食品業へのISO9001:2000品質マネジメントシステムの導入

記事提供:山口 博氏


6−7 購買

 食品における購買プロセスは、ニーズを得て実際に製品を製造する上で必要な原材料や資源を調達する全般を指す重要な影響をもつプロセスになります。
 特に食品においては購買調達品に使用する原材料について使用の段階で機能性が十分であるかどうかを判断することが困難な場合もあります。
各種主原料は、どのような由来によって漁獲、生産されているのか、或いは加工品であれば、自社が品質マネジメントシステムに要求する製品への要求ニーズを満たす要素をもっているか、
必要な要求と合意確認と、共通の認識をもってお互いにとって有益な取引関係を維持できるようにする必要があります。自社が必要なニーズを明確にし、調達先に対し要求することは、自社の向こうにある消費者や顧客に対し必要なことであります。お互いが必要な協調関係の中で購買取引関係を連鎖させていくことが、流通全体にとって技術向上や継続改善にもつながっていきます。
無理なことを、強引に要求することも危険なことです、また、そうした無理な要求に対し、まるで手品でも見せるようなことがあってはなりません。
今回の原産国不正操作の問題では、消費者に渡る流通の中で、各業者間におけるニーズが偏り、結果として消費者の側にたった有効な取引関係が無かった点も大きく上げられると感じます。
お互いが偏った要求を強引に取り付け、要求する、その過程がブラックボックスであったため、必要なコントロールができなかったという事情もあったと思われます。
ここでは、要求する側が、まず、この規格要求にある消費者、顧客主導の観点にたって、必要なことを明確に要求する。そして、そのプロセスがしっかりと確認できる、そういう正統な購買調達関係が今後特に必要であると思います。

6−7−1 供給者の評価と選定

 自社が要求する品質ニーズを満たすことのできる調達業者を正しく選定する方法を明確にすることは非常に大切なことであると感じます。
ともすれば、昔ながらのもちつもたれつという馴れ合いの関係でお互いの都合のみの取引が優先されることも今まで多くあります。結果、主役の消費者や顧客が見えない状況に陥り、お互いのためだけの取引と利益を追求するだけの関係があたりまえになってしまいます。
そういう状況が発生しないよう、過去の取引や納入品の品質実績や能力をしっかり評価し、把握した中で購買取引を行うようにする必要があります。

6−7−2 購買情報

 購買取引を行う各種原材料について、要求する内容を明確にし、相手に要求をする要領を具体的に定めていきます。特に主原料や使用食品添加物の情報について、JAS法への対応やアレルギー表示制度における使用原材料の由来、製造過程、遺伝子組替え農産物の分別の有無など、製品の安全性や由来に関わる重要な要素になります。
 

 
 
サンプル
数量
ブランド
条件
規格書
原産地証明
製造由来
安全データ
冷凍輸入原料
   
生鮮原料
 
 
   
複合原材料
食品添加物
 
 

 必要な情報や取引方法は、それぞれ異なりますが、扱う内容によって必要な情報や確認方法を明確にしていく必要があります。

6_7_3 購買品の検証

 調達原材料が要求事項を満たしているか、どのような段階において、どのような方法で実施するのが適切であるか、その方法を明確に定めていきます。

 食品の原材料の場合、多くの評価は直接的な納入時の抜き取り評価によって確認をする以外に、日々の取引の中で様々な情報をもとに判断することも必要になります。個々の取り扱う種類によって、何を検証とするか、その方法を明確にします。

 
種類
受入検査方法及び検証
頻度
受入基準
自主検査
抜取検査
工程記録
産地情報
委託加工品
指定基準
 
納入単位
添加物
※該当する場合JAS、JIS規格・HACCP基準

他業界基準の適用。

規格、数量、表示事項、製品状態の確認

     
副原料
資材
冷凍原料
購入ロットのサンプル品検査及び加工適合性認
     
ロット毎
生鮮原料
現地における現物評価(鮮度)
     

 

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