購買
購買--一般
購入品による問題を避けること
この節が意図していることは、外部から何か業務に必要なもの(物とサービスの両方)を購入する際に、必要十分な情報を相手側に伝えなかったり、下請け業者の選択が適切でなかった場合に起こる問題を回避することである。特に、後者の下請け業者の選択に重点が置かれている。
下請負契約者の評価
だれからそれを入手するか?
まず始めにしなければならないことは、購入しようとしている材料とサービスの中でなにが自社製品の品質に影響を及ぼすのかを明確にしておくことが大切だとしている。次に、購入先になるいろいろな下請負契約者の中から選択することになる。ここまでは、言われなくても自然に意識しないで誰でも実行していることである。ところが、購入対象となるものやサービスが、設計、輸送、保管倉庫、測定機器の校正であるとすると意外に無頓着であることに気付くのではないだろうか。これで、下請負業者の選択を明確にしておくことの必要性があるのを理解していただけるでしょう。
話しをすこしそらすことになるが、日本企業では下請負業者の選択に明確な基準はなく、過去のいきさつや人間がらみで決められていないだろうか?親会社の苦しい時に
協力してもらったからとか、先代の社長からのおつきあいがあるからなどなどISOの世界
では通用しないロジックがまかり通っているのが多いと見る。このような日本の現状をすこしでも国際標準に合わせてやって行こうとしているのが動機になり、ISO関連認証を取得する企業が増加しているのではないかと考えている。間違いならぜひ教えていただきたい。
話しをもとにもどします。この規格では、品質要求を満たすことが出来ることを確認した上で、下請負業者を選定し、委託業者と請負契約を締結しなさい。そして、下請負業者として容認できることを何らかの方法で定期的に調査し、その記録を残しなさいと言っている。このようなことをまともに実行していたら、たいへんな時間と費用がかかり、とても中小企業ではやっていけません。そこで、ガイドラインが示唆している方法は次のようなものです。すなわち、一応下請負業者の選定基準は作りなさい、しかし、厳格なものにはしないで、実績主義がよいとしている。実績主義とは、一定の試験期間の購買を行い、その期間の終わりに納入された製品が問題無かったことを判定基準とし、下請負業者を選択する方法も許容できるとしている。とすれば、日本で一般に行われていることにほとんど同じで、それほど苦痛にはならない。しかし、これら一連の記録はしっかり残すのが要点となる。
さらに、規格は選定された下請負業者の能力を定期的に監査することを求めているが、購入した製品、たとえば、材料、そして製品の輸送業者から受けるサービスが最終品の品質に与える度合によって、監査をするかしないを決めてよしとしている。ならば、よほど精密度の高い製品でないかぎり、中小企業が下請負業者の監査をする必要はないと考える。ただし、納期に影響する下請負業者の供給能力を一度は厳格に調べ、評価する必要はある。なぜなら、中小企業ではすこしでも価格の低いものを優先し、材料ぎれを起こすことが懸念されるからである。
購買データ
購買の要求事項を述べること
文書による注文を購入先に発行するのが普通であるが、口頭での注文もしばしば実際に行われている。この規格で言わんとしていることは、購入するものもしくはサービスについての詳細な注文内容を注文時に購入先に正確に伝えることで、格別のことを求めていない。普通には、購買伝票もしくは注文書などが使われていてこれが問題となることはほとんどない。ただ、一つ取り上げるとすれば、これらの注文書はだれか適当な人によって発行前にチェックされ、内容の確認が行われていれば良しとしている。
余談になるが、内容がこんなものであるのに題名が「購買データ」になっていること自体理解に苦しむ。なぜ、注文内容の確認と出来なかったが疑問である。規格の権威付けのようにしかとれない。
購買品の検証
下請負契約者の事業所へあなたが立ち入れることを確実にすること
下請負業者に対しての監査については、この章のはじめに述べた。この節は、購買品の品質を下請負業者の事業所内で立会検査を行う権利を注文書に明記して確保しておくことを要求している。立会検査が必要な特注品の場合にのみ当てはめればよいのであって、通常の部品や原材料の購入には必要のないことである。
蛇足であるが、購入物品の受入れ検査ではないので誤解のないように。
下請負契約された製品の顧客による検証
下請負契約者の事業所へあなたの顧客が立ち入れることを確実にすること
この節も上の事項と同じく、立ち入り検査に関することである。下請負のまた下請負業者の事業所で、顧客が直接立ち入り検査をする必要があり、しかも契約で定められている場合を述べている。これも特注品に必要なものであって、普通には必要のないことと考える。しかし、海外の顧客に販売する場合には、しばしばこの権利を要求してくるので、必要な企業は契約時によく確認するのが肝要である。ISO9000認証取得会社と取り引きをする場合には、特に注意すべきだろう。