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オモシロイ!マークはあくまで私の好みです。


2004年[1][2][3]


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ジル・チャーチル「夜の静寂に」オモシロイ!

大きな屋敷はあるものの、日々の稼ぎはまるでない。もちろん、貯えなんてあるはずもない。そんな兄妹が生活費のために企画したのは、有名人を囲んでの会費制パーティーだった。グレイス&フェイヴァー・シリーズ第二弾。

ますます油がのってきた、という感じでしょうか?ジェーンシリーズとは違った味わい。
第一次世界大戦と第二次世界大戦の間と言う不安定な時代背景だが、登場人物やまたその生活様式が魅力的に描かれており、昔読んだ少年少女推理小説の趣を感じた。
トリックは、ミステリ好きならわりと早々に見当がついてしまうが、容疑者達にクセがあり、読ませる。そして読後感が良い。
しっかり者の妹とハンサムでひょうひょうとした兄、それにあたらしい下宿人も加わり、今後の展開がさらに楽しみになってきました。雰囲気がすてきなコージーミステリーです。


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清涼院流水「トップラン&ランド完」

音羽恋子は生後間もなく何者かに連れ去られ別の赤ん坊とすり替えられていた!?謎めいた力で人類崩壊を予言する「悪王」の誕生が、半世紀に亘る物語を最終決戦へと導く。歴史を飾る大事件群に仕掛けられていた壮大な罠とは?全ての謎が本書で完全解明される。果てなき世界の礎を築くシリーズ最終巻は、入門書としても読める無上の到達点。

↑とか紹介されてますが、期待しないで読むのが一番。
「トップランド2002 戦士エピソード」を読んだ時、このシリーズはもう読むのやめようと思ったのに、うっかり買ってしまいました。そして、やはり肌に合いませんでした。。。


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乙一「くつしたをかくせ」

夜になると大人たちは、おびえながらこどもたちに言った。サンタがくるぞ!いま最も注目されている作家乙一初の絵本。

実は、立ち読みで読んでいたのですが、サイン本を見つけたのであらためて購入。
落ち着いてじっくり読む(見る)と、羽住都さんのやわらかいタッチのイラストと本文がとてもマッチしていて、わりとへんてつのないように感じられた本文も、あとがきで著者が書いていた「神様の存在をどうあらわすか」ということを考えると効果的。
特筆すべきは、巻末にある本人による著者略歴のおもしろさ。「ライオンが服従のポーズをとる」とかね、笑っちゃいました。


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姫野カオルコ「終業式」

高校生だった日々を共に過ごした四人の男女。ときにすれ違い、行き違い、手さぐりで距離をはかりながら、お互いのことをずっと気にかけていた。卒業から20年のあいだに交わされた、あるいは出されることのなかった手紙、葉書、FAX、メモetc.で全編を綴る。それぞれの切実な青春が、行間から見事に浮かび上がる―。姫野文学の隠れた名作。

本屋で、カバーに惹かれて手に取ったら、原研哉氏のデザインでした。
ページをめくると、書簡集のようで、手紙形式の本文。なにやらおもしろそうな気配を感じて、即購入。
内容は、つい最近読んだ「永遠の出口」にも似た過去の青春物語(?)がメインの内容。手紙の形態をとっているので、生々しさは軽減されるものの、やはりムズガユイ部分がぽつぽつと(これは読み手側の問題ですが)。それだからリアルとも言えるけど……。
手紙形式のため、読み込んでいかないと登場人物の説明やそれぞれの間柄がわからず、そこらへんを推理して読み進めるのが楽しく新しい経験だった。


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新井素子「明日も元気にいきましょう」

「痛み測定器」「今の、なかったことにしてくれ機械」「品切れ警告装置」「ひとナビ」などなど。著者の考えた、あったら便利なグッスを描いたほのぼのコミカルエッセイ。

私が中学校の時から読んでる、そして今も新刊が出ると買ってしまう作家さん、新井素子さんの新刊エッセイです。あったら便利な道具……まるでドラえもんの世界ですが、それでも著者独特の着眼点がいきていて「そうそう!そういうのが欲しいー!」とうなずきながら読める。
ただ、あとがきでご本人も語っていましたが、あまり物欲がないということで、全体としてはややゆるめな品揃えかも。


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室井佑月「ああ〜ん、あんあん」

恋愛、結婚、妊娠、出産…。慌しく実現された女の夢。お次は?「愛こそ、すべて」の信念で突っ走る三十路女の痛快エッセイ。『anan』連載から、70編を抜粋・収録。

文庫の方を読みました。著者の新婚時代の甘々生活を綴っているのですが、文庫になったときには、離婚しているというなんとも皮肉な結果に。あとがきでけっこうズバズバ真相を語っちゃってるのもスゴイ。と言うか、わたしからするとすさまじい。
テレビにも出られているので、その容姿やしゃべり方は知っていても、こうやってエッセイを読むと、また違った面が見えてくる。魅力的な人だなぁとは思うものの、恋人や友達にすると苦労しそうな感じがしてしまうのは、現状を知っているからだろうか。


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森博嗣「四季 冬」

天才科学者真賀田四季の孤独。両親殺害、妃真加島の事件、失踪、そしてその後の軌跡。彼女から見れば、止まっているに等しい人間の時間。彼女の心の奥底に潜んでいたものは何か…? 講談社ノベルス版全4巻の完結編。

まず、後半ででくわしたあの作品とのリンクという新事実に驚いた。……そうか。そういえば、四季さんアノヒトと印象似てるもんな。というサプライズは新しかったが、内容は、ちょっと抽象的すぎて、ラスト近辺がよくわかりませんでした。犀川先生はどうなったわけ?
もう一度「有限と微小のパン」を読みたくなった。締めとしては物足りなさが少々、でもその静かな感じが良いのか。


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森絵都「永遠の出口」

あの頃の私、〈永遠〉という響きにめっぽう弱かった。青々とした10代。翔けぬけた少女の季節は、想い出がいっぱい『カラフル』の感動から5年。初めて描く《大人への物語》

というふれこみですが、私にはちょっと青々すぎて痛かったです。あまりにも身に覚えがありすぎて、読んでいるとムズムズしてしまう。が、その割に(それだから?)主人公には好感が持てず、それなりに心動かされるエピソードもあるものの、読了後の気分はイマイチすっきりしなかった。というか、だから何?という感じでした。


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ダニエル・キイス「アルジャーノンに花束を」

精神薄弱の陽気な青年チャーリー・ゴードンが人工的に知能を高める人体実験の被験者になり、やがて彼の知能は超天才の域に達していく。同じ実験を受けた白ネズミのアルジャーノンに彼の見たものは…。

あまりにも有名な作品。有名すぎてかえって手が出なかったのですが、やっと読了。
評判になっていた分、おおまかなあらすじを知っていたので新鮮味には欠けていたが、安心して読めた。
最終結果が同じということは、はたしてチャーリーは実験されなかった場合と、された場合とどちらが幸せだったか?と考えた場合、本人も言っているとおり、それでも、実験されてよかったんだと思う。そこがほんとうに救いになった。


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目黒考二「笹塚日記 親子丼編」

突然の会社引退、仕事場引越し、手術にダイエットに自炊入門…。ホントにいろいろあったけど、相も変らぬ単純生活。ご近所エッセイシリーズ「笹塚日記」の第2弾。『本の雑誌』連載。

前作とそう内容は違いません。中盤から、健康診断の結果と引っ越しを機に、自炊生活によりいっそう力が入り、特に炊き込みゴハンへのこだわりっぷりはおもしろかった。けっこう凝った(ように感じる)料理にも手を出していて、「やるなぁ!」思いながら読みました。にしても、余計なお世話なのを承知して言いますが、この人はもっとものを捨てた方が・・・読み終わったfaxとかさ、そんな何年も前のものはいらないでしょう。。。


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J.K.ローリング「ハリーポッターと炎のゴブレット 下」


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J.K.ローリング「ハリーポッターと炎のゴブレット 上」

一大イベント、クィディッチのワールドカップ開催中に、恐ろしい事件が起こる。そして、百年ぶりに開かれる三大魔法学校対抗試合にヴォルデモートが仕掛けた罠は、ハリーを絶体絶命の危機に陥れる。しかも、味方になってくれるはずのロンに、思いもかけない異変が…。
中盤から後半にかけて、読んでいて辛かったです。ハリーの孤独やよるべなさがリアルに伝わってきて、一緒に落ち込んでしまったほど。ずっと孤独だったハリーにとってロンとハーマイオニーはほんとうに大切な存在なのだなぁと。
・・・というくらい、ハリー以外の登場人物の動きに注目、ネビルの両親やハグリッドの過去など、脇役のみなさんの奥行きもでてきました。


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森博嗣「四季 秋」オモシロイ!

犀川&萌絵が再び真賀田四季に迫る。
手がかりは孤島の研究所の事件ですでに提示されていた!
大学院生となった西之園萌絵と、指導教官犀川創平は、真賀田四季博士が残したメッセージを読み解き、未だ姿を消したままの四季の真意を探ろうとする。「すべてがェFになる」の真の動機を語る衝撃作。

S&Mシリーズファンなら、気になって当然の二人のその後が語られているところがおおいにミソです。(変な表現ですみません)読んで、萌絵ちゃん大人になったなぁ、そして大人しくなったなぁ。となんだか、さびしい気持ちになった。まわりを巻き込むくらいのあのパワーはいったいどこへ?と。そして犀川先生、この人は‥‥‥変わったのか変わってないのか、不思議なキャラです。イメージ的にはどんどん二枚目になってますか?
‥‥‥ほんとうは、四季さんについても何か言いたいのですが、正直、天才の思考にはついていけなくて、わかりません。なにもかも見とおしてしまう孤独というものがほんの少しだけわかる気がするだけ。
それにしても、S&Mシリーズ、Vシリーズを読んでいてよかったです。四季シリーズだけ読んだのでは、おもしろさの質が違っていたと思います。というか別シリーズを読むとおもしろさ倍!さらに倍!って感じですね。


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宮部みゆき「誰か」


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沖方丁「ばいばい、アース 下」


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沖方丁「ばいばい、アース 上」


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原田研哉「デザインのデザイン」

私たちの生活のいたるところでデザインは息づいている。その囁きにちょっと立ち止まって耳を傾けてみよう。そこには柔らかな感受性から生まれた生活への新しい提案と、未来への可能性が託されている。いま、なぜデザインか。世界の第一線に立つ著者がこれまでのデザイン観を一新する。斬新な発想転換のすすめ。

「生活環境を激変させる産業のメカニズムの中に潜む鈍感さや不成熟に対する美的な感受性の反発、これがまさに『デザイン』という思想、あるいは考え方の発端」
職業柄、うなずくこと多数でした。なまっていた精神に渇を入れられました。
デザイン、という考え方。
従来、人がデザインを口にする時、それは見た目のかっこよさ、綺麗さを言及していることがほとんど、だけど作り手としては、その見た目に至るまでに「どうして最終的にこうなったのか」その課程こそがデザインの本質であると思います。だから、自分で仕事を受けるときは、その媒体だけの単純なデータ(サイズや写真や文字原稿)だけではなく、対象とする人間像や、どんな場所に配布(配置)されるのか、まで必要となるのです。
目を惹きかっこよければ良いのではなくて、その媒体を理解したことからなる、内側からにじみでるようなかっこよさ、追求していきたいです。
が・・・まぁ、結局、クライアントあってのお仕事なので、若い女の子向けに作っても、クライアントの「おじさん」がOKしてくれなければ、ボツだったり、現実はけっこうソコんとこごっちゃですが。


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梨木香歩「家守綺譚」オモシロイ!

庭池電燈付二階建・汽車駅近接・四季折々草花鳥獣河童小鬼人魚亡友等々豊富!
それはつい百年前。新米知識人の「私」と天地自然の「気」たちの交歓録。

湖で消息を絶った友人のかわりに、家守をすることになった主人公。
そこに当の友人が、掛け軸を通って遊びにくる、そして「庭のサルスベリがお前に懸想をしているぞ」などと忠告する。
そんな、不思議世界です。
とにかく独特の間合いや雰囲気が良く、読み出すして、すぐとりこになってしまいました。
懐かしく、幻想的で、やや怪奇、近所なのに異世界、人と動物や植物とのふれあいがやさしく自然に表現されていて、もっともっと読んでいたい1冊でした。「百年すこし前の物語」にこういう世界があったとしたら、日本もなかなか捨てたものではないなぁ、と思いました。


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冲方丁「マルドゥック スクランブル-排気」

科学技術発祥の地“楽園”を訪れたバロットは、シェルの犯罪を裏付ける記憶データが、カジノに保管された100万ドルチップ内に存在することを知る。チップを入手すべくポーカー、ルーレットを制し、ブラックジャックに勝負かける。最強のディーラーとの対峙。そしてウフコック奪還を渇望するボイルドとの死闘、シリーズ完結篇。

読み終わって、「なんかこの感じ、覚えがある!」と思っていた正体がわかった。
クーンツの「ウォッチャーズ」。その悪役のあり方に共通したものを感じた。
ついに最終巻ですが、2巻から続くカジノシーンに引き込まれあれよあれよという間に後半のボイルドとの決戦シーンにもっていかれる。すごい疾走感。ラストはやや消化不良な気分が残ったものの、そのモヤモヤ感も含め、キャラに個性も手伝い、魅力的な物語だった。


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冲方丁「マルドゥック スクランブル-燃焼」

スクランブル−09発動により再生したバロット。ウフコックが変身した銃を手に、驚異的な空間認識力と正確無比な射撃で相手を仕留めていく。やがて濫用されたウフコックが彼女の手から乖離した刹那、ボイルドの圧倒的な銃撃が眼前を襲う・・緊迫の第2巻!

パートナーとなったウフコックとのやりとりや未来設定は興味深かったが、ストーリィはあまり進んだという気はしなかった。いえ、進んでいるにですが、1巻を読んで2巻はきっとすっごい展開になるだろうと思った「すっごい展開」がなかったように感じただけかも。読者(ナカノ?)ってワガママですね。が、後半のカジノシーンではルールがいまいちわからないながらも、やたらスリルがありました。ベル・ウィングかっこ良かった!


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京極夏彦「豆腐小僧双六道中ふりだし」

「なぜ手前は豆腐を持っているんでしょうか?」…自己の存在理由、存在意義に
うすーく不安を抱く小さな妖怪が、数々の異種妖怪に出会い「世間」を知る立志篇。

はじめて、豆腐小僧なる妖怪を知りました。そして、なんでしょう、この小説は?とあたまをぐるぐるさせながら読みました。
いきなり現れいでたる、どうもオツムの弱そうなぜんぜん怖くもなんともない妖怪豆腐小僧の珍道中。まさに、豆腐小僧といっしょにすごろくの上を歩くような、そんなお話。読むのにちょっと根気のいる本です。
そして、いつの間にか妖怪というものの成り立ちや構造を理解させられているという、京極氏にまんまとハメられた、そんな気になりました。


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西沢保彦「リドル ロマンス」


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川上弘美「龍宮」


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殊能将之「子どもの王様」


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恩田陸「クレオパトラの夢」


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安野モヨコ「美人画報ハイパー」


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安野モヨコ「美人画報」


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川上弘美「神様」オモシロイ!

四季おりおりに現れる不思議な「生き物」たちとのうららでせつない物語。第1回パスカル短篇文学新人賞受賞のデビュー作である表題作ほか「河童玉」「星の光は昔の光」「離さない」等9篇を収録。

お隣にクマがすんでたりする、そんなうっかりと不思議な世界。
このクマがらみのお話が特に好きでした。散歩に行っておべんとうを食べたり、いいなぁ、と。
他に、コスミスミコのお話というか、その存在のしかたも奇妙でおもしろかったし。でも、印象に残ったのは人魚の話、なんだかしんと怖かったので。


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姫野カオルコ「ひと呼んでミツコ」

彼女はミツコ。私立薔薇十字女子大英文科在籍中。名高い香水と同じ名前を持つ女―。その盲腸の手術痕がうずく時、不埓なやつらに公衆道徳の鉄槌が下る。強力倫理観と超人的能力をあわせ持つスーパー学生ミツコは今日も行く。荒廃する現代社会を憂うすべての市民、まっとうゆえに切歯扼腕している老若男女必読。文学のジャンルを超越した傑作小説。

上記↑の内容紹介文通り。
ミツコの怒りを自分の怒りのようにシンクロして読むと、更に成敗の場面でスカッとすること請け合い。
世の中、ここに出てくるような困ったちゃんて案外いますよね?自分自身がそうならないように戒めもこめて読みましょう。


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奥田英朗「マドンナ」オモシロイ!

部下に恋をする。息子がダンサーになりたいと言い出す。同い年の女性が上司になる−今、日本で一番大変なのは「課長さん」。注目の大薮春彦賞作家が、愛をこめて「課長さん」を描く短編集。

あの「最悪」や「インザプール」の著者がこういうタッチの本も書くんだなあ、と驚いた1冊。
読後感がとても良かった、なんだかほんわり温かくてぬくもりのある作品。
私が身近で「オヤジ(あるいはおっさん)」とひとくくりに苦手としている年代の人も、(あたりまえなんだけど)いろいろ悩んだりやせがまんしたり気をもんだりしているのだなぁ、と読んでるうちにいとしささえ感じて、応援したくなってきました、不思議。


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吉村達也「ふたご」

人気スターの安達真児は、妻の唯季を殺した。だが妻にはふたごの妹ユリがいた。しかも彼女は瓜ふたつというレベルを超えた完全同一体。そのユリから結婚を迫られた安達は恐怖のどんな底に。遺伝子ホラー。

遺伝子ホラーということで、中盤からの遺伝子講義にはやや辟易したものの、案外(予想に反して)サクサク読めてしまった。
ただ、お話はかなり強引。主人公に全然好感が持てなくて、それどころか、叱りとばしたくなってつらかった場面も。


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石田衣良「電子の星 池袋ウエストゲートパーク4」

潜りの少年デリヘル、芸術劇場裏の通り魔殺人、謎の人体損壊DVD…ストリートの危険な青春を、光速の切れ味で描く。新世代ミステリー。「東口ラーメンライン」「ワルツ・フォー・ベビー」「黒いフードの夜」「電子の星」の4編。

このシリーズももう4作目。マコトも大人になった……かな?今回のブクロはよりダークな世界が語られていて重い。ずしんときます。それだけにマコトの解決に胸がすくという場面も。(胸がすくというより切ないことのほうが多いけど)マコトの面倒見がよいところが更に強くなっていて、その「すておけない」と思えるやさしさや勇気こそがトラブルシューターたるゆえんなのだなぁ、と思った。


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石持浅海「月の扉」

那覇空港でハイジャック事件が発生。三人の犯行の要求はただひとつ、那覇警察署に留置されている彼らの「師匠」石嶺孝志を、空港滑走路まで「連れてくること」。そんな緊迫した状況の中乗客の死体が発見された。

デビュー作『アイルランドの薔薇』をしのぐ「閉鎖状況」ミステリーの荒技が、いま炸裂する。←だそうで、読んでみました。
おもしろいです。ハイジャック中の殺人事件という緊迫感、そして積み重ねられてゆく推理。探偵役を乗客から選ぶというやりかたも新鮮だし、エンターティンメントとして充分以上に楽しめる作品。
ただ、惜しいなぁと思ったのが「師匠」のすごさがイマイチ伝わらなかったこと。


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加納朋子「レインレイン・ボウ」オモシロイ!

高校を卒業から7年。ソフトボール部の仲間だった知寿子の葬儀に、当時キャプテンだった陶子の呼びかけで、かつての仲間が集まる。そこから語りだされる7つの物語。 「サマー・オレンジ・ピール」「スカーレット・ルージュ」「ひよこ色の天使」「緑の森の夜鳴き鳥」「紫の雲路」「雨上がりの藍の色」「青い空と小鳥 」

同じクラブ出身で、現在は20代半ばになった女性達の人生が、もとチームメイトの死をきっかけに交錯。社会で認められようと頑張っている女性の心情に、「わかるわかる!」と頷いてみたり。
オムニバス短編というのか、一話一話完結しているが、全体の流れの中にも本流ともいえるミステリーの部分があり、二重に楽しめる。とくに「雨上がりの藍の色」が好み。読後感が良くて。
陶子さんが「月曜日は水玉模様」の人だということは、読み終わってから気づきました。そうだったのか!


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京極夏彦「後巷説百物語」

明治19年、巡査の矢作剣之進は珍奇な伝説をめぐって友人らと言い争いになり、奇妙な隠居老人・山岡百介の元を訪れる。百介は昔体験したという不思議な話を 語りはじめ…。

すぐバレることなので書いちゃいます。この隠居老人が山岡百介です。巷説百物語シリーズからさらに年を経てすっかり老人になりつつも、過去の実績をかわれて(?)若者の相談役になっていたり……時はめぐりますね。というか、この時代でもまだ妖怪の存在って「アリ」なんだなぁと……日本の文化って。
途中ちょっと飽きのくる部分があったものの、最後の方で京極堂シリーズともリンクし、この作者のつくる世界の奥深さ、あるいは用意周到さ?に驚嘆。


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安野モヨコ「美人画報ワンダー」

なれるならやっぱり、美人になってみたい!すべての女子の願いに向け安野モヨコのペンが冴える。「美人とは!?」を考えつくすイラストエッセイで、超笑える&キレイになれる!『VOCE』連載に描き下ろしを追加。

なんとなく軽い気持ちで買ったのですが、読み始めたらおもしいおもしろい。文章も独特でテンポがあるし、通り一遍なコスメ関係のことばかりかと思っていたら「美人であるための心のあり方」みたいなことまで研究(?)されていて、これは本気だ!とこちらも真剣に綺麗であることについて考えました。とりあえずは、お部屋に季節の花を飾るくらいの余裕が欲しいなぁ、とか。


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安西水丸「たびたびの旅」

旅というのは自分の意思の確かさを再確認するようなものかもしれません…。心にしみる旅のぬくもり、出会い、発見、感動を独特のユーモアで描き、綴ったスケッチ&エッセイ集。

エッセイが読みたくなっていた時にふと目に入った。この安西水丸という作家の本は、今までも数冊読んでいますが、読んだ直後はさらりとスルーしてすぐ忘れちゃうような感じなのに、なにかのおりにフトその情景が浮かんできたりするので、なかなかあなどれないのです。
本職がイラストレータさんだからでしょうか?
じつは、殆どはお風呂に入りながら読んだのですが、せまい浴槽につかりながらも、いろいろな場所に行けて、風呂読書にぴったりの本でした。


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冲方丁(ウブカタ トウ)「マルドゥック スクランブル-圧縮」

賭博師シェルの奸計により、少女娼婦バロットの叫びは爆炎の中に消えた。瀕死の彼女を救ったのは、委任事件担当官にしてネズミ型万能兵器のウフコックだった。

「このミス」の紹介文を読んで、好みかも?と思い読んでみました。
全3巻中の1巻目ということで、まだまだストーリィは序盤。しかし独特の世界観に、しゃべるネズミ「ウフコック」の存在と、心惹かれる素材がそろっている。
次巻を読むのが楽しみになる、そんなよいスタートをきっている1巻目。



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