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10 学習、改善および改革

10.3 改善

組織の改善活動は、製品の改善につとめることと同時に利害関係者の満足を向上させるために必要なプロセスに焦点を合わせるべきである。

組織は、製品、プロセスおよび経営システムの改善に関する目標を明確にすべきである。また、それらを継続的にかつ体系的に改善することを探求すべきである。

経営者は、以下の事柄を通じて継続的改善が組織の文化の一部として樹立しているようにしなければならない。

  • 効果的な改善に参画できる機会の提供
  • 認知と表彰
  • 小集団活動

    10.4 改革
    10.4.1 一般

    改革は、持続可能性にとって不可欠であり、組織の学習能力に基づく必要がある。組織は、将来の成功に必要な組織の構成要素や能力の改革を推進しなければならない。改革は、組織の現行の枠組みを除去し新しいフレームワークを構築する全体改革もしくは部分改革を意味することがある。これには学習を通じて得られる賢明さを必要とするだろう。

    10.4.2 改革のタイプ

    経営者は、組織を取り巻く環境に重大な変化の対応には、持続可能性を目指すならば、既存の仕組みの改善では不十分で全く新しい発想に基づく改革を必要とすることを理解しなければならない。改革は、必要とあらばいつでも実現されることが可能でなければならない。

    改革には、以下の事柄が含まれる。

    a)技術もしくは製品の改革、すなわち、事業環境と製品のライフサイクルでの変化に対応した改革 b)ビジネスモデルの改革、すなわち、ビジネス環境に変化があった場合に、競争優位性を維持し、新規のビジネス機会が実現されるようにする改革 c)組織の改革、すなわち、ビジネス環境の変化に対応した組織の構成要素の改革 d)プロセスの改革、すなわち、製品実現のための手段の改革

    組織内での改革のプロセスの設計、実施および運営は、企業各自のニーズ、特定の目的、生産されている製品、利用されているプロセス、規模および構成により影響を受ける。

    10.4.3 改革の効果に影響する要因

    組織による改革は、企業各自のニーズ、特定の目的、生産されている製品、利用されているプロセス、規模および構成により影響を受ける。

    組織は、持続可能性の機会を見極める上で以下の要因を考慮すべきである。

  • 変化の予兆の検知
  • 現実の正確な理解
  • 改革に対する経営者のコミットメント
  • 現状を変え挑戦する気概
  • 変革の阻害要因の特定
  • 知識と経験の内部での交換、さらに、組織外のパートナー・供給者との交換

    10.4.4 改革プロセスの計画

    持続可能性を達成するために、組織は以下を考慮すること。

  • プロセスもしくは製品が陳腐化し、それにより危機に陥る可能性
  • 顧客のニーズと期待を満たし、利害関係者に新しい価値を創造するためにプロセスもしくは製品を改革する必要性
  • 新しい顧客ニーズを特定もしくは創造する可能性、これにより新規の市場を創出する

    組織は、改革の計画時には以下の要因を活用するべきである。

  • 持続可能性目指す戦略レビューからの結果
  • 品質マネジメント・システムを改善するための活動結果
  • ビジネス戦略の見直しからの結果
  • 組織の業績(市場占有率、販売高、利益、格付け)
  • 自己評価の結果
  • 目標の確認と優先順位づけ
  • 技能や知識、経営資源の入手可能性、改革に利用できる組織内の現存する 機能のような要因に関する内部環境の状況
  • 科学的、もしくは技術的情報の入手のようなことに対する配慮に関する外部状況
  • 改革の手法の入手可能性
  • 予期されるメリットとリスク要因

    学習能力に基づく改革は、持続可能性に不可欠である。持続可能性は、組織がビジネス環境の変化を検知し、自社の主要な能力を理解し、必要に応じてその能力と組織構成要因に変革を行う場合にのみ可能となる。

    偶然だがこの記事を書き終わった日、2008年2月19日に東芝がHD-DVD事業からの撤退を表明した。西田社長は、「事業経営は状況の関数であり、変化には機敏に対応していくべきだ」と記者会見で強調した。また、「次世代映像事業の中長期的な戦略を再構築する。(新工場を建設する半導体メモリーなどの)技術を融合し、新たなビジョンをつくりたい」とも述べている。ISO9004:2008の「持続可能性に向けての事業経営」は、絵空事でなく、理想を求めているのだけでもない。現実に、規格で提唱されている事業経営と全く同じことを東芝は実行したのだ。

        
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