検査・試験の状態

準備完了しているはどれかを見分ける

ガイドラインが示す事例を読むと、容易にこの要求事項を理解することが出来る。少し分かり易くするために原文を変えているが、以下の通りである。

「ホテルでは、客が部屋から出た後、次の客を迎えるために部屋を清掃し、タオルなどの備品を取り替える。これが済むと、部屋の現在の『状態』は”準備中”から”準備完了”に『識別』を変える。その上で、ルームサービス係は電話でフロントにその『状態』を知らせるともに、何らかの方法でその『状態』を記録するのが一般的に行われている。」

このように、製品が下記の状態のうちどれになっているかを誰にでもわかるようにしておくことが求められている。すなわち、検査・試験の状態とは、

1. 検査を待っている。
2. 検査され、合格した。
3. 検査され、不合格となり、次の処置が決まるまで保持されている。
4. 検査され、特採になった。
5. 検査され、不合格になった。

以上である。  

不適合品の管理

製品に関する問題を整理する

製品の制作過程のみならず製品が出荷されたあとでも品質上のいろいろな問題が発生するのが通常である。そこで、不幸にも問題が発生した場合には、何らかの処置をしなければならないが、この規格は、その処置方法をシステムの一部として定めることを要求している。
ガイドラインがまず最初に示唆していることは、文書化されたシステムがあるがためにあまりにも多くの書類を発行するはめにならないようにすることである。さらに、不適合品であることを識別するための表示をするとともに、正常品から隔離することも要求している。この隔離方法として、荷札をつける、または物理的に区別出来る場所を用意することを推奨している。当然のことながら、問題発生から処置完了までに行われた一連の過程を記録として残す必要がある。この記録には、処置の決定事項、再加工または補修・修理の内容、再検査の結果などが含まれる。

不適合品の処置方法として規格は次のようなものを挙げている。すなわち、
- 手直しによって要求事項を満たす。
- 修理するか、または修理しないで特別採用とする。
- 用途変更のために再格付けする。
- 不採用または廃棄する。
である。

日本では、商習慣として一般的に行われているとは思えないが、もしも顧客との契約で定められている場合には、不適合品の使用または修理の提案を、特別採用として顧客またはその代理人に申請しなければならないとしている。これは、あくまで契約上要求されている場合のみであることを強調しておく。

是正処置および予防処置

是正処置および予防処置--一般

問題の原因を取り除く

規格は、顧客からの苦情はもちろん、製造工程や最終検査で不適合が発生した場合、その問題の大きさに対して適切な是正処置および予防処置が実施出来るように手順書を作成することを要求している。ガイドラインは、この両方は、ともに品質改善におけるステップとみなすことが出来るとしてる。同感である。是正処置と予防処置との違いも明確に記載されている。すなわち、是正処置が必要にあるのは、主として企業の内部で不適合が発生したときのみならず、顧客の苦情、あるいは製品の不適合によって顧客が被った損害を賠償しなけらばならないようなクレーム、さらに下請け業者において問題が出たときに、特定の問題の原因を見つけ、その問題の再発を防止するために必要な処置を講じることであるとしている。

一方、予防処置は、すべての不適合、すべての顧客の苦情、すべての有償クレーム、下請負業者に関するすべての問題およびこれら以外の問題発生源を検討・解析し、もし何か傾向があればそれを見つけることから始まり、解析によって潜在的な問題があることがわかれば、予防処置としてこれらの原因を取り除くために必要な処置を講じることとしている。(ホームページオーナーの感想:何らの変更を加えなくても理解できたのは、この一文が始めて。)  


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