Quality Management System 品質マネジメントシステムーISO9001:2015ー用語の定義



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用語の定義


用語の定義は、DIS案では掲載されていたが、公式の規格の発刊とともにISO9000:2015に移動された。

ISO9000:2015は、規格の用語にこだわらず組織のビジネスで使っている用語を使うように奨励している。品質マネジメントシステムが組織のビジネスから乖離することなく、ビジネス運用面での利便性と有効さを高めることを意図しているからである。とは言うものの、国際規格で使用されている用語を十分に理解せずに品質マネジメントシステムの構築はできない。また、新規規格は、Annex SLから引用された共通用語が多数採用されている。その事由からも、正しい用語の定義を知ることは必要と考える。

なお、DIS案で引用された後、最終的にはISO9000に移行されたた用語に限って、より容易な表現を使って用語の解説を行う。なお、ISO9000:2015規格用語の翻訳ではなく、DIS案とAnnex SLの双方の内容を含めて作成していることに留意されたい。

用語に関する質問も含まれたAnnex SLに関するFAQを添付した。規格用語の理解に役立つ説明もある。例えば、”identify”と”determine”の違いなどである。英文ではあるが、規格原文を引用して資料を作る場合に、正しい用語を使うように心がけるために掲載した。


組織:


組織は、個人、もしくはグループで成り立ち、自らの目標を達成するために、責任、権限および相互関係を保つ機能を有する。会社、法人、事務所、企業、組合、共同経営会社、協会、もしくは非営利団体であり得る。さらに、それらがお互いに共同することもしないこともあり得る。しかも、私的か公的を問わずに所有されることもあり得る。また、大規模な組織体の一部として運用される集団でもあり得る。 事例は、競争相手もしくは反対勢力のグループを含め、顧客、所有者、組織の人々、供給者、銀行家、組合、共同者、もしくは社会。

利害関係者:


利害関係者は、ある決定事項、もしくは活動に影響を与うるのもならば誰もでが該当する。あるいは、その影響を受けていると受けとめているもの、もしくはいずれは受けることになると信じているものも該当s得る。利害関係者は、組織の決定事項もしくは活動から利便を享受し、あるいは組織に権利行使を主張する個人、グループ、もしくは組織である。

要求事項:


要求事項とは、あるニーズ、期待、もしくは責務である。組織、組織の顧客、あるいはその他の利害関係者によって定められた、もしくは暗示されることがある。暗示されるとは、組織にとっては習慣的に行われているか、または通例的に行われていることを意味する。特定されている要求事項とは、例えば文書によって示された内容である。

要求事項には、幾つかの種類がある。顧客の要求事項、品質要求、品質マネジメント要求、マネジメント要求事項、製品の要求事項、サービス要求事項、契約上の要求、法的要求事項、および規制面での要求事項などである。

マネジメントシステム:


マネジメントシステムは、方針と目的を作り出すため、および方針に従い目的を達成することを担保するに必要となるプロセスを確立するための、相互に関連する、あるいは相互に作用する一連の要素(エレメント)である。これらの要素は、構成、プログラム、手順書、実施要領、計画書、ルール、役割り、責任、関係、契約、同意書、文書、記録、手段、ツール、技能、技術、および資源を含む。

マネジメントシステムには、多くの種類がある。品質マネジメントシステム、環境マネジメントシステム、財務管理システム、情報セキュリティマネジメントシステム、ビジネス継続マネジメントシステム、危機管理システム、食品安全マネジメントシステム、リスクマネジメントシステム、および職業健康安全マネジメントシステムが、それらには含まれる。

マネジメントシステムの適用範囲、または重点な視点は、組織の特定されたあるいは固有の機能であることもあり、あるいは組織全体であることもあり得る。複数の組織を横断するある種の機能を含めることさえあり得る。

トップマネジメント:


用語”トップマネジメント”は、通常組織の最高位にある人をいう。資源の提供を行ったり権限を委譲する人でもある。その上で、組織を調整したり、指揮したり、管理する。

ただし、マネジメントシステムの適用範囲が組織の一部である場合には、トップマネジメントとは、組織内の一部を指揮し、管理する人を指す。

有効性:


有効性は、計画された活動の結果が達成された度合い・程度をいう。計画された活動が実際に実行され、計画された通りに達成できたならば、その活動は効果的であったと言う。

方針:


方針は、全般にわたるコミットメント、組織の方向づけ、もしくは意図であり、トップマネジメントにより公式に表明される。品質方針は、品質マネジメントシステムの実践と改善に対するトップマネジメントのコミットメントを表明したものである。コミットメントには、各部門長が品質目標を策定することを許容することも含まれる。

目的(Objective):


目的は、達成しようと意図しようとする何らかの成果である。目的は、戦略的、戦術的。あるいは運用的であり、様々な領域に関連し得る。例えば、財務、安全衛生、環境の到着点などである。また、様々な階層で適用できる。例えば、戦略的レベル、組織の全体、プロジェクト単位、製品やサービスごと、プロセスごとに適用できる。また、目的は、目標(target)、狙い(aims)、ゴール(到着点)、あるいは意図された成果など別の形で表現されることもある。

品質マネジメントシステムのコンテキストにおいて、品質目標は、組織の品質方針に基づく、または由来し、それに一致している必要がある。

リスク:


ISO9000によると、リスクは、”期待された成果に関しての不確かさの影響”と定義されてる。そして、”影響”には、期待されるものからの肯定的、もしくは否定的な隔たりの二つがあるとしている。これが何を意味するのかは次の二つの文章で説明されている。

この定義は、私たちすべては不確実な世界で物事を行っていることを認めている。 私たちが何かを成し遂げようとするたびに、物事が計画通りに行くことはあり得ない可能性が常にある。 時には我々は肯定的な結果を得ることもあり、また時には否定的な結果を取得してしまう。そして、ある時には両方を得ることもある。 このため、我々はできるだけ多くの不確実性を低減する必要がある。

不確実性(または確実性の欠如)とは、情報の不足を伴い、その結果として不適切な、または不完全な知識や理解につながる状況、あるいは状態である。 リスクマネジメントの文脈では、出来事、結果、または可能性の知識や理解が不十分または不完全な場合には、常に不確実性が存在するとされる。

ISO9000では、リスクは否定的(positive)であると同様に肯定的(negative)でありうると定義しているが、その注記に一つ(注記5)には、”用語リスクは、否定的な結末の可能性のみがある場合にときには使われる”としている。注記4では、”リスクは、ある事象(その周辺状況の変化を含めて)の結果とその発生の”起こりやすさ”との組み合わせとして表現されることが多い”としている。

ということであり、なんとも言い難い定義を掲げているのが、新規規格の”リスク”なのである。

力量(Competence):


邦訳”力量”は、意図された結果を達成するための知識と技能を適用するための能力を意味する。力量があるということは、必要となる知識と技能を持ち、それらをいかにして使うかを知っていることを言う。力量があるということの意味は、その業務を行う資格があるとのことでもある。したがって、明確にされた力量は、時には”資格”と称されることがある。

文書化された情報:


用語”文書化された情報”は、管理・維持されねばならない情報とそれを支える媒体(メディア)を指す。文書化された情報はあらゆる書式(フォーマット)で、またあらゆる媒体であり得るし、あらゆる情報源(ソース)に由来することができる。

文書化された情報は、品質マネジメントシステムとそれに関連したプロセスを含む情報であると呼ばれる。さらに、情報は、組織が管理運用するために必要なすべての情報を含み、組織が達成した結果(別名記録)を文書化するために利用する情報をも含む。

ということで、従来から踏襲してきた品質マニュアル、文書化された手順書、記録などはすべて”文書化された情報”に置き換えられた。文書化を重視してきた規格からの脱皮を意味している。文書の自由度は高められ、組織の使い勝手が良くなったと言える。言うなれば、情報をデジタル化して利用することが一般的になっていることに追従したと言える。

プロセス:


プロセスは、インプットをアウトプットに変換するために相互に関連しているか、あるいは他のプロセスと相互に作用している一連の活動である。 プロセスは、インプットをアウトプットに変換するために資源(リソース)を使用する。一つのプロセスからのアウトプットは、多くの場合、別のプロセスのインプットになるので、プロセスは相互につながっている。

プロセスは、通常にはインプットをアウトプットに変換するが、このことは必ずしもそうではないことがある。 時にはインプットは、変換されずにアウトプットになることがある。例えば、製造プロセスで使われる設計図、あるいは化学反応での触媒である。

組織のプロセスは、計画され、制御管理された条件下で行われるべきである。効果的なプロセスは、計画された活動を実現し、計画された結果を達成するものである。

生み出されたアウトプットがすぐには、あるいは経済的に妥当性を確認できない場合には、 プロセスは、多くの場合”特殊工程”と呼ばれる。

パーフォマンス(Peerfomance):


規格での定義は、”測定可能な結果”である。組織の活動、プロセス、製品、サービス、システムが達成することができる測定可能な成果を意味する。したがって、何事もなく実行されたならば、許容可能な結果であるが、そうでなく満足できない結果ならば許容できないと判定する。

なお、パーフォマンスは、定量的、あるいは定性的な所見のいずれにも関連し得る。

外部委託する(動詞)(Outsourse):


組織のある機能、またはプロセスの一部を外部の組織で実施するという取り決めを組織が行った場合に、外部委託すると称する。外部委託するとは、通常は組織自身が行われている機能あるいはプロセスを外部の組織に依頼することを意味する。

外部に委託された機能やプロセス自体は、組織の適用範囲に入れる必要がある一方、委託先の組織は適用範囲の外になる。

モニタリング(monitaring):


邦訳では”監視”が使われている。しかし、モニターするとは、色々な段階で、あるいは異なる時間の活動、プロセス、あるいはシステムの状況(status)を確認することである。

状況を確認するには、モニターされている活動、プロセス、またはシステムを管理し、絶えず点検し、注意深く観察する必要がある。”監視”の意味が、これらのことを意味するならば同意するが、やや違和感がるのでモニタリングを使っている。

測定:


測定は、値を決定するために使われるプロセスである。多くの場合、この値は量である。

監査:


監査は、体型的に証拠を収集するプロセスである。監査は、中立的な立場を保たねばならず、証拠は、監査基準がどれだけうまく満たされているかを判断するために客観的に評価されねばならない。監査には、三つのタイプがある。すなわち、第一者、第二者および第三者である。第一者監査は、内部監査であるが、第二者および第三者監査は外部監査である。なお、これらを組み合わせた複合監査もある。なお、”監査証拠”と”監査基準”については、ISO19011に定義されている。

組織は、自らを監査するために第一者監査を実施する。第一者監査は、マネジメントレビューへのインプット情報を収集し、その他の内部的な目的のために実行される。この第一者監査は、組織が特定の要求事項を満たしていることを宣言するためにも利用される(これを自己宣言と呼ばれる)。自己宣言は、小規模企業によって採用されることが多い。小規模組織の活動が監査される義務から解放されてその独立性が証明される得る。

第二者監査は、顧客、もしくはその代理人によって実施されるのが通常である。しかしながら、第二者監査は、規制当局、もしくは、組織に関心を持っている他の外部団体によっても実施されることがある。第三者監査も外部監査であるが、ISO9001またはISO14001への適合性を認証する審査機関、もしくは規制当局のような独立した組織によって実行される。

複合監査もあることはすでに指摘した。しかし、ISOは、複数の組み合わせ監査と共同ジョイント監査とは区別している。異なる分野の二つまたはそれ以上のマネジメントシステムが同時に監査される場合には、複合監査と呼ばれる。他方、同じ一つの被監査組織に対して監査を行うために、二つまたはそれ以上の監査機関が共同で実施する時には、共同ジョイント監査と称している。

適合:


適合とは、”要求事項を満たしている”ことである。要求事項とは、ニーズ、期待、あるいは責務を意味する。 要求事項には、顧客要求事項、品質要求、品質マネジメント要求事項、マネジメント要求事項、製品要求事項、サービス要求事項、契約上の要求事項、法的および規制要求事項などを含む多くのタイプがある。 これらの要求事項を満たす、または順守することを”適合する”と称する。

不適合:


不適合とは、要求事項を満たしていない、あるいは不履行していることである。要求事項とはニーズ、期待、あるいは責務を意味し、組織、もしくは利害関係者によって意見表示されたり、あるいは暗黙で示されたりする。

是正処置:


再発を防止するために不適合の原因を除去する目的で講じられた処置である。不適合には、ひとつ以上の原因が存在することがある。是正処置のプロセスは、顕在化している不適合、および潜在的に望ましくない状況が再び起こらないようにするために試みることである。

継続的改善:


継続的改善は、パーフオマンスを向上するために繰り返して行われる一連の活動である。継続的改善は、監査結果、自己評価を収集分析し、およびマネジメントレビューを通じて改善の機会を見出し、改善活動を実施することにより達成させられる。さらに、データを収集し、情報を分析し、目標設定のためのプロセスを隔離し、是正処置を講じ、リスクベースの考え方による予防処置によっても実現される。

修正(Correction):


定義は、”検出された不適合を除去するための処置”である。
不適合を除去するために講じられた処置が修正であるが、修正は、不適合発生の根本原因に対応していないことに留意すること。製品に適用された場合、製品の再製造、再加工、異なる用途に使うように変える、あるいは、単純に廃棄することが含まれる。

参画(Involvement):


人々が目的を共有し、組織の目的達成に積極的に参画し貢献する時に起きる事象が、”参画”(Involvement)である。

なお、ISO9000:2015の品質マネジメントの原則

組織のコンテキスト(context):


邦訳は、”組織の状況 ”であるが、筆者は、規格の要求事項から考えてビジネス環境の意味合いが強く反映しているので”コンテキスト”を使う。 事実、 ISO9000:2015での定義は、”ビジネス環境”としている。


注記には、”組織のコンテキスト”の概念は、利潤を追求する組織に対するのと同じく、非営利、もしくは公的な組織にも等しく適用されるとしている。さらに、英語でのこの概念は、ビジネス環境、組織環境、あるいは組織のエコシステム・生態系のような他の用語によって表現されているとしている。

機能(Function):


規格の定義では、組織の指定された部門によって実行されるべき役割である。すなわち、組織の部門が実行しなければならない業務である。

顧客:


顧客は、供給者から製品かまたはサービス(アウトプット)を受け取る誰かである。顧客は、ひとかあるいは組織のどちらでもあり、また、組織の外部または内部のいずれでもある。組織外の顧客は、外部顧客である。顧客の事例としては、消費者、依頼者、最終使用者、小売販売店、内部プロセスへのインプット、受益者、および購買者である。

供給者(Suppller)供給者(provider):


供給者とは、製品か、あるいはサービスを提供する個人、もしくは組織である。供給者は、組織に対して内部的であることか、あるいは外部的などちらでもある。内部的な供給者は、組織自身の中にいる人たちに製品もしくはサービスを提供する。その一方、外部供給者は、他の組織に対して製品もしくはサービスを提供する。

供給者の事例には、生産し、配送し、あるいは製品を販売したり、サービスを提供したり、情報を出版する個人、もしくは組織が含まれる。ISOは、この用語の定義を今も含めているが、新規規格ISO9001:2015は、実際にはこれをもはや使わない。変わって、新規規格は、”外部提供者”を好んで使っている。

なお、契約している状況では、供給者は、”契約者”と称することがある。

改善(Improvement):


改善は、パーフオマンスを向上(より良い結果を得る)するために行われる一連の活動である。改善は、単独の活動、もしくは活動の繰り返しの手段によって達成され得る。

マネジメント:


用語”マネジメント”は、組織を調整し、指揮し、管理する目的で使われるすべての活動に対する総称である。これらの活動には、方針を設定し、目的を策定し、そして、これらの目的を達成するためのプロセスを確立することが含まれる。この文脈では、用語”マネジメント”は人の事については言及していない。マネジャーたちが行うなにがしかの行為のことである。

   規格の定義での注記には、次のように記述している。    
   用語”マネジメント”は、人を示すことがある、例えば、組織の運用と管理に関する承認権限と責任を有する個人もしくはグループである。このような意味合いで”マネジメント”が使われた時には、混乱を避けるために何らかの形式での限定する説明を設けることが必要である。”組織を指揮し、管理するために調整された活動”であるとする”マネジメント”に関する規格の定義の概念と混同される可能性があるからである。例えば、”トップマネジメントは、・・・・”が許される場合に、”マネジメントは、・・・”とすることはやめるべきである。言い換えれば、”管理職の”、あるいは”マネジャー”のように人に関する場合にこの概念を伝えるために用語”マネジメント”を採用する時には、別のことなった用語が使われるべきである。    

品質マネジメント:


規格の定義は、”品質に関するマネジメント”である。

品質に関するマネジメントは、品質を管理するために組織が利用するすべての活動を含む。活動には、品質方針を制定し、品質目標を策定することが含まれる。これら以外に、品質計画、品質管理、品質保証、および品質改善も含められる。

システム:


システムは、相互に、または相互作用する要素の集合として規格で定義されている。 マネジメントシステムは、一種のシステムである。組織が、方針と目的を策定し、方針が守られ目的が達成されることを確かにするために必要となるプロセスを確立することを目指して組織が利用する”相互に、または相互作用する要素の一組の組み合わせ”である。

インフラストラクチャー:


規格の定義は、”組織の運営に必要となる施設、設備、およびサービスのシステム”である。 用語”インフラストラクチャー”は、組織を機能させるために求められる施設、設備と支援サービスの全体的なシステムである。ISO9001、条項7.3.1によると、用語インフラストラクチャーには、建物、設備、ユーティリティー、および技術(ハードウエアとソフトウエアの双方)が含まれる。

品質マネジメントシステム:


品質マネジメントシステムは、 組織が方針と目的を策定し、方針が守られ目的が達成されることを確かにするために必要となるプロセスを確立することを目指して組織が利用する”相互に、または相互作用する要素の一組の組み合わせ”である。これらの要素には、構造、プログラム、実施方法、手順、計画、規則、役割り、責任、関係性、契約、合意、文書、記録、手段、ツール、技能、技術および資源が含まれる。

品質方針:


規格の定義は、単純に”品質に関連する方針”である。
品質方針は、品質マネジメントシステムに対するトップマネジメントのコミットメントとして表明されねばならない。また、マネジャーたちが品質目標を設定することができるフレームワークが品質方針に提供されていなければならない。このことは、品質マネジメント原則に基づき、組織の他の方針と両立して、組織のビジョンと使命と整合性がなければならない。

品質マネジメント原則は、品質方針を策定する基盤が提供されているし、顧客と利害関係者を重視し、リーダーシップを発揮し、改善を奨励し、意思決定には証拠を活用し、企業関係を管理することを求めている。

戦略:


規格の定義は、単純に”目的を達成するための計画された活動”である。これ以上の説明も注記もない。

オブジェクト(Object):


存在物
認識可能なもの、あるいは考えられる何でも.

事例は、製品、サービス、プロセス、人々、組織、システム、資源である。 オブジェクトは、材料(例えば、エンジン、一枚の紙、ダイヤモンド)、非オブジェクト(例えば、換算率、プロジェクト計画)、あるいは,想像上のもの(例えば、一角獣)

品質(Quality):


形容詞としての”品質”は、オブジェクトに適用され、定められた固有の特性が、あらかじめ決められた要求事項を満たしている度合いを意味する。オブジェクトは、考えることができるか、あるいは認識可能などちらかの実存物である。固有の特性とは、オブジェクト内に存在する機能である。

オブジェクトの品質は、あらかじめ決められた要求事項に対して定められた固有の特性を比較することによって決めることができる。もしもこれらの特性がすべての要求事項を満たしているならば、すぐれた、または卓越した品質が達成される。しかし、すべての要求事項を満たすことができなければ、低い、あるいは粗末な品質であることになる。したがって、オブジェクトの品質は、あらかじめ決められた要求事項と定められた固有の特性がどうかによって決まり、固有の特性が要求事項をどの程度沿っているかによって決まる。

用語”品質”は、悪い、良い、あるいは卓越しているなどのように形容詞として使われる。"固有(inherent)”とは、指定される(assgined)とは反対に、オブジェクトに実存している意味がある。

法的要求事項:


法的要求事項は、立法機関によって決められ、義務的なものである。

法的要求事項:


規制上の要求事項は、立法機関から権限を得ている当局によって指定された法的義務である。

欠陥:


欠陥は、不適合の一種である。欠陥は、製品またはサービスが定められた、あるいは意図された用途の要求事項を満たすことができない時に起きる。

欠陥と不適合の概念の違いは、特に製品とサービスの信頼性問題に関連する法的な言外の意味を持っているので重要である。
また、顧客によって暗示されたている意図された用途は、供給者によって提供された使い方やメンテンナンスなどのような情報の性質によって影響を受けることああり得る。

トレーサビリティ:


トレーサビリティは、製品、部品、材料とサービスの履歴、配送、場所および適用を明確にし遡及するための機能である。トレーサビリティシステムは、製品、部品、材料がどの供給者から来たのか、どのように加工されたのか、最終商品とサービスとして誰れによって配送されたかの足跡を記録し、追跡することができる。

革新(Innovation):


革新とは、新たな又は実質的に変化されたオブジェクトになるプロセスである。

革新の対象となるオブジェクトは、例えば、マネジメントシステム、プロセス、製品、サービスである。

契約(Contract):


契約とは、二つ、またはそれ以上の団体と交わす合意のことである。

設計と開発:


設計及び開発は、オブジェクトに関する一般的な要求事項をより詳細な要求事項に変換するプロセス(プロセスの組み合わせ)である。

設計及び開発へのインプットを形成する要求事項は、設計及び開発のオブジェクトに関するアウトプットに比較してより広範囲に、より常識的に表現されることができる。プロジェクトには、複数の設計及び開発段階(ステージ)がある。

英語で、用語”設計”と”開発”、及び用語”設計及び開発”は、時には同義的に使われことがあり、さらに、場合によっては、設計及び開発全体のそれぞれ異なった段階を定義するために使われる。(フランス語の場合も概ね同じだが、英語での設計は、”構想・着想”となっている。参考にされたい。)また、形容詞は、設計開発されているものの性格を明確にするために適用される。例えば、製品の設計及び開発、あるいはプロセスの設計及び開発である。

品質目標:


品質目標は、組織が達成を意図している品質上の成果である。品質目標は、組織の品質方針に基づいて、または、方針から導き出される。その上で、組織の方針と整合性を保つ必要がある。品質目標は、一般的には、組織内の関連するすべてのレベルと関連するすべての部門で策定される。

形容詞としての品質は、オブジェクトに適用され、定められた固有の特性が、あらかじめ決められた要求事項を満たしている度合いを示す。オブジェクトは、考えることができるか、あるいは認識可能などちらかの実存物である。したがって、品質目標は、任意の種類のオブジェクトに設定することができる。

アウトプット(Output):


アウトプットは、プロセスの結果である。アウトプットは、可視できるものであるし、不可視のどちらでもある。

規格は、四つの汎用的なアウトプットの分類をリストしている。すなわち、サービス(例えば、運送)、ソフトウエア(例えば、コンピュータプログラム、辞書)、ハードウエア(例えば、エンジンの機械部品、タイヤ)、加工された材料(例えば、潤滑油)

多くのアウトプットは、異なる汎用的なアウトプットのカテゴリーに属する要素の組み合わせである。ある一つのアウトプットは、主要な要素にしたがってサービス、製品、ソフトウエア、ハードウエア、あるいは加工された材料のいずれかだと呼ばれる。例えば、車両は、ハードウエア(例えば、タイヤ)、加工された材料(燃料、冷却材)、ソフトウエア(例えば、エンジンコントロールソフトウエア、運転者マニュアル)、そしてサービス(販売員から与えられた操作説明書)から成り立ちっている。また、製品の所有権は移転される。これは必ずしもサービスとは限らない。

製品:


製品は、プロセスの結果であるアウトプットであるが、可視できるものもあり、可視できないものがある。規格での定義では、”必ずしも供給者と顧客との接点では実行されるとは限らない活動の結果としてのアウトプット”となっている。

ハードウエアは、一般的には有形で可視でき、その量を数えることができる特性を持つ。加工された素材も、一般的に有形であり、その量は連続的な特性を持つ。ハードウエアおよび加工された素材は、品物と呼ばれることが多い。ソフトウエアは、情報によって形成され、一般的に無形で不可視である。アプローチ、処理、あるいは文書化された情報の形が取られる得る。
具体例に関しては、”アウトプット”の定義を参照されたい。

サービス:


規格の定義では、”供給者と顧客との間のインターフェイスで実行される、少なくとも一つの活動の無形のアウトプット”となっている。

サービス提供には、多くの形が取られる。サービスは、組織自体の製品をサポートするために(保証サービス、食事の提供など)提供され得る。反対に、例えば、修理されるべき車などのように顧客によって提供される製品に対して提供されることもある。また、例えば、接待、雰囲気作り、移動手段の提供、あるいはアドバイスの提供のように、顧客に対して無形のモノを提供することもあり得る。規格の定義では、顧客支給の無形の製品(例、納税申告に必要な収支情報)に対して行う活動、さらに、無形の製品の提供(例。知識伝達という意味での情報提供)をあげている。

なお、サービスは、通常、顧客によって経験される。

データ(Data):


”オブジェクト(Object)に関する事実”が規格での定義である。言うなれば、用語”データ”は、オブジェクトについてのいかなる事実であるとして定義されている。

情報:


”意味のあるデータ”が規格での定義である。ところが、用語”意味のある(meaningful)”がこの文脈で何を意味するのかが全く不明である。辞書では、”meaningful”とは、それが重大で、関連があり、材料となる、有効で、または重要な場合に、何かが意味があると言うことが多い。

客観的証拠:


”あるものの存在または真実を裏付けるデータ”が規格での定義である。また、客観的な証拠は、観察、測定、試験を実行したり、またはその他の適切な手段によって収集できるとしている。

なお、監査のための客観的証拠は、一般的に、監査基準に関連し、かつ検証できる記録類、事実を記載した書類、またはその他の情報から成り立ている。

情報システム:


ISO9001の文脈では、情報システムとは、組織内で利用されているコミュニケーション経路(チャンネル)のネットワークである。

知識:


知識は、情報が高い確実性で真実である情報と正当な信条の集合体である。

検証(verification):


検証は、一つのプロセスである。このプロセスは、”的確性プロセス”と呼ばれることがあり、定められた要求事項が満たされていることを確認する目的で客観的証拠を利用する。定められた要求事項が満たされたならばいつであっても、検証の状態は、達成されている。したがって、”検証済み”という用語は、検証が済んでいる状態を示すために用いられる。

要求事項が満たされたことを検証するには多くの方法がある。例えば、あることを検査すること、試験を実施すること、別の計算を行うこと、あるいは、文書を発行する前にレビューすることなどである。

妥当性確認(validation):


妥当性確認は、一つのプロセスである。このプロセスでは、特定の意図された用途または適用を明確にする要求事項が満たされたことを確認するために客観的証拠を利用される。すべての要求事項が満たされたならば、妥当性確認の状態が確立されている。妥当性確認は、現実的な使用条件のもとで行われるか、模擬的にシミュレートされた使用環境内において実施される。

特定の意図された用途または適用を特定する要求事項が満たされたことを確認するには多くの方法がある。例えば、別の方法で計算すること、あるいは、文書を発行する前にレビューすることなどによる試験または他の形の確定手法である。

フィードバック:


用語”フィードバック”は、製品、サービスに関して表現されたコメントまたは意見、あるいは製品やサービスへの関心(interest)である。顧客の苦情処理プロセス自身をフィードバックと称するためにも使われる。

顧客満足:


規格の定義では、”顧客の期待が満たされている程度に関する顧客の受けとめ方”となっている。

顧客満足は、受けとめ方であるし、その程度への疑問点でもある。したがって、高い満足から低い満足まで変動する。顧客の要求事項が満たされたと信じたならば、彼らは高い満足感を体験する。製品またはサービスが相手に引き渡されるまで、顧客の期待が組織に知らされていない、あるいは顧客本人も認識していないことがある。しかも、顧客の期待が明示されてもいないし、暗黙のうちにも打ち明けられていない、あるいは、義務として要求されてもいない場合であっても、これらを満たすことにより高い顧客満足を達成する必要性があることがある。

顧客からの苦情は、顧客満足度が低いことの一般的な指標であるが、苦情がないことが必ずしも顧客満足度が高いことを意味するわけではない。

顧客要求事項が顧客と合意され、要求事項が満たされている場合でも、それが必ずしも顧客満足度が高いことを保証するものでもない。競合する他社との比較が必要となる理由がここにある。そのためには、顧客満足をモニターし測定する必要が生じる。その方法は多くある。顧客満足と意見の調査、納入後の製品品質のデータ収集、保証請求の追求、ディーラーレポートの収集と分析、顧客の賛辞と批判の詳細検討、失われたビジネスチャンスの分析などである。

苦情:


ISO9001の文脈では、苦情は、製品もしくはサービスついての不満足の表現で、顧客によって申出され、組織が受け取る。顧客が正式に苦情を提出したならば、いつであれその対応は、明示的に、あるいは暗示的に要求されている。すなわち、顧客は何らかの対応を必ず求めていると理解すべきである。

監査プログラム:


監査プログラムは、特定の監査目的を達成するために意図され、決められた期間内で実行するように計画された一つの、もしくは複数の監査であると称せられる。

監査基準:


監査基準は、基準点として使用され、方針、要求事項、およびその他の形式の文書化された情が含まれる。これらの監査基準は、基準がどの程度満たされているかを決めるために監査証拠と比較される。監査証拠は、方針がどの程度実践され、要求事項が守られているかを決めるために使われる。

客観的証拠/監査証拠:


客観的証拠とは、何かが存在し、または真実であることを示す、または証明するデータである。客観的証拠は、観察、測定、検査を実行するか、あるいはその他の適切な手段で収集され得る。

客観的監査証拠とは、使われた監査基準に関連する記録と事実についてのその他の記述書で構成され、検証することができる情報である。

規格の定義は、”監査基準に関連し、かつ、検証できる、記録、事実の記載、またはその他の情報”だけである。

監査所見:


規格の定義では、”所見(findings)”と邦訳されている。日本では、それとは異なり”観察事項”という用語が一般的に使われている。なお、”収集された監査証拠を、監査基準に対して評価した結果”として定義している。

監査所見は、監査証拠を評価し、監査基準に対して比較したプロセスからの結果である。監査所見は、監査基準が満たされている(適合)、または満たしていない(不適合)を明示することになる。さらに、これら監査所見は、ベストプラクティス、あるいは改善の機会を明らかにしてくれる。

なお、英語では、監査基準が法令要求事項、または規制要求事項から選択された場合には、観察所見は、”順守”または”不順守”のどちらかが使われる。

特別採用(concession):


特別採用とは、不適合製品やサービスを使用すること、もしくは納品するために引き渡すこと(リリース)に許可を与える特別の承認である。特別許可は、通常、特定の用途に限定し、製品とサービスの数量、または期間を限定するとともに、不適合となっている特性が特定の範囲内に限定されることが多い。

リリース(引き渡し):


リリースすることとは、プロセスの次のステップに進めることに対し許可を与えることを意味する。用語”リリース”は、英語では、ソフトウエアや文書化された情報の分野では、”リリース”をソフトウエアや情報自体の版(バージョン)を指すためにしよいうされることが多い。

特性(charactaristic):


規格の定義は、”そのものを識別するための性質”である。特性は、本来備わったもの、あるいは付与されたものであり、定性的あるいは定量的のいずれでもあり得る。本来的に備わった性質は、ものに現存しているか、ものの永久的な特性であるが、付与された性質とは、 何かに起因しているか、または付け加えられた機能である。

特性には、次に示すような様々な種類がある。
物理的(例、機械的、電気的、化学的、生物学的)
感覚的(例、嗅覚、触覚、味覚、視覚、聴覚)
行動的(例、礼儀正しさ、正直、誠実)
時間的(例、時間の正確さ、信頼性、即時入手可能性)
人間工学的(例、生理学上の特性、または人の安全に関するもの)
機能的(例、飛行機の最高速度)

パーフォマンス指標(indicator)・パフォマンス測定基準(metric):


パフォマンス指標は、顧客満足を測定し、アウトプットの実現がどの程度であったかを測るために使われる特性である。事例としては、百万回の機会当たりの不適合の数、初回に実現する能力、ユニット当たりの不適合などが規格であげている。

この特性は、定量的でもあり、定性的でもある。

確定(determination):


確定することは、一つまたは複数の特性とそれら特性の価値を見出すための活動を意味する。

レビュー:


レビューは、一つの活動である。その目的は、レビューされている物事が設定された目標を達成する能力がどの程度あるのかを明らかにすることである。レビューでは、次のような質問を行う。すなわち、レビューの主題(目標)が適切で、妥当で、有効で、かつ、効率的であるか?

レビューには多くの種類がある。例えば、マネジメントレビュー、設計及び開発レビュー、顧客要求事項のレビュー、不適合のレビュー、同じ分野の専門家によるレビューなどである。

レビューには、効率の確定を含むこともある。

測定機器:


測定機器には、測定プロセスを実行するために必要となるすべての装置が含まれる。したがって、ソフトウエア、基準器、標準物質、補助装置、またはその組み合わせとともにすべての関連する計測機器と計器が含まられる。