日本人の行動パターン、横並び

 朝日新聞(12月5日付け)の記事に「横並び体質から脱皮を」と題したのがあり、内容も興味深かった。中でも、放送プロデゥーサーのデーブ・スペクターとの対談は大変面白いので、その部分を抜き出した。

日本人は横並びで行動することが好きです。
「米国人が横に並ぶのは警察で面通しされる時ぐらい。横にも縦にも並ぶのは嫌いです。ところが日本人は町で人が並んでいると、訳も分からず並んでしまう人もいるほどだ」
「横並び=社内調和=優等生という図式ができていて、調和を乱す一匹オオカミのような社員は排除される。クルクル変える人事異動も、ゼネラリストの養成と言えば聞こえが良いが、専門知識を持たせないようにしているとしか思えない。業者との癒着の防止に役立つと言うかもしれないが、相次ぐ企業不祥事を見れば、何も役立っていない」
 「米国人が特に優秀なのではない。米国では、人間はこっそり不正を働いたりしがちで、ほっといたら何をするか分からないと思っているから、規則を厳しくしているんだと思う。日本では、みんな仲良く悪いことをしないと思い込んでいるので、規則はあっても、厳しくないのだろう」
 ー日本人は変わると思いますか?
 「変わらなければいけないんじゃないかな。米国の今の好景気はいろんな国から優秀な人材が集まって、勝手にクリエーティブな仕事をしているからでしょ。みんな同じ価値観を持った社員を抱えたような日本の大企業からは新しいモノは生まれない。横並びでいたいという体質を変えないと、だめになると思うよ」
 「外資系の企業で働いている日本人は個性的な人が多い。変わろうと思えば変わるはず。でも、甲子園の高校野球の開会式の行進を見て、「整然として、すがすがしい。いいなあ」と思っているなら変わらないと思うが、「気味が悪い」と思うようになれば変わります」

 この記事の結論は、横並び競争の中で品質や価格を競う時代は終わり、人間の創造性を高め、誰も思いつかなかったモノやサービスを作り出すことが求められている時代にすでに入ったのだとしている。だから、日本企業は「横並び体質」から早く脱皮しななければ、「国際競争では負ける」ことになる。

 もっと易しく言えば、「変な外人」と言っていた日本人が、いまや世界から「変な日本人!」となっていることに早く気づくことだ。

 最後に、元エッソ石油取締役社長で現在のシティコープジャパン会長が紙面対談で語っていることを引用する。

 日本の企業は伝統的に横並びの経営を行ってきました。自分たちの個性を出したり、差別化を図ったりしなかったのです。つまり、行政指導や独自の理由によって、日本の企業は他の企業と足並みを揃えることに努めてきたのです。
 が、アワラックシもシティバンクもその殻からいちばん早く抜け出し、常に他社との差別化を図ってきました。それが成功の鍵だったのですね。
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ISO14000 西友取得

 西友が、十日、環境管理の国際規格である「ISO14001」の認証を取得したと報道された。以下その記事の内容。

 取得対象は201店の全店舗のほか物流センター11カ所、4事業所の計216カ所。ペットボトルの回収やエネルギー低減など、環境保全に向けて同社の活動計画が評価された。小売業でのこの認証を取得するのは珍しいという。
 「ISO14001」の認証は、財団法人日本品質保証機構から取得した。
 同社は90年に環境対策室を設立したのを皮切りに環境保全活動を本格化。昨年11月には同規格取得を目指した「ISO推進委員会」を設け、準備を進めてきた。97年中にはポリ袋の全店での回収や、発砲スチレン製トレーの6%減、既存店での廃棄物117トン削減といった目標を立てている。

 この動きは、環境には大変有効と考える。日本での過剰包装は資源の無駄使いである。本を一冊買ってもカバー紙をつけ、スーパー店ではポリ袋を渡すにがほとんどだ。ドイツをドライブ旅行していたときに、町の八百屋さんで果物をかったが、袋がないので女房と二人で手に抱えて、車を置いているところまでやっとこさ帰ったことを思い出す。では、ドイツ人の買い物客はどうしているかというと、昔の日本のように買い物籠をもってくるのだ。少なくとも、プラスチック袋より見栄えがよい。プラスチック袋を下げた人を見ていると、連鎖的にシンガポールでの一光景を思い出す。プラスチック袋に入れたジュースを下げた人たちがいっせいに工場に向かう姿だ。

 京都での環境国際会議も終わった。この際一度身の回りを見渡して、無駄な包装をなくすことぐらい日本国民は考えるべきと思う。一言「いらない」と言えばすむことなのだから。 <戻る>

ISO14000 トヨタ自動車主力工場が取得

日経新聞によると、トヨタ自動車の国内主力車両組み立て四工場(高岡、元町、堤、田原各工場)が環境マネージメントシステムに関する国際規格「ISO14000」の認証を取得したことを明らかにした。部品や住宅工場まで含め、99年度中に国内すべての生産拠点で認証を取得する方針とのことだ。

 このトヨタの動きは大変重要で、米国ビックスリーの品質システム規格QS 9000に対する対応が明らかにされていなにもかかわらず、環境システムを優先させたことになる。トヨタ自動車のみならず他の自動車各社もすでに環境マネージメントシステムの構築を手がけていると考えるのが妥当だろう。ならば、その下請け企業も準備を早める必要がある。中規模企業は、対応能力を持っていようが、小規模企業はそうではないと思われる。京都会議以降、環境問題はにわかに身近なものなった。早く取得しなければ小規模企業は、親企業との取引を継続することは困難になるのだろうか。まだこの動きは明確ではないが、品質システムと同様に環境マネージメントシステムの構築は当然のことと考えるのが危機管理の一つと思う。 <戻る>

「サービス」分野に国際規格の可能性検討

 この「かわら版」で、「良品計画」がISO9000認証を取得し、日本のサービス産業も品質向上のためにISO9000の品質マネージメントシステムを進んで採用するようにとコメントを載せた。今日、12月25付け日経新聞は、国際標準化機構(ISO)がサービス分野の国際標準の可能性を検討すると報じた。以下、その記事の一部である。

 世界貿易機構(WTO)の協力で、98年に四カ国で国際会議を開催、ホテル、金融などの分野で、サービスの提供者と利用者の標準化への関心を探る。ISOの標準化事業は写真フイルムなどモノの分野が中心だったが、経済のサービス化と国際化の流れに対応、サービス分野にも本格的に関与する方針だ。

 会議(地域セミナー)は、三、四月にシンガポール、九月にアルゼンチン、十一月にフランスで開くほか、米国の数カ所を予定。シンガポールではホテルや展示会運営、アルゼンチンでは銀行・保険などの分野に焦点を当てる。会議の結果は99年第二四半期に最終的にとりまとめる。

 標準化の対象としては、観光や金融のほか、会計、交通、教育なども想定されている。

 金融分野では既に磁気カード、通貨コードなどでISO規格を作成しているが、今後はこうした技術的標準に加え、業務の質に関連した国際標準が生まれる可能性もある。

 サービス分野での標準化の一例として、ISOは自動車ドライバー団体からホテルの格付けの標準化の要請を受け、さきごろ作業部会を設置して検討を始めた。同じ三ツ星のホテルでも国によって中身にばらつきがあることが要請の理由だが、ホテル側は難色を示しており、まず宿泊施設の定義の標準化から進める。

 サービスはWTOのサービス貿易一般協定など、国際的にルール作りに動いている分野。国際標準があると利用者にとってサービスの相互比較が容易になる。

 このサービス分野の国際標準化が行われると、日常生活に直接関わるモノだけにISO規格の重要さが一般市民にも浸透するだろう。何度も繰り返すが、日本での顧客に対するサービスはあまりのもひどすぎる。銀行の窓口で働いている女性(男性もときにはいるが)の無表情で、しかもあの無愛想さには気分が悪くなる。米国の銀行はと言いたいが、またかと言われそうなので止める。でも、同じニッポンでもシティバンクに行くことを勧める。サービスとは何かをすぐに理解できよう。高級レストランの慇懃無礼ぶりには、人間身が感じられない。もちろん、低料金のレストランでの従業員の訓練不足にはあきれるばかり。国際標準などを云々する以前の問題と指摘したい。「横並び」思考でサービスの基準を決めるとこの程度になって終う。経営者が隣の店しか「ベンチマーク」しないからである。 <戻る>


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