内部品質監査の活用 企業活動は絶えず変化している生き物であり、品質向上活動には終着点がないことはすでに述べた。これは継続的改善が必要なことを如実に表している。この継続的改善を実現するための仕掛けが内部品質監査である。この仕組みを巧みに利用することは、TQMへの発展を促す近道でもある。ここでは内部品質監査の活用を述べてみたい。 はじめに、まことに興味のある記述を「ISO9000とTQMの融合」(飯塚悦功 編者 TQM9000研究会編)から引用したい。 「ISO9000からTQMへの発展の基本的な考え方は、ISO9000の特徴をうまく活用しながら、ISOの監査が対象としている『品質システム』を、TQMの領域に拡大することにより、TQMの構築・維持を効果的に支援できる制度にしようというものである。もっと端的に言うならば、内部品質監査を単なる『監査』から『診断』へとレベルアップさせることである。」 このように内部品質監査をTQM活動に最大利用するためには、内部監査員の質的向上を図らなければならない。残念ながら、現在日本の多くの監修機関で行われている内容は形式的なことに重点が置かれているだけでその効果には疑問が多い。内部監査員の質的向上を図るには、さらに高額な審査員養成セミナーなどによる研修が一般的に採用されているのが現状である。しかし、研修のみでは十分でなく、経験豊かな監査員のもとで実際に体験しなければその実力は養われない。さらには、マネージメントの基本的な知識、QCや統計的手法の修得も必要になる。すなわち、よき内部品質監査員の養成は、時間もコストもかかるということである。 さらに監査員には素質も重要な要素である。望ましい内部品質監査員に求められる行動パターンを下に列挙する。
健全な判断能力がある。 これらのすべてを満たすような人物を見つけることは不可能であり、もしいたとしても内部品質監査員にするより、経営者として育てる方が得策ということになるやもしれない。いずれにしろ、重要なことは優秀な人材を当てることで、無作為に品質管理や品質保証の関係者を選ぶことはでき得れば避けたい。経験したことであるが、販売部門に属する社員が意外にその力を発揮することである。 効果的な内部品質監査に話を戻そう。 (つづく) |