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             2000年版ISO9001の新しい要求事項

 現在多くの監査機関やその他の団体が2000年版ISO9000の対応に関する説明会を行っているように見聞きする。私自身もある研修機関の依頼でセミナーを行っている。新規格は、現行の規格と異なりその構成を含め大きく変化している。新規格を正しく理解し、過去のような禍根を残すことの無きことを願って新規格の追加、もしくは変更を整理した。出典は、TC176委員会のメンバーに配布されている指針である。新規格をどのように判読するかに役立つことを願っている。


適用範囲

条項1.1 一般

1994年版では、不適合を防止することによって顧客満足を達成することが第一義的な目的であった。がしかし、この適用範囲での条項は強化されたすなわちシステムの効果的に適用することによって顧客満足に重点を置く要求事項があり、継続的改善および不適合の防止に対するプロセスが加えられた。

条項1.2 許容可能なる除外

この条項は新規に設けられ、許容可能なる除外の文言の適用に関する一般的なる記述である。

顧客の要求、組織の製品の特性、もしくは適用される法的規制での要求によってISO9001:2000において特定されたプロセスに対し、ある品質マネージメント・システムを必要としない場合には、組織は、組織の特殊性に合わせるために規格の要求事項を除外することが許される。

組織は、顧客並びに適用される法規制上の要求事項を満たす製品を提供するための組織の能力に影響せず、かつ組織の責任が免責されない品質マネージメント・システムの要求事項のみ除外できる

狭められた適用範囲は、ISO9001:2000の条項7"製品の具現化"にのみ適用される。組織は、条項2,5,6,8を除外することは許されない。

用語および定義

条項3 用語、および定義

この条項は、ISO9001:2000に適用されるISO9000:2000品質マネージメント・システム-基本的な事柄および用語において説明が与えられている用語および定義を述べている。

ISO9001:2000で用いられている用語、'組織'はISO9001を適用する組織の一単位を意味する以前の'供給者'に置き換わるものである。用語'供給者'は、以前の用語であった'サブコントラクター'に変わって使用される。

品質マネージメント・システム要求事項

条項4.1 一般的要求事項

この条項の元でより強調するために追加されたことは継続的改善の必要性である。

ある品質マネージメント・システムを実践する上で必要なるステップは明確にされ。以下の通りである。

a) 品質マネージメント・システムに必要となるプロセスを明らかにする。
b) これらのプロセスの連鎖並びに相互作用を確定する。
c) これらのプロセスの効果的運営並びに管理を確実に行うために必要となる基準並びに手段を確定する。
d) これらのプロセスの運営並びに監視を支援するために必要となる情報の入手・利用の容易性を確保する。
e) これらのプロセスを測定し、監視し、分析するとともに、計画されたよい成果と継続的改善を達成するために必要となる活動を実行する。

1994年版の条項4.2.1が相応している。

条項4.2 一般的な文書要求事項

この条項の元で要求される文書に関してある示唆が与えられている。

品質マネージメント・システム文書は、以下を含むこと。

 a)本国際規格で要求している文書化された手順。
 b)組織のプロセスの効果的運営並びに管理を確実の行うために組織が必要とする文書

1994年版の条項4.2.2が相応している。

経営者の責任

条項5.1 経営者のコミットメント

経営トップのコミットメントがより強調された。

特に留意しなければならないのは、副条項(a),(b),そして(e)であり、あとは経営資源に関してであり、条項6 経営資源の管理に直接関わっている。

a)顧客要求と同様に規制上および法的要求への適合の重要性を組織に対し報知・伝達する
 b)品質方針並びに品質計画を策定する
 e)必要とする経営資源の利用可能を確保する

条項5.2 顧客志向

この条項は、顧客の要求に関して経営トップが深く関与することを強化している。

条項では、経営トップは、顧客のニーズ並びに期待が明確化され、それらを要求事項として変換し、顧客の満足を達成する目標の完遂を確実に行うことと述べている。

1994年版の条項には無いものである。

条項5.3 品質方針

この条項は、経営トップが組織の品質方針を確立する事をきちんと行えるように強化されたものである。特に留意しなければならないことは、副条項(b)要求事項を満たし、継続的改善を行うことがコミットメントに含まれていること、および副条項(c)品質目標を設定し、かつ見直しを行う枠組み(フレームワーク)を提供することである。

1994年版の条項4.1.1が相応している。

条項5.4.1 品質目標

この条項のもとで、組織内の関連する部門およびレベルでの品質目標に対する要求事項が強化された。

さらに述べられていることは、継続的改善に向けてのコミットメントを含み、この品質目標は計測可能であり、品質目標と合致していなければならないことである。

1994年版の条項4.1.1および4.2.1が相応している。

条項5.4.2 品質計画

この条項は明確さを目的として、また品質計画を作成する上で変更を確実にどう管理するか含めて改訂された。

品質計画には、以下の事柄が包含されていること。

a)容認可能な除外を考慮し、品質マネージメント・システムのプロセス(1.2を参照)
b)必要となる経営資源
c)品質マネージメント・システムの継続的改善

計画に当たっては、変更が管理された方法で行われ、品質マネージメント・システムの完全性がこの変更時においても維持されることを確保にすること。

1994年版の条項4.2.3が相応している。

条項5.5.3 経営代表者

この条項は今回さらに明快となり、経営トップは、他の責任と関係なく、経営代表者(複数も可)を任命しなければならない。その管理責任者の権限は明確にされ、以下の権限を含むこと。

c)組織全体にわたって顧客要求に関しての意識・自覚を喚起する

1994年版の条項4.1.2.3が相応している。

条項5.5.4 内部コミュニケーション

この条項は新規であり、品質マネージメント・システムのプロセスおよびその効果に関してあらゆるレベルや部門の間でのコミュニケーションが行われるように組織に要求している。

1994年版の条項には無いものである。

条項5.5.5 品質マニュアル

この条項は強化され、いかなる除外も組織が特定し、その合理的説明を品質マニュアルで明記することが要求事項として含まれている。

さらに、品質マニュアルには品質マネージメント・システムの中に含まれているプロセスの連鎖・流れおよび相互作用に関する記述がされていなければならない。

1994年版の条項4.2.1が相応している。

条項5.6 経営者によるレビュー

経営者によるレビューに対する重要なるインプットおよびアウトプットの要求が重視される文言がさらに付け加わった。

留意しなくてはならないインプットに関わる副条項は、

 (b)顧客からのフィードバック(c)プロセスの実績および製品の適合度(d)予防および是正の現状
(f)品質マネージメント・システムに影響を及ぼす変更・変化

留意しなくてはならないアウトプットに関わる副条項は、

 (a)品質マネージメント・システムおよびそのプロセスの改善
 (b)顧客要求事項に関連する改善

1994年版の条項4.1.3が相応している。

 

経営資源の管理

条項6.1 経営資源の提供


この条項は、組織が品質マネジメントシステムのプロセスを実践し改善するため、並びに顧客満足に取り組むために必要となる経営資源が何かを決定し、タイムリーに提供することに対する要求事項を一層明確にしている。

1994年版 の条項 4.1.2.2 が相応している。


条項 6.2.2  教育訓練、意識及び専門技能


この条項の適用範囲が拡張され、教育・訓練のニーズだけでなく専門技能及び意識が含まれるようになった。
組織は、次のことを行わなければならない。


a)品質に影響する活動を行なう要員の専門技能に関するニーズを明確にする 。
b)これらのニーズを満たす教育訓練を行う。
c)行った教育訓練の有効性を評価する。
d)社員が全体に対する自分の活動の関わり具合、並びにその重要性を自覚し、そして自分がどのように品質目標の達成に貢献しているかを認識できるようにすること。
e)教育履歴、訓練、技能及び経験を適切に記録し、維持する。


1994年版の条項 4.18 が相応している。

条項6.3  施設


組織は、製品の適合性を達成するための施設を明確にし、提供
し、維持しなければならない。


これには次の事項を含むものとする。
a )作業場所及び関連施設
b )設備、ハードウェア及びソフトウェア
c )支援サービス


1994 年版の条項 4.9 が相応している。

この条項での第一義の要求事項は、プロセスが管理された状態で実施されることを確実とすることを目的としている。

条項6.4  作業環境


組織は、製品の適合性を達成するために必要な作業環境の人間的並びに及び物理的要因を明確にして管理しなければならない。

1994年版の4.9 が相応している。

 


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