※この感想はblogからの転載になります。

THE DARK KNIGHTダークナイト

 8/9から劇場公開される映画『THE DARK KNIGHT』を先行上映で観て来ました。あのトレイラーを観たら、もう一般公開まで待っていられませんでした。
そして、先行上映を観に行った甲斐があった!と断言できるほど、期待以上に素晴らしい作品でした。まだ今年は11本しか劇場公開作品は観てませんが(笑)その中でBest Movieです!

 前作『Batman Begins』 の続編となるわけですが、今回は今年の1月に急死したHeath LedgerがBATMANと敵対するThe JOKERを演じ遺作となっており、その怪演ぶりに「オスカーにノミネートされるべき!」という声が高まっているという評判ぶり。興行的にも全米の興行成 績の新記録を次々と更新中で、現時点で2008年のNo.1ヒットとなり歴代の大ヒット作品にどこまで迫るかを注目されています。

  主人公のBruce Wayneはゴッサムシティの正義を守る為にBATMANとなり、Gordon警部補やHarvey Dent地方検事の協力を得ながら犯罪組織を撲滅していっていた。しかし、"JOKER"と名乗る謎の犯罪者の出現によりゴッサムシティは犯罪に溢れ再び 混乱に陥る。BATMANは最新の機能を搭載した武器で応戦をしていくが、JOKERの罠により次々と犠牲者が出てしまうのだった。

 … という内容で、簡単に言うと"BATMAN vs JOKER"なんですが、そこに再び闇の金で儲けたいマフィア組織の思惑、警部補や地方検事の正義感、JOKERを恐れる余りに裏切り行為へ走る人々など 様々な要素が複雑に絡み合い、アクション映画としても人間ドラマとしても見所満載なのです。

  JOKERを演じるHeath Ledgerは前評判に違わず、シリアスとギャグの境スレスレを見事に演じきりとんでもなく素晴らしいですが、前作に引き続き主役のBruce Wayne=BATMANを演じたChristian Baleも素晴らしかったです。BATMANの素性を隠す為に大金持ちのBruce Wayneとして振る舞わなければならず、BATMANでいる時はBruce Wayneの"感情"を押し殺さなければならず、その葛藤がよりキャラクターに深みを増し、完璧なヒーローにはなれないBATMANを魅力的にみせていま した。

  そして、Heath Ledgerが演じたJOKERは正に「最凶な犯罪者」でした。BATMANの奇抜なスタイルに合わせたかのような奇抜なメイクで人々を恐怖のどん底に陥 れ、ただ楽しんで見ている姿は「ヒーローだって、こんな犯罪者(敵)を相手にするのも嫌だろうな」と思わせるほどの不快さがあり、同時にユーモアも兼ね備 えている分、妙に恐怖感を煽ってくれちゃいます。
 しかし、常識を逸脱したJOKERの言動の中には、非常に的を射ている台詞もあったりして、BATMANや人々をイラつかせるばかりか、映画を観ている人間にすら「正義とは何か?ヒーローとは何か?」と、突き付けられている気分になりました。

  BATMANとJOKERのことばかり書きましたが、BATMANの言動し警部補と共にBATMANに協力するようになるDent地方検事の存在感も素晴 らしかったです。一番キャラクター心理が掘り下げられていたせいか、メインキャラの中で唯一感情移入したキャラクターだったかもしれません。彼の闇の中の 一筋の希望の光のような存在があったからこそ、"闇vs闇"のBATMANとJOKERの戦いに見応えがあったんだと思います。
 …ていうか、左の画像を載せたことで私が鑑賞後に何を感じたのか、観た人なら察していただけると思います。

  とにかくド派手なアクションシーン(特にカーチェイスは見応え満点!)、複雑な心理戦も展開し、大人向けの最高のエンターテイメント作品に仕上がっている と断言できます。私は、こういうダークテイストの作品はホントに大好物ですなんですが、この作品で描かれている犯罪者が決して架空の世界で終わるものでは ない…という現実があまりにも重くて、軽々しく語れないところが辛い。

 あと、続編なので前作を観ていた方が人間関係が判り易いですし、何より前作を観ていた方が「おっ!」と思えるシーンもあるので、前作を観てからの鑑賞を強くお薦めしたいと思います。





【注意】以下、ネタバレを含んだ感想になります。



 作品の冒頭からJOKERが登場しますが、個人的には前半のマフィア組織の集会に単独で乗り込んで来たJOKERのシーンがインパクト大でした。「今か ら手品をお見せしよう♪いいかい?ここに刺さったペンを一瞬で消して見せよう!」と周囲を煽り、次の瞬間ホントにとんでもない方法でペンを消し、「どうだ い?本当にペンは消えただろ?」とおどけてみせたJOKERの姿にKOされました。
  このワンシーンでJOKERがいかに犯罪行為を遊び感覚でやっているか判るし、彼に恐怖心は全くなく狂気で生きているということも痛感させられ、只者では ないJOKERの凄まじい存在感に圧倒されました。あと、後半でナースのコスプレで暴挙の限りを尽くす姿は、正にサスペンスホラーとギャグの紙一重で、 Heath Ledgerだからこその演技力と存在感だった気がします。

 Heath Ledgerは全編を通して"ピエロのメイク"でJOKERを演じていますが、ワンシーンだけメイク無しの姿を晒していて、そのシーンを観た時に「あ。 JOKERてHeath Ledgerが演じてたんだっけ」と改めて認識したと同時に、もう彼はこの世に居ないんだって感じて切なくなってしまいました。
 エンドロールでも彼に捧ぐメッセージが載せれていて、作品での彼が素晴らしかった分、妙に泣けてきてしまいました。

 これほどのJOKERを創り上げたHeath Ledgerに、心からの感謝を込めて。




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