※この感想はblogからの転載になります。

ANGELS & DEMONS〜天使と悪魔

 やっと映画『天使と悪魔』を観に行くことが出来ました。公開から2ヶ月近く経っていただけに、もう劇場では観られないかと思っていたんですが、意外にロングラン上映になりつつあるんですね〜。

 前作『ダ・ヴィンチ・コード』を観ていたこともあったし、『ダ・ヴィンチ・コード』は映画を観てから原作を読んで楽しめたので、今回の『天使と悪魔』も映画を観てから原作を読もうと決めていました。だから、原作を読むにはまず映画を観るしかない。

 『天使と悪魔』を観終わった時の率直な感想は、「ああ、これでやっと原作が読める」でした(笑)

 物語の舞台はヴァチカン。
  ローマ法王が亡くなり、コンクラーベ(新法王選出)が行われる最中、法王の有力候補者の4名が何者かに誘拐され脅迫状が届く。宗教象徴学の権威ロバート・ ラングドン(トム・ハンクス)は脅迫状に書かれたシンボルを見て、犯人が昔ヴァチカンによって自分達の科学を弾圧された秘密結社・イルミナティだと察知 し、この誘拐事件がイルミナティによるヴァチカンへの報復だと確信する。
 ロバートは科学者のヴィットリア(アイェレット・ゾラー)と共に、犯人が仕組んだ報復劇を阻止するべく謎の解明に乗り出す…という内容。

  前作の『ダ・ヴィンチ・コード』に比べて、人質を取られた挙句に指定時間内に次々と犯人が惨殺して行くという残酷さで、死人の多さは前作の比じゃない。そ れでいながら物語の軸になる「謎解き(今回はガリレオの暗号)」は、ロバートがポンポン解明していっているように感じて(彼にしか解けないマニアックな暗 号なのかもしれないけど…)謎を解くという痛快さは低い。

 しかし、宗教用語やヴァチカン特有の決まりなど日本人の私には判り難い設定も、信仰心が低いロバートが主役だけあるせいか、内容の整理に混乱することなく物語に入り込める。それ以上に、次から次へと何か起きるので、じっくり考えながら観る余裕が無いとも言うかも(笑)
むしろ、カトリックに興味の無い人間が「解らない!」と拒絶反応を起こす前にアクションが起き、ついつい物語の世界に惹き込まれると言った方が良いかも。
 おそらく原作では宗教的な意味合いの強い重要な設定を映画では極力排除し、エンターテイメントに徹したロン・ハワード監督の割り切った手腕が功を奏していると思います。
 特にクライマックスの展開は『ダ・ヴィンチ・コード』よりも見応えがあった!

 あともう一つ。
  これは前作の『ダ・ヴィンチ・コード』にも言えることなんだけど、エンターテイメント性を重視した余り、登場人物に掘り下げた描写が無いので感情移入し難 いという印象を受けました。ユアン・マクレガー演じるカルメンレゴなんて、もう少し掘り下げてくれればクライマックスではもっと自分の中で盛り上がったん じゃないかなぁ〜。
 でも、コンクラーベでの司教たちによる駆け引きというか、独特の世界観及び価値観の中で話し合われる姿って現実的なようで非現実的で見ていてゾクゾクしましたね。ああいうのは大好物です。

 カルメンレゴといえば、撮影当初はオーランド・ブルームが演じるかも?なんて噂が出ていたんですよね〜。個人的に期待していたんですが(笑)、やっぱりユアンの方が合っていたかな…。オーリーじゃ、ちょっと若過ぎるかも。


 音楽はハンス・ジマーが「これでもかっ!」と作品を無駄に盛り上げる(笑)大袈裟な宗教的音楽を作り出していて、好みの楽曲なだけに耳に残ってしまいました。

 個人的には『ダ・ヴィンチ・コード』の内容の方が好みでしたが、先にも書いたけど終盤の展開は『天使と悪魔』の方が面白いし判り易い。あと、無駄に恋愛話など余計なモノを盛り込んだりしないで、テーマにブレがないところはさすが。


 でも、観終わった後は、「面白かったけど原作の方が数倍面白いんだろうな〜」と思ってしまいましたわ。



 


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