9 測定および分析
9.8 プロセスのレビューと評価
組織は、持続可能性の改善(図1に示す)のためには、組織の(業務)プロセスをレビューし評価する当たっては、以下のような体系的なアプローチを行うべきである。
組織の目標、および組織のプロセスの測定と分析のための手段は、その影響、有効性、収集されたデータが時を得たものかどうかが評価されるべきである。また、これらが持続可能性の達成に付与しているかどうかを評価すべきである。
測定と分析のプロセスは、その適切性と利用される経営資源と入手可能性に関して評価されるべきである。
測定と分析のプロセスに利用された経営資源は、組織の持続可能性に対して、プロセス、構成、経営資源および製品への貢献度合いを測定する上で効果があり効率的であったかどうかを評価すべきである。
組織全般(内部のすべての関連プロセスと組織単位)に亘って選択された測定と分析のプロセスの実施の状況は、調査されるべきである。
測定と分析のプロセス自身のパフォーマンスに対し、測定プロセスの有効性は定期的にレビューされるべきである。このことにより、組織内での意思決定と優先順位に設定に適切に支援することが確実になる。組織自身のプロセスを類似の最新のプロセスと比較するために、ベンチマーキングもこのレビューの一部として利用されるべきである。
定期的に、組織は、測定と分析のプロセスどの程度良好であるかどうかをレビューすべきである。これには、プロセスにより提供されるべきデータの必要な内容を分析することを含むべきである。また、データの利用による影響の分析、組織の持続可能性達成に必要な組織の実力についてに分析を含めるべきである。
10.1 一般
組織は、持続可能性を達成するために事業環境の変化に適用できなくてはならない。したがって、いつそのような変化が起きているのかを察知できる能力を持つ必要がある。しかも、その変化に反応して改革する能力も保持することが求められる。その反応は、過去に学習したことをよりどころにしていなければならない。あるいは、他社が同じような状況においていかに対応したかによってどう対応するかを決めなければならない。
持続可能性は企業に学習する能力を要求する。進歩的な学習能力を有する組織では、組織の人々から得られた知識を高度にそして効果的に利用することができ、核心となる能力を高め、継続的改善と改革を促進できる。
組織は、持続可能性達成に向けての追加的なルートとして、有効性と運用効率を向上するために改革を行使しなければならない。
組織は、持続可能性に影響を与えるかもしれない動向と変化に対する認識を持ち続けるために学習の重要性を理解しなければならない。持続可能性ための必要な能力を獲得するためでもある。
持続可能性は以下の二つの面で学習能力を必要とする。
a)組織の学習能力、すなわち、事業環境面での出来事を含め、外部の出来事から情報を収集し、分析し、洞察する組織の能力
b)個々人の能力と組織の能力を融合させる能力、すなわち、組織の人々の知識と思考・行動パターンを組織の価値創造システムへ融合させる能力
組織は、学習の基礎として利用できる内外の情報源を見つけ出し、利用しなければならない。
内部的には、学習は経験、組織内の部門横断的な知識および情報の共有することに基づくことになる。次のような事柄である。
外部の情報源には、以下のようなものが含まれる。
経営者は、人々の自主性に基づいた組織が学習を促進するようにようにしなければならないし、学習する組織の文化をはぐくむようにしなければならない。
効果的に学習するためには、組織は以下の重要な点を考慮し、適切に行動しなければならない。
学習する組織としての文化を育てるために、経営者は、組織が個人の能力・知識を組織の能力・知識に融合させることを促進するようにしなければならない。
経営者は、組織が学習の結果を最大化し、最高に活用することを促進するようにしなければならない。
組織は、以下の事項を考慮した学習のためのプロセスを確立するべきである。
大学の新卒者を獲得するために日本企業は、多大な努力をしていることがいろいろなメディアで報道されている。団塊世代の定年やリストラによる社員不足が主な原因のようだ。人のアイデア、知識および経験によって企業は成り立っているのだから、必要な能力を持った社員を獲得することは持続可能性を目指すなら不可欠のことである。せっかく獲得できた人材も企業で学習できないと感じたならば、他社への就職を考える。社員教育にいくらの予算を組み、一人あたりの金額が競争他社のそれより少なければ、競争力はいずれ失われる。このような分析が望まれる。