のぢしゃ工房 Novels

ナイチンゲール・ジェネシス

第3章:ゆれて、ゆれて

朝、みどりは目が覚めた。枕元の時計を見る。六時十分、目覚ましのセット時間より五分早い。手を伸ばしてアラームセットを解除すると、彼女はベッドから起き出した。そしてパジャマを脱ぎ、Tシャツとトレパン姿になると、部屋から出ていった。

小気味よい音を立てながら彼女は階段を下りると、リビングを抜けて洗面所に向かった。洗面台はシャワーのノズルが付いているタイプだったが、彼女は蛇口の方のノブを回して水を勢いよく出した。そしてそのままかがみ込むと、水だけで顔を洗い始める。ばしゃばしゃと思い切りよく顔に水をかけ、手でこする。水しぶきが上がって背中に広がった髪にまで飛び散ったが、そのまま洗顔を続けた。やがて水を止めると、手近にあったタオルでごしごしと顔をふいた。

ふと顔を上げると、鏡の中に自分の顔が写っていた。ひどく不機嫌そうな顔。彼女はもっと不愉快な顔になった。

ふき終わったタオルを首に巻きつけると、みどりはきびすを返してリビングに向かおうとした。と、そのとき。

「おはよう」

不意に声をかけられ、みどりはぎょっとして声の主を見つめた。

「……お兄ちゃん」

「今日も早いなぁ」

みどりの兄、滝沢将介は眠そうな顔で言った。

「これからランニングが?」

一瞬の沈黙の後、みどりは

「そうよ」

と、不機嫌そうな声で言った。

「そうか……がんばれよ」

将介はそう言って洗面所の方へ向かった。その背中に、みどりが問い掛けた。

「今日も午前様?」

その声にはあからさまなトゲがあった。

「ん?……いやぁ、ただの夜更かし……」

相変わらず眠そうな声で将介は答えた。

「しらべもの、さ。今抱えている依頼が手ごわくてね」

「あ、そう」

それだけ言ってみどりは一瞬行きかけたが、すぐに立ち止まって将介に言った。

「……商売繁盛ってわけね」

将介は振り返ってみどりを見た。彼女の表情は無表情に見えて、その実何かを訴えかけるような目をしていた。

「まあ、そうなるかな」

とぼけた口調で将介は言う。

「お前の方はどうなんだ?道場じゃ相変わらず敵無しみたいだが」

すると、みどりは今度は明らかに不愉快といった表情を見せて言った。

「べつにあたしはそれが本業ってわけじゃないわ」

「そりゃそうか……そうだよな……ま、なんにしても、がんばれよ」

将介がそう言うと、みどりは無言で背中を向けてリビングから出ていった。やがて、玄関の扉の開く音と閉まる音が聞こえてきた。

将介は洗面台の前にぼんやりと佇むと、鏡の中を睨み付けながら呟くた。

「……がんばれよ、か……くそ、なんの役にも立たねえじゃねえか」

そして乱暴な手つきでノブをひねる。水が吹き出してきて、洗面台に当たって盛大に水しぶきをあげた。


……ばかあにき!!

みどりはいささかハイペースでいつものコースを走っていた。体全体に力が入っているせいで思うように手足が動かない。

今朝も日ざしが強い。まるで夏になったようだ。みどりの肌に、じっとりとした汗がにじみ出し、粒となって中にとんだ。

みどりはいつもよりも荒い息を吐きながら、いつもの道を走り続けた。他に人は誰もいない。彼女は孤独だった。

……ふん、なにが依頼よ!そんなに大事なわけ?!

さっきの寝ぼけた顔を思い出すと、余計に腹がたってきた。

……いつも人のことばっかり……自分のことも……あたしのことも、どうでもいいんだよね!……そう、いつだってあいつは……あいつは……

みどりはピッチを上げた。これではまるで短距離走だ。


みどりと将介が二人暮らしを始めるようになってもう三年たつ。考古学者の両親が長期の海外調査に向かうことになり、兄妹は日本に残されたのだ。両親の親戚はまったく物故していたので、一時は知り合いの家に預けることも考えられたのだが二人とも嫌がったので、ハウスキーパーをおくことで解決を見たのである。だが、一年足らずでハウスキーパーも追い出し、本当に二人きりで家に残ることになった。どうも、みどりと馬が合わなかったらしい。

普通ならここで兄妹支え合ってとでもなるところだろう。実際将介はみどりの面倒は自分が見ると殊勝なことをいっていた。口には出さなかったが、みどりもそれを期待していた。

みどりは傷ついていた……両親にお前をつれていけないと言われ、そうする明確な理由を聞かされぬまま置き去りにされた……そう思っていたから、だから寂しかった。だから将介の言葉はうれしかった。口には出さなかったが……。

だが……それも裏切られた。元来外向的で厄介毎に首を突っ込む癖のある将介は、家に居つくことがあまりにも少なかったのだ。

結局彼女は独りぼっちのままだった。唯一の救いは、将介に勧められた合気道だった。近所にあるその筋では有名だという道場に通うようになったみどりは、瞬く間に腕を上げて師範代クラスにまでなったのだ。毎朝のランニングも、そのトレーニングのためだ。しかし今では……それも虚しいばかり。

しかし……彼女は走るのを止めない。


ランニングももう終わりだ。家が見えてきた。腕時計を見る。七時5分前。

みどりは息を切らせながら門の所まで来て止まった。息を整える間、みどりは玄関を睨み付けていた。ようやく息が落ち着いた頃、玄関が開いて、制服姿の将介が現れた。

「おう、今日は少し早いな」

将介はそういいながら門の所までやってきた。

「そ、そうね……」

なんでわかるんだと言いたげな目でみどりは彼を睨み付ける。

「あまり気張りすぎるなよ……昇段試験が近いんだろう?」

「そんなこと……お兄ちゃんに言われるような筋合いじゃないわ」

「……そうか」

将介は門を開けると、すこし寂しげな表情でみどりを見つめた。その視線を受け止められずにみどりは顔を背けた。

一瞬の沈黙の後、将介はみどりに言った。

「先、行くぞ」

そうして将介は歩き出した。その後ろ姿を、みどりは無言で見送った……。


白の世界だ。清潔、潔癖、純潔……純粋ゆえに、何も無い。何も無いがゆえにこそ、純粋なのか?

里見啓吾は、広い食堂の白いシーツのかけられた巨大なテーブルに、ひとりで座って朝食を取っていた。食堂の内装は床壁ともに白で統一され、天井だけが唯一白塗りから逃れていた。その食堂の中には彼と、給仕が一人いるだけだった。

朝食の様式は英国様式。量的に多いわけではないのだが、そのほとんどに手がつけられていなかった。家に帰ってからは、毎日がこの調子であった。だが、それをあえて指摘する者は誰もいない。そう、誰も。

虚しいというだけではいい足りない何かが彼を包み込んでいた。しかし、それをどうすることも、どうしようともしないのが、今の里見啓吾だった。

彼は半分以上も食事を残すと、音もなく椅子から立ち上がって出口へと向かった。その姿を執事と給仕は無表情なまま見送り、そして各々の仕事へと散っていった。


何も無い部屋だった。ワンルームマンションの一室と覚しきその部屋は、カーテンが閉じられているために薄暗くて中の様子は判然としなかったが、それでも作りつけの家具以外は冷蔵庫やテレビはもちろんのこと、おおよそ生活に必要と思われる物は何も無いのが見て取れた。

しかし、空き家というわけではない。なぜならば、部屋の中央には布団が一式据えられており、人の形に盛り上がっていたからだ。が、それにしてもあまりに質素な布団だった。敷布団は俗に言うせんべい布団並みの薄さであったし、かけ布団は……いや、白いシーツがだた無造作にかけられているだけだった。これではまるで葬式だ。

そこには、一人の少女が目を閉じて横たわっていた。天野せりなだった。彼女はまったく無表情に目を閉じていた。顔色は薄暗さを差し引いても青白くて、まるで死人のようだった。微かに息はしているのか、胸の当りがわずかに、ゆっくりとした周期で上下する。

と、ぴくっと彼女は全身を震わせた。そうしてゆっくりと目を開ける。ゆっくり、ゆっくりと……半眼に開いたまぶたの奥に、無機質な瞳がのぞく。そして彼女は半身をぐいっと起こすと、上半身を直立させる。それにあわせてシーツがずり落ちて白い胸があらわになった。が、気に留める風も無く、そのまましばらくじっと動かなかった。

やがて、何かに弾かれたようにかっと目を見開くと、彼女は急に立ち上がった。

彼女の全身があらわになった。青白く見える肌は、日の下では白く輝くだろう。背は高くはないが、均整の取れたプロポーションは羨望の的に違いない。ただ……ただ、そこからは生気がまったく感じられなかった。まるで死人、うつむきながら立ち尽くすその姿は首吊り死体そのもののように見えた。

せりなはぎくしゃく歩き出すと、室内で唯一家具らしい家具の作り付けのクロゼットの扉に近付き、ゆっくりとそれを開いた。中には乙夜学園の制服が一着、ぽつんとハンガーにかけられていた。それを無表情に見つめながら、彼女はそっと呟いた。

「……行かなくちゃ」

それは、あまりにも物悲しい声だった。


「滝沢さん!!」

登校途中、将介は背後から声をかけられ、立ち止まった後ろを振り返った。

「ああ、君か。おはよう」

「おはようございます」

天野せりなははじけるような笑顔を将介に向けながらいった。

「早いね。なにかあるの?」

「いいえ、特にはなにも。いつも通りですわ」

「そう……それにしては、なんだかうれしそうだね?」

「そうでしょうか……?」

せりなはちょっと困った顔で将介を見つめた。

「よく分かりませんが……」

「まあ、いいさ、なんにしても明るいってのは」

将介はそういって頭をかいた。

「そうですよね」

せりなは極上の笑みを浮かべてそういった。

今日も日は高く、夏のような暑さが続きそうな予感がした。


昼休みになった。今日も真っ先に部室(ではないが)に向かい、食事もそこそこに情報検索をする将介の所に、いつも通りのノックを響かせて天野せりながやって来た。

「こんにちは」

「ああ、いらっしゃい……」

将介はノートPCの画面から顔も上げずに答えた。

「あ、お邪魔だったですか……?」

せりなが申しわけなさそうに言うと、将介は、

「いや、そんなことはないよ。君の依頼に関係することを調べてるだけだから……」

「すると……里見さんのことですか?」

「うん……まだ、確かに言えることは何も無いけどね」

「はあ……そうなんですか」

せりなはがっかりした声でいった。

「そう悲観するものじゃないさ……と、こんなところか……」

将介はPCの蓋を閉じると、せりなの方を見た。

「そうそう。今日のデートだけどさ……」

「で、デート!?」

せりなは顔を赤らめて叫んだ。

「たいして違わないさ……彼は中庭の桜の木のそばにいるはずだから、行って話しかけるといいよ」

「え?……あ、あの、滝沢さんは、その……」

「ん?なに?」

「あの……付いてきてくださらないんですか?」

「あ、うん、用事があってさ……ちょっと行けそうにないんだ。だから、一人で行って欲しいんだ」

「そう……ですか」

不安そうにうつむくせりなに、将介は明るく言った。

「大丈夫……普通に話しかければいいさ。少し話辛いだろうけど……そのうち慣れるよ」

「はあ……」

せりなは不満そうな表情で将介を見たが、にこにこ笑いかける彼の顔を見ているうちに、安心したような表情を浮かべた。

「直接会って品定めした方が、答えが出やすいはずさ。がんばってね」

「は、はい……それじゃあ失礼します」

せりなはそう答えて、部屋から出て行った。

彼女が部屋を後にした途端、将介の表情は暗いものとなった。再びノートの蓋を開け、画面を食い入るように睨み付けた。

「……これ一体どういうことなんだ?」


終業のベルが鳴る。あるものは部活に向かい、あるものは掃除にいそしむ。そして大半の生徒たちは家路へ、街へと散っていく。どこにでもある光景、どこにでもある日常。いつまでも変わらない時間……だが、それは永遠に続くものではない。しかし、完全に変わってしまうものでもない。

けれど……そのような繰り返しすらも破壊してしまうような出来事が起らないとも限らない……それは、今日、この瞬間にまで迫っているのかもしれない……。

里見啓吾はいつも通りに教室を出ると、校庭へと足を向けた。玄関を出て、大勢の生徒たちとすれ違いながら、彼は中庭へと向かった。

中庭は校舎に囲まれていて、数本の植木と芝生で覆われている。いつも日影気味で他の生徒はあまり近寄らない。夕方ともなれば日は全然差し込まなくなる。その中に、一本だけ巨大な木がある。桜の老巨木だ。樹齢は数百年にはなるという。学園設立以前からこの場所で時を刻んできた。歴史そのものと言える。

その桜の木にもたれて、啓吾は視線を宙に泳がせた。その憂いを含んだ表情は、目ざとい女生徒が見れば歓喜に打ち震えて失神しかねないほどだ。しかし、本人にとってはどうでもいいことだ。どうでもいいことだった……。

……なぜ僕はここにいる?いつもならとっくに学校を出て……。

……彼が、そういったからか?滝……滝沢……なんだっけ?ここで待てと……何を待つんだ?僕に、待つものがあったか?……望むものなんかあったっけ……?

……わからない……何故僕はここにいる?……なぜここにいる?……なんのために?……誰のために?……理由なんて、どこにあるって言うんだ?ここにはなにも……なにも……なにも……。

「あの……」

「……!?」

意識の底から引き戻された啓吾は、そのものの方を見た。

怯えたように胸の前で両手を合わせるひとりの女生徒がいた。小柄で色白、淡い茶色の短めの髪、きれいに整った顔……まるで、日本人形のようなその容姿に、啓吾は目を奪われた。

……この子は……誰だ?なぜここにいるんだ?なんで?

「あ、あの……里見さん……ですよね?」

少女は消え入りそうな声で啓吾に尋ねた。

「……あ、うん。そう、だけど……」

「よかった」

少女はぱあっと明るい顔になった。

「あの、わたくし、天野せりなともうします。あの、その……来てくださってありがとうございます」

「……来てくださったって……君はいったい……」

状況が理解できない啓吾はただ呆然とせりなを見つめるばかり。

「え……?あ、あの……」

せりなも状況がよく分からないらしい。目をぱちくりさせながら啓吾を見つめた。

互いの視線が絡み合う。見つめ合ったまま、じっと二人は動かなかった。いや、動けなかった。

啓吾は不思議な感覚に身体を縛りつけられていた。いまだかつて感じたことの無かった感覚……緊張、興奮、昂揚……闘争本能に火がつくような、ありとあらゆる感覚が彼の身体の中を駆け巡った。

……な、なんだ!?こんな……こんなに身体が熱いなんて……彼女は一体……誰なんだ!?……天野……せりな……?……知らない……僕は知らない……知らないはずなのに……なんだ……この感覚……な・つ・か・し・い……ああ、そうなんだ……懐かしいんだ……昔に帰ったみたいに……むかし……むかし?……昔っていつだ?……過去……今よりも前の時間……今っていつだ?今日は何年何月何日……それに昔……僕が生まれたのはいつだ?……ずっと昔……15年前?そのはずだ……そのぐらい昔?いや、そんなはずはない。だけど……ずっと知ってるような感じがする……いいや、そのずっと前……生まれる前から……?

……そんははずがあるわけが……あるはずが……

「あ……あの……?」

「はっ?!」

せりなの問い掛けに、我に返った啓吾はあらためて彼女の顔を見つめた。心配そうに彼の顔を見つめるせりなは、普通の女の子に見えた。さっきほどのインパクトは受けない。

「大丈夫ですか?お顔の色が優れないようですが……」

「え……あ、いや、大丈夫……」

「よかった」

せりなは胸をなで下ろして肩の力を抜いた。

「あの……その……」

なにか言いにくそうにしているせりなを見て、啓吾はようやく今どういう状況にあるのかを考えられるようになっていた。

こう言うことは最近まで良くあった。将介が告白のお膳立てをすることは何度かあったからだ。でもそれは大抵昼休みに行われていた。放課後というのは全く無い。だから啓吾は不思議に思い、いつもなら事前に断りを入れるところを、そのきっかけを得ずに図らずもこの場にいることとなったのだ。

が、それもどうやら考えすぎだったらしい。

……いつものことか……そうだよな……。

「あ、いや……付き合って欲しいとかそういうこと言われても……僕は、そういう気無いから……ごめん」

そういう答え方をすると、大抵どうして駄目なんですかとか、付き合ってる人がいるんですかとか聞き返されるのだが、せりなの反応はまた違ったものだった。

「あの……あたし、そういうつもりでは……」

「え……違う?」

「あの、滝沢さんから聞いてませんか?」

「いや……彼から何も……ただここで待っていると言われただけで……」

「まあ。では、なにも説明はなかったのですか?」

「うん……」

「滝沢さんったら……」

せりなは困った表情で地面を見つめていたが、意を決して顔を上げた。

「あの……わたくしが告白するのではなくて……わたくしの友人があなたのことを目に留めまして……ですが、彼女は病気のためによく出歩くことができません。それでわたくしがあなたのことを調べようと思いまして、滝沢さんにその仲介をお願いしたのですが……やはり、自分でしなければならないのですね」

「自分で……なにを?」

「あ、いえ、その……あなたのことを……知りたいのです。あ、そ、その……あたしのためにではなくてですね、その……友人のために……」

「……友人のため?」

「はい……その子は、外に出歩くのを止められていていまして、たまたま外出が許された時にあなたを見たそうです。それ以来あなたのことを忘れられず……かといって会いに行くこともかなわず、悶々としていて……その姿を見る度に、なんとかして上げたいと思いまして……それで、こうやって会いに来たんです」

そういってせりなは微笑んだ。優しげな、そして思いやりにあふれた微笑み。啓吾がこれまで見たことのない、さわやかな笑顔だった。

……この人は……その友人のことが本当に気掛かりで……そのためにわざわざ会いに来たのか……いったい、どういう子なんだろう?

はじめて、他人に興味を覚えた啓吾は、そのような変化に驚いていた。これまでは自分のことすら気にかけることは希だったというのに……。

……なぜだろう……なぜこんなに気になるんだろう……しりたい……理由を知りたい……しりたい……。

「あの……お話ししていただけませんか?」

黙り続ける啓吾にすがるような視線を向けるせりなに、啓吾は静かに言った。

「……うん、いいよ」

その時、中庭に一陣の風が吹き抜けた。季節外れの生温かな風ではなく、秋めいた、涼しげな風だった。


『アレフ0とアレフ1が接触しました』

『危険性は本当に無いのだろうな?』

『観測結果は否定的です。特別な反応は見られません』

『しかし……野放しというのはあまりにも無防備すぎるぞ』

……私が決定を下したのだ。

『……はっ』

……監視のみに留めよ。いらぬ介入をして事を荒立てるな。どのみち……残された時間はわずかしかないのだ。





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