環境ホルモンがオスをメス化
わたしと同じように、会社を早期退職した知人たちとメールを通じていまもおつき合いをしている。その一人の小島さんからの投稿です。なかなかおもしろいので紹介したい。
1月11日付けの読売新聞によると、ダイオキシンなどの約70種類の合成化学物質が、生物の内分泌撹乱物質(環境ホルモンと総称される)である疑いがあり、それらが自然環境に放出され、既に生物界に異変が起きはじめているとの事。環境ホルモンは、生物に対して、女性ホルモンとして働き、オスをメス化する働きがある由。
美川憲一やピーターの様な男性が、このごろ増えてきたと思っていましたが、ひょっとしたら環境ホルモンのせいではないかと思えてきました。ヨーロッパでも、日本でも、若い男性達の精液に含まれる精子の数が減っているそうですから、まんざら杞憂でもなさそうです。子供の数がどんどん減ってゆくかもしれません。
世の中の男性が、全部、女性化しても、クローン技術が出てきたから、人類は滅亡する事はないという人がいるかもしれません。でも、それは早とちりだそうです。子孫を作るのに、オスとメスが、遺伝子を交換し合うのは、ビールスなどに抵抗性のある子孫を作るためだそうです。最近のコンピュウーター科学での実験によると、単性生殖の場合には、ビールスに負けて種の滅亡を招くのだそうです。
むかし読んだSF(空想科学小説)の中に、戦争で男が一人もいなくなって、女だけが生き残り、クローン技術に因って子供が出来るという世界の描写がありましたが、このまま、環境ホルモンが増え続ければ、数百年後の地球は、そんな女性社会になり、やがてはビールスに負けて、人類滅亡という事になるかもしれません。
現実生活のかかっている産業戦士達にとっては、数百年後の人類の事など、どうでも良い事でしょう。また、そんなことを考える余裕も無いでしょう。気の長くなるような未来の事を考えてあげるのは、我々のような、恵まれた老青年達(オーナーの注:日本企業を退職した元社員が自ら”恵まれた”と口に出している。日本でこんなことを言う早期退職者がいるだろうか。社員を本当に大切する会社だけが、二十一世紀に生き残れると私は思っている。今の日本企業経営者は楽をしているだけだ。)の役目のような気がしますので、敢えて変な話しをしました。新春草々、申し訳ありません。」
続編も掲載しておこう。環境対策と景気浮揚策について、彼のぴりっと辛い意見に対して、みなさんはどのように受け取られますか。年は行っても頭はまだまだしっかりしています。
「私が何度もENCON(ENERGY CONSERVATION)を忘れたのか、と指摘したのもそういう考えからでした。しかし、ここまで走って来てしまってから逆走するのは、難しいでしょうね。どうしたら良いのでしょうか?
歌川さんのおっしゃるように、省エネへの関心が、何時の間にか低下してしまったのは、残念でなりません。ローマクラブの警告と、石油危機の二人三脚が、省エネ技術と次世代エネルギー源開発への投資を増やしましたが、それも何時の間にか尻切れトンボになってしまいました。民間でも、地熱発電、風力発電、燃料電池、太陽電池 等の基礎研究にかなりの予算を組んだ時代もありましたが、今では其の痕跡すらないようです。若き日に、それらのプロジェクトに関わった事が、なつかしく思い出されます。
一方、百姓と土建屋の政府といわれる日本は、道路建設に湯水のように金を使うのに、選挙の票にならない基礎研究の予算にはもともと冷淡です。そこへ持ってきて、米国の真似の好きな日本政府は、石油危機の終焉と同時に、省エネ技術や次世代エネルギーの開発予算を削ってしまいました。民間でもそれに倣いました。
そこで二つの意見を紹介します。一つは、景気浮揚策をかねて、省エネ技術、環境対策、次世代エネルギー開発と言った所に大きく研究費をつぎ込むという方法です。これらの技術は、近い将来世界が必ず必要とする筈です。従って、それらへの投資は、10年−20年後になって、日本が世界に誇れる技術として、必ず日本に利益をもたらすでしょう。無駄な道路の掘り返し予算の何分の一の予算で、それは可能です。
EC諸国の中には、この事実に気付いて、動き出している所もあるようです。軍備拡張や、宇宙開発競争が一段落した今、環境対策や、省エネ技術の開発こそ、最大の景気浮揚策になりうると考えるのは、経済学の素人なのでしょうか。
今一つは暴論ですが、省エネの動きを作り出すために、日本発の世界恐慌を作り出す事です。石油危機が省エネの動きを作ったのなら、世界恐慌も省エネの動きを作ります。世界恐慌を作り出すには、日本政府が持っている米国債券を大量に売り浴びせるだけで済みます。長い目で地球の人類を救うには、これが最善の方法かもしれません。小生が総理大臣なら、まじめに考えます。
妄言、ご容赦のほどを、 迷珍亭亭主敬白」
小島さんが述べている上の意見は、10年ー20年後に役立つでしょう。しかし、環境は「待ったなし」です。朝日新聞での広告記事にあった短期的な日本の出来ることを語っているミサワホーム社長、三澤千代治氏の話しに耳を貸そう。
「大きな技術開発のほかに通常業務の改善としてのISOという国際規格があり、環境マネージメントも取り上げられています。それをやると大体10%から15%ぐらいエネルギー消費を少なくなると言われており、これを機会に全企業が早速それを取り込み始めることでしょう。」
やっと日本でもISO規格が市民権を得ることが出来たのでしょう。しかし、このISO規格が小規模企業に大きな負担になっていることも併せて考えねばならない。だから少しでもこのページがそれに役立てればとあらためて思う。
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環境ISO取得 急増
1月22日付け日経新聞は、環境ISO取得企業が昨年急増したことを一面トップ記事で報道した。要点となる部分のみを転載した。
産業界で環境管理の国際規格「ISO14001」の認証取得が急増している。97年12月の取得件数は過去最高を記録、同月末での取得件数は前年の四倍に達した。従来は環境意識の高い欧州向け輸出に配慮した電機、機械などの製造業が多かったが、最近は国内の環境対応の進展に伴い、建設や流通など非製造・サービス業に加え中小企業にも取得企業のすそ野が広がっている。取得方法も工場ごとから企業・グループぐるみに切り替えるというように多様化。環境に配慮した資材を優先購入するグリーン調達が広がるなど、企業の事業拡大や競争力向上にISO14001取得が不可欠になってきた。(途中略)
12月のISO14001取得件数は66件で、同月末時点の取得総数は618件。取得企業に占める割合は電機が56.0%、一般機械が12.9%とそれに続いている。
グリーン調達や法律面の環境対応の進展が背景となって、非製造・サービス業にも取得が広がっている。総合建設会社(ゼネコン)ではグリーン調達を本格化する施主企業に対応するため、フジタが97年8月に東京支店、佐藤工業も今年、東京支店で取得した。。伊藤忠商事も12月、大手商社で初めて、東京・大阪両本社を対象に取得した。
流通業界では大規模小売店舗法(大店法)廃止後に制定される見通しの新法で、大型店の環境対策も審査対象となる可能性が高いことから取得企業が増えている。西友は昨年12月、全200店と流通センターなど計216カ所に認証を取得した。
取得方法も多様化。従来は工場単位が多かったが、米IBMグループは昨年12月に世界での統合認証を取得した。「世界のどの拠点でも共通の環境基準を設ける方が、多国籍企業に適している」(日本アイ・ビー・エム)と判断した。
滋賀県が資材購入でISO14001の取得を条件にすることを検討するなど、政府や自治体、消費者が企業や商品の選択に環境対応を加え始めている。欧米の株主は企業が環境に悪影響を与えて時のリスクに鋭敏になっている。企業は環境対応の経営を重視していることを訴える手段としてISO14001を積極的に取得している。
ということで、ここに来て環境対応の重要性が日本企業の経営上高まっているとのことだ。結構なことだと思う。しかし、小規模企業にとっては大きな負担となることは、再度強調しておきたい。また、小規模企業はスリムな環境システムで対応することが賢明であることも指摘しておきたい。
国際標準化機構ーISO9000・ISO14000の統合のための調整
2月13日付け日経新聞は、国際標準化機構が重複・矛盾回避へ調整に乗り出したと報道した。全文を転載した。
国際標準化機構(ISO)は、品質管理の国際規格であるISO9000シリーズと環境管理規格のISO14000の間で重複や矛盾が生じないよう調整に乗り出した。用語・定義の統一などを進め、両規格の定期的改訂を予定している2000ー2001年に調整作業も終える。両シリーズの規格に沿って社内体制を整えたい企業にとっては、文書作成などで余計な手間が省けることになる見通しだ。
ISOが設置した技術諮問グループが調整方向を勧告したのを受け、ISOとしても年央に勧告実施に向けた具体方針を最終決定する。勧告は@両シリーズのうち管理システムに関する規格の調和と監査に関する規格の統一AISOで両シリーズの規格作成を担当する専門委員会や審査登録機関との連絡密接化ーなどを促している。
ISOでは各国メンバーなどに意見提出を要請中。両シリーズが国際的に普及する中で、規格の認証を取得する企業や組織が増加している。