9 測定および分析
9.1 測定アプローチ
信頼できる測定データは、持続可能性を目指す組織への重要なインプットである。このインプットにより経営管理や優先順位の設定に事実に基づくアプローチが可能となる。組織は、すべての関係するプロセスのパフォーマンスを体系的にモニターあるいは測定を行うべきである。採用された測定アプローチは、関係したプロセスの重要度およびこれらのプロセスに定められた目標に関係づけられるべきである。
測定アプローチを計画する際には、組織は以下の事柄を考慮すべきである。
パフォーマンスの強固な組み合わせは、比較データを利用した内容にすれば、経営者が組織のパフォーマンスの動向をモニターできるようにする。組織は、要となるパフォーマンス指標(著者注:一般にKPIと表現する)を明らかにすべきである。近づいているリスクを警告したり、、あるいは潜在して機会を知らしめるようにするために、組織は、望ましい成果と展開されたプロセスに対処した幅広いパフォーマンス指標を採用しなければならない。 組織の経営者は、以下の事柄を考慮しなければならない。
パフォーマンス指標の事例には、顧客満足度、供給者のパフォーマンス、納期内納品、リードタイム、不良率、ムダ、プロセスコスト、事故発生率などがある。 プロセスの有効性と効率を測定する基準は、アウトプットに対し設定した目標に沿ったものでなくてはならない。最終的には、これらは組織の戦略と則っているべきである。。
組織は、情報収取の有効なツールを使い、パフォーマンスの重要指標を決定し、確立した目標に関する情報を収集し、比較し、目標の達成度合いとその速度を注意深くモニターすべきである。
9.4 要となる指標(KPI)要となる指標は、プロセス、製品、顧客満足、他の利害関係者(利害関係者、組織の人々、パートナー、供給者および社会のような)の満足に関連付けて考えられる。
要となる指標はたくさんの異なった形態をとりうる。典型的には上記のトピックスのどれかに関するものである。その事例を以下に挙げる。
要となる指標に関する情報を収集するための方法は、組織の状況に対して実際的で適切なものでなければならない。その典型的な事例には、以下のものがある。
内部監査は、潜在的に組織の経営者にとって利用可能なもっとも重要な改善ツールであり、その計画と実施には最大限注目すべきである。内部監査は、目標の達成レベルや予期したより低い改善もしくは改善の速度が遅い理由をモニターする重要な手法である。
内部監査において重要な要素は、不適合の根本原因の特定することによって効果的に不適合を完全に処置することと不適合を除去するために是正処置が講じられることである。
アセスメントは、組織の持続可能性の程度を決める折り紙つきの手法である。
自己評価は、組織が期待したアウトプットを達成するための能力を全般的なレベルでどの程度あり、また個々のプロセスのレベルでも試すために行われる。さらに、物理的、財務的、人的な経営資源がこれらのアウトプットの達成を支援すつことができるようになっているを評価する。
自己評価(付属書A)を準備するにあたって、組織は以下の事柄を考慮すべきである。
組織は、自己評価の結果を戦略策定のためのマネジメントレビューへのインプット情報とし、システム、事業経営、リーダーシップの継続的な改善と革新のために利用するべきである。
自己評価の結果は、組織の関係者に伝達され、組織を取り巻く環境や将来の方向性の理解を共有するために利用されるべきである。
最近企業買収が盛んになっているが、買収の対象にならないことを望むならば、少なくともこの自己評価を実施し、自社の実力がどの程度なのかを見極めることだ。その上で、明確になった改善すべき領域に経営資源を集中的に投入することをきめる。TOBを仕掛けられてあわてて対応するなどを経営者は行ってならない。同じことは、偽装事件などで表面化した事例などの企業にも言える。自社の評価は絶えず行うことは当然である。