設計変更
変更を管理すること
ガイドラインは、中小企業にとって、変更は日常的に行われていると言っているが、少なくとも日本では大企業でもこの点は変わらないと思う。いずれにしろ、設計変更は多くの理由によって発生するものである。顧客の要望、市場の変化、デザイン・レビュウ、設計検証と妥当性確認の結果などが変更理由となる。設計が変更された場合には、かならず記録に残し、上司などの確認と承認がなされるような手順を確立することがここでは求められている。当然ながら、変更になったために設計のプロセスを後戻りすることになる。たとえば、設計計画書を改めて作成するはめになることもある。もっと深刻なケースは、顧客との再検討が必要な場合も生ずるだろう。
さて、ここまでの設計管理に関する要求事項を満たすには、文書化にたいへんな努力と時間を消費しなければできないと思われる方には、ガイドラインが朗報を示唆してくれています。すなわち、設計変更にともなう文書管理規定を特別に作る必要はなく、次の章である、「文書およびデータの管理」で定めた手順で行えばよしとしている。
さらに、実際の体験から言えるのは、設計・開発に関連する文書はISO9000のシステムがなくても一般に多くなっているものだ。しかも、その書類の整理が各人ばらばらで設計会議を開くには資料の準備に多くの時間を費やすことになる。しかし、ここで述べられているプロセスをいったん作り上げると、個人ファイルが無くなり、会議の資料作りが不必要になる。開発テーマ毎に整理されたファイルを持って行くだけになり、時間の使い方での効率をあげることが出来る。中小企業では、複雑な商品の開発はないので、この点での困難さはないと思う。