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IQNetの告示ー日本の監査機関もがんばって!
日本の監査機関JQAも加入しているIQNetは米国に本拠を持つ国際組織でその告示を紹介したい。全文は大変な文書量なので割愛するが、2000年版ISO9000にどのように対応するかが詳細に記されている。みなさんの企業へはどのような対応をしているのでしょうか?みなさん方が「顧客」として扱われているか興味津々である。
最後の内容は重要で、今年12月に国際規格が発行すると仮定したならば、来年6月以降に新規に取得する企業に対しては、94版での監査を行うことを推奨していない。と言うことは、日本以外の外国では2000年版ISO9000の認証が一般に普及し、いつまでも94版認証を提示する日本企業が競争の場面で敗北することも起こりうる。これは一層国際競争力を低下させることにつながることも考えられる。監査機関は、このようなことも考慮し、ただ監査機関の売り上げ第一主義を反省する必要があろうと指摘しておく。
2000年版ISO9000ではプロセス・アプローチを指向しているが、これの理解が難しいと言う方が多い。そこで、まず下図を見ていただきたい。これは米国のある企業が実際に実践している部門横断的なバリューチェーンである。2000年版ISO9001で言う顧客ニーズの充足のために企業に存在するいろいろ雑多な業務もプロセス連鎖として認識すれば五つのプロセスに区別できることを示唆している。しかも、これらのプロセスはすべて顧客ニーズの充足のために水平的に、すなわち部門横断的なつながるように重複した部門が重要プロセスに役割を分担している。言い換えれば、企業のすべての業務は、顧客満足のために存在していることである。しかも、このような部門横断的な役割分担により「縦割り」の障害を克服できるとしている。もう一つ見逃してならないことは、フラットな組織が必然的に求められることである。重層的なピラミット型組織では、どうしても縦割り的な集団を形成する可能性が高い。中間管理職を出来うる限り削減し、トップの意向が素早く伝わる組織に変更することが、プロセス指向では必要となる。
日産のカルロス・ゴーンもこれと同じことを実践している。ある雑誌の記事を紹介しよう。 その結果分かったことは、日産には部門横断的な話し合いが全くないということだった。社員は自分の責任範囲でえある専門分野については詳しく語るが、関係のない部門のことは自分の範疇外だとして語ることがなかったのである。 そこでゴーンは、まず部門の壁を取り払い、部門横断的に意見を交換する場を作り、抜本的な改革アイデアを募った。そこから改革案を抽出し、再生プランを作り上げることにした。 そして、事業の発展、購買、製造、研究開発、販売・マーケティング、一般管理費、財務コスト、車種削減、組織と意志決定プロセス、という九つのテーマ別に、リバイバルプラン策定のためのアイデア検討組織「クロス・ファンクショナル・チーム(CFT)」が発足した。 CFTの任務は、日産の事業を発展させ、コストを低減するための提案を出すことにあった。テーマに関係するあらゆる部門から精鋭メンバーが選ばれ、総勢200人に及ぶ社員が策定に直接関与した。 CFTの議論には、一切のタブーや制約がなkった。ゴーンは「この問題には対処法がありません」という発言を絶対に許さなかった。議論の中では様々な反対意見もあったが、反対がでるたびにゴーンは「他にどんな方法があるのか」と問いかけ、議論を突き詰めていった。そして到達した結論が「リバイバルプラン」なのである。 日産の結果はまだでていないが、部門横断的なプロセス指向が革新的なアイデアを生み出すことは理解されたであろう。2000年版ISO9000でのプロセス指向による改善計画の作成という要求事項は、このような背景があって策定されたのである。このような縦割り組織の弊害は、決して大企業だけでなく、中小企業でも大なり小なり見受けられる。チーム・ワークの醸成の点では、他の国々に負けないと自負していた日本は、実は縦割り社会の醸成をも促していたのである。
海外のホームページで見つけたのだが、おもしろい切り口で新規格と現行規格を比較していた。早速紹介しよう。まずはじめは規格の構成や文書体系からの比較である。
以上のように、文書化に重きが置かれた現行規格に対する批判を反映し、要求事項の数には大きな変更が無いにもかかわらず文書作成は大幅に改善されている。では、要求事項を詳細に見るとどうなるだろうか?
要求事項の数は、コンマ、もしくはおよびが含まれている場合には、一つの要求事項として別個に算入した。同じ手法で現行規格を調べたところ合計は、320になり、2000年版ISO9001の要求事項は大幅に省略されたと言える。一方、現行規格に比べ、新規の要求事項が92にものぼり、その対応には困難さが伺えるとしている。これは、海外のあるコンサルタントの調査であるから、このように挑発的な結論を導いているように私は思える。
京都、日本、7月7日付け発信ニュース配布 本日京都会議で、品質マネージメントおよび品質保証のTC176委員会の分科会、品質システムSC2、は、本会議に於いてISO9001:2000-品質マネージメント・システムの要求事項、並びにISO9004:2000-品質マネージメント・システム-業績向上にための指針の案をFDISに格上げすることを採択した。さらに、概念および用語のSC1分科会は、ISO9000:2000-品質マネージメント・システム-基本並びに用語をFDISに格上げを採択した。 参加メンバー国のなかで唯一の反対があった。それは四月に行われたおのおのの規格案に九票の不承認が示めされたのにも関わらず日本がISO9001を、ISO9004をフランスが反対したもののみになった。このことは、参加メンバー国のコメントに対し全面的に重要視するために過去数週間に行われた多大なる努力を反映しているとともに、すべてのコメントが全面的に討議され可能なかぎり解決することを確実にするために京都会議の場で十分なるプロセスを持ったことをも表している。 国際規格として発刊を目的としたFDISの承認にISO規格のための「格上げないしは格下げ」のために、FDIS段階では参加国メンバーに回覧されることが行われる。これ以前の段階とは異なり、これ以上の改訂はなされないのでメンバーは各自の投票に対しコメントを付けない。 これら三つのFDISは、ISO事務局の共同しながら分科会によって今後数週間の内に手直しされ、9月初旬に参加国メンバーによる投票が行われることが期待されている。改訂された規格の発刊日の目標は、十一月中頃である。
しばらくこのかわら版もご無沙汰していた。2000年版ISO9000の情報を掲載するために多くの時間が必要だったことと、この夏の猛暑で体調が良くなかったことがその主な理由である。この九月中頃金沢で新規格の解説講演を行ったところ、それが翌日の「北陸新聞」で報道された。まさか新聞に掲載されるとは思いもしなかった。一日の話であったので十分説明はできなかったが、新規格の概要は理解してくださったのではないか自負している。 金沢では、メーリングリストの仲間と夕食を共にし、本当に愉快な時間を過ごすことができた。遅くなってしまいましたが、お世話をしていただいた多くの方々にこの掲示をもって謝意を呈したい。本当にありがとうございました。
話題は変わるが、ISO専門雑誌「あいそす」十月号に掲載された記事を読んで危惧したいことがあった。TC176委員会の日本代表者の一人がこのようなことを書いている。「早期に自らシステムを変更してどの解釈が正しいか実験してみせるのはお人好しというものであろう。」と。隣が何をするのかを見ながら対応するというまさに典型的な「横並び志向」であり、金融業界で見られたように多くの日本企業が世界での競争力を失ってしまった原因の一つである。それはさておき、今回の規格改訂は、企業の競争力を高めるために役立つようにという大きな目標があってなされたのである。よって積極的に採用した方が企業にとって有利であることも理解できていない。このような人が日本を代表してTC176委員会で物事を進めていたのかと思うと空恐ろしくなる。 このホームページでも情報を流しているように、オーストラリア・ニュージーランドはすでに2000年版ISO9000(DIS)を国家暫定規格として制定し、多くの企業に早く対応するように呼びかけている。アメリカは、米国品質協会が主体となって2000年版ISO9000の特別総会を今年始めに開いたり、五月にも同じような会議を開催し2000年版I対応について企業を支援する行動をとっている。カナダのTC176委員会の代表者の一人は、個人的なホームページを立ち上げ、2000年版ISO9001に対応した品質マニュアルの作成をボランティアで支援している。このような動きを見れば分かることであるが、大げさに言えば国家的な活動の一つとして新規格への対応を押し進めている。 上記「あいそす」記事で発言した委員の言うように「鷹揚に構えたらよい。一年かけて現システムにどう反映するかを考えたらよい」などと言うことは、いま世界で何が起こっているのかを知らない、あるいは「Japan as NO.1 」を未だに忘れられない古代人である。FDISでは、規格の条文第一行が「品質マネージメント・システムの採用は戦略的な決断によること」で始まっている。この意味の重大さを理解することを主張したい。
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