KINGDOM OF HEAVEN〜キングダム・オブ・ヘブン

※6/1に劇場鑑賞をしたので、青字で追記しています。

私がこの作品を最初に観たのは4/13のプレミア試写会です。日本での上映はこの日が初めてということで、エンドクレジットが間に合わず(主要のスタッフとキャストのみしか出なかった)、字幕も英語以外の字幕が間に合っていない箇所も多かったし、英語字幕も英語嫌いの私ですら「ん?」と感じる部分もあり、一般公開までに字幕が変更される可能性が多いにあります。ていうか、字幕がもっとしっかりしていないと困る。第一、オーリ達の舞台挨拶の直後だから普通の状態で鑑賞できなかったからね(笑)
 そして、2度目の鑑賞は4/26の試写会でした。この時点で字幕は少しだけ直されており(台詞が抜けていたり、判り難い意訳もあったけど公開までに訂正されるとは思えないし)、エンドクレジットも最後まで流れたので通常の感想として追記します。ちなみに、以下も追記部分は水色になっています。
 また、エンドクレジットが全て終わった時点で、「現在ハンセン病は投薬治療で完治しますので、映画のような悲劇は起きません」みたいなテロップが追加されていました。これはハンセン病であるボードワン4世が登場し悲しい結末を迎えていることから、現在もこの病と闘っている方々への配慮と感じました。

 劇場公開されてから「男性の客層が高い」と噂に聞いていたんですが、実際に劇場に足を運んでみたら、確かに普段はあまり劇場で見掛けない層の男性がいらっしゃっていました。しかも、男性の方がパンフレット購入率が高かった!やはり、男性向けの作品なんだな〜と改めて感じました。



 リドリー・スコット監督が歴史大作流行の火付けとなった『グラディエイター』以来、再び手掛けた歴史大作ということで撮影段階からかなり注目されていた作品です。しかも、主演がオーランド・ブルームということで、『LotR』で本格デビューしたラッキーボーイが初の主演大作に挑むということでも注目された作品です。私は歴史ものは好きな方だし、何よりリドリー監督の映像美が大好きなので非常に期待していた作品の一つです。

 内容は12世紀のエルサレムが舞台。十字軍とイスラム教徒との長い戦いを、父の影響を受け十字軍の騎士になることを決意した青年バリアンを通じて描いています。
 今でも続く宗教問題を扱っているだけに下手に知識を入れずに観たんですが、当時の時代背景というか十字軍の知識をある程度は入れておいた方が楽しめるかもしれません。去年の段階では「3時間以上の作品」と噂に聞いていたのですが、実際は2時間20分で思っていた以上に話が先へ先へと進みます。なんとなく無理に2時間台に縮めたような印象も受けたので、公開前で気が早い話ですがDVDになる時には『LotR』のようにSEE版を出して欲しいなと思いましたそれだけ急かされるよういに話が進みまして、2時間20分あっという間でしたね。紛争を描いているので、戦闘シーンが多いんですけど、後半のエルサレムでの戦闘シーンは本当に圧巻でした。できるだけCGを排除して本物の人間でやっている分、迫力が物凄いことになっています。あのシーンだけでも、この映画にお金を払ってみる価値があると思います。

 そして、何よりもリドリー監督作品だけあって映像がとにかく美しい!一つ一つのシーンがポストカードになってもいいくらい無駄のないアングルで、どんどん惹き込まれていってしまいます。特に、雪の降る森の中でバリアンを匿う十字軍たちが奇襲攻撃に遭う場面は、残酷さと美しさが交差していてリドリー・ワールド全開でした。

 十字軍を中心に扱った作品なだけに戦闘シーンが多いんですが、「勝敗」をクローズアップしていないところが良かったです。結果を言ってしまえば、バリアンは「負け」を選んだのですが、そのことを選んだと同時に守るべき民の自由と安全は確保しました。王からも「私が亡き後は民を守ってくれ」と言われていたので(決して「国を守ってくれ」とは言っていなかった)、バリアンは決して敗者ではないと感じています。むしろ、勝ち負けに拘っていたら、いつまでたってもこの世界から戦争は消えないと思います。

 「キングダム・オブ・ヘブン」がどこにあるのか、それはエルサレムなのか…違うのか…。神に懺悔をすれば罪は赦されるのか赦されないのか…。非常に難しい問題をリドリー監督らしい切り口で解答を出しています。だからこそ、決して後味の悪い終わり方ではありませんでした。歴史ものや戦争もの作品は、見終わった後に「考えさせられるな」という気持ちになりますが、この作品は今をも続いている紛争でもあるせいか、現在の根底の根底を垣間見たような感覚になりました。どんな戦いにも、敵に嫌われる騎士もいれば尊敬される騎士もいた、尊敬される王、尊敬されない王もいた…そういう歴史の繰り返しを、一人の青年を通してリドリー監督は見事に表現したと思います。それに主人公のバリアンが最終的に「十字軍」という地位に固執しなかったというのも、後味の良さの一つだったかもしれません。完全無欠ではないけれど、バリアンは理想の騎士であり理想のヒーローでした。
 ↑理想のヒーローと書きましたが、バリアンは決してヒーローではなかったんですね。戦いの後、バリアンは故郷の村にシビラを連れて戻りますが、そこにエルサレム奪還の為に新たに結成された十字軍が訪れ彼を再び戦地へ誘いますが、バリアンは「私は鍛冶屋です」と言って闇に断ります。そこに、バリアンはヒーローになりたかったわけでないという意志がしっかり表現されていましたね。

 また、脇も実力者揃いで凄かったです。特に、エドワード・ノートン演じるエルサレムの王ボードワン4世の存在も素晴らしかったです。ハンセン病を患い余命いくばくもない身体で、常に銀の仮面で素顔を隠さなければならない悲しき運命をまざまざを見せ付けられました。特にボードワンとサラディンの直接交渉のシーンは、言葉が少ないけどお互いがどれだけ尊敬し合っているかが伝わり、サラフディンもボードワンの病状悪化を憂いでいるのを感じてグッときました。
 そして、彼が妹のシビラに看取られるシーンは、作品の中で一番泣けてしまったシーンでした。「私を思い出す時は(美しかった)16歳の私を思い出してくれ」とシビラにいった言葉は、あまりにも悲しくて切な過ぎました。
 ボードワン4世の出ているシーンは全て好き。彼を先頭にカラクに十字軍の大群がやってくるシーンなんて何度観てもゾクゾクします。あと、バリアンと初対面のシーンでチェス台を挟みながら話しているシーンが好きです。バリアンは初めて目にするエルサレム王に緊張をしていましたが、王から父のイベリンの領地を継ぐように、そして自分が倒れた時には守ってくれって言われた時に、頷きながら見せる微笑が凄く好きです。あのやり取りで、お互いがお互いを信頼したんだな〜って感じましたね。

  劇場鑑賞2回目で気付いたんですが、エルサレムにイスラム軍が攻撃を仕掛けてきて数日後、シビラが鏡を見ながら自分の長髪を切り落としていくシーン、歪んだ鏡に写ったシビラの顔にボードワンの死顔が重なるんです。明らかな演出だと思うんですが、あそこでボードワンの死顔を再び見せるというのは何の暗示だったんでしょう?公式ガイドブックに書かれていましたが、カットされてしまったシーンの中に、シビラと彼女の前夫の間に生まれた息子とのエピソードがあったそうです。しかも、その息子はボードワンと同じ病にかかってしまったことをシビラが気付き、彼の悲しい将来を嘆き毒殺してしまうそうです。なんともカットされたことが悔やまれるエピソードです。
 トレイラーより短いラブシーンを入れるくらいなら、シビラと息子のシーンを入れて欲しかったなぁと感じました。むしろ、バリアンとシビラの恋愛シーンは要らなかったんじゃないかな。お互い惹かれ合っているけど恋愛まで発展しないような…そんな距離を持った関係でいて欲しかった気もします。ま、これはノーカット版を観ないことにはちゃんとした感想は書けませんけどね。
 恋愛シーンといえば、トレイラーよりも短い(笑)ラブシーンでのBGMにかなり違和感を感じてしまっています。なんか笑いたくなっちゃうのは私だけ?あそこだけ違う映画のような雰囲気に感じてしまいました。


 バリアン率いるエルサレム軍(十字軍)とサランディ率いるイスラム軍との戦闘で、最後にバリアンがサランディと交わす言葉が最高です!エルサレムにいる民達に平和と自由を与える代わりにエルサレムを明け渡すという約束を交わしたバリアンが、サラディに「エルサレムにはどんな価値がある?」と聞くと、サラディは「Nothing!(なにもない)」と即答しますが、すぐに続けて「Everything!(全てである)」てガッツポーズをしながら断言し、その答えにバリアンもつられて微笑むシーンにはグッときました。ここは字幕なんて関係ないですね。むしろ、字幕はここで余計な言葉を入れているくらいだし。こんなにカッコいい党首同士の交渉なんてあるのかしら?って思うくらい2人共カッコよかった!

 ちょっと字幕の話に触れますと、宗教やハンセン病を扱っているだけに監修は付けて欲しかったというのが本音ですね。所々飛ばされている台詞もあるし…。個人的に不満だったのが、バリアンが妻の十字架を聖地に埋め「君は地獄になんかいない。私の心の中にいるんだ」と心の中で呟くシーンがあるんですが、「君は僕の心の中にいる」としか訳されてないんですよね。バリアンは自殺してしまった妻が地獄に行かないようにというという理由もあってエルサレムに来たのですから、「君は地獄にはいない」てという言葉はちゃんと訳して欲しかったです。バリアンが亡き妻を想う数少ないシーンの一つなんですし…。あと、シビラがボードワン4世を看取った後に夫であるギーに向かって「騎士団を寄越しなさい。アナタの妻になります」って変な日本語だよね?あれって、「私に騎士団を寄越してくれれば、王位を与えましょう」みたいなもんだよね?ちょっと混乱してしまった。いいシーンなのに…。でも、こういうことは言い出したら切りがないし、良い意訳もあったりしたんでね。ゴットフリーが命尽きる時にホスピタラーから「懺悔することは?」て聞かれて、台詞だと「一つだけ残している」みたいなことを言っていると思うんだけど、字幕だと「息子だけは誇りだ」ってなっていて、この字幕にグッときたもん。


 今もなお続いているキリスト教とイスラム教の紛争を描いていて、テーマ的には非常に重いんですが、重苦しくなり過ぎないのは、飽くまでバリアンという青年の成長を中心に描いているからなんでしょうね。妻子を失って信仰心をも失った青年が、妻や自分の罪を償うために聖地エルサレムへ目指したけど、エルサレムに行っても何も変わらず、ただ十字軍の実態を目の当たりしただけだった。だからこそ、信仰心のあまり狂信的な行動を取るいうこともなく、父や王の言葉に従い自分に素直に行動できたが為に、エルサレムに住む民はバリアンに従ったんだと思います。
 バリアンて自分の意思だけで行動しているようにも見えるけど、父の言葉や王の言葉にしっかり従っているんですよね。王と初めて会った時に、王から「私を守ってくれ、そして私が死んだ後はエルサレムの民を守ってくれ」て言われていて、実際にバリアンはエルサレムという街ではなく、そこの民を守り抜いたんだからね。そういう部分も、「カッコいい!理想のヒーロー」だと思ってしまうところだと思います。何より「国(領地)より、そこにすむ人々(命)を守る」っていう姿、各国のお偉いさん達にこういう気持ちがあれば、この世はもう少しマシになると思うんだけどね〜。

 西洋史というか、欧米人が常識の範囲内で把握している十字軍(12世紀のエルサレム)の最低限の知識がある程度ないと観ていて置いてかられる部分は確かにありますが、それを省いても十分に見応えある作品だということは変わりはありません。戦闘シーンの迫力はもちろんだし、バリアンという一人の青年の生き様だけでも惹き込まれるものがあるし、敵軍との人間関係の描写といい、ヒューマンドラマとしても十分に観られる作品だと思います。
 でも、やっぱり、3時間以上あったという本来の長さが観たかったです。来年にディレクターズカット版としてDVDが発売されるそうですが、この作品のちゃんとした感想ってそのDVDを観てからって気持ちもあります




 主演のオーランド・ブルームは見事に大役を果たしています。妻子を亡くして無気力状態だった青年が、十字軍の騎士である父親の存在を目の当たりにして、父の意思を受け継ごうと成長していく様はハマリ役でした。最初の頼りなさから、民を守ろうと民衆を鼓舞する姿は本当にカッコよかったし「党首」としての貫禄がありました。特に、敵の兵士達に城壁の上に旗を掲げられそうになったところを防いで、敵軍に睨みを効かすシーンなんて最高!『TROY』での弱っちいパリスとは別人です!けど、強いからって『LotR』のレゴラスのような無敵の強さがあるわけでもなく、『PotC』のウィルのような純粋で馬鹿真面目な青年というわけでもなく、新たな役者オーランド・ブルームの一面を見ることができました。今まで劇場公開されたのが全て脇役でしたが、今回は大作の主役ということもあって今までの作品とは存在感はもちろん雰囲気そのものが違います。なんか一皮剥けた感じがするような…成長していく様をスクリーンを通して目の当たりにしたような印象を受けました。
 あと、過去の出演作品から言って圧倒的にコスプレ率が高いですが、本当に着こなしているんですよね。別に昔の服を着れば昔の人間のように見えるかというと、そう簡単なものではないと思います。それこそ、ただのコスプレになってしまうことだってある。だけど彼は、まるで当時は本当にそういう人がいたんじゃないかという古典的な雰囲気と風貌も持っていて、そいういう面もバリアンという人物を更に魅力ある存在にしていると感じました。
 バリアンて妻子を同時に失ってしまって未来や信仰に絶望感しか抱いていないから、全体的に(特に前半は)表情が暗くて何を考えているのか判らない青年にすら見えるんだけど、ゴッドフリー達と共にメッシーナに辿り着いて食事をするシーンで、十字軍の仲間からカニを「美味いぞ」ってドーンと目の前に出された時の「うっ!?」と一瞬ビビッた表情をしたのが普通の青年らしい表情が垣間見られた印象的なシーンでした。フランスの内陸部の村で生まれ育っていたからカニなんて見たことなかったんだろうな。でも、その後モグモグ食べていたので、実に素直な青年だとも思ったわ。
 あと、もう一つ言わせてもらえば。妙な正義感を振りかざして暴れまくるマッチョなヒーローなんて、20世紀で終わったんだと思う。そういうヒーローもう要らないよ。そんなヒーローがいたって、本当の平和は来ないって判り切っちゃったんだから何の説得力もないもの。むしろ、頼りない男が時代の流れに翻弄されながらも、自分の信じた道(意志)を貫いていく生き様の方がずっとリアリティがある。



 脇も父親役のリーアム・ニーソン、十字軍の軍事顧問役のジェレミー・アイアンズ、聖職者役のデヴィット・シューリスなどなど渋いんですよ〜!リーアムなんて出番は前半だけなんだけど(あんなにアッサリお亡くなりになってしまうとは思ってもいなかったよ…)、十字軍の者達が尊敬していた騎士だというのも納得の存在感でした。
 存在感といえば先にも書いたけど、エルサレムの王ボードワン4世を演じたエドワード・ノートンの存在感が圧巻でした。ハンセン病に侵され、銀の仮面なしには人前にすら出られないまでになってしまった哀れな王で、演技的には目しかエドワードは露出していないのにも関わらず、王としての責任や誇りがしっかり表れていて、彼が息を引き取ったシーンはグッときてしまいました。
 それから、『TROY』でもオーランドと共演していたブレンダン・グリーソンの悪役ぶりもさすが。悪というよりも、十字軍の強欲な部分の代表的存在なんですが、狂気ぶりがさすがでしたね。『TROY』の時と似たようなキャラクターになってしまいそうだけど、さすが全然違うんですよね。妙に愛嬌がありました。
 同じく悪役というかバリアンと対立する存在のギーを演じるマートン・ソーカス。どっかで見たことある顔だな〜って思ったんですが、なんと『LotR』のケレボルン様でしたよっ(驚)!全然違うっ!オーリとはエルフ繋がりになりますが(笑)、ギーの役の方がカッコよく感じました。王族ではないが故に野心家になってしまったような、どこかにコンプレックスを抱えている様が憎めませんでしたね。
 そして唯一のヒロインであったシビラを演じたエヴァのクールな美しさは圧巻。完全に自分の方からバリアンに迫っていましたが(笑)、その男前っぷりが惚れ惚れします。男性社会において決して屈しない女の姿を、美しく逞しく体現していました。

 それから、サラディ役のハッサン・マスードの存在感も光っていました。母国シリアでは有名が映画スターだそうですが、指導者としての存在感とカリスマ性を存分に発揮していたし、主人公と敵対する存在でありながらも人格者であると描かれているので、言動一つ一つがとても魅力的に見えました。決して台詞が多くないんですが、ちょっとした目配せや動作に威厳があり、十字軍との戦いを更に緊張感あるものにしていたように感じました。このサラディとボードワン4世が相対するシーンが僅かにありますが、この2人のシーンの緊張感がるやり取りは見応えがあり印象に残ったシーンの一つです。




 重い題材なだけに観る人を選ぶ作品だと思うし、人によっては物語の背景(歴史)についていけなくて「難しい」と感じる人もいると思います。だけど、バリアンという一人の青年の行動を通して見たエルサレムの世界として見ると、十字軍や宗教云々ではなく「自分が信じるべき道はどこなのか?」というヒューマンドラマに辿り着くと思います。
 12世紀の物語だけど、今の時代背景を通しても見られる作品だし、現代に生きる人々が作り上げているからこそ、12世紀を通して見た現代の紛争世界としても見られるんじゃないかと思います。狂信的ではない人間が宗教紛争の世界でヒーローになっているというのは、どこか皮肉ぽく感じなくもないですが、この作品を観た後にバリアンのようなヒーローが現代も存在してくれれば…と思う人が多いと思います。逆にリドリー監督は、12世紀のヨーロッパの世界を描いたことで、「現代にはこういうヒーローが必要なんだ」とも表現したかったのかもしれない。

 とにかく、ご贔屓監督であるリドリー作品で、主演があのオーランドということもあって非常に期待していた作品ですが、決して期待を裏切らない見応えのある素晴らしい作品でした。随所にリドリーらしい「哲学」が「美学」が詰め込まれていたし、オーランドも今までに無いワイルドでカリスマ性のある人物を好演していました。「観て良かった」と思える作品でしたね。

 ちょっと皮肉めいた表現になってしまうけど、アメリカがバリアンの言動というか、バリアンのような存在をヒーローとは認めない限り、この世界から戦争は消えないと感じました。だって、今行われている戦争だって「名誉」とか「正義」って言っているけど、要は「領土」や「権利」の奪い合いでしょ?ティベリアスが「当初は心からエルサレムの為に戦っていたが、実際にやっていたことは欲の奪い合いだった…恥ずかしく思う」ってバリアンに言い残して去っていったけど、早くこう感じる人が出て来て欲しい。私は現在のアメリカ政権が大っ嫌いなので、『KOH』のような世界観は大歓迎してしまうタイプです。逆に今のアメリカ政権を愛している人達にとっては、『KOH』のような作品は大っ嫌いなんだろうな〜とも感じています。むしろ、こういう作品をよくハリウッドで作ったよなぁ、リドリー監督!凄い怖い者知らずというか偉いよっ!
 結果的に賛否両論出まくりの批判されやすい作品になったんだろうけど、この作品が色んな意味で話題になるということは、それだけでも映画作品として世に送り出した価値があったんじゃないかと思っています。誰もが同じ意見を出す作品や、まるで論議されない作品なんて何の魅力も感じないもの。むしろ、妙に批判される作品ほど愛着を感じます。少なくとも、私はこの作品をこの時代に観られて良かったと思っていますしね。





ミーハー炸裂な『舞台挨拶れぽ』

 


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