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第十二話 夏休みだ!!〜(3)約束の海、約束の地

ビーチバレーは、なんかみどりの勢いに圧倒された感じだけど、ま、あたしは楽しめたからいいやっと。で、その後は和広君の取り合いになっちゃって、そのままお流れ。

あとはみんな思い思いに、お昼寝したり、海で泳いだり……ああ、しあわせ〜。春日君はずっと一緒だしね……えへへ。

そんなこんなで日は傾き、水平線にむかって真っ赤な太陽が沈んでいく……。

「……綺麗だね」

春日君が隣で呟く。

「うん……」

ああ、ムード最高〜!!

むう〜……ぴと……

「ゆ、由布ちゃん……!?」

春日君の肩にもたれる……ゆるやかに風が流れて、さざ波の音が静かに聞こえる……

あたしのそばには春日君だけ……春日君だけ……

「……由布、ちゃん」

春日君があたしの肩を抱く。そして、ゆっくりとあたしたちは向き合って、そして……そして……。


和広は海を眺めていた。

久しぶりの海だった。なつかしの海、思い出の海……しかし、悲しさしか思い出せない。

彼の視界に二人の姿が映る。恋人たちの抱擁、そして口付け。

見ていられなくて、彼は顔を背ける。

何も見えない。何も聞こえない。

全てを閉ざして、和広はたたずむ。

ただ、たたずむのみ……。


夕方になって暗くなってきたので、みんな晩ご飯食べに宿舎に戻って来た。

そしてみんなで夕御飯。地場産のお魚の刺身やら裏山で採れた山菜のおひたしやらてんぷらなど、すごく豪勢なの!

昼間のビーチバレーでおなかがすいたのか、みどりはものすごい勢いで食べ続け、それに負けず劣らずの勢いで飯坂君が後を追う。それはそれは壮観で……。

でも、とってもおいしかった。


「は〜、少し食べすぎちゃったぁ……」

部屋に戻ってきて、みどりは柱に寄っかかりながらおなかをさすさすする。

「あんた、食べすぎだよ。……おなかでっぱってる」

「え!?うそ!?」

「う・そ」

「ああ、もうっ、由布ったら!!」

「うふふ……あんなの見せられたら、和広君幻滅しちゃうぞ〜」

「だぁって〜、おいしかったんだもん〜」

いまさらいやいやしたって仕方ないような……。

「さってっと、これからどうする?」

あたしがそう聞くと、みどりは不気味に含み笑いをしながら言った。

「ふっふっふ……聞いて驚け……夏と言えば……それも夏の海辺と来れば……やっぱりこれ!!」

とったったったっと自分のカバンに取りついて、中から取り出したそれは……

「花火〜」

「うわ〜、すっごーい!」

あるはあるは……線香花火やら打上花火やら、20も30もあるよ……

「もすこししたらみんなでやりにいこ!」

「うんうん……沙織と久美子も……って、あれ?」

呼ぼうと思って後ろを振り返ったとき、久美子しか居ないのに気がついた。

「久美子、沙織はどこ?」

「え!?沙織、いないの?」

「さあ……部屋に入るときにはいなかったわ」

久美子は首をかしげながら答えた。

「どこいったんだろう……」

「……由布、久美子、いくわよ」

みどりは花火を入れた袋をもってすっくと立ち上がった。

「いくってどこへ……?」

「男の子たちのとこに決まってるでしょ。花火に誘うのよ。ほら!」

みどりに促されて、あたしと久美子は一緒に移動する。

男の子の部屋は向かい側の突き当たりにある。みどりが先頭に、ノックをして部屋に入っていった。すると……。

「あれ!?和広君いないの!?」

みどりが悲鳴みたいな声を上げる。

「ああ、飯食った後、どっか行ったな」

飯坂君がぶっきらぼうに答える。

「そんな〜……せっかく一緒に花火しようと思ってたのに……」

みどりががっかりしてうなだれる。

「沙織もいないんだけど、どこいったんだろう……」

あたしがそういうと、みどりは花火の入った袋をあたしに押し付けて、ばたばたと部屋から出ていった。

「ちょ、ちょっと、みどり!?」

「みんなでそれやって!」

「……みどり」

うーむ、どこいっちゃったんだろう?まさか二人で!?……てのも考えにくいなあ。

いったい、どうしたんだろう?


和広は、山道を歩いていた。

明かりは乏しく、わずかに足元を照らし出すだけ。もちろん彼以外の人通りはない。

彼は黙々と坂を上り続けた。そばの草叢からは夏虫の鳴き声が聞こえる。空には満月があって、彼の行く先を照らし続ける。

何度も道を折れていくと、やがて水の流れるような音が聞こえてきた。それは川の流れるような静かなものではなく、なにかに打ちつけられるような激しいものであった。

和広は更に先に進む。水音は更に大きくなっていく。それは滝の落ちる音のように……。

そして、和広の眼前に、それが現れた。滝だ。道の先が踊り場のようになっており、その先に天から落ちるかのような、細くて落差の大きな滝だった。観光目的のためか、それはライトアップされて暗闇のなから浮かび上がっていた。

和広は無言で滝を見上げた。そして二三歩前に進み、手すりにつかまる。

「……また来るとは、思わなかったな」

和広の呟きは闇の中に吸い込まれていく。

その時、木の枝が踏みつけられたような音が背後からした。

和広が振り返ると、そこには、沙織がじっと佇み、和広の姿を見つめていた。

「……秋吉さん?」

「……」

沙織は無言で和広の顔を見つめていた。ひどく思い詰めた、真剣な表情。

「……どうしてこんなところまで?」

和広が沙織に近づきながら言った。

沙織は胸の前でぎゅっと手を組ながら、答えた。

「あなたを……追ってきたの」

和広は立ち止まって、沙織を見つめる。

「きっと今ごろ心配してるよ、みんな。戻った方が……」

「あたしは、あなたと一緒にいたかったの。だから、いいの」

それは沙織らしくない、恋の告白同然の言葉だった。

和広はそれをどう受け止めていいかわからないような顔して、沙織を見つめ続けた。

「……ここはどういう場所なの?」

先に沈黙を破ったのは沙織だった。彼女は手すりの方に近付くと、滝を見上げた。

「……見ての通り、滝だよ」

和広はほっとしたような口調で言った。

「名前はそこにある通り、大師の滝……いわれはよく伝わっていない。大師というからには、この地を訪れた禅僧が見つけたのかもしれないね……」

「……綺麗」

沙織は呟くように言った。

そして、和広の方を振り返って尋ねた。

「でも……どうして夜にここへ来たの?……みんなに隠れるようにして?」

「……」

和広は何も答えずに、ただそこに立っていた。

「……あたしはずっと和広君を見てたからわかったけど……みどりはきっと怒ってるわね、抜け駆けしたって」

「……」

「でも……あたしは和広君と一緒にいたかった……二人っきりで。だから、そんなこと気にしないの」

沙織はゆっくりと和広に向かって歩き出した。そしてすぐそばで立ち止まると、じっと和広の顔を見つめた。彼の顔はこわばっていた。

「だってあたしは……」

ゆっくりと、沙織は口を動かして、言った。

「あなたが好きだもの」

滝の落ちる音が続いている。虫の鳴く音が物悲しく響く。

「……なにも……なにも、言ってくれないのね」

沙織は目をそらしながら言った。

「あたしのことを……見てもくれない。だって、あなたは……いつだって、由布のことを見つめている。いつだって……そう……今日も、見つめていた」

「……秋吉さん……それは違う。僕はそんなことはしていない」

弱々しい否定。しかし、沙織はきっと和広を睨み付けるように言った。

「うそ!……さっき言ったでしょ?ずっと見てたって。……そうよ、ずっと見つめていた。あなたに勇気づけられたあの時からずっと、見ていたのよ。いつも、いつも、いつも!……今日逢ったときからだって、ずっと。ビーチバレーの時も、ずっと」

和広の表情が変わる。苦悶の表情。

「でもあなたは……由布のことしか見ていなかった……由布のことしか気にしてなかった……由布のことだけを……由布のことだけを考えていた。……好きなんでしょう、由布のことが?好きなんでしょう?」

沙織がそういうと、和広は彼女に背を向け、沈黙した。

思わず泣きそうになるのをこらえつつ、沙織は更に言った。

「どうして何も言わないの!?好きなら好きでいいじゃない!由布が春日君を好きだから?だから告白できない?……そうよね、そうかもしれない。あなたなら、そういうことかもしれない……でも……だったら……どうしてあたしの気持ちには答えてくれないの?!あたし……あたしは……あなたのことが好きなの……振り向いてくれない由布じゃなくて、今ここに居るあたしじゃ駄目なの!?お願い、答えて!」

……残響があたりにこだまして消えていく。滝の落ちる音がする。

無限とも思われる時間と距離を、和広との間に沙織は感じていた。手を伸ばせばつかまえられそうな間しかないのに、今はそれができない。

……お願い答えて……和広君……!

しかし、彼女の思いは叶えられない。

「……ごめん……駄目なんだ」

「あ……」

胸が痛かった。心が痛いと、身体まで痛くなるのかと思うくらい、胸が締めつけられた。

和広の告白は続く。

「自分でもどうかしてると思ってる……でも、駄目なんだよ……由布ちゃんのことしか考えられない。見えないんだ……彼女を守らなくては……僕にはその義務があるんだ」

「……義務?」

「あ、いや……それは重要じゃない。とにかく……僕には彼女しかいないんだよ」

「……でも……春日君とは争いたくないのね?」

「……うん」

「……その程度なのね、由布が好きだって言うのは」

「秋吉さん!?」

暗い瞳で見つめながら沙織は言った。思わず振り返って彼女を見る和広。

「相手がいれば諦めてしまえるほどの、その程度なものなのね?相手にふられたわけでもないのに、挑戦すらできない……その程度なものなのね?」

「違う、そんなんじゃ……」

「じゃあ、好きって言ったの?告白したの?でも、そうじゃないのよね?それでも……由布のことが好きなの?振り向いてくれなくても?一生そのままでいくつもりなの?……あたしはいや……そんな不確かな状態はいや……曖昧なままはいや……いままでそうしてきたから……そうしてきたことで、自分をごまかしてきたから……。でも、いまは違う……あたしは……たとえその結果親友を失うことになっても……あたしは……あたしは……あなたが好き……好きなの!あの時から頭からあなたのことが離れたことはない。ずっと……ずっと思って……今日だってあなたのことを見続けて、ここまで来て……そして……そして……好きだって、初めて言えたのに……言えたのに……あたし……あたしは……!!」

もう止まらなかった。沙織の瞳から涙が止めどなくあふれ、衝動に駆られた彼女は、そして……。


みどりは暗い山道をぶつぶつ言いながら上っていた。

「まったくもう、沙織ったら……いったいいつの間にそんな知恵つけたのかしら……」

和広と沙織が消えて居ても立ってもいられなくなったみどりは、二人が別々に滝のある方へ言ったという証言を施設の者から聞き出すと、急いで二人の後を追ったのだった。

「それにしても……二人して示し合わせてたのかな……だったら……ううん、そんな風に考えちゃ駄目。和広君の後をただ付いてっただけかも……それとも、沙織が呼び出したのかな?……うん、そうだわ。あの子今日妙に積極的だったもの。まるで別人みたい。……ふふ、あの子も成長したってことかな?……かといって、このままにはしとけない……あたしだって、和広君のこと好きなんだから」

そんな独り言を言いつつ、みどりが滝の展望台近くにさしかかったとき、人の声がした。なにやら悲鳴のような女の声。どこか聞き覚えのあるものだ。

思わずしゃがみこみ、耳を澄ますみどり。

……なに!?……けんかでしてるの?

そして、ジリジリと展望台の方に移動し始めた。

声がだんだんはっきりとしてきた。やはり知っている声……沙織の声だ。

……だれと話しているんだろ?やっぱり和広君?

展望台をのぞける場所までやって来ると、沙織の声が一際大きくなった。

……なに!?

みどりが茂みの影から展望台をのぞき込んだとき、彼女の心臓は音を立てて止まった。

「あなたが好きなの!!」

みどりの視界に、和広の背中に抱きつく沙織の姿が映った。二人はぴくりとも動かずにその場に立ち尽くしていた。

……そんな……沙織があんな……あんなことしてるだなんて……

みどりは目の前の光景が信じられなかった。沙織がこれほど積極的な行動を取れるとは思ってもみなかった。

……そんなに……和広君のことが好きなのね……でも……あたしだって……あたしだって和広君のことが……好きだもん。負けるもんか……。

とそのとき、和広が沙織を振り払うようにして彼女から離れた。

「……!?和広君!?」

「……ごめん……本当にごめん……でも、僕はそんなに想われるような人間じゃない……そんな資格はないんだ。だからごめん……」

そう言い残すと、和広はもと来た道を下り始めた。

みどりは慌てて茂みの中に身を隠した。すぐそばを和広の足音が通っていく。彼女は息を殺してそれをやり過ごした。

姿が見えなくなるまで待ってから、みどりは展望台の方をのぞき込んだ。

沙織は、ただ呆然とその場に立ち尽くしていた。それははたで見ていても、落胆ぶりが伝わってくるようだった。

……ふられちゃったってこと……よね……ってことは……和広君には好きな人がいるってこと?

そう思うと、みどりはじっとしていることができなくなった。

……沙織……ごめん……あたしも……彼のことが好きなんだもん!

みどりは沙織をその場に残して、和広の下っていった道を一目散に駆け降りていった。


ぱちぱちぱち……

「わぁ……きれ〜」

あたしは春日君と一緒にしゃがみ込みながら線香花火に夢中になっていた。そばでは飯坂君が打上花火に火をつけている。そのそばには久美子がその姿を見つめていた。

……ああ、なんかいいなあ、こういうの。

「うまいね、由布ちゃん」

「えへへ……そう?」

自慢じゃないけど、線香花火を最後までできるんだ。えっへん……うう、やっぱり自慢にはならないなあ。

でも、春日君が喜んでくれるからいいや。

「あ!?」

「ほらほら、ちゃんと持っていないから〜」

「今のは風のせいだよ〜」

「ふふ、いいわけは駄目」

「あ〜あ」

「あはは……」

そんなこんなで花火も残りわずかになった。

「そういえばさあ……和広君とかどうしちゃったんだろうね?」

あたしがそう言うと、久美子は海の方を見ながら言った。

「戻ってくるわよ……そのうちね。……さ、もう花火も切れたことだし、水をかけて宿舎に戻りましょう」

そうして久美子はバケツの水を花火の残骸にかけた。じゅうっと音がする。

「それに、もう帰ってるかもしれないからね」


みどりは海岸近くまで和広を追ってきた。一体どれくらいの速度で歩いているのか、その間一度も和広の背中を見てはいない。

「どこ行ったんだろ……」

そうして浜辺をさまようこと十数分、気の短いみどりにしてはかなりの時間が過ぎた頃、足元でなにか踏んだ。

「……?花火?」

みどりは一瞬足元に目をやり、ふと目を上げると、そこに和広の姿があった。

「あ……」

みどりは駆け寄ろうとして立ち止まった。和広の放つ異様な気にたじろがされたのだ。

彼は暗がりの中、海の方をじっと凝視したまま立っていた。月明かりに照らし出される海の、その白波に一体なにを見るのか?

しかし、みどりはひるまなかった。

「和広君!!」

みどりは和広の目の前に駆け寄った。

「秋葉さん……?!」

和広は幽霊でも見たかのような驚きの表情でみどりを見た。

「……見つけた……和広君、聞いて欲しいことがあるの!」

みどりは和広に有無を言わさぬ勢いでまくし立てた。

「あたし、見たわ。沙織と一緒にいるところ!沙織、告白したんでしょ?でもあなたは受け入れなかった……なんで?他に好きな人がいるから?そうなんでしょ?!」

「それは……」

「ううん、そんなこと関係ない!」

ぐっとこぶしを握りしめて、みどりは叫んだ。

「関係ない!……たとえそんな人がいたって……沙織よりその人の方がよくったって……あたしは……あたしは……和広君のこと、好きだもん!好きなんだから!!」

そうしてみどりは呆然とする和広の胸にしがみつくと、和広の顔に両手を添えて自分の顔を寄せて唇を……重ねた。

……寄せてはかえす波の音が、時の流れを教えていた。

みどりはゆっくりと和広から離れると、二三歩後ずさりした。

「……あたし……あきらめないから……絶対……あきらめないから……」

そうしてみどりは走り出すと、宿舎の方に消えていった。

取り残された和広は、ただ立ち尽くすだけだった。

その時、彼の背後から呼びかける声がした。

「今日は大変な一日だったみたいね」

「……久美子」

久美子は和広のとなりに立つと、浜辺に腰を下ろした。

「座らない?立ってると、つらいでしょ」

久美子に言われて、和広は素直に隣に腰を下ろす。

しばらくそうして海から吹く風に吹かれていると、久美子がささやきかけるように言った。

「……また、この海に来てしまったのね」

「……うん」

「つらい?」

「……正直言って、つらいな」

「そう……そうよね、まだ一年もたってないものね……」

二人は再び沈黙し、しばらく海風に吹かれるままでいた。

「……沙織とみどり……どっちを選ぶの?」

「……選ぶ選ばないの問題じゃない」

「そ……じゃ、由布なのね?」

「……」

「答えないつもり?あたしがわからないとでも思っているの?……いつでもあなたは、何も言わないで済まそうとするのね……」

「……」

「和広はもっともっと自分の思い通りに動くべきよ。あなたは自分を抑えすぎる……我慢しすぎるのよ。由布のことだってそう……。あの二人のように、自分の感情に素直に従うべきなのよ。ましてそれが恋愛に関することであれば……」

再び沈黙。それを破ったのはまた久美子だった。

「……いつまでいるの?」

「……みんなが寝静まるまでかな」

「そう……じゃあ、付き合うわ」

「久美子……」

「いいのよ、あたしが勝手にすることだから……それにね」

久美子は和広の顔を見て言った。

「あたしも、沙織やみどりに負けるつもりは無いから」

そうして久美子は和広にもたれかかって海を見つめた……。

その二人を崖の上から見る始の姿を、二人が果たして気がついているかどうかはわからない……。


結局その日は起きている間に久美子は帰ってこなかった。戻って来た沙織はなんか元気がない様子ですぐ寝ちゃったし、みどりはなんか興奮した感じで何も言わずに眠っちゃったし……なんか今日はみんな変だった。

そして帰る当日の今日も、沙織はもうしばらく残るって言うし、みどりは静かだし……なんか変。みんな変。

和広君のことでなにかあったのかな?告白して……ふられちゃったとか?沙織はそんな感じだった。みどりは……少し違うみたいだけど、でも……。

だとしたら、和広君の好きな人って一体誰なんだろう?きっと、すっごく素敵な人なんだろうな……。


それがまったくの莫迦な考えだったって気づくのには、まだまだ先のことだった。





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