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オモシロイ!マークはあくまで私の好みです。


2003年[1][2][3]



フィリップ・K・デリック「マイノリティ・リポート」

加納朋子「コッペリア」オモシロイ!

天才人形師の人形を縁に出会った男女の物語を綴る、サスペンスミステリー。

オムニバス形式の長編はあったけど、本書が著者はじめての純粋な長編小説となるようです。
今まで、この著者のストーリィは綺麗だしハートウォーミングだし、読みやすいけど、ちょっとだけ乙女チック(←死語ですか?)なところがあって、それがウケるところではウケるだろうけど、キビシイ部分もあるなぁ、と好きなだけにおせっかいにも心配していたのですが、もう全っ然!杞憂でした。
この本でわかった。
読んでる最中、これほどわくわくしてページをめくったミステリーは久しぶりです。
ある程度読者が推理できちゃう部分(「そうだと思った」と思わせるような)の導入も絶妙だった。
そして!今までのカラをサクッと脱いだような、新鮮な人間模様にのみこまれました。
今まで「加納朋子ってちょっと…」だった人にも是非読んでもらいたい1冊です。
*ミステリ読者は本を読んでいて数回こういう思いが出来ると満足する生き物なのです。たぶん。

著者コメント


本多孝好「Fine days」オモシロイ!

僕は今の君が大好きだよ。たとえ、君自身が、やがて今の君を必要としなくなっても−。表題作のほか「イエスタデイズ」「眠りのための暖かな場所」「シェード」の全4作のラブ・ストーリーを収録。

好きな作風です。無理矢理言うと、村上春樹と乙一を足して3で割ったような?
イヤ、3で割ったから薄まっているというわけではなくて、その隙間の空気の爽やかさみたいものに惹かれています。
Fine days:最初に出てきた美少女がヒロインかと思いきや、影のヒロインは幼なじみさんだったのですね。ミステリー風味もあります。ちょっと残酷な感じとFine daysという対比がうまい。
イエスタデイズ:単純にタイムパラドックスものと言い切れないだけの叙情性がある。本書中いちばん「恋愛小説 」だな、と感じました。
眠りのための暖かな場所:主人公はトラウマを持つ大学院生の女性、女性が語り口というところがすでにめずらしい。そのせいか一番異質なストーリィに感じた。先が気になります。
シェード:骨董屋の老女が語るランプシェードにまつわる童話のような不思議な物語。アフターサービスがおちゃめでした。

前作「MOMENT」の森野もそうですが、この著者の描く女性は「女に好かれる女」タイプで、非常に魅力があります。


銀色夏生「引っ越しと、いぬ」

このシリーズはずっと読み続けているが、今回は読んでいてちょっとキツかった。
書かれてあることに反発したり、この筆者のささいな態度が気になったりで。
特にイカ氏への言動とか、マロン(犬)への対応とか、ちょっと!それはないんじゃない?て気分になりました。
もう一緒に楽しく寄り添うような読み方はできないな、と思った。離れたところから「そういう暮らしもあるんだね」と突き放して、しかもちょっと批判的に読む感じになってしまったのがさみしい。
だけど、おもしろいので、読み続けます、そして今後の行く末を見守りたいです。
そして、相変わらずハッとすることが書かれている。
エッセイは、やぶれ饅頭のように、ところどころあんこが飛び出たものであってほしい。その人の、真の声を、ライブ感のあるものを読みたい。たとえ静かな印象のものでも。だからいいこと言ってるのに、気をつかって言い訳ばっかりしているものとか、保険かけてるものとか読むと、いらいらする。
って、とこ、なんだかハッとしました。
デザインだって、万人にウケよう&わかりやすくしようと思うと、つまんないものになってしまうもの。


よしもとばなな「バナタイム」

GINZAに連載されていたエッセイをまとめたもの。
随所に挿入されている原マスミさんのイラストがステキです。
エッセイ集ですが、そのとき同時進行していた(らしい)失恋や結婚の話なんかがざっくばらんに語られていて、「こんな書いちゃっていいのかな〜」とちょっとドキドキして読んだ。
だって、サクッと二股かけちゃったりしてるんだもの!今の旦那さんが読んでも大丈夫!?って心配で。
でも、わりとドロドロした話もすとんと読ませられて、人間の生臭さはあまり感じられなかった。そこがばななさんの技か。


唯川恵「肩越しの恋人」

気に入ってしまいそうなものを見つけた時、必ずいちゃもんをつけたがる、萌。自分を好きにならない男がこの世にいるなんて、どうしても信じられない、るり子。ある日、萌が家出少年の崇と出会ったことから3人の奇妙で気楽な生活が始まった。直木賞受賞作。

雑居ものが好物なのでこの本も楽しく読めた。
この対称的な二人の女性がくされ縁とはいえ友達として続いている、というところがおもしろい。やってることは両極端でも、結局のところ自分のやりたいことを妥協しないでやるという姿勢が似通っているからか。
ハッピーエンドというには微妙な決着のつけかただけど、それぞれが成長して頼もしいさわやかなラストだった。


小野不由美「ゲームマシンはデイジーデイジーの歌をうたうか」

1996年刊行。当時著者がプレイしていたゲームや、話題になったゲームなどをとりあげたエッセイ集。
小説とはガラリとかわった軽妙な語り口が新鮮です。そして、なにげにマニアックな趣味も興味深かったり。
水玉蛍之丞さんが挿し絵を提供していて、その挿し絵の他にも見開きのイラストエッセイ(?)あり、このページも楽しい。
(蛍之丞さんて女性だったんですね)
綾辻氏、我孫子氏の話題もチラチラでていて、ミステリ読みには楽しい意外性も味わえます。
とゆうか、ゲームにハマるとみんなサル化するんですね。。。(←自分への訓戒も含む)


椎名誠「新宿熱風どかどか団」

西尾維新「ダブルダウン勘繰郎」

よしもとばなな「怒りそしてミルクチャンの日々」

小野不由美「華胥の幽夢」

小野不由美「黄昏の岸 暁の天 下」オモシロイ!

小野不由美「黄昏の岸 暁の天 上」オモシロイ!

小野不由美「図南の翼」オモシロイ!

小野不由美「風の万里 黎明の空 下」

小野不由美「風の万里 黎明の空 上」

よしもとばなな「YOSHIMOTOBANANA.COM」

椎名誠「本の雑誌血風録」

小野不由美「東の海神 西の滄海」

小野不由美「風の海 迷宮の岸 下」オモシロイ!

小野不由美「風の海 迷宮の岸 上」
近藤史恵「天使はモップを持って」オモシロイ!

早見裕司「夢現世界の熱い予感」

宮部みゆき「ブレイブ・ストーリ 下」

宮部みゆき「ブレイブ・ストーリ 上」

東野圭吾「ゲームの名は誘拐」

伊坂幸太郎「ラッシュライフ」

小野不由美「月の影影の海 下」

小野不由美「月の影影の海 上」

椎名誠「自走式漂流記」

図子慧「閉じたる男の抱く花は」

高橋直子「パドックのシンデレラ」

伊坂幸太郎「オーデュボンの祈り」
早見裕司「自律世界の愛しい未来」

早見裕司「仮想世界の優しい奇跡」

森絵都「流れ星におねがい」

図子慧「イノセント」

舞城王太郎「九十九十九」オモシロイ!

「苦しさを感じるなら、僕なんて愛さなくていいんだ」。聖書『創世記』『ヨハネの黙示録』の見立て連続殺人を主旋律に、神「清涼院流水」の喇叭が吹き荒れる舞台で踊りつづける超絶のメタ探偵・九十九十九の魂の旅が圧倒的文圧で語られる。

清涼院流水が作った探偵神「九十九十九」を舞城氏がどう展開するのか興味津々で読み始めたが……さすがです。あますところなく九十九十九を語っています。1章目で、数奇な九十九十九の出生が語られるのですが、これがまたスゴイし!
2章めからどんどんストーリィは加速し、ミステリっぽく展開していくのですが、途中ちょっと、息切れがしました。キチンと理解しながら読もうと思うとぐるぐるしてくる。
気になったのは、舞城氏が清涼院流水&その作品をどう思っているのかということ。
だって…「もうおまえとは喋ってやんねー世」とか言ってるし(←読んだ人ならわかる台詞)ものすごく興味深いのですが。
ともあれ!メタ探偵極まれり!ハレルヤ!


森絵都「ショート・トリップ」

毎日中学生新聞に連載されたものの中から40編を選び、加筆修正された、「旅」をめぐる超短編集。

挿し絵がよかったです!長崎訓子さんという方が描いたらしいのですが、スミ1色のシンプルでかわいいイラストで、すっかりファンになりました。
ストーリィの方は、ショートストーリィということでつい星新一を連想してしまうが、少なくとも、レヴェル的には星さんレヴェルまで到達しているように思いました。そこに森絵都さんのスパイスが効いていて不思議なおもしろさがありました。


江国香織「ウェハースの椅子」

彼女を訪ねてくるのは、やさしい恋人(妻子あり)とのら猫、そして、記憶と孤独。恋人の身体は、信じられないほど私を幸福にする。切なく危険な恋愛長篇。

ますます、エキセントリックになってきたなぁ、というのが第一の感想。
オシャレで現実ばなれした生活をおくるのはよいけど、このヒロインにはちょっとついていけないところがありました。
すっかり自分の世界ができちゃっていて、それが視界をせばめているようで。好きなモノだけを集め、見て暮らせればそれは幸せだと思うけど、どうやらそうじゃないらしいし。
こういう女の人って、男の人から愛人としてしか愛してもらえないないタイプに思えて、切ない。
もちろん、結婚だけが終着じゃないけど、実際このヒロインは有る意味息詰まっていたのだろうし、ラスト以降、きっとつかえがとれて楽になるだろうと、想像はできるけど、やっぱ切ないです。


西尾維新「サイコロジカル 下」

西尾維新「サイコロジカル 上」

森絵都「アーモンド入りチョコレートのワルツ」

黒田研二・二階堂黎人「千年岳の殺人鬼」

花井愛子「ダメなときにはガンバらない」

島田荘司「最後のディナー」

大原広軌「精神科に行こう!」

原田宗典「少年のオキテ」

高橋直子「お洋服のちから」

図子慧「晩夏」

川上弘美「おめでとう」

2003[1][2][3]

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