“A Merry Christmas and a Happy New Year. what?”
カウント2.9(第三十八回)

 メリークリスマス!ミスターローレンス。先月27日の『故郷に二匹』はお楽しみいただけましたでしょうか。二ツ目昇進で波に乗る柳如さんの落語、そして前回このページで発表した「おどるキムジョンイル」を熱唱する遊史郎の歌いっぷりなど、見所たっぷりの2時間であったと自画自賛しておきます。また一回り大きくなって港ヨコハマへ鮭のように帰ってまいります。どうか帷子川(かたびらがわ)のタマちゃんのように暖かく迎えていただけますようよろしくお願い申し上げます。
 
 アザラシのタマちゃんに限らず、動物とのふれあいはストレスの多い現代人の心を癒してくれるもの、そこで先月は那須高原のワールドモンキーパークへチンパンジーのモモちゃんを見に行ってきました。舞台に登場した瞬間にお客をつかんでしまうモモちゃん。余裕で握手に応じるその姿はもはや大御所といった感じで、なんと写真集を買った人にはサインまでしていました。モモちゃんの様々な芸や珍しいフラミンゴショーにすっかり心なごんで帰宅したその翌日は、みちのくプロレスの大田区体育館大会を観戦しました。この日はヨネ原人とつぼ原人の原人対決があり、これもまた心なごむひとときでした。また飛行機に乗り遅れ、試合終了後に会場に到着したハヤシライスマンに対してサスケ社長が「ちゃんと時間を守んなくちゃあ駄目だぞ!」などと小言を言っていたのも、ほのぼのとした良い場面でした。
 
 ほのぼのばかりじゃあちょっと物足りない、そんなあなたにおすすめするのが品川プリンスホテルで開催中のエンターテーメントショー『ショーガールズオブマジック』です。18歳未満入場不可の夜9時からの公演がいいです。ラスベガスで人気の高いショーの来日公演で、内容はきれいな裸のおねえさん達ががんがん踊りながら華麗なマジックを見せるという、言葉にすると単純ですが、見れば必ずいーぃ按配(あんばい)になれること請け合いのショーです。入場の前にホテル前のアンナミラーズに寄って、ウェイトレスのエッチな制服姿で軽くテンションを上げておくのもいいかもしれません。そしてドアを開ければそこには官能と幻想の世界が・・・。来年1月26日までやっているので興味のある方はどうぞ。
 
 そんなこんなでいよいよ今年も残りわずか、という訳で鬼も大笑いの来年の予定です。1月18日は杉並会館の若手あとおし落語会で落語を二席(要予約 5311−7035)、1月19日は大和田の丸花亭で二席(問い合わせ 047−482−2934)、そして1月24日は日本橋亭の二ツ目勉強会でトリの高座を務めます(ネタは『七段目』 ゲスト三遊亭遊三)。どうぞふるってお出かけ下さい。それでは来年またお会いしましょう。良いお年を!(12月25日)


『おどるキムジョンイル』  カウント2.9(第三十七回)

 久しぶりっ!芸術劇場の独演会には212名というたくさんの皆様にご来場を頂きまして本当にありがとうございました。11月27日には横浜STスポットで柳如さんとの二人会があるのでこちらの方もどうぞよろしく。最近我が家ではケーブルテレビが見られるようになったので、ロウ、スマックダウン、闘龍門、みちのく、全日本、そして昔の新日本の試合を毎日楽しく見ております。そうそう先日は円馬兄さんからチケットを頂いて、IWAジャパンのMAYA引退興行を観戦、沢田亜矢子さんの元旦那のゴージャス松野さんを生で見てしまいました。まあそれ以外には何ら語るべき点も見あたらない興行ではありましたが、以前同じ会場で見たパンクラスよりは盛り上がっていたのではないでしょうか。しかも後楽園ホールの客席7割近く埋まっていたのは見事、浅野社長の営業努力を見習って私もがんばらなくてはと思いました。そして最近の話題と言えば何と言っても北朝鮮でしょう。言いたいことは多々ありますが、そういった諸々をとりあえず歌にしてみました。また歌かい!と、つっこみたくなる気持ちは重々分かっておりますが、それでも聞いてください。今度の独演会では歌おうかと思ってます。題して『おどるキムジョンイル』です。『おどるポンポコリン』のメロディーでどうぞ!

 誰でもかれでもみんな、おなかをすかせているよ、海岸線からぼわっと、工作船が登場、いつだって忘れない、総書記はエライ人、 そんなの常識、タッタタラリラピーヒャラピーヒャラ、ぱっぱぱらぱ、ピーヒャラピーヒャラ、総書記キムジョンイル、ピーヒャラピーヒャラ、 テポドンちらり、タッタタラリラピーヒャラピーヒャラ、ぱっぱぱらぱ、ピーヒャラピーヒャラ、総書記キムジョンイル、ピーヒャラピーヒャラ、 おなかがへったよお

 いかがでしょうか。平和を求める私の心の叫びとして受け取って頂けたら幸いです。遠山の金さんは大好きですがピョンヤンの金さんはきらいです。今月も読んでくれてありがとうございます。またどこかの寄席で会いましょう。グラッチェ、チャオ。(10月31日)


『歌とお知らせ』  カウント2.9(第三十六回)
       U.S.J (S.O.S/ピンクレディー)

火薬が多すぎるのよ気をつけなさい、食べ物の期限切れ確かめなさい、楽しく遊んでいても地面の下は、廃棄物眠ってたそういうものよ、この水飲んで大丈夫だなんて、うっかり信じたらダメダメダメダメダメよ、USJ、USJ、ホラホラ吹いているわ、今日もまた不祥事、経営ピンチ


       アニータのバラード(あんたのバラード/世良公則&ツイスト)

アニータにあげた愛の日々を、今さら返せとは言わないわ、青森男と、南米女、しらけた中身の、自叙伝一つ、アニータが建てたあの家は、公社の千田が貢いであげた


 また歌で始まってしまいました。そういやあ金谷ヒデユキさんはお元気なんでしょうか。私は元気です。はつらつな元気のうねりに身をまかせ、9月6日には結婚までしちゃいます。闘龍門の有明コロシアムにも行きます。そして10月14日(祝)には東京芸術劇場での独演会があるんですよ!『宿屋の仇討ち』『野ざらし』他一席の落語三席に、ゲストがローカル岡さん、松元ヒロさんという豪華ラインナップでお送りいたします。松元ヒロさんとは舞台上でのジョイントも予定しています。どうぞお見逃し無きよう、お誘い合わせの上ご来場をよろしくお願いいたします。      (2002年9月4日)


『真夏のロックンロールショー』 カウント2.9(第三十五回)


         『トランジスタラジオ』 RCサクセション

ウー営業さぼって、日のあたらぬ寄席にいたんだよ、くつろいでいたのさ、客席で、栄馬の噺とても長くて、内ポケットにいつも、東京かわら版、彼女ポップコーンひろげてる時、前座の帯、ぱらり解けてった、こんな気持ち、うまく言えたことがない、ないアイアイ、

江戸時代から、先輩達から、この噺家が受け継いだ伝統芸、彼女ポップコーンひろげてる時、前座の帯、ぱらり解けてった、

落語中あくびしてたら、目が演者と、あっちまった、居眠りばかりしてたら、すぐ中入りに、なっちまった、

君の知らない芸人、聞いたことのない、漫才師、
君の知らない芸人、聞いたことのない、漫才師、



        『いとしのエリー』 サザンオールスターズ

寝かせたこともある、トイレに立たれても、受けたい気持ちがあればいいのさ、俺にしてみりゃこれが最高の商売、給金(わり)、もっと、欲しい、

お客がもしも冷めて、目をみりゃつれなくて、人に言えず退屈だけがつのれば、言葉につまるよじゃ芸人は終わりね、給金(わり)、もっと、欲しい、

笑ってもっとベイビー、無邪気に『短命』で、
うなってもっとベイビー、落語の人情で、

すずめの涙の給料なら、給金(わり)、もっと、欲しい    (2002年8月4日)






「 WWE 」    カウント2.9(第三十四回)

 1000人の馬鹿が道頓堀の川に飛び込む呆れ返った昨今、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。かつて大仁田厚が道頓堀川に飛び込んで、敗血症になって生死の境をさまよった事件がありましたが、参議院議員・大仁田厚先生の生命力は凄まじく「荒井の昌ちゃんは死んでも、俺は絶対に生き残るんじゃあ!」とばかりに今でも元気にご活躍をなさっています。そういったことを踏まえた上でのダイビングなのかいそれは、What?と1000人に聞いてやりたい気持ちも無いでは無いんですが、とりあえずは川で死んでいたおじいさんが、無分別なサポーターとやらに巻き込まれたんでは無いことを祈るばかりです。何しろワールドカップよりもワールドレスリングに心ひかれるぼくのヒーローは、誰が何と言ってもベッカム様ではなくロック様な訳で、日本の敗戦はどうでもいいけど、オースチンのWWE解雇にはとてつもない衝撃を受けてしまったものですから。『ガチンコ』という名の番組がやらせだったそうですが、ファンタジーの世界の住人であるストーンコールドがリングの外でもそのまんまのキャラクターだったという今回の事件は、フィクションとリアルが幾重にも交錯するプロレスの世界を象徴する出来事とも言えましょう。そうそう、ザ・ロックの主演映画『スコーピオン・キング』を観て来ました。スクリーンでロック様のショルダースルー、ボディースラム、ネックスプリング、ピープルズアイブロウが見られるのですよ。あとヒロインの衣装がほとんど裸同然です。まあそれだけの映画ではありますが、ロック様の肉体、そして動きの美しさ、格好良さ、それ以外はまるで語るつもりなど無い!といった潔さがあります。ロック様の妙技、しっかりと堪能させて頂きました。次回主演作も期待しております。以上近況の報告でございました。最後になりましたが5月31日はたくさんの方々に御来場頂きましてありがとうございました。独演会の番組を掲載しておりますのでよろしかったらそちらの方もご覧くださいませ。またメールアドレスが変わりましたのでどうぞご注意ください。
 温度差の激しい今日この頃、お風邪など召されませんようお祈りしております。(2002年6月29日)



独演会の記録

「保土ヶ谷キッド」   カウント2.9(第三十三回)

 連休もあとわずか、皆様いかがお過ごしでしょうか。毎年五月は真打ち披露興業があり、手伝いをする前座や二ツ目は「ゴールデンウィーク」という名のあわただしい日々を送ることになっています。そして私がまだ噺家になる前の学生の頃は、学校が休みになっても何もすることもなく、ただぶらぶらと普段と変わらぬ味気ない毎日を過ごしてばかりいました。ただ大学三年の五月は、渋谷の東邦生命ホール(現在クロスタワーホール)で開かれる「渋谷三大学落語会」の演者であった為、落語「野ざらし」の稽古にいそしんだ思い出があります。そう、あの頃の私はおしゃれな青学の雰囲気にはなじみたくてもなじめないバリバリの落研部員、しかも副会長でした。クラスメイトの九割が女性で男子が五人だけというはたから見ればうらやましいような英米文学科の学生でありながら、特別に親しい友達もなく、だからなおさら落研の活動に夢中になっていました。
 学園祭の高座に、ゲストとして三遊亭小遊三を頼んだことがありました。皮ジャン姿の師匠を校門でお迎えして、かばんをお持ちしながら教室へとご案内をしました。後に自分がこの人の弟子になろうとは、その時は思いも寄りませんでした。あの頃必死になって覚えた「野ざらし」を今月三十一日の独演会で演ろうと思います。
 芸人に憧れはするものの、実際になろうという勇気や根性はなく、かといって他にやりたいことも全くない、はなはだ宙ぶらりんで気持ちの定まらない毎日を、それでも懸命に生きていたあの頃の自分に今私はこう言いたいのです。大丈夫!上手くいくんだよ、と。人間生きてりゃあいいこともあるさって、いつもそう思いながら落語をしゃべっています。五月三十一日は会場のお客様といっしょに、楽しくてなごやかな時間を過ごしたいと思います。どうぞ皆様お誘い合わせの上ご来場を、心よりお願い申し上げます。(2002年5月4日)



「ネバーエンディングストーリー」  カウント2.9(第三十二回)

 今月の歌

 『二ツ目時代』(青春時代)

真打ちまでの十年で
お金を貯めろと言うけれど
その日暮らしの年月を
何で稼げばいいのだろう
二ツ目時代が夢なんて
後からほのぼの思うもの
二ツ目時代のまん中は
道に迷っているばかり


 『祝儀をもらえ!』(エースをねらえ!)

高座では誰でも一人一人きり
私の愛も私の苦しみも
誰も分かってくれない
曼陀羅と風を持って出囃子に乗って
くちびるに軽く微笑み
私はしゃべる江戸のなまりでもって
寿限無、子ほめ、雑俳、ベストを尽くせ
祝儀、祝儀、祝儀、祝儀をもらえ!



 皆様お元気でいらっしゃいますか。きっと雨にも風にも飛散する花粉にも負けずにお過ごしのことと、お喜び申し上げます。さて、私こと三遊亭遊史郎の次回独演会が決まりましたので、ご報告させて頂きます。5月31日(金)夜7時より上野広小路亭にて、タイトルは遊史郎の会『ネバーエンディングストーリー』でございます。ネタは「七段目」と「野ざらし」です。歌舞伎や釣りなどに我を忘れて没頭する様を、映画にもなったミヒャエル・エンデの「はてしない物語」の世界観にからめて、ネバーエンディングストーリーとサブタイトルを着けてみました。ゲストは芸能生活80年、演芸界の生ける伝説、玉川スミ師匠です。チケットのご予約は03−5966−2069(遊史郎)へどうぞ。前売り券2,000円、当日2,300円です。ご来場をお待ちしております。  (2002年4月10日)



俺んとこへ来い!!  カウント2.9(第三十一回)



 クラブ・イエローの落語会、ご来場のお客様には心より御礼申し上げます。御祝儀やお祝いのお品を下さったお客様、重ねて厚く御礼を申し上げます。お世話になりました制作スタッフの皆様、誠にありがとうございます。素晴らしい芸で会場を盛り上げてくれた(鏡味)正二郎 さん、どうもありがとう。そして立ち見になってしまったお客様、本当にごめんなさい。また開場の時間がずいぶん遅れてお待たせをしてしまい申し訳ございません。会場の場所が分かりにくくて迷ってしまったお客様、座蒲団が無くておしりが痛くなってしまったお客様、音がうるさくて困ってしまったお客様、行き届かぬ点が多数ございましたことをお詫び申し上げます。どうもすみませんでした。
 「混沌の中から新しいものが生まれるのだ」などと聞こえのいいことは言いません、ただ私にとっては良い経験でした。いわゆる「芸の肥やし」というやつです。酒、博打、遊び、そういったものが芸の肥やしになるとは思いません。楽な方に逃げ回っていては人は成長できません。どれだけ苦しい思いをしたのか、辛い思いをしたのかがその人にとっての財産であり、芸人にとっての「肥やし」なのだと思います。たとえ寄席がなくなろうとも日本が海に沈もうとも噺家として生きていきたいのです。どんな場所であろうと全力で落語を語るのみです。会場費30万円と制作費30万円をこれから払うのかと思うとちょっぴりブルーな気持ちにもなりますが、安田忠夫の借金1億円に比べりゃあわずかなものでしょう。そのうちなんとかなぁーるだぁろーおーってなもんですよ。お仕事のお電話お待ちしておりまーす。3月3日の『麻布コネクション』をどうぞお楽しみに。また独演会で皆様とお会いできますことを楽しみにしております。初めてご覧になったお客様、こんな噺家がいることをどうぞ覚えていて下さい。お客様のご贔屓(ひいき)あっての芸人です。今後とも末永いお引き立てを宜しくお願い申し上げます。
(2002年2月15日、感謝の気持ちを込めて)

DERAM   カウント2.9(第三十回)

あけましておめでとうございます。映画『千年の恋』の光源氏の如く、未だ姫初めの余韻覚めやらぬ正月早々エロチックなゆっぴーこと三遊亭遊史郎です。ミスター高橋の名著に習って、情報公開とエンターテインメントを心がけなからこの原稿をしたためております。押し寄せる情報の波にさらされ、知らない方が良かったなどというやわな心持ちでは生きていけない程のある意味きびしい時代となりましたが、それでも皆さん心に夢を持ちながら歩いていこうじゃありませんか。和田アキ子も紅白でそう歌ってましたよ。サブちゃんも小さい体で熱唱してました。そして大晦日、ガチンコでバンナをタップさせた安田忠夫には心から拍手を贈りたいです。死に物狂いで夢を叶えたんですから。本当におめでとう!最高のメインイベントでした。
 癒し系ファイター安田の活躍に負けじと、私こと癒し系落語家三遊亭遊史郎も躍進しております。1月27日には再びテレビ東京の『 麻布コネクション 』に出演いたします。(深夜0時35分〜1時)。クラブ・イエローでの落語会、何とか成功させたいのでどうぞご協力をよろしくお願いいたします。1月11日は両国寄席の『芸協二ツ目勉強会』、27日は田端寄席でそれぞれトリを取りますのでぜひ御来場ください。そして28日から2月3日までは、南の楽園パラオへと向かう船の中での落語会に出演いたします。2002年も八面六臂の活躍をお約束いたします。どうぞ皆様落語会で、そしてブラウン管でお会いいたしましょう。今年もよい年でありますように、遊史郎より、愛をこめて。                                               (2002年1月3日