記事提供:山口 博氏 |
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6_11 測定、分析及び改善
経営者は、これらプロセス全体の管理や監視の実行によって得られる情報や実際のプロセスの活動の情報を通じ、品質システムが適切な状態に維持管理されるよう事実に基づく必要な判断と決定を実行していく必要があります。 プロセスにおける各管理責任者は、定められた計画をPDCAで実行し、その状況を正しく経営者に報告する義務があります。 1)製品の適合性を実証するために製品の監視及び測定 2)品質マネジメントシステムの適合性 3)品質マネジメントシステムの有効性を継続的に改善 今まで、多くの経営者は、蓋をあけてみて初めてわかった、どんなことが現場で起きているのか、まるでわからなかった、といって大きくなった問題に苦しい対応をしている状況が見られます。 また、実際に被害や危害として発生している現象は、それそのものが本質ではありません。 すべての食品自己にみられる本質の姿はプロセスに有ります。 本来の責任主体を経営概念に組み入れていなかった・・ リスクを正しく評価できていなかった・・ 変化を敏感に見ることができなかった・・ 情報を適切に経営判断に反映させる仕組みが無かった・・ 曖昧な根拠で一方的な判断をしていた・・ 実際におきている問題に対し必要な処置を講じていなかった・・或いは必要と考えることができなかった・・ そうした一連の結果が、食品事故の本質であります。 食品事故の現象そのものは結果の断片にすぎません。 その組織の経営者、組織の責任者、社員、職員が自社に求められるニーズを明確にし、皆同じ認識の中から必要なプロセスのアプローチを行う、自分たちの取り組みと消費者、顧客とのつながりを常に明確に表し、継続的な最善を目指す活動を展開する。 ここでの測定、分析及び改善とはそのような意味があります。また、そんな取り組みが今、食品産業には強く求められていると思います。
7 おわりに 2年前に同じISOスタンダードの取り組みをした同業系列業者がいます。 ここの工場は関東方面で日配の業務用弁当製造を事業とする工場です。その担当者が先日私にこんなことを言ってきました。 「うちも最近景気が悪くて、ISOの認証をやめることにした。だってISOやったってさっぱり儲からないから・・」 ここの経営者幹部たちは結局ISOという認証看板に利益性を求めていただけのことでした。 では、実際に彼らがどんな取り組みをしていかたというと、ISOの認証を取るための仕事、システムの意味や自社の必要な中身に言及せず、ただ、複写コピー文書を山のようにファイルし、審査のためのシナリオをつくり、売上に結びつくと案に期待していただけでした。 いわゆる古いバブル期の再現をいつまでも夢見る人たちです。消費者の権利、顧客満足などという概念はサラサラありません。あまりにも知恵が無さすぎます。また、そうした考え方をみていると、品性がなく、胡散臭い詐欺師のような印象を受けます。でも、それが当たり前だった時代があります。そして、今でもその再現を夢見る経営者が多いのではないでしょうか。 本質を変え、これからの時代の必要性に根ざした経営をしていかなくては、食品という消費者や私たちの暮らしになくてはならないものを信頼することができない、そんな怖い社会になっていくのではないでしょうか。 日々食品現場の中では、まだまだ、改善し、本質を変えていかなくてはならない仕事が私には山ほどあります。 できることの限界もあります。でも、そんな葛藤と接し、できる最大限のことをしっかり取り組んでいくことが自分自身の責任であると感じています。 そのために、消費者、顧客の原点にたった経営マネジメントシステム、安全衛生に対する責任を果たせるメーカーにしていくことが必要であると感じています。
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