5月23日(Fri): 弔問

 うつらうつらしながら、それでも9時ころまで寝ていたでしょうか。2階の寝室からリビングにいるなっちゃんを見ると、昨日とおんなじ格好で、おんなじ顔をして寝ています。やっぱりまだ生きてるような気がするんだよね。さあ今日一日は、なっちゃんとお家で過ごそうね。

 着替えてなっちゃんにお線香を上げました。近くで見るとなっちゃんは昨日より穏やかな顔をしています。見開いていた目も閉じ気味になったし、顔色も赤みが帯びてきた。でも身体に触れるとヒンヤリ冷たい。そりゃそうか、ドライアイスを抱いているからね。死ぬ直前まで体温が低いからと温枕を抱いていたのに、今度は冷たいものを抱かされて、なっちゃんも困っちゃうね。

 なっちゃんの訃報を回していただけるよう、何人かの方にお願いしました。心配していただいた方にご報告とお礼を申し上げないと。なっちゃんは頑張りました。今まで応援ありがとうございましたって。僕らから直接電話やメールで報告すると、みなさん一様に驚かれます。そりゃそうですよね。あっという間の出来事ですから。

 今日のおぜき家は一日中賑やかでした。みんななっちゃんに会いに来てくれた。お花やお菓子やおもちゃを貰って、なっちゃんの蒲団の周りはなんとまあ賑やかになったこと。いつもの山形の友達も駆けつけてくれて、一日中お茶出しなどと手伝ってくれたのも助かりました。家を作ったときの希望の一つは、みんなが集まれる家ということだったのですが、まさにその希望が叶いました。掛け布団をどかして全身を見てもらうとみんな驚きます。大きいって。写真で見たことはあるけれど、実際に見ると大きく見えるんだって。これじゃあ、医者から体重をキープするように言われるのも仕方なかったね。

 病院で一緒だった子も来てくれました。退院はしたけれど、今も外来で通院して治療を続けています。でも病院の中にいたときよりもずっと大きくなって、元気に歩き回っていました。なっちゃんを見て、悲しむというより、子供たちにはお友達が寝ていると見えているみたい。セッセと人形を蒲団の周りに運んでくれたり、帰りにバイバイと手を振ってくれたり。病院しか知らない2歳にも満たない子供でも、なっちゃんにはお友達もいっぱいいるんだ。パパやママにしてみれば、病院で一緒に頑張っていた子が亡くなるのはショッキングだと思います。僕も他のお子さんが亡くなったときにそうでした。なっちゃんを見て涙を流してくれて、それにつられて僕らも涙が出て、でもやっぱりよく頑張ったよねとなっちゃんを褒めてくれました。

 何だかんだで11時過ぎまで、お客さんは絶えることなく来てくれました。同じ事を説明しているうちに、だんだんと事態を冷静に整理して考えられるようになってきました。タラレバを言ってはいけないけれど、あの時ああすればよかったとか、あの時に兆候が見えていたんだとか、そう思うことも多々あります。でも誰かのミスとか誰かの責任とか、そういうことではなく、みんな精一杯やったんです。

 式の日程を決めるとき、一日空けてお通夜と聞いて最初は不思議に思いました。でも今日一日を過ごして分かりました。この一日がとっても貴重な時間だったのだと。なっちゃんとお家で過ごせた一日は、とっても楽しく有意義でした。

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