※この感想はblogからの転載になります。

Slumdog Millionaire〜スラムドッグ$ミリオネア

 今年度のアカデミー賞最多の8部門受賞を成し遂げた話題作『スラムドッグ$ミリオネア』を観て来ました。
 本当は違う作品を観ようと思っていたんですが、先日の『月イチゴロー』での稲垣吾郎の大絶賛振りに思いっ切り影響されて急遽変更しました。前に、『パンズ・ラビリンス』の絶賛ぶりに流されて観に行って本当に良かったので、今回も影響されてみることにしました(笑)。我ながら流され易い奴だと自覚しております。

  主人公のジャマール(デヴ・パテル)は、人気のテレビ番組「クイズ$ミリオネア」に出演し、次々と問題を答えていき高額な賞金にまで届いていったが、イン ドのスラム街で育った少年がこんな難しい問題を答えられるわけが無いと不正を疑われ逮捕される。そして警察の尋問によって、ろくに教養も無いジャマールが 難問に答えられたのかが明らかになっていく。

 …という話で、日本でもみのもんたさんの独特な司会で人気を博した番組「クイズ・ミリオネア」が登場するんですが、ルールはだいたい日本と同じで(ただ不正解だと賞金ゼロになるらしい)BGMも同じ、司会者に独特のタメが無いのが唯一違うところ(笑)

 観る前までは、日本の番組と被ってしまって素直に観られないんじゃないかと思ったんですが、ジャマールがどうして問題に答えられたのかを説明すると同時に、彼の過酷な人生がテンポ良くプレイバックされていって、どんどん作品の世界に惹き込まれていきました。

  監督は『トレインスポッティング』で有名なダニー・ボイルでしたが、私はこの監督の作品が苦手なので正直言ってこの作品も私の好みのではありませんでし た。でも、気が付いたら見入っていたというか、かなりドキドキしながら観ている自分がいて、最後は爽快な感動を覚えてしまったから不思議です。
 何気にエンドロールの"インド映画らしさ"が個人的にツボでした。

 過酷な人生を精一杯の力で生き抜くジャマールはじめ、スラム育ちの子供達の生き様が躍動感溢れていて、色んな意味で刺激を受けましたね。むしろ刺激的過ぎたかも…

 あのムンバイの描写には地元の方々がどう感じたのかと少し引っ掛かりましたが、あれだけ過酷で悲惨な展開がありつつ、観ていて希望が持てるというエンターテイメントさもしっかりあって、アカデミー賞を受賞するに相応しい作品だったんだ…と納得させられました。

 色々と考えさせられましたし、観ておいて良かったと思っています。何より、好みの作品じゃなかったのに、最後まで見入ってしまったこと自体が凄いことかもしれない。


 正直、いろんな問題(宗教・人種差別・貧困など)を抱えていただけに、軽快なタッチで描きながらも物語は重過ぎて、「誰に感情移入して観るか」という観方は出来ませんでした。でもベタだとは思うけど、ラストの展開を観た途端にジャマールの兄さんのキャラが好きになってしまいました。



 


←BACK