※この感想はblogからの転載になります。

Arctic Tale〜北極のナヌー

 「あと30年で北極が消えてしまう」…そういう現実を映画にした『北極のナヌー(原題:Arctic Tale)』を観て来ました。National Geographic Filmsが『皇帝ペンギン』US版のスタッフと手を組んだ作品なだけに、極寒の地で必死に生き抜こうとする野生動物の姿を、10年も掛けて淡々と追っています。

  物語は、「ナヌー」と名づけられたシロクマの子供と、同じ時期に生まれた「セーラ」と名づけられたセイウチの子供の話を平行しながら描いていています。ど ちらも母親に育てられながら成長していくものの、温暖化による環境の変化に苦しめられながら、これからの生き方を決めていかなくてはならない姿に、地球温 暖化の深刻さを痛感しました。
 あと、ホッキョクグマの生活生態はなんとなく想像の範囲内でしたが、セイウチの生活生態というのは初めて知るのもいくつかありました。他にも様々な野生動物が登場してきて、北極には多くの「命」が集まる場所なんだと知ることもできました。

 北極に「氷」があるからこそ生きている動物たちなだけに、これからのことを考えると悲観している場合じゃないような気もしてきました。こういうしわ寄せはいずれ、私たち人間にもやって来るんですからね。30年なんて…アッという間ですよ。

北極のナヌー 日本語版のナレーションを稲垣吾郎が担当しているというのも鑑賞理由の一つでしたが(笑)、変に感情移入せず淡々と物語を進行していく優しい声は、この作品にとても合っていました。
  あとエンドロールでは、北極の野生動物たちの映像と共に撮影スタッフの姿も映っていて、「こんな至近距離で撮影したの?」とか、「あの野生動物にあそこま で近付いて平気なの?」と、また違った見方もできて面白かったです。動物たちに凄く愛情を持って撮影していたんだな…と、伝わってきます。

 刻々と悪化していく北極の環境の中で、必死に生き抜こうとする野生動物の姿には心打たれるものがありましたし、同時にエコバックを持つとかマイ水筒を持参するとか、コツコツと環境のことを当たり前のように考えなくちゃ!て感じましたね。


 以下、ネタバレを含む感想になります。






 巣穴からひょこっと顔を出した小熊のナヌーが、初めて見た外の世界は一面氷で覆われた白銀の世界だった。

 ナヌーは温暖化によって変化していく北極の過酷な状況下の中でも必死に生き抜き、10年後に自分の生まれ育った巣穴に戻って2匹の子どもを得る。

 ナヌーの子どもが巣穴からひょっこり顔を出して初めて見た外の世界は、氷と雪の間から雪山の地肌が見えている白と灰色の世界だった


 過酷な生活を強いられたナヌー以上に、ナヌーの子供たちには更に過酷な運命が待ち受けていると想像できるエンディングでした。しかし、彼らは逞しく生き抜いていって欲しいと願わずにはいられませんでした。



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