世界貿易機構(WTO)の協力で、98年に四カ国で国際会議を開催、ホテル、金融などの分野で、サービスの提供者と利用者の標準化への関心を探る。ISOの標準化事業は写真フイルムなどモノの分野が中心だったが、経済のサービス化と国際化の流れに対応、サービス分野にも本格的に関与する方針だ。
会議(地域セミナー)は、三、四月にシンガポール、九月にアルゼンチン、十一月にフランスで開くほか、米国の数カ所を予定。シンガポールではホテルや展示会運営、アルゼンチンでは銀行・保険などの分野に焦点を当てる。会議の結果は99年第二四半期に最終的にとりまとめる。
標準化の対象としては、観光や金融のほか、会計、交通、教育なども想定されている。
金融分野では既に磁気カード、通貨コードなどでISO規格を作成しているが、今後はこうした技術的標準に加え、業務の質に関連した国際標準が生まれる可能性もある。
サービス分野での標準化の一例として、ISOは自動車ドライバー団体からホテルの格付けの標準化の要請を受け、さきごろ作業部会を設置して検討を始めた。同じ三ツ星のホテルでも国によって中身にばらつきがあることが要請の理由だが、ホテル側は難色を示しており、まず宿泊施設の定義の標準化から進める。
サービスはWTOのサービス貿易一般協定など、国際的にルール作りに動いている分野。国際標準があると利用者にとってサービスの相互比較が容易になる。