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オモシロイ!マークはあくまで私の好みです。


2003年[1][2][3]


奥田英朗「インザプール」オモシロイ!

宮部みゆき「ドリーム・バスター2」

さくらももこ・土屋賢二「ツチケンモモコラーゲン」

さくらももことお茶の水女子大学教授の対談集。意外にして絶妙な二人が、健康、恋愛、性格など、日常のあらゆることを語り合う。笑って、ためになって、元気がでる話がいっぱい。オリジナルイラスト収録。

両氏のエッセイを読んだ人なら、この二人の文章のおもしろさの相似に気づくかも、そんな2人の共演(?)なので、もうぐにゃぐにゃにすっとぼけていておもしろいです。土屋センセイが父ヒロシに会ったことを語ったところが特に。


久美沙織「よい子仮面なんかいらない」

きみは世界でたったひとつの宝物。見せかけのよい子のふりはもうやめよう。自分の頭で考えよう。自分の足で歩いてみよう。ちょっと心が疲れている時に読んでほしい。

児童書です。↑という内容です。大人なのに読んでしまいました。。。
大人の視点で読むのも感慨深いモノです。子ども時代は先生や親のいうことが正しいと刷り込みされてしまうので、その中で「自分視点」を保ち、大人の意見を鵜呑みにするのではなく、最終的に自分で良し!と思ったことを貫けたら、カッコよかっただろうなぁ、と深く考えずにノーテンキに子供時代をすごした私は思ったりしました。


森絵都「つきのふね」オモシロイ!

死ぬことと生きることについて考えた。どっちがいいか、どっちがらくか、どっちが正解か。今までずっとそういうこと、考えてきた気がする。壊れやすい思春期の心を描く。

あの頃(中学生)はホント友人とのつきあいが関心事のメインだったよなぁ、などと懐かしく回想したくなります。親友とちょっと仲違いしただけで、目の前が真っ暗になるような、懐かしい日々の追体験。友達と仲違いしてしまったさくら(ヒロイン)はあるキッカケから知り合った智さんという人のアパートへ入り浸るようになる。そこに尾行グセのある勝田くんも加わり、それそれがそれぞれの不安を抱えつつも、自分のことだけじゃなくお互いのことを心配しあっている……やわらかい心が切ないです。


森博嗣「森博嗣のミステリィ工作室」オモシロイ!

自分の作品に「あとがき」を書かない作家・森博嗣が読者の前に姿を現した。自分のルーツとなったミステリィ100冊、自作の語り下ろし、萩尾望都との対談など、森ミステリィの舞台裏を公私にわたって公開。

氏の選んだミステリィ100冊、それぞれに短いコメントが語られているのですが、ここを読んでいるとどれも読みたくなってしまう。同じ本を読んでいるとうれしくなったり、その本の感想が私と違うとまた楽しくなったり。……って、森作品のファンだからそう思うのか?にしても、着眼点が新鮮なので目からウロコがぽろぽろでした。オマケなのかマンガ作品も掲載されてます、淡々としたストーリですが、1作学生と教授のお話があって、S&Mシリーズの原型?とか思ったり。


草野たき「透きとおった糸をのばして」オモシロイ!

親友との仲がうまくいかない中2の香緒。研究に熱中する大学院生知里。ふられた恋人を追って上京したるう子。奇妙な共同生活をおくる3人の部屋の中、絡み合い始める見えない糸。第40回講談社児童文学新人賞新人賞受賞作。

前作が良かったのでデビュー作の本書を読んでみました。
結果、やはりこの人の本は好きだ!と思いました。
児童文学ということで、サクサクすらすらと書かれてるっぽいけど、これは大人の小説で装飾をつけてしちめんどくさくいろいろ書くようなことを、サラリと表現しているだけで、内容はとても充実しています。
主人公が中2の女の子で悩みは親友のことだったりするが、その執着や思いは大人の恋愛に通じるようなところもある。
共同生活することになった3人の性格もよくわかるし、なにより「猫の名前」同様読了後、すごく気分が良い。
読んだ後、やさしい気持ちになれる本です。


矢崎存美「冬になる前の雨」

何度電話しても彼は出ない。志保は、敦雄の気持ちが自分から離れていることに気付いていた。彼の心を取り戻したい。忘れることなんて出来ない。彼を独占したい。…方法は一つ。彼の骨を、砂時計に閉じこめてしまうこと―(「ひと時の砂」)。書下ろし表題作を含む、愛おしく、そして凍り付くような16作品。『ぶたぶた』作者が描き出す、もう一つの代表作。

ぶたぶたワールドだけじゃない、新たな世界発見!というか、短編集ですがどれも雰囲気があって水準も高く読みやすい。怖いというより、すぅとまわりの空気が冷たくなるような感じがしました。
■以下収録作品名
「グリーンベルト」「生きている鏡」「夜の味」「冷蔵庫の中で」「金のフルート」「ひと時の砂」「あの子のプレゼント」「白い光の道」「叶えてあげたい」「橋の上で」「誕生」「人殺しでもかまわない」「最後の幸福」「毒」「僕のお父さん」「冬になる前の雨 」


森博嗣「君の夢 僕の思考」

これまでに書かれた小説(やWeb日記)から、選び抜かれた言葉に、書き下ろしメッセージと自身の撮影による写真がよせられています。
小説を読んでいるときは、サラッと聞き逃していた短いセンテンスの文も、切り取りスポットをあて、さらにメッセージがそえられると、まったく別の顔をみせる。
「言葉」の持つ響きや意味というのは、そこに見えるカタチ以上に多くのことを語り、うながしているのだな、とか真面目に考えちゃいました。
「笑わない数学者」からの引用が多かったようですが、思い入れの多い作品なのだろうか?


北村薫「街の灯」オモシロイ!

英子は上流階級の令嬢。ある日当時としては画期的な女性運転手やってくる。二人は、新聞で見た不思議な殺人事件、兄に届いた友人からの暗号、軽井沢で遭遇したある事件にまつわる謎を見事に解決していく。連作短編集。

この著者の本ならおもしろくないわけがないんです。安心して読めます。
時代設定が程良く(昭和初期)古くノスタルジックな雰囲気をただよわせる。が、その当時のリアル感も生々しくえがかれている。主人公がお嬢様というのもあって、会話がお上品で、日頃自分の使っている日本語が恥ずかしくなります。
貧富の差や身分の差などもでてきますが、このお嬢様が素直で澄んだ性格のため、イヤミがない。
ベッキーさんが探偵役かと思っていたが、控えめに補佐の役割だった。この人、まだハッキリと正体が説明されて無く、次作が気になります。


原田宗典「はらだしき村」

原田宗典氏が村長を務める「はらだしき村」は、実際ネット上に存在(http://www.haramu.net/)します。
そこで、発表されたエッセイをまとめたもの、らしいです。
「道草食う記」で鬱病のことは知っていたのですが、やはりまだこの病とはつきあいがあるようで。
が、もちろんそんな鬱鬱とした内容ではありません。いつものムネちゃん節炸裂のたのしいエッセイもりだくさん。軽妙な文章の中にハッとさせられる言葉が多く、笑いながらも考えさせられる本でした。


草野たき「猫の名前」オモシロイ!

中三の佳苗は先生から不登校の同級生春名に会いにいってほしいと頼まる。親友の絵理と気まずくなり、隣の沙枝子さんにもなんだか素直になれないし、そんな中春名に会いに行ってみると「私が死ぬのはあなたのせい」とか言い出すし・・・。

図書館でカバーに一目惚れして借りました。イラストと色合いが好みで。
読んでみて、爽やかな、そしておだやかな気持ちになりました。
深刻な問題もでてくるが、気負い無くさらりとえがかれていて、なんというか不快になる要素が浄化されているのです。
不思議。
もっとこの著者の作品に触れたい、と思わせるのに充分な1冊でした。


よしもとばなな「王国1 アンドロメダ・ハイツ」オモシロイ!

最高のものを探し続けなさい。そして謙虚でいなさい。憎しみはあなたの細胞まで傷つけてしまうから−。大きなものに包まれ、守られている女の子の物語。

読んで、著者のこういう話が好きなんだー!しみじみ思った。
続編が出るようなので、まだまだこの物語を読むことが出来て幸せ、くらいに。
薬草茶作りの名手である祖母から離れ、不思議な占い師楓のもとで働くようになる雫石(しずくいし)山を降りて出会うのは、嫌な隣人、占い師、サボテン、不倫、……。こうキーワードだけではうさんくさそうな設定ですが、読んでみると良い!現実ばなれしていても、リアルじゃなくてもいいんです。充分に引き込まれるストーリィです。


川上弘美「パレード」

『センセイの鞄』のサイド・ストーリー。夏の午後、蝉しぐれをききながら、畳にねそべって、ツキコさんがセンセイに物語る、淡く切ない少女時代の「昔のはなし」。

そうめんを茹でているところから始まるのですが、これが美味しそうで!一気に夏の気配というか夏そのものの空気に包まれます。
ほのぼのとしたセンセイとツキコさんのやりとりに目を細めたくなる出だし。
そんな夏の日、ツキコさんが語ったお話は幼い日の不思議な体験、和風のうそ噺し?「蛇を踏む」にもちょっと通じるところがあるかな、とも思いました。


森博嗣「悪戯王子と猫の物語」

僕は、ずいぶんまえに、僕を被った。それから、僕は僕になった。鏡をじっと見つめていると、僕のまえの姿が、目の穴の中に残っていることに気づく…。美しくミステリアスな珠玉の20篇を収録。

著者はじめての絵本。イラストは奥様のささきすばる氏。装幀が好み。
すばる氏のイラストに合わせて、ショートショートと言えるくらいの短いストーリィがつぎつぎ展開していきます。
図書館で借りた本なので、通しで一度読んだきりなのですが……、機会があればもう一度読んでみたいかも。
読み込んでいくほどおもしろくなりそうな物語満載です。


上遠野浩平「ブギーポップは笑わない」

第4回電撃ゲーム小説大賞受賞の著者デビュー作。電撃文庫で当時(1998)、最高の発行部数を誇る人気作品となり、アニメ化・映画化もされた。

以前から気にはなっていたのですが、やっと読みました。
話題になった作品だけあって、前情報をいろいろきいていて、どちらかというと否定的な評価を信じていたので、今回読んで逆に「良いかも」と思えました。なんというか不思議な魅力がありました。雰囲気があって内容のわりに読後やわらかい気分になったりして、各話で語り手が代わって、別の角度でストーリィが語られていく、という構成も好き。


桐野夏生「ローズガーデン」

ミロは母親を失って悲嘆に暮れる少女でもなければ、義父に犯されて忍び泣く哀れな女でもない。むしろ解放されたことを喜び、大人の女の世界に入ったことを認識している自由な女だった…。ミロ・シリーズ初の短編集。「ローズガーデン」「漂う魂」「独りにしないで」「愛のトンネル」収録。

ジャカルタに赴任中のミロの旦那の回想を通して、彼女の高校時代を描いている「ローズガーデン」を読んでびっくり!ミロってこんな子だったの!?と思いました。
今までの作品を読んで、なんかこうもっと筋の通ったハードボイルドな女探偵だと思っていたのですが、女子高生時代のミロは・・・エグイ(←あくまでナカノの感想です)。この人が「顔に降りかかる〜」や「天使に見捨てられた〜」のミロと同じ人?とピンときませんでした。


新津きよみ「婚約者」

雪子は中学生の頃から8歳年上の従兄の賢一を慕い、結婚を願っていた。しかし賢一は同い年の、奇しくも同じ名前の「由貴」と婚約してしまう。

多分こんなカンジで終わるんだろうな、と思っていたラストではなかったのが自分的にとても新鮮でした。
そーくるか!っというヒネリがきいていました。
分厚い本でしたが、いつの間にかひきこまれてあっという間に読み終えていた作品。


よしもとばなな「アルゼンチンババア」

よしもとばななの最新書き下ろし小説に加え、世界的アーティスト奈良美智の描き下ろし絵画16点・撮り下ろし写真40点を収録。日本人アーティストによるコラボレーション作品。英文併記。

目を引くキランキランのカバーに、インパクトのあるタイトル。
さて内容はというと……やや名前負け?かな。
まわりのインパクトに比べ、ストーリィは淡々としたものでした。悪い意味じゃなく、思っていた方向とは違うという意味で。
母の死と向かい合う主人公、妻の死を受け入れようとする父と、不思議な女性「アルゼンチンババア」。死と未来。そう、未来への予感が良いですね。そしてそれを助ける象徴的であり抽象的な奈良美智さんのイラストがマッチしていました。


新津きよみ「女友達」

恋人を忘れるために、思い出のチェストを捨てようとした千鶴は、それをキッカケに近所のアパートに住む亮子と知り合う。親しくなり、やがて留守宅をまかせるほどになったが・・・。

これは……どう読めばよいものか。千鶴の災難をかわいそうと思う人がいるのかもしれませんが、わたしはどっちの女も嫌いでした。どこかでいつも自分を優位に見せようとする、なんか女の嫌なところ見ちゃったなぁ、というかんじ。恋人もなんだかご都合主義なカンジで、サスペンスタッチでぐいぐい読めるのですが、感情移入できない登場人物ばかりで、ちょっとキツかったです。


川上弘美「センセイの鞄」オモシロイ!

「センセイ」は私の高校時代の古文の先生。10数年ぶりに再会したセンセイとわたしが、過ごした、あわあわと、そして色濃く流れゆく日々。長篇恋愛小説。

読了後、なんで今まで読まなかったんだろう、と悔しく思いました。
それくらい好みの作品。淡々としつつも現実的でもある語り。
ドラマチックなようでいて日常のようである日々、そしてラスト、じんわりとしみます。
恋愛の終わりとはまた違う(年齢差による「死」という←ネタバレ)別れの辛さが。
月子さんも(たぶん)そのことを感じていたであろうことが。
そしてラストで、そこのところをくどくなくあっさり「鞄」で表現しているのが、逆に余韻として残った。
あと、酒のつまみがどれもこれも美味しそうで、作中のような居酒屋さんを探したくなります。


森博嗣「虚空の逆マトリクス」オモシロイ!

短編集。「トロイの木馬」「赤いドレスのメアリィ」「不良探偵」「話好きのタクシードライバ」「ゲームの国‐リリおばさんの事件簿1」「探偵の孤影」「いつ入れ替わった?」の7編。

たぶん、おおかたの人は、犀川創平と西之園萌絵登場の「いつ入れ替わった?」を目当てで読んでいるかと思います。が!もちろんそれはそれでおもしろいんですけど、だからといって他の短編を忘れちゃいけません。
特に印象に残ったのは「赤いドレスのメアリィ」のセピアの絵画のようなイメージと、「ゲームの国」の数々の回文。この回分の数々というか長さに圧巻。ちょっと懐かしい感じの謎解きもあって、かなり好きな短編です。
そして「いつ入れ替わった?」ですが、青春ですね!読み終わったときこっちまでもぞもぞとうれしくなりました。


西尾維新「クビツリハイスクール」

人類最強の請負人、哀川潤から舞い込んだ奇妙な依頼に従って私立澄百合学園、またの名を“首吊高校”に潜入した「ぼく」こと“戯言遣い・いーちゃん”は恐るべき殺戮の嵐に巻き込まれる―。「戯言シリーズ」3作目。
いーちゃん女装だし!一姫ちゃんのしゃべりかたはなんともかわいいし。哀川潤もセーラー服着ちゃうし。キャラ立ちまくり。
哀川さんの超人っぷりがまたスゴすぎ。エンターテインメントってこれか!という1冊。
いつまでも彼らの会話をきいていたいです。
そして今回も、表紙がかわいいなぁ。もう!


恩田陸「ネジの回転」

「不一致。再生を中断せよ。」近未来の国連によって、もう一度歴史をなぞることになった2.26事件の首謀者たち。彼らは国連の意図に反して、かつての昭和維新を成功させようとするが。恩田陸渾身の歴史SF大作。

おもしろいです。でも、2.26事件に詳しかったらもっとおもしろかったかも、自分の不勉強が悔やまれます。中盤から後半にかけてどんどん緊張感が高まってきて、そしてラストでナルホド!と。
読んでいてどこに着地するのかどんどんあやしくなってくるのでラストまでハラハラでしたが、納得。


J・R・R・トールキン「指輪物語 追補編」

「指輪物語」を読み終えたら、締めとして是非手にとっていただきたい1冊。
指輪物語がいかに精巧に精密に編まれているかがわかります。
指輪〜では語られなかった裏設定(アラゴルンとアルウェンのストーリィ)や、年表・年代記、そして家系図なども満載、それにホビットの暦などホビットマニア(!?)には興味津々な内容(情報?)も。
そして、指輪のその後のお話がチラッと楽しめます。
ちなみに、私はサムギャムジーの家系図をコピーしました。


石田衣良「池袋ウエストゲートパーク3 骨音」

若者を熱狂させる音楽に混入する不気味な音の正体は−。最凶のドラッグ、偽地域通貨、連続ホームレス襲撃。壊れゆくストリートを抜群の切れで駆け抜ける「池袋ウエストゲートパーク」シリーズ第3弾。

「骨音」「西一番街テイクアウト」「キミドリの神様」「西口ミッドサマー狂乱」の4編。
フリーライターも板についてきたマコトですが、大人になっちゃってつまんない、とも思った。
トラブルシューターもうまくなっちゃってさ。
というわけで、今回は脇役に目がいった。キング・タカシやサル、それに「西口ミッドサマー狂乱」でのマコトのお母さんの活躍っぷりはなかなかのものでした。


西尾維新「クビシメロマンチスト」

鴉の濡れ羽島で起こった密室殺人事件から2週間。「ぼく」こと戯言遣い・いーちゃんが、級友・葵井巫女子とその仲間たちと送る日常は、人間失格・零崎人識との出会いによって脆く崩れ去っていく…。「戯言シリーズ」2作目。

いーちゃんの学園生活編?いーちゃんが変なら友人も変です。でも巫女子ちゃんの造形はとても良い。(女からみても)かわいいなぁ。会話が独特で読んでいて楽しい。
そして「人間失格」零崎人識との出会い。なんだかこの世界も深みを増してきましたというかんじで、今後の展開が非常に気になります。


吉本ばなな「虹」

私はどうしてもタヒチに来てみたかった。ウェイトレスが天職の瑛子、27歳。こんな小さな歴史だけど、生きてきた道の上には、たくさんの思い出がある…。

ウェイトレスが主人公のお話だと俄然良くなるような気がします。
内容は「肉親の死」「不倫」「旅」「癒し」という、この著者ならでは世界で、目新しいようなそうでないような世界ですが、読み進めていくうちにおもしろくて、引き込まれている。
個人的に猫太郎に思い入れしたり!
ただ、「一回だけ、やらせてくれ」はどうかなぁ?必要だったのかなぁ?
というか、オーナーってそういう人物設定なのか?と疑問。
ラストが好きです。


舞城王太郎「阿修羅ガール」

恋するアイコがガーリッシュに悩み多き間も世界は大混乱。殺人鬼はグルグルで子どもは街で大爆発。魔界天界を巻き込んで、怒濤の傑作、ここに降臨。
↑というのが著者自身によるあらすじです。う〜ん、さすが!<?
「熊の場所」の「ピコーン」のように女の子の1人称。
好みの問題かもしれないけどこの人の作品は、男の子の1人称の方が好きです。やはりはっちゃけっぷりの質がちがうような気がします。
今回は(も?)ものすごい事件や要素がてんこもりの内容で、サクサクと時間は進行していきますが、ちょっと2ちゃんの影響が強く出すぎているというか…「オナカイパーイ」な気分になりました。
読了後に「世界は密室でできている」のような爽快感がなかったというか。
次は男性1人称が読みたいです。できれば「奈津川家サーガ」の続きを!


J・R・R・トールキン「指輪物語9 王の帰還 下」オモシロイ!

指輪の末路、大団円とその後。一仕事を終え、ホビット庄にもどったフロド・サム・メリー・ピピンが見たものは・・・。

滅びの山を目指し、苦難の道を進むサムとフロドが痛々しくて!ただ、指輪の末路に関しては、ちょっとあっけなかったような?
アラゴルンとアルウェン、それに生還できたエオウィンのラブロマンスもチラリと。
更に、指輪最後のオチがあります。指輪の悪しき呪縛にとらわれた人々の末路。
このへんまで描くあたりトールキンは完璧!
ついにサムも良き伴侶を迎え。めでたしめでたし……ですが、灰色港の旅立ちは美しくも切ない余韻を残します、いつまでも。


J・R・R・トールキン「指輪物語8 王の帰還 上」

ミナス・ティリスの戦い、ペレンノール野の合戦。
物語も佳境。ついに最終決戦ともいうべき大きな戦いが始まる。アラゴルンはもちろん、メリーやピピンも彼らなりの大活躍をします。しかし、ホビットって、戦いの中にあってもどこか楽天的で希望を失わないその明るさがラッキーを呼ぶのだなぁと思ったり。アラルゴンの薬草大活躍です。重病人に意識をとりもどさせたそのスーッとする香りをかいでみたいものです。


J・R・R・トールキン「指輪物語7 二つの塔 下」オモシロイ!

1.スメアゴルならし 、2.沼渡り 、3.黒門不通 、4.香り草入り兎肉シチュー 、5.西に開く窓 、6.禁断の池 、
7.十字路まで 、8.キリス・ウンゴルの階段 、9.シェロブの棲処 、10.サムワイズ殿の決断

お待ちかね!フロド&サムのパート。ゴクリを道案内としてモルドールに向かう旅。
フロドが蝕まれていく姿が痛々しいです。そしてそんな主人を見守るサムも!・・・。(←泣きそう)
それでもサムがあこがれの「じゅう」を見たり、ボロミアの弟ファラミアとの出会いなど、心が明るくなる場面も。
そして、スメアゴル(ゴクリ)の存在!
彼はいったい善か悪か?と読み進めていましたが、その独特のへりくだった口調のせいか、どうも憎めない。
本文から、↓サムに「こそこそ何やっている!」と叱られてすっかり拗ねたスメアゴルの会話です。

「それにしてもどこに今までいってたんだい」(←サム)
(以下すべてスメアゴル)
「こそこそしてたんだよ。」
「食べるものない、休みない、スメアゴルにはなんにもない」
「スメアゴルこそこそやね。」
「スメアゴル自分にいわれた名前もらわなきゃならないよ。」
「ご親切なサムワイズの旦那、なんでもよく知ってるホビットさんがこの名前を下すったんだよ」

うわぁ、卑屈でかわいい(?)なぁ。


J・R・R・トールキン「指輪物語6 二つの塔 上2」

6.小金館の王 、7.ヘルム峡谷 、8.アイゼンガルドへの道 、9.漂着物 、10.サルマンの声 、11.パランティアの石

ヘルム峡谷とアイゼンガルドの戦い。
ヘルム渓谷の戦闘時、討ち取ったオークの数を競い合うレゴラスとギムリの掛け合いと、そうやって命からがらでアイゼンガルドに向かったアラゴルン・レゴラス・ギムリ一行を寝転がりながら待ち受けていた、メリー&ピピンののんきなホビットっぷりが痛快。こののんきに寝転がるメリー&ピピンの挿し絵はシリーズ中でも一番のお気に入りです。
この辺にはもう旅の仲間それぞれに愛着がわいていて、どのパートを読んでもおもしろい!
モリアの坑道でも落ち着きの無かったピピンですが、またしてもここでちょっとした悪さを…。
アイゼンガルドを追い出されたサルマンと蛇の舌の今後に注意?


J・R・R・トールキン「指輪物語5 二つの塔 上1」

1.ボロミアの死 、2.ローハンの騎士たち 、3.ウルク=ハイ 、4.木の鬚 、5.白の乗り手

三手に分かれてしまった旅の仲間。オークに連れ去られたピピンとメリー、彼等を追跡するアラゴルン、レゴラス、ギムリの活躍が描かれています。
ボロミアの死は残念。でも最後正気に戻り、アラゴルンに看取られてよかったです。
ストーリィも冒険譚らしく手に汗握る展開、そしてガンダルフの復活!、他にもレゴラスとギムリの友情が深まったり、メリーとピピンが木の鬚と出会ったり、と全体のストーリィを通してお気に入りの場面が多く描かれているのがこの巻です。


J・R・R・トールキン「指輪物語4 旅の仲間 下2」

5.ガサド・ドゥムの橋 、6.ロスロリアン 、7.ガラドリエルの鏡 、8.さらば、ロリアン 、9.大河 、10.一行の離散

モリアの坑道からの脱出と、ロスロリアンの女王ガラドリエルとの出会い、そして旅の仲間離散──。
ロスロリアンのパートはファンタジーしていて、出てくる人々も優美で安らげます。ギムリがガラドリエルに心酔するところはとても楽しいし、ロスロリアン旅立ちの日にそれぞれがガラドリエルから与えられた品々などは今後の重要アイテムです。
しかし、ついに旅の仲間分裂です。
ボロミアが切ないです。
そしてサム!サムがフロドの側にいてほんとうによかったよ。


J・R・R・トールキン「指輪物語3 旅の仲間 下1」

1.数々の出会い 、2.エルロンドの会議 、3.指輪、南へ行く 、4.暗闇の旅

エルロンドの屋敷で開かれた一つの指輪の処遇を決定する会議と、選定された9人の旅仲間の出発。
とりあえずは意気揚々と旅立つ9人の前にカラズラス山の猛吹雪が立ちはだかり、伝説の地下鉱山モリアへ向かう。この巻では裂け谷の美しさやカラズラス山の険しい雪など、この世界の自然や造形物の美しさに驚かされ、またその世界観の確率していることに感嘆。
登場人物の多さと、神話のなかの人名と、名前とそのキャラを理解するのに苦労しました。
ドワーフなんて、ダイン、ドワーリン、ドーリ、ノーリ、オーリ、バーリン、と動詞の活用形のようです!


J・R・R・トールキン「指輪物語2 旅の仲間 上2」

6.古森 、7.トム・ボンバディルの家で 、8.霧の塚山丘陵 、9.踊る子馬亭で 、10.馳夫 、11.闇夜の短剣 、12.浅瀬への逃走

フロド達がホビット庄を後にし、エルフの住む裂け谷を目指すまで──。
ホビット達が動き出し、ストーリィも読みやすくなりました。
映画では出てこない、トム・ボンバディルとゴールドベリのストーリィはちょっと不思議な余韻を残しつつ、終わります。というか、トム・ボンバディルとゴールドベリってけっきょく何者だったの?という疑問が残りました。
この巻ではアラゴルンとの出会いもあります。のちにホビットたちに「馳夫さん」と頼られる彼も登場の仕方はあやしげ。


J・R・R・トールキン「指輪物語1 旅の仲間 上1」

1.待ちに待った誕生祝い 、2.過去の影 、3.三人よれば 、4.茸畑への近道 、5.正体を表した陰謀

ホビット庄(シャイア)の成り立ちと、フロドが指輪の秘密を知り、ホビット庄を旅立つ決心をするまで──。
そこまでを1巻にまるまる使うというのは、序章でホビットやホビット庄のことがこと細かく説明されているから。
すでに「ホビットの冒険」は読了していたので、最初はわりと退屈でした。でも!ここんとこをちゃんと頭に入れておくと、最終巻での楽しみが増えるでしょう!
オソ&ロベリア・サックビル・バギンズ(ビルボの遺産を望む近親者夫婦)とかね。


京極夏彦「覗き小平次」

幽霊芝居が上手かったと評判だった江戸の役者・小平次とはどのような人物だったのか。怪死したという小平次の噂をしていると、小平次が出てくる―。江戸の闇に蹲る男、隙間から覗く眼。書き下ろし「京極怪談」。山本周五郎賞受賞。

15章は全て人の名前でその時々で語り部が変わります。視点があちこちに飛び、いろんな人がそれぞれの見方で小平次を語る。
ひきこもり状態の小平次とその妻お塚の関係も不思議でしたが、そういうこともあるのかなと。
男女のあり方はしみじみ千差万別なのだなとか、思いマシタ。
「小股すくい」や「事触れ」がチラリとでてきたり、他の京極作品を読んでいるとそのリンクもおもしろいです。


川上弘美「蛇を踏む」

女は薮で蛇を踏んだ。踏まれた蛇は女になって、食事を作って待っていた…母性の眠りに魅かれつつも抵抗する若い女性の自立と孤独。第115回芥川賞受賞。「蛇を踏む」「消える」「惜夜記」の3編収録。

なんとも不思議な世界です。著者があとがきでも書いていますが「うそばなし」の集まり。
どこか民芸風のほっこりとしたストーリィたち。すらすら読めますが、ひっそりと怖い部分も。その怖さに時には情念のようなものを感じ取り、そこら辺もまた和風なのだなぁと思ったり。そのバランスが微妙。これがmぷちょっと情念側に転んだら苦手だったかも。


法月綸太郎「法月綸太郎の功績」オモシロイ!

殺人事件の被害者が残した「=Y」の文字は果たして何を意味する!?あのクイーンの『Yの悲劇』への愛あるリスペクトに満ちたダイイング・メッセージものの白眉、『イコールYの悲劇』他、ロジカルかつアクロバットな推理が冴えわたる傑作ミステリ全5編を収録。

本格ミステリをがんばってます。クリスティでミステリに耽溺した私には懐かしい世界。
「都市伝説パズル」は第55回推理作家協会賞だそうで、なるほどの完成度。作中に出てくる都市伝説というのは、友達の部屋での飲み会後、忘れ物を取りに行ったが部屋が暗かったので、明かりをつけずに忘れ物のみそっと持ち出し退出したところ、その時間、その友達は何者かに殺されていた後だった、明かりを点けていたら犯人と鉢合わせしたかも……というヤツです。この話、きいたことがあったので余計だまされました。


銀色夏生「ぶつかり体験記」

つれづれノートと、ひと味違った体験エッセイ集。
座禅、前世療法、断食ホテル…と、いろいろんなものにぶつかっています。
この、セレクトもまたこの著者らしいく、前回の体験と次の体験のつながりというか、「こないだはあーだったから、今度はこっち」と気の赴くままみたいな感じが、力が入って無くてよかった。
そしてその結果がまた自然体。とくに「前世療法」の銀色さんの想像力の発揮っぷりがおもしろかったです。
しかし、世の中いろんな文化があるのだなぁ。


森絵都「ゴールドフィッシュ」

「リズム」続編。中学3年生になったさゆきちゃんのお話です。
中学三年生になったさゆきは、受験生。それだけだって頭を悩ますのに、東京へ出た真ちゃんが、音信不通に。
前作で、真治の夢を自分の夢のように思っていたさゆきだが、ここにきて進路について悩む。
おきまりと言えばおきまりの展開だが、読後はやはりみずみずしい気分になれた。
「リズム」ではさえなかったテツの成長も見所(読んでいてほっこりとした気持ちになりました)


森絵都「リズム」

中学一年生の「さゆき」は、従兄の真ちゃんが大好きだ。 だけどある日突然、真ちゃんは夢を叶える為に東京へ行くと言い出す。

正直、そう目新しいストーリィじゃないのですが、なんでか引き込まれる。
ヒロインさゆきが活き活きしているし、悩みやとまどいがものすごく伝わってくる。
大人になって、今思うとどうということのないちょっとしたことが、中学生の時にはものすごく重大で、もう人生の一大事くらいに受けとめていた。そういう時のリアルさがこの本にはあるように思う。


川上弘美「物語が、はじまる」

いつもの暮らしのそこここに、ひっそり開いた異世界への扉―公園の砂場で拾った「雛型」との不思議なラブ・ストーリーを描く表題作ほか、奇妙で、ユーモラスで、どこか哀しい、四つの幻想譚。初めての短篇集。
第115回芥川賞を受賞「蛇を踏む」、芥川賞の候補作となった「婆」を含む、全4作品を収録。
表題作になっている「物語が、始まる」がいちばん好きでした。「雛形」との訥々としたやりとりがおもしろい。
アンドロイドとかロボットじゃなくて「雛形」というところが川上さんらしいんだろうなぁ、と思った。
初・川上作品でしたが、思いの外(←失礼)楽しみました。
次は、長編が読んでみたいかも。


西澤保彦「人形幻戯」

巨大シャンデリアの落下事故は、「意図した超能力」による犯行か、あるいは、「意図せぬ超能力」によるものか?極めて情緒的な動機を、苦いまでに清明な論理で解き明かす表題作他5篇を収録。神麻嗣子シリーズ第6弾!

「不測の死体」「墜落する思慕」「おもいでの行方」「彼女が輪廻を止める理由」「人形幻戯」「怨の駆動体」の6つの短編からなってます。
印象に残ったのは「神麻さんの作る料理はうまそうだなぁ」ということ。
短編集ということで、どれもキチンとまとまっていて読みやすかったです。
ただ、「彼女が輪廻を止める理由」で語られていた傘も自転車も天下の回り物という考えは、違うでしょう?そんなことしちゃダメだよ。
あと、神麻嗣子ちゃんより神余響子のほうが出番が多かったようなのが、ちょっと残念かも。


森博嗣「猫の建築家」

誰も「美」の意味を説明できない。そんなものが本当にあるのだろうか? 建築家に生まれ、「美」の意味を問い続ける猫。ミステリィ作家・森博嗣が新進画家と共同で生み出した、静謐な物語。

ディテールの美しさやデザインに、とても敏感な森氏の視点が猫の言葉をもって語られる。
佐久間 真人氏の洗練されたイラストがシャープな文章にマッチし、本全体の完成度が高まっている。
始めに文ありきだったのか、絵ありきだったか、気になりました。


森絵都「宇宙のみなしご」

真夜中の屋根のぼりは、陽子・リン姉弟のとっておきの秘密の遊びだった。やがて、思いがけない仲間がくわわって……。

やはり、読んだ後あたたかい気持ちになりました。
「屋根のぼり」は、わたしも中学生の頃よくやってました。懐中電灯を持って、自分チの屋根にのぼり(のぼりやすいんです、すごく)友達の家の方(2箇所あった)に向けてライトを点けると、向こう側でもライトが点滅するんですよ。学校で時間を示し合わせて、そんなことやってました。思えば、変なことやっていたなぁ。
そんなささいな遊びが楽しかったんですね〜。
この本は忘れていたそんな懐かしい記憶を揺り起す本です。


鈴木光司「枝の折れた小さな樹」

誕生から死の時まで、心の奥にそっとしまわれた大切な時間を、優しく紡いだ珠玉の短編集。標題作「枝の折れた小さな樹」の他、6篇を収録。

幼い妹を失った青年が、ビデオ画面の中にその後の妹を再生し、年老いた父母を癒そうとする物語や亡き妻のことを娘に語る男の話など、肉親あるいは配偶者の喪失と、残された家族について書かれている。
残されたモノの悲しみ、そしてしだいに穏やかにその喪失を受け入れるようになる心……。
けして悲しい喪失感だけに彩られた物語ではなく、淡くあたたかく光るような未来も見える、そんな物語でした。


乙一「さみしさの周波数」オモシロイ!

「未来予報」「手を握る泥棒の物語」「フィルムの中の少女」「失はれた物語」の4編収録。

「せつなさの達人」健在、です。なんでしょう?このふしぎな「おかしみ」は。乙一のストーリィを読んでいると、現実が奇妙にブレるような錯覚を起こす。ありがちなことが微妙にズレていつのまにかへんなとこに迷い込み、奇妙な展開も納得してしまうという、そんな感じ。
ここに収録されている4編は、他の乙一作品よりはおとなしめのノーマルな展開だが、やはりちょっと変で、そしてあいかわらずちょっと切ない。
個人的には「手を握る泥棒の物語」が一番すきでした。とくにラストで(ネタバレ→)【女の子が「ふふん」て笑う】とことか。


加納朋子「虹の家のアリス」オモシロイ!

仁木探偵事務所は所長の仁木順平と助手の市村安梨沙の二人の小さな事務所。そこに持ち込まれるのは、育児サークル〈虹の会〉をやめさせようとする嫌がらせ、密室の産院から消えた赤ん坊、近所の花を手当たり次第に盗む泥棒、ABC…の名前順で殺されていく猫たち、などささやかではあるが、奇妙な事件ばかり。前作『螺旋階段のアリス』の続編。

リストラ対策制度の期限が切れ、いよいよ探偵業1本で食べていかなければならなくなる、なかなか切実な現実を背負った探偵・仁木順平氏。今回は娘・美佐子や息子・周平が登場したり、安梨沙の方でも父親や元婚約者と会ったりと、「家族」にスポットがあてられている。身の回りで起こりうる小さな事件とはいえ、解決する時にまわりの人の気持ちを考えて解決していくというのが加納さんぽいやさしいミステリーになっている。


西尾維新「クビキリサイクル」

孤島に隠れ棲む財閥令嬢が五人の「天才」を招待した時、「孤島×密室×首なし死体」の連鎖がスタート。工学の天才美少女・玖渚友と友人・いーちゃんは、天才の犯行を「証明終了」できるのか?

戯れ言使いいーちゃんシリーズというのでしょうか?の1作目です。
もともとシリーズモノになるつもりだったらしく、あちこちに玖渚&いーちゃんの過去の事件や謎の組織の存在が見え隠れしている。そして思うつぼのようにあのバックボーンが気になってしまう。
孤島・密室・殺人とよくあるネタですが、このくせ者の登場人物達がただのミステリというワクからちがうモノを見させてくれた。
好きです、こういうの。


東野圭吾「トキオ」オモシロイ!

1979年浅草。不治の病で死にゆく息子が、時を超え若き日の父親に会いに来た。男は「彼」との出会いによって、「父親」になっていく。

息子に成長させられる父(拓実)という逆転した構図がいかにも東野さんぽい!
悲観的で投げやりでなかなか成長しようとしなかった過去の拓実を息子がサポートするというストーリィにくわえ、拓実の失踪した恋人を探すあたりはミステリーっぽくもあり、人情+ミステリ風味でサクサク読ませます。
そして将来発病するのが分かっていて妻に息子を産んで欲しいと頼む拓実。そして、ラスト泣かせます。


村上春樹「海辺のカフカ・下」

中野区、ネコ、図書館、四国をキーワードに、暴力と喪失の影を抜け、世界と世界が結びあうはずの場所を求めて旅の行き着くところは…。

読んでる最中はずっとおもしろかったのですが、ラストが、すっきりしなかった(ぽんと投げ出された感じ)。
今回出番の多かった、ホシノ君のキャラが今までの村上作品にいないタイプで新鮮。
このホシノさんとナカタさんのからみを読んでいると、なにか力がわいてきます。
最初はホシノさんのことも信用して無くて、またしても「お願いだから、ナカタさんを辛い目にあわせない人でありますように!」と祈って読んでましたが(笑)。
あと、今更ですが、図書館に住むという発想は良いですね。あこがれます。
もう一度じっくり読んでみたい、奥深い本でした。


村上春樹「海辺のカフカ・上」オモシロイ!

15歳の誕生日、田村カフカは家を出た。一方、ネコ探しの老人・ナカタさんも、西へと向かう。

待ちに待った、村上ワールド全開という感じの作品で、次ページをめくるのがもったいないほどでした。
少年カフカは、沈着冷静で行動力に優れているスーパー15歳。目的を持ち確実にその目的をクリアしていく。いっぽうナカタさんは切なくなるほど純粋で、このナカタさんのパートになるたび、ぎゅうっと「ああ、この人には災いがふりかかりませんように!」と祈っていた。この巻でバラまかれた謎の数々が、下巻によってどう収束してゆくのだろうか?興味津々です。


今邑彩「よもつひらさか」

古事記に登場する坂と同名の坂。そこには不気味な言い伝えが…。表題作のほか、奇妙な味わいに満ちた全12編を収録したホラー短編集。

12編のホラー作品(ミステリー、サスペンスモノも)が収録されていますが、どれもとても読みやすくおもしろい。が、ややラストの意外性には欠ける面もあるような?そのうまさが先を予測させてしまうのだろうか?それでもワクワク読めるのだから、さすが。小粒ながら光る作品がそろってました。
祖母から「あれは恐ろしい鏡だから、むやみに見てはいけない」と言われた鏡をのぞいてしまった女に子の話(「ささやく鏡」)とか、印象深いです。


久美沙織「あの夏に戻れなくても」

リストラに遭い、故郷に帰ってきた教子。実家とは言え、職を持たない独身女には肩身が狭く、なにかというと母親ともぶつかってばかり。

実家に帰って、いろいろな人と会い、そしてこじれていた母親との関係を見直していくのだけれど・・・ちょっとヒロインが幼すぎるように感じました。27才という設定なのだけれど、都会で暮らしていた27才にしては甘過ぎ。まぁ、それでリストラにあっちゃったのだけれど、そこにひっかかってしまい素直に読めなかった。
本編では母親と和解の方向で終わるが、わたしならやはりこの母親はイヤです。



2003[1][2][3]

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