注:このページに記載された内容の全部もしくはその一部を、ホームページ・オーナーの許可なく商用の目的で使用すること、またはインターネット上もしくは他の媒体で転載することを禁ずる。All Copy Right Reserved , Jan. 2008

7 経営資源

7.5 インフラストラクチャー
7.5.1 一般

組織は、インフラストラクチャー(たとえば、建物のような物理的な資産、情報コミュニケーション技術(ICT)、機械や機器など)を効果的にしかも効率的に計画し、提供し、管理運営しなければならない。

目的に関係するインフラストラクチャーの頑強性、安全性、セキュリティ、コストおよび環境への影響を考慮しなければならない。組織は、インフラストラクチャーが現在と将来のニーズを満たすことが確実になるようにインフラストラクチャーとそれに関わる運営管理プロセスをレビューしなければならない。

組織は、インフラストラクチャーに付随するリスクを明らかにし、必然的な結果に配慮し、利害関係者のニーズを保護しなければならない。

7.5.2 作業環境

組織は、作業環境がすべての適用される法令および規制上の要求事項(職業健康と安全を含む)を順守することを確実にしなければならない。同時に、生産性や創造性を奨励し、しかも組織での人々と就業しているか、もしくは組織の敷地を訪問するすべての他の人(たとえば、顧客、供給者、パートナー)のための職場の福利向上に励むことにより、組織は持続可能性と競争力を維持するための手段を見つけ出さねばならない。

7.6 知識
                                            

組織は、情報、知識および技術を重要な経営資源と位置づけすべきである。必要とする情報、知識および技術を特定し、入手し、維持し、保護し、利用し、評価するプロセスを策定し、実施し、維持すべきである。組織は、このような情報、知識および技術をパートナー、あるいはその他の利害関係者と、適切なる場合、共有すべきである。

7.7 財務上の経営資源
                                            

組織は、財務上のニーズを予測し、特定し、これら明らかにされたニーズを満たすために必要な財務資源(実務の運営に、かつ将来の投資目的のための財務資源)を獲得しなければならない。経営者は、財務資源の効果的かつ効率的な配分を実現するためと同様に、その活用をモニタリングし制御するためのプロセスを策定し、実施に移すべきである。

7.7 天然資源およびライフサイクルの運営管理
                                            

天然資源(エネルギー、水、原油、鉱物、原材料などのような)の有効活用は、組織の持続可能性および自然環境の保存には絶対必要なことである。組織がそのような天然資源の利用可能性に関し、中長期なリスクや機会を考慮することが必要である。さらに、組織は資源開発、利用、および廃棄による副次的な作用がないかどうかを分析しなければならない。

ライフサイクル運営管理(LCM)とは、製品のすべてのライフサイクルに亘っての便益、コストおよびリスクを考えながらビジネスの意思決定をするアプローチのひとつである。したがって、それは確実性(信頼性、有用性、維持力、維持のための支援)、陳腐化、廃棄のような領域にわたる。

ライフサイクル運営管理は、たとえばコスト削減を通じて組織の競争優位性の構築に参加できる意思決定者の前に情報を提供する。加えて、このLCMを導入した組織は、重要な環境方針の動向に合わせた一歩進んだ企業として見られ、公衆のイメージを強化できる。

ライフサイクル運営管理は、製品もしくはサービスのすべての段階(すなわち、開始から最終廃棄まで)を吟味することになる。

品質と信頼性は製品の中に組み込まれなければならない。設計のプロセスでは、故障率、メンテナンスの容易性、補修部品(支援する供給手段を含める)の入手可能性のような側面に配慮がなされるべきである。

設計、製品製造もしくはサービス提供、配送、製品の使用および廃棄に関し環境への負荷を最小限にすることが考えられなければならない。環境負荷を分析する方法の例としては、ライフサイクル評価(LCA)、環境設計(DfE)、および環境ベンチマーキングがある。

さらに、組織は、必要に応じて、中断されることのない継続的なエネルギーの提供する上での責任のある実践と行動の計画策定を考慮しなければならないが、一方、自然環境を保護し、資源を無駄にしないことにも配慮しなければならない。

8 プロセス

8.1 プロセスアプローチ

組織は、効果のある運営と組織の相互関連を促進するために「プロセスアプローチ」を採用すべきである。そして、持続可能性の達成に必要な相互関係のある戦略および運営管理プロセスを確立すべきである。ロセスアプローチの恩恵は以下のような事柄を含む。

  • 計画した結果の達成
  • 組織の有効性と効率の向上
  • 安定した組織の成果に関して顧客および利害関係者への信頼感の提供
  • 組織内の運営の透明性
  • 有効な資源活用による低コスト化と短いサイクルタイム
  • より改善され、安定した、予測可能な結果
  • 焦点を絞り優先順位をつけた改善を率先して提案する機会の提供
  • 人々の参画意識を促すことと責任の明確化

    8.2 プロセスのタイプ

    プロセスは組織固有のものであり、組織のタイプ、規模、および発展度合いによって異なる。プロセスは、以下のタイプによってどれであるかを見分けることが可能である。

  • a)マネジメントプロセス
       これらには、戦略計画作成、方針の制定、目的の策定、コミュニケーションの提供、必要なる経営資源の確保、ライフサイクル管理、およびマネジメントレビューに関連するプロセスを含む。
  • b)実現プロセス
       これらには、組織の意図されたアウトプット(たとえば、設計、生産プロセス、サービス提供プロセス、販売後のサービス)を供給するすべてのプロセスを含む。
  • c)支援プロセス
       これらには、実現プロセスに直接、ないしは間接的に貢献するために必要なすべてのプロセス(たとえば、財務、訓練、メンテナンス、マーケティング、販売、品質管理)を含む。

    8.3 組織のプロセス管理

    持続可能性を達成するためには、組織は、目的を達成するために求められるすべてのプロセスを明らかにし、管理し、これらのプロセスの相互関係と相互作用を明瞭に定めることが必要となる。

    備考:プロセスの明確化、計画作成、実施、測定に関するさらなる情報のためには、www.iso.org/tc176/sc2より入手可能な「マネジメント・システムのプロセスアプローチの概念およびその使用に関する指針」の報告書を参照すること。

    8.4 プロセスの責任と権限

    個別のプロセスおよび他のプロセスとの相互作用を確立し、維持し、改善するために定められた責任と権限を有する要員を経営者が任命することは極めて重要である。一般に、この要員を「プロセスオーナー」と称する。

    経営者は、このプロセスオーナーの権限、役割、使命、権利と義務が組織全体に認知されるように確実にするべきである。

    組織は、プロセスの管理に対して異議が唱えられた場合のために、調停手順を確立すべきである。

     

        

    前ページ|次ページ