※この感想はblogからの転載になります。

Pirates of the Caribbean: At World's End
       〜パイレーツ・オブ・カリビアン:ワールド・エンド

 前作の『Pirates of the Caribbean: Dead Man's Chest』を 観た直後から、「早く続きを観せろ!(怒)」と思い続けて10ヶ月…遂にシリーズ完結編を観られたわけですが、前作の『DMC』で起きた問題を見事な強引 さで(笑)収めました。個人的に「あの謎は解明されてないんじゃ?」とか、「そんな設定あったっけ?」と感じた部分もありましたが、『At World’s End』というサブタイトルに相応しい結末を迎えたと思います。
 ただ、前作と同様に『1』と『2』を観ていないと、この 『AWE』の内容には全く付いていけません。だから、『3』だけを観た人は「訳わからん」て思うこと請け合い。逆に、全シリーズを観ていた人は、この 『AWE』を観て、「あ、このシーンは・・・」と前作品との関連性が判って思わずニヤリとしてしまうシーンが多いんじゃないかな。もうね、理屈で語るよう な作品じゃありません(笑)。アトラクションに乗った気分で観なくちゃ置いてかれます!

  プロデューサのJerry Bruckheimerが来日した時に、「ラスト40分は特に見所」と言っていた通り、本当に後半部分は物凄い展開で目がスクリーンに釘付け状態。前半は 「こいうシーンは必要?」とダルく感じてしまう部分もあったし、ツッコミどころ満載の矛盾点も目立ちましたが、それを帳消しするほどの凄さが後半にありま す。あと、アクションシーンが重視されていた前作に比べて、今回は(もちろんアクションシーンも凄い!けど)人間ドラマの部分が凄く見応えありました。や はりこのPotCシリーズの面白さはキャラクター達の個性で成り立っているだけあって、それぞれのキャラクターが前作以上にカッコ良い!複雑に絡んだそれ ぞれの思惑や駆け引き、先の読めない騙し合い…そして意外な展開を迎える衝撃のクライマックス!

 このPotCシリーズはエンドロールが終わった後におまけ映像がありますが、今回は今までの2作品とは違います!ここは声を大にして言いたい。エンドロール後の映像はおまけなんかじゃない。本当のラストシーンは絶対に見逃してはダメです!むしろ、このシーンをエンドロールの後に持ってきたのにはビックリしました。変な言い方だけど、私はこの本当のラストシーンに切ない幸せを感じました。むしろ、このラストシーンが無かったら疲れきっていたかも(笑)。

  ハッキリ言ってPotCシリーズは娯楽大作だし、『AWE』にも笑える部分もちゃんとあるけど(…ていうか、凄いシーンで笑いを持ってきます)、全体的に 予想外のヘビーな展開っ。まさか、この作品で涙を浮かべることになろうとは…ここまで自分がキャラクターに感情移入できるとは思ってもいなかった。
  やはり「完結編」だけあって、「これで終わりなんだ」という寂しさも感じてしまったのかも。もうね、これは映画館で観る価値十分ありますよ。上映時間 170分は長過ぎるし、30分くらいはカットできそうなシーンもあったし、ツッコミたいところが山ほどあるけど(笑)、愛すべき登場人物たちの活躍ぶり、 成長ぶりが見応え十分で、私は凄く好きな作品というか愛着を持てる作品になってしまいました。
 …ヘビーな展開と先に書いた通り、どんどん話が重 くなっていくので、なんとも言えない切なさと重さが鑑賞後に残りました。続編を望む声も多いけど、私はこの終わらせ方が一番カッコいいと感じましたね。こ の先の物語は、観客一人一人の想像に任せれば良いんじゃないかな?もし続編を作るのなら、『1』を雰囲気に戻して欲しいなぁ。

  我侭な感想だとは重々承知しているけど、この作品でこういう重さや切なさは感じたくなかった。もっとお気楽な気持ちで観たかったな〜…



 以下、耐えられないので(笑)、ネタバレを含んだ感想になります。まだ未見の方、これから観る予定の方は読まない方が先入観無しで純粋に楽しめるので、ここで読み終えて下さい。しかも無駄に長文だから、あんまり読む必要ないかも(笑)。






  主役のJack Sparrowが、物語が始ってもなかなか出て来ない演出には驚かされましたが、カオスの世界に堕ちたJackの混乱ぶりの映像はポップで楽しかったで す。それに、前作では何よりも自分優先で怯えてばかりで、「Jack Sparrowらしさ」がほとんど見られませんでしたが、今回は『1』の時に近いような雰囲気というか、「ここぞ!」という所で頼れる存在だったと思いま す。このシリーズの中で、今回が一番カッコ良かった!だって、いつもは自分から「逃げよう」て提案するのに、今回は最後の最後で、仲間からも「海賊の伝統 に従って逃げるべきです」て提案したのに、「俺は伝統を守ったことは一度も無い」と言って逃げないんですよ!あのシーンは最高に好きだっ!そして、「その 瞬間」を信じて待っていたJackの表情は、正に「伝説の海賊」そのものでした。

 このシリーズに関しては、キャラクターに感情移入する なんて思ってもいなかったと先に書きましたが、今回は何故か主要キャラクター達に感情移入しちゃって、あのWillの衝撃的なシーンには泣きましたよ。あ んなに辛い目に遭ってきているWillが、何でこんな仕打ちまで受けなくちゃいけないの?て悲しくなったし、Jackが今まで見せたこともない動揺と絶望 を湛えた表情にも衝撃的で泣けてきてしまったし、「これって、本当にディ●ニー映画なわけ?」とまで思いました。だって、あの剣は『1』でWillが鍛え 上げた剣ですよ。それが巡り巡って…何故こんな残酷な展開に?て怒りすら感じてしまったほど。しかし、その直後にあの復活劇ですよ。やられちゃいました わ。Willもしっかり自分の剣にしちゃっていましたよね(笑)。
 Jack てWillのことは気に掛けながらも、いつも利用するだけの道具のようなあしらい方をしていたけど、自分が一番欲しかったモノをWillに与えたことで、 彼がWillに対してどれほど強い信頼感というか仲間としての強い愛情を持っていたのかを痛感しました。そして、この2人はまたいつか何処かで再会して欲 しい…いや、再会することになるんだろう…と、ラストでなんとなく想像できたのが嬉しい。

 Will Turnerは、あの衝撃的なシーンといい、エンドロールの後の映像といい、何気にオイシイ所を持って行ったとはいえ、彼の辿った運命には言葉で表現し難 い切なさも感じました。WillとElizabethの関係は、御伽噺として捉えるしても悲恋に思えてしまうけど、Elizabethとの愛と父親との約 束との間で苦悩していたWill自身にとっては、決して不幸ではない結果だったと思ます。彼が「この一日に全てを生きる」と微笑みながら言ったシーンは、 とても印象深い言葉だったし好きなシーンの一つです。不必要なまでに過酷な運命を背負わされた姿が見ていて辛かったけど、Willが自らその運命に向き 合った「潔さ」に、彼の成長ぶりと逞しさを感じました。そもそも『PotC』て、彼の成長物語でもあったんですよね。話に全然関係ないんだけど、Will て紅茶の飲み方が可愛いなぁ…て思っちゃった(笑)。
 Elizabeth は超大活躍!『AWE』のストーリーを引っ張ったのは彼女でしたね〜。陰の主役にふさわさいい活躍ぶりだったし、この作品の中で一番の「漢」でした!しか し、幾多の悲しみを乗り越えていきながら、自分らしさを貫いた素晴らしい女性でもありました。ラストの彼女が船を降りるシーンは凄く好き。中盤まで、ほと んど「女らしさ」を捨てていましたが(笑)、すごく女性らしさが出ていた気がします。正直、彼女はこのまま「女」を捨てちゃうじゃないかとすら思ったけ ど、切ないながらも素敵な生き方を選択しましたよね。あれだけ強い「愛情」を持ち続けることができるなんて、あんなに魅力的なヒロインは滅多に存在しない ですよ。
 このElizabethとWillの関係は最後までハラハラものでしたが、あの船上での告白シーンは感動共に笑いも込み上げてきて大変 だった。あのシーンでのBarbossaの活躍ぶりも最高だったなぁ。『AWE』の名場面の一つだと思うし、私はあのシーンが一番のお気に入りです。しか も、その直後に涙々の状態になって、更にその後に大興奮して、最後は切なく感じながらも幸せな気分に浸れたり…こちらの感情の展開も忙しかったですが、こ の若者2人の成長ぶりが、PotCシリーズの核だったかもしれませんね。だって、Jackは感動してしまうくらい最後まで相変わらずなんだもの♪

  『2』のラストで衝撃の再登場を果たしたBarbossaは、彼が復活できた謎の解明ぶりが中途半端でもありましたが、そんなことどうでもいい!と思って しまうくらいの活躍ぶりでした。冒頭の登場シーンかしてカッコ良かったですからね〜。Jcakとの掛け合いぶりも最高だったし、先にも書いたけどWill の告白シーンでの思わぬ活躍ぶりが超ツボでした。あのシーンでのBarbossaの素敵さに、思わずときめいてしまったほど(笑)。今回、いろんな「船 長」が登場しましたが、何だかんだ言って、一番人間味溢れる船長だったようにも感じました。
 BarbossaとJackの小競り合いも、永遠に続きそうな予感がしたのも良かった。

 あとね、サルのJackの活躍ぶりにビックリしました。その辺の海賊よりも活躍していたし(笑)、物凄い名演技を見せていた!是非あのサルのJackをアカデミー賞の助演男優賞へノミネートして欲しい(笑)。
 カメオ出演が話題になったKeith Richards演じるJackの父親は、想像以上の存在感でした。年の功と言ったら失礼かもしれないけど、立っているだけでも圧倒的な存在感だったし、意外に演技が上手いかもしれない…と素人ながらに感動してしまった。





  ツッコミどころは相変わらず満載だと書きましたが、書かずにいられないのが海の女神を解放するシーン。あれで良かったんだろうか?思いっきり、あそこだけ ファンタジーといかアニメぽいノリになっていたように感じました。それに、海の女神の設定や伝説の9人の海賊の話など、ちょっと後付ぽくて判り難かったの も残念。召集した残りの海賊達て基本的に役立っていなかったから、ストーリー上必要だったのかも疑問。
 それから、これはツッコミどころではない んだけど、とにかく前作『DMC』に続いて人が死にまくりです。馴染みあるキャラクターも、呆気ないくらいの死に様をみせる。残酷というかグロテスクな シーンもあるし、とてもディズ○ー映画とは思えませんでした。こりゃ、PG-13の指定も当然。あと、新キャラであるSao Fengも、他のレギュラー陣に比べたらキャラクターが掘り下げられていないし見せ場も少ないし、ちょっと残念だったなぁ。

 まぁ、こう いう「う〜ん」と感じてしまう部分も多々あるけど(笑)、総合的に見て、『DMC』であそこまで広げた大風呂敷を、よくここまで綺麗に強引に終わらせた なっていう感動はありました。片付いていない伏線もあるけど、とにかくElizabethの活躍ぶりとWillの成長ぶりは素晴らしかったし、あれだけ若 者2人に活躍されても、存在感がちっとも薄れないJack船長の凄さも痛感しました。
 本音を言えば、この作品には痛快なハッピーエンドを期待してただけにショックも大きかったんだけどね。

 やはり、キャラクター勝ちでしたね。な〜んか、自分がここまでキャラクターに愛着持っちゃったのが信じられないよ

 


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