本審査で審査員と交わされる会話

問答集への入り口は下記の文中にもあります。

第二日目 午前

 午前8時45分、審査員2名が、会社の事務所に到着した。審査員達は、「お早うございます」と挨拶を事務員にしながら、前日と同じ会議室に入った。社長と専務は、審査員の到着したのを知って、すぐに「おはようございます」と言いながら会議室に入った。専務が指示していたように、事務員がコーヒーを出した。「よくお休みになられましょいたか?」と社長が審査員に尋ねた。「はい、ありがとうございます。おかげさまで、よく眠れました。夕食で少し飲み過ぎたようです。」と山田主任審査員がコーヒーを飲みながら答えた。

 しばらくコーヒーを飲んでいた山田主任審査員が、立ち上がりながら「では、今日も一日審査をいたします。どうか、よろしく」と言った。「こちらこそ、よろしくお願いします。」と社長が答えた。

 「では、昨日にも説明いたしましたが、今日の予定を再確認させていただきます。まず、午前中は、製造、工程内検査、最終検査、出荷作業を二人で手分けして見させていただきます。そして、午後は、内部品質監査、品質記録となります。これも別々に手分けをしながらやらせていただきます。その後、一時間ほど時間をいただき、今回の審査結果を説明させていただきます。このクロージング・ミーティングは、大体4時頃になると思いますが、オープニング・ミーティングに出席された方々全員が集まれるようにご手配をお願いします。よろしいでしょうか。」

 社長が「はい」と答えた後、山田主任審査員は、「では、私は製造と工程内検査を担当します。原山審査員は、最終検査と出荷作業を見ますので、それぞれの現場に案内をお願いします。」と言った。専務は、「私がご案内します。」と言って立ち上がった。審査員は、書類を脇に抱えて専務に従った。時刻は、9時半だっだ。 

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製造と工程内検査

最終検査

出荷作業

会議室での審査員同士の会話

 「いやー随分シンプルなシステムだなー。これでも良いのかなー。」と原山審査員が会議室に入ったとたんに呟いた。山田主任審査員は、「良い悪いで判断するモノではないのがISO規格だから、規格に照らしてシステムが欠落していなければ、よしとしないとだめよ。」と答えた。そして、「何か不適合がありましたか?」と原山審査員に尋ねた。

 「いや、品質マニュアルで定めていることは、すべてオーケーです。しかし、規定で記載されていないことが二件ほどありました。これは、オブザベーションでしょうね。」
 「それはなんですか?」
 「定期的に輸送業者に業務の内容について討議することになっているのに、やっていませんでした。それから、先出し先入れ法で出荷するとなっているのですが、これは出荷担当の業務のように規定しているのですが、実際は総務課がパソコンで出荷するロットを決めているのです。これらを不適合にするのは疑問ですね。」
 「検査の方はどうでしたか?」
 「外観検査をしているのですが、その判定基準がなく個人の判断になっているのです。だれでも出来るらしいのですが、やはり限度見本ぐらいは作った方がよいと思うのですがどうでしょう。」
 「それは、規定でなにも決めていないのですか?」
 「そうです。」
 「なら、オブザベーションでしょう。」
 「そちらはどうですか?」
 「うん、似たようなものです。規定類が現場に置いていないのだが、ここのように小規模ではそれでもいいのかなと思っていること。そして、検査機器の校正はされているらしいが、これは今からでも確かめたいね。ちょっと、専務を呼んできてくれませんか。」
「はい、呼んできます。そのとき校正記録を持ってこさせます。」

 専務が、種類を持って会議室に入ってきた。校正記録を審査員が調べたが、国家標準で校正された基準器で校正をしていた。その記録もきちんと整理されていた。しかし、校正対象にしている計測器が検査に使用する計測器の一部であることに疑問をもったようだ。とはいえ、規格では、「製品の品質に影響を与える測定器」であり、すべてを要求していない。だから、疑問であっても仕方がないようなそぶりだった。校正手順はJIS規格を引用していた。これも正しい。審査員は、初回審査だから仕方がないようなことを呟いていた。

 そのときに、「失礼します」と言って事務員がノックをして昼食を持って入ってきた。そこで、審査員達も会話を止めた。

第二日目 午後

 昼食は、社長と専務が審査員と一緒にとった。食事が終わると社長と専務は会議室を出た。審査員達が内々で話をしたいようだったからだ。

 午後一時頃、原山審査員が専務のところのやってきて、「これから内部品質監査について審査をしたいので、書類をもって来ていただけますか。」と言った。専務は、そそくさと書類をまとめて会議室に入った。

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内部品質監査

「内部監査については終わりましたので、少し休憩してから品質記録の審査にはいりたいのですが、準備をしていただけませんか。」と山田審査員は専務に言った。専務は、一難去ってまた一難のような気持ちになりりながら会議室をでた。

 専務は、たばこを吸って一息いれてから書類をもって会議室に入った。

品質記録

 

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