嬉しい返事、番組に企画を提出してくださるそうだ。ひょとすると東京でもパンくんに会えるかもしれない。私の落語も大変気に入ってくださり、ぜひ今度は大ネタも聞いてみたいとの嬉しいお言葉をいただいた。次の九州公演とパンくんとの再会が今から待ち遠しくてたまらない。(10月30日)


「落語って何ですか?」  カウント2.9(第七十五回)

 ミクシイの日記は割りとまめに書いているのですが、ついついカウント2.9の方がおろそかになってしまいがちでごめんなさい。マイミクのらふさんの息子さん(小学3年生)の夏休みの自由研究の課題が「落語」ということで、先月落語に関する質問を頂きました。なかなか面白いやりとりになっているので、ここに質問と回答を転載させて頂きます。 
 
 
1「いつから始めましたか」 
1991年の10月に三遊亭小遊三に弟子入りをして落語家になりました。 
 
2「どうして落語家になろうと思ったのですか」 
小さい頃から人を楽しませることが好きで、漫才やコントが好きでした。大学生のときに初めて落語を聞いて、たった一人でたくさんのお客さんを楽しませることができる落語家という職業にあこがれを感じました。 
 
3「落語って何ですか」 
古くは江戸時代に作られた話が師匠から弟子へと伝えられて、現在も語り継がれています。思わず笑ってしまうおかしな話、幽霊が出てくる怖い話、感動して涙が出るような人情話など、500以上もの話があります。落語とは「人間ってこういうものなんだよ」ということを分かりやすく教えてくれるのです。 
 
4「落語家になって良かったことはありますか」 
好きな落語をしゃべってお客様に喜んでもらえて、お金をかせぐことができるので今はとても幸せです。 
 
5「大変だったことはありますか」 
給料がいくらと決まっていないので、仕事が少ないと生活が苦しくなります。収入が安定しないのが大変なところです。 
 
6「やめたいと思ったことはありますか」 
落語家になってから4年間は、前座として毎日休み無しで寄席の楽屋で働いていました。その頃はやめたいとは思いませんでしたが、自由な時間がほしくて寄席に行くのがつらかったです。 
 
7「これから挑戦したいことはありますか」 
寄席でトリをとること。(一番最後に出演すること) 
独演会を日本の色々なところで開くこと。 
 
8「最後に小学生にメッセージをお願いします」 
動物の中で人間だけが笑うことができます。どうぞ楽しいことをいっぱい見つけて、たくさん笑ってください。笑顔のすてきな人になってもらいたいです。 
 
 
そういえば先日は杉並区の四宮小学校の校長先生から学校公演を頼まれました。よく聞いて笑ってくださるとっても優秀な生徒さんでした。最近は世の中の落語に対する関心が高くてありがたい限りです。最後に一言、10月25日(水)の東京芸術劇場での遊史郎独演会、チケット絶賛発売中ですのでぜひご来場ください。(9月27日)




「観戦記(例によりmixiからの転載)」 カウント2.9(第七十四回)

 6月17日、さいたまスーパーアリーナにてハッスルエイド2006を観戦。場内はほぼ満員の1万4千人、観客の大多数がハッスルからプロレスを知ったファンと思われ、ダッドリーズが出ても小島聡が出ても「この人有名なんだね」くらいのリアクションなのが逆に新鮮で面白かった。そんななか会場を最高に盛り上げてしまうダッドリーズ(チーム3D)は見事、そしてコジはHGの隣ではすっかりかすんでしまうのだった。試合後は息が上がってマイクを持っても聞き取りづらくなるレスラーが多いなか、流暢なしゃべりで1万人をばかウケさせるHGはあっぱれ。まるでロック様のようだ。日本でもWWEに匹敵するショーが観たいと前に書いたが、今回のハッスルエイドは決してアメリカにも負けない興行だった。あとはキャラクターの確立していない者を削ると良いだろう。ハッスルに中途半端なレスラーはマイナス。ニューリン様やHGと並び立てるレスラーはそんなに多くはない。 
 
 7月15日、新宿FACEにてみちのくプロレスを観戦。南野たけしVS華井謙一の試合では、お互いにフォークギターで相手の脳天を打ち抜くハードコアファイトに4本のギターが砕け散っていた。妻は「ギターもう使えないね。高かったんだろうね」などと体の心配ではなくギターの心配ばかりしていた。まるで麹町の猿だ(分からない人は落語「厩火事」を聞こう)。メインはフジタJrハヤトVS佐藤秀でハヤトの日本凱旋マッチ。ハヤトと秀とたくさんのハヤト応援団の三者の気持ちがぴたりと一つに重なって、実に感動的な結末となり思わず涙腺がゆるむ。ゴッドファーザーの息子が逞しくなって帰って来たのだ。 
 
 7月21日、北沢タウンホールにて障害者プロレス・ドッグレッグスを初観戦。障害者プロレスとは言っても、勝敗は全てKOかギブアップで決まり3カウント制ではない。ましてや相手の技を受けて盛り上げることも全く無い、純粋な総合格闘技団体であった。ぜひともPRIDEの代わりにフジテレビで放送してもらいたいものだ。試合は完全にガチンコだが、試合の実況や試合前に流す映像はエンターテインメント精神にあふれている。スピードをつける為の特訓として、ブリーフ一丁で街中を疾走するサンボ慎太郎。恥ずかしいから全力以上のスピードで体が動くのだ。メインは私の友人であるlaughさんのご亭主(セーラー服にルーズソックスで入場)と息子さん(小学3年生)の親子対決だった。3ラウンド戦い抜き、感極まり涙する息子さん。それを優しく見守る女装姿のお父さん。片手で息子の手を握り、もう片方の肩で夫をかついで控え室に下がる強く逞しい母親のlaughさん。何億円もかけて作った映画よりも強く胸を打つエンディングだった。ドッグレッグス15周年おめでとうございます。 
 
 以上観戦記3本でした。8月12日はムーブ町屋で独演会をやりますのでぜひ見に来てください。チケットのご予約メールをお待ちしております。 
(7月22日) 



「卓球」     カウント2.9(第七十三回)



 サッカーのワールドカップとやらで巷は盛り上がってますが、私は6月17日のさいたまスーパーアリーナでのハッスルエイド2006に心を奪われています。そんなわけで今回のカウント2.9はmixiの日記の転載です。いいじゃないですか、たまにそんな日があったって。 
 
「卓球」 

 5月11日、夜8時に師匠宅へ弟子6名が集合。小遊三が今月今月ドイツで開催される卓球世界ベテラン選手権に参加するので、師匠の活躍と無事を祈ってのささやかなお祝いの会が催されたのだ。 
師匠は50歳代の部にエントリーしており、隔年開催される大会には必ず参加をしている。前回の大会ではダブルスで世界のベスト16まで残るという好成績を残しており、今回も俄然期待は高まるばかりだ。 
そういえば小遊三に弟子入りをして最初のかばん持ちの仕事現場が寄席ではなく、テレビ局のスタジオでの福原愛ちゃんとの卓球対決だった。卓球台からやっと顔が出るか出ないかの幼い愛ちゃんに小遊三の本気スマッシュはさすがにきつすぎて、泣きながら唇をぐっとかみしめていたのを今でも覚えている。子供相手に大人気ないと楽屋ではたしなめられていたが、卓球に関してはテレビ的なお約束など入り込む余地のないほどに真剣なのがうちの師匠なのだ。 
 
 師匠とおかみさんと弟子一同で近所のお寿司屋さんでまったりとした時を過ごす。遊馬は酒を断ち15キロやせたそうだ。逆に際限なく体重の増えていく遊喜に対して師匠は、今年中に7キロやせるか落語7席覚えるかどっちかにしろ!と迫ると、たぶんどっちも無理でしょうという加藤大くんのような生ぬるい返事。体型が入れ替わっていく弟弟子2人はまるで漫才の笑組のようだ。  
 
 
 というわけで今月はここまで。大人計画の「まとまったお金の唄」、チョー良かったです。「吾輩は主婦である」に温水洋一さんが出ていてびっくりしました。みちのくにデルフィンも出たし、時は流れますね。(6月13日) 




「TAJIRIさんとカウント2.9」  カウント2.9(第七十二回)



 誰もがブログで日記をがんがん書きまくっている昨今、月に一回更新しているこの文章はいったい何なのだろうかと、ときどき書いている本人ですら頼りない気持ちになりながらも、読んでくれる全ての人に感謝の気持ちを込めて今キーボードを叩いています。近頃思うんのは、みなさんカウント3を入れるのが早すぎるのではないかということです。親に怒られたからナイフで刺しちゃったとか、子供が泣きやまないから首をしめちゃったとか、何かこうカウント2と3の間にある2.5とか2.9という概念が希薄になっているように思えてなりません。2の次はどう考えても3だろうといったデジタルでドライな考え方が蔓延して、その対極にあるアナログでうるおいのあるカウント2.9が忘れられつつあるのはさびしい限りです。殺そうと思っても殺さない、死のうと思っても死なない、それがカウント2.9です。何事もプロレスに結び付けて語る私もちょっとどうかとは思いますが、どうぞ皆様、生活のなかにぜひともカウント2.9を取り入れてください!そう願わずにはおられません。  
 
 「TAJIRIのプロレス放浪記」を読みました。誠実で真面目で思慮深く行動力に長け笑いのセンスがあり優しくて鋭くて努力を怠らない理想的な人、それがTAJIRIです。先日パソコンテレビのGyaoで初めてハッスルの試合を見ました。そこにはWWE在籍時代より以上に強烈に光輝くTAJIRIの姿がありました。エディーゲレロ、ウィリアムリーガルとタッグを組んでチャンピオンになっている彼は、やはりタッグでの動きが素晴しく、HGと組んで川田・ケンゾーと闘った試合での場内の盛り上がり方はすさまじかったです。試合後のしゃべりもプロレスラーのにおいのしないオリジナルのTAJIRIスタイルで、観る者に強いインパクトを与えています。今、ファイティングオペラ「ハッスル」の舞台に、ぞくぞくと才能のある表現者たちが集まってきています。日本でもWWEに匹敵するエンターテインメントショーが観られる日もそう遠くは無さそうです。 
 
 今月観た映画はマキノ雅彦監督の「寝ずの番」。思い切り笑いました。いいですよー。落語家を描いた作品なのですが、よくぞここまでやってくれた!と心から拍手をおくりたくなります。原作はまだ読んでなかったのでこれから本屋で探します。中島らもさん大好きです。それではまた来月お会いましょう。(4月28日)



「日記 栃木から熊本へ」 カウント2.9(第七十一回)

 3月26日、浅草から東武線特急に乗って1時間、栃木県の佐野西ライオンズクラブ結成30周年記念落語会で一席勤める。笑松「牛ほめ」、遊史郎「湯屋番」、小遊三「猫の災難」。師匠は車で会場入り、開演まで1時間ほど時間があると知るや、すぐさま向かいにあるバッティングセンターに行って軽く汗を流す。バッティングセンターでのウォーミングアップ効果か、酒を飲む場面での師匠のうけ方は凄まじく、こんなふうにお客様の心をわしづかみにしてみたいものだとつくづく思う。帰りは師匠の車に同乗させていただき堀の内の妙法寺へ、故三遊亭円右師匠のお通夜に参列。楽屋ではいつも優しく楽しい師匠でした。心からご冥福をお祈りいたします。 
 
 3月27日、妻と二人飛行機で一路九州は熊本へ。この旅は仕事ではなく完全な遊び。昼は馬肉料理の懐石で舌鼓を打ちまくり、夜はみちのくプロレスを観戦、初めて地方で見るみちのくは選手とのふれあいがたっぷりで大満足。サスケ、人生、沼二郎、義経、ラッセ、ガルーダ、マンゴー、パイナップルとツーショットで写真を撮らせていただきサインをしてもらう。気仙沼二郎の唄う「海の魂」には暖かい拍手が送られ、のどかで心地よいムードだ。会場の天井が低いためにコーナートップからの跳び技では天井にぶつかる一幕も。そんななかスカイツイスタープレスとシューティングスタープレスを決めた義経はやはりすごいレスラーだ。サスケ会長は場外乱闘の際に会場外の駐車場にまでなだれこみ、なぜか鉄塔を3メートルも昇るというハッスルぶり。ちょっぴり大人しめの観客が一気に盛り上がった。 
 
 3月28日、熊本二日目は阿蘇のカドリー・ドミニオンでパンくんとジェームズの出演する「みやざわ劇場」を観る。前にエッセイにも書いたが、以前那須のワールドモンキーパークでももちゃんとゴルディーを見ているので、宮沢さんのショーはこれで二回目だ。アニマルトレーナー宮沢さんのしゃべりと動きの「間」が実に素晴しく、これは単なる動物ショーではないぞと思って観ていたのだが、宮沢さんの著書「ももといっしょ」を読むと、大変な落語ファンで映画ファンであることがわかった。今回のショー「ドリトル先生」は、動物と話しができる獣医のドリトル先生(宮沢さん)が、ナースのチンパンジー(パンくん)といっしょに色々な動物の悩みを解決するというストーリーで、途中落語の「死神」を思わせるシーンや、良質の漫才・コントもあって、実に楽しくあっという間の30分間だった。ショーが終わるとポラロイドでパンくんといっしょに写真を撮ってもらえる。両手で握手してくれるパンくん、妻にはやさしく抱きついての大サービス。宮沢さんは「私は落語家になりたかったんです」とお話ししてくださった。三回のショーを全て観たのだが全く飽きることがなく・u栫A何度も笑い、楽しんだ。昨日はみちのく、今日はみやざわ劇場で、実に楽しく充実した二日間だった。パンくんとジェームズのおつかいのDVDをながめては、熊本・阿蘇に思いをはせる今日この頃だ。
(3月31日) 




「まとまったお金の唄」 カウント2.9(第七十回)


 3月とはいえ未だ寒い日の続く今日このごろ、皆様いかがお過ごしでしょうか。私は堀切に引っ越しをして1ヶ月が過ぎましたが、陽気に葛飾区ライフをエンジョイしております。 
 春は卒業の季節、このところ新しい前座さんが入ったりやめたりしているようです。先日師匠小遊三のところにも弟子志願の方が履歴書を持ってやってきました。「前座のうちの4年間はほとんど収入がないけれども大丈夫か?」と師匠がたずねると「では考えさせてください」とのこと。そして後日彼の出した結論が、「やっぱりやめることにします」。ってやめんのかよ、おい!履歴書に志望の動機が書いてあったのですが、「笑点での師匠の回答を見て、自分のやりたいものはこれだ!と強く思った」のだそうです。ダンボールハウスに住んで紀香や奈々子やイボンヌに囲まれて泥棒をしながら生きていきたかったのでしょうか。面白そーだよ、それ! 
 もしかすると落語家志望の方も読んでいらっしゃるかもしれませんのでお話しをしますが、実際のところは前座のうちは安定した収入があるのです。最初は1日千円、月収3万円。3年くらいたつと2千円になり月収6万円になります。その他に寄席以外の落語会に呼んでいただくと1回につきギャラが5千円〜1万円。お正月にはお年玉が約10万円くらいもらえます。どうです?夢のようでしょう。 
 約4年間前座として楽屋で働くと二ツ目に昇進します。二ツ目は寄席で一席しゃべると大体2千円、寄席以外の落語会だと大体1〜3万円、仕事の無い月は月収ゼロ。 
 二ツ目を約10年勤めると真打に昇進、披露目の費用がざっと見積もって200〜300万円くらいかかります。寄席で一席しゃべって大体3千円、寄席以外の落語会では人気・知名度・動員力によって50万でも100万でも取ることができます。スゴーイ。さあ、みんなも落語家を目指してどんどん入門してください。一度きりの人生、大いに楽しんでみようじゃあ〜りませんか! 
 2月19日のみちのくプロレス後楽園ホール大会はぎっちり満員、とても良い興行でした。終了後リングの片付けをする義経選手・気仙沼二郎選手と一緒に写真を撮らせてもらい感激もひとしお。次回関東大会は6月の新宿だそうで、待ちきれない私は今月の九州ツアーを見に行く予定です。義経選手のつぶらな瞳がとってもキュートでたまらない、そんな私です。(3月2日、加藤大の四国お遍路ダイエットを楽しみにしながら)  



「微笑み返し」 カウント2.9(第六十九回)

 新年明けましておめでとうございます。こんなあいさつももはや2月の半ばともなるとたいそう間が抜けて感じられるのは百も承知、二百も合点のおアニぃさんなのですが、今回ただ単に怠けていて更新が遅れたというわけではなく、実は1月の終わりに突如「よし!」と思い立って引越しをした為に未だパソコンが接続されておらず、この原稿もまんが喫茶からメールで送信しているというはなはだ宙ぶらりんな状態であるという事情をどうぞわかっていただきたいのです。 
 
 長年住み慣れた池袋の街を離れて、このたび縁有って葛飾区堀切へと越して来たのですが、新しい住まいはなかなか住み心地が良く、これまでのようなめぞん一刻の五代君的プライバシーほとんどゼロの生活からは大いなる前進と言えましょう。 
 
 そんなわけでパソコンがつながる2月14日以降に新しいメールアドレスをお知らせいたしますので、どうぞその際には引越しおめでとうメール、お仕事ご依頼メール、その他諸々メールをがんがん送信していただけますようお願いいたします。 
 
 ニコニコと新生活を送りつつ、最近読んだ本が石田衣良の「LAST」、浅田次郎の「椿山課長の七日間」、大槻ケンヂの「ゴスロリ幻想劇場」、鈴木浩子の「ゲイシャガール、リングに上がる」。4冊ともと〜っても面白いので未読の方はぜひどうぞ。2月5日のWWE横浜アリーナは少々退屈な興行でがっかりでしたが、2月19日のみちのくプロレス後楽園大会は大いに期待しています。それでは本年もどうぞよろしくお願いいたします。ヒロコ、ハッスルのGM就任おめでとう!(2月10日。還付金を待ちわびつつ日暮里のまんがランドにて) 

過去掲載分    1999年度掲載分  2000年度掲載分  2001年度掲載分 2002年度掲載分  2003年度掲載分
 2004年掲載分   2005年掲載分



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