「ISO取得を低価格で支援ー日本商工経済研究所」

 日経新聞の記事によると、商工中金の関連会社で経営コンサルタントなどを手掛ける日本商工経済研究所はISO認証取得の支援サービスを始めたが、五ー十社をまとめて集合コンサルティングをすることにより料金を従来の三分の一程度に抑えたとしている。その「抑えた」料金がなんと一社あたり150万-200万程度だそうだ。一社が単独で受けると500-600万円になるとのこと。

 コンサルティングの内容は、取得するために必要な要件や文書の作成方法などを解説するだけである。必要な要件というが、どのような企業でも取得は可能で、いかにも取得することが困難かを強調するだけではないか。易しく取ることもできることはまず教えないのだろう。そんなことをすれば、こんなに多額なコンサルタント費用が請求しにくくなるからだ。

 いくら「抑えた」料金でもこれでは小規模企業には大きな負担となることは確かだろう。こんな費用も捻出できない小規模企業にはいったいどのような支援があるのだろう。個人でできることを何か考えたい。まずインターネットの利用から始まるだろう。

 また、コンサルタント費用は、いままでこのように公にされたことはなく、憶測でいろいろな情報が乱れ飛んでいた。今回の報道は、残念ながら高額な費用を固定化したように思う。500-600万円もの費用をかけねば取得できないほど文書化や社内体制構築は難しいことではない。いまやっている業務をそのまま文書にすればよいだけである。私は、品質システムはこんな費用を正当化できる価値はないと考える。むしろその金額を社員に還元する方がより効果的な品質システムができると言いたい。

これからの標準化の「キーワード」

 「標準化と品質管理」の新春対談で、佐波正一氏と飯塚幸三氏が興味ある意見を述べられているので転載した。

 飯塚ー今後のISOの大きなストラテジーはコンシューマーの問題と、もう少しスピードの速い規格化とこの二つが大きなポリシーでしょうか。
 佐波ーISOの1999年から2001年に至る長期計画が1998年9月に行われたISO総会で提出されましたが、全体的な長期計画の一つの大きな前提としては、現状でも国と国との間の貿易は一国の経済の進む速度よりも3倍も4倍もの速度で貿易量は増えていますから、これからはそういうことが一つの認識です。
 それから企業も多国間にまたがって生産とか販売、サービスなどをやっていって、それも増えていますし、もう一つは電気通信の発達や普及も著しいものがあります。この三つがこれからの21世紀を迎えての長期計画の一つのベースになっています。
 そういう認識を踏まえてやっていくという面でキーワードが三つあります。一番目は「バリュー」、規格の価値の向上を図らなければなりません。この価値の向上は市場適合性も価値の向上につながるでしょうし、消費者をインボルブすることも価値の向上につながるでしょう。それが一つです。
 二番目のキーワードは「パートナーシップ」です。パートナーシップにはいろいろな意味がありますが、ISOで言えばIECとかITU(国際電気通信連合)とか、あるいはWTO/TBT(世界貿易機構/貿易の技術的障害に関する協定)とかいろいろな国際機関との協調をしながらやっていくということだと思います。
 それから三番目のキーワードが「オプティマイゼーション」です。IECでもISOでも合理化ということができますが、標準規格を作成するためのコストをいかにして下げていくかと言うことです。一つは電子化をどんどん進めていくということでオプティマイゼーションを進めよう。またIECとISOの協調をもって強めていこうということもオプティマイゼーションです。

訪問者の声

 ホームページを開始してからはや2年をすぎた。ボランティア精神を忘れず続けて来られたのは、訪問者の声なき声が聞こえて来ていたからだとつくづく思う。そして先日いただいたこの声は、この年寄りをいっそう奮い立たせてくれた。先方さまにどうしてもとお願いし、掲載させていただいた。訪問者の声を二つ紹介させていただきたい。

声1

 米戸さんのHPを四六時中閲覧させていただいています。ちょうど1年前、当社の購買部門から品質保証課に転属になり、それと同時にISOの認証取得活動が始まりました。

 全くの素人ですので途方にくれていたときに、米戸さんのHPを検索で知り、私のISOに関する辞書のように閲覧させていただきました。おかげさまで、3月中旬には認証取得の内示を審査機関から頂戴いたしました。

 私のような全くの素人が内定までこぎつけたのも、周りの助力や、いそいその皆さんのご協力が大きかったと思います。なかでも、米戸さんのHPにどれだけ啓発され、励まされたかは、はかりしれないものがあります。

 本当に有難うございました。

 Mailにて失礼とは存じますが、取り急ぎお礼まで。

声2

 昨年の12月にトラック運送業のISO 9002取得について、本当に丁寧に教えて頂き有難うございました。おかげで9月にマニュアル・レビューまでこぎつけ審査機関(BVQI)から、OKをもらいました。本審査は来年2月の予定です。

 その後、私もISO9001を勉強しました。特に、米戸さんの「図解、はじめてのISO9000」は、本当に素晴らしく理解しやすい本です。ISOの本は、書店で溢れています。私も、数え切れないほど読みました。でも、米戸さんの本は、一味ちがいました。ISOの思想と、システムを構築していこうとする側にとっての基本スタンスがきちんと読み取れます。この本を読むと、いかに品質管理が重要で、かつそれが企業の発展の源泉であるかが痛いほどわかりました。50歳にしてこれほど理解しやすい本に出会ったのは、今回で2回目です。

 それから,9000auditorの資格を取得し、2者監査とコンサルタントまでできるようになりました。米戸さんの書物のおかげです。また、いま「図解 実用ISO9000」で勉強しています。とても理解しやすいです。それで、コンサルタントを依頼されたときには、米戸さんの本を紹介しています。私の、本職は、シーケンス制御の設計、施工に加え司法書士ですが、ISO9000の世界にもう少し足を入れたいと思っています。審査員登録をして、IR CAに登録する予定です。これからも勉強しますので、よろしくお願いします。

声3

 昨年から工場のISO9001工場事務局を担当しています。ISO9001を取得するための事務局担当を昨年秋に任命され、今年8月に認証取得しましたが、内部品質監査員の 研修をする際に米戸様のホームページを大いに参考にさせて頂きました。ありがとうございました。

昨年まで生産とは畑違いの研究職でしたので、工場のこと、品質管理のこと、ISO9001のこと、‥‥。全く判らない状況でした。米戸様の具体的な、経験を交えての情報に大変助けられました。

ホームページの資料を参考に内部品質監査員の養成研修のテキストを作らせて頂きました。判りやすく、受講者にも大変好評でした。これからも拝見させていただきます。

ありがとうございました。

声4

匿名希望

今日、海外の工場から電話があり来月予備審査、年内本審査との連絡がありました!
日本で経験した不適合を、出来るだけカバーできるようにシステムを作ってきましたが、審査員にはどの様に評価されるか・・・? 今すぐにでも、渡航をしてもう一度見直したい心境です。

前回渡航をしたときに、米戸さんの本をもって行きました。
あちらの工場の担当者は、大変参考になっていると話をしていました。
また、頻繁に米戸さんのHPを見ているようです。
あちらでは、ISOの解説本が少なく、それ以前に書店まで車で2時間というジャングルのなか!本当に助かっているようです。
私も、海外の工場も、米戸さんにお世話になっている訳です。
本当に、有り難うございます。


声5

先生のホームページまさに社内教育うってつけでした。解かりやすいという評価が社内の声です。(一部建設用語に変更しました)
ISO9000の出版された本も大変解かりやすく社内の愛読書になっております。とくに教育と訓練の項目では大変役に立つヒントがあり、当社での実務教育のシステムとして取り入れることが出来ました。かならずしも大げさな教育でなくても日常的な先輩が後輩を指導することが記録となるということで不足している教育・訓練がなんとか形になりました。ひとえに先生のおかげです。

TQM生かし産業再生探る

 日本科学技術連盟はTQM(総合品質経営)をいかに産業再生に役立てるかを探り始めた。会員企業のうち約九百社を対象にアンケートを実施、これをたたき台として6月三日ー五日、神奈川県で実施する品質管理(QC)シンポジウムで産業再生をテーマに二百人近い経営者、研究者が徹底的に討論する。

 不況で元気のでない製造現場が活気を取り戻す方法を探る一方、金融業や大企業の間接部門、行政機関の効率を引き上げる手法を討論し、提言をまとめる。

 実際にTQMを実行している企業での問題点、課題を探ったうえで、今後の推進方法を検討する討論は、分科会と全体討論の二段階方式。

 すでに「戦略決定」「企画・開発・マーケティング」「サービス部門への展開」など六つの分科会のリーダーたちは企業訪問を重ねて、経営者の生の声で問題点を再確認している。

 以上は日経新聞の報道である。なるほど日本企業もTQMを経営に取り入れることを考え始めたようだ。いままでTQCしか信じなかった企業がやっとその気になったのかというのが感想だ。いいことである。日本企業の最大の問題は経営者の質が低いことであると思う。戦略的な経営計画はもちろん、中期経営計画すら作れないようだ。書店には経営計画の構築についての本がずらーっと並んでいるのがその証拠である。

 2000年版ISO9000の性格が明瞭になってきたが、TQMの考え方が強く出てきている。いまの1994年版での最大の欠点は、事業業績を重視していないことである。だから品質システムを取り入れても業績は向上しないという企業がでてくる。わたしはISO9000を取ってから、その向こうにあるTQMを狙いなさいと言っているのはここが気に入らないからである。一方2000年版は明らかにTQMを表面に出してきた。すでに取得済みの企業であっても真剣に取り組めばこれは企業をよくすることができる。ただし、経営者は頭の切り替えが必要となるであろう。

 TQMは昔からあったと言う方も多いと思うが、現時点のNew Mangement Modelsは大きく変貌している。顧客を満足させることが利益を生み出すという社員が主体となった顧客満足志向のマネージメント・システムである。マネージメント・システムも日々進化しているということである。いずれにしてもTQMを目指すためのISO9000であると位置づけることが一番よいと主張してきた一人として愉快な報道であった。

「環境監査ってなんだ!」

 今朝の日経新聞にでかでかと一面全部を使って日本企業の環境対策はお粗末で、「環境ISOの取得企業は環境に優しい」といった”ISO神話”を揺るがす東芝名古屋事件を報道している。やっぱりかの感強し。

 「東芝の事件では、その懸念が現実になっただけでなく、ISOの取得が実際には環境管理体制の強化には結びついてしまった。関係者に大きな衝撃が走った。  さすがに危機感を抱いたのか、その後、環境報告書をまとめる日本企業が相次ぎ、昨年は約一五〇社が作成。自社が都合のいいやり方で情報を出せばいいという程度では、欧米の水準には達しない。監査法人の審査による「第三者意見書」を環境報告書に添付したトヨタ自動車などの取り組みは、まだ始まったばかりだ。」(途中略)

 「こうした調査結果をもとに、欧米で日本企業の選別が進んでいるとしたらーーー「ISOを取得しているから大丈夫」というような横並びの環境対策で安穏としているうちに、気がついたら、国際ビジネスの蚊帳の外に置かれていることにもなりかねない。」

 その通りで、いま日本で起こっている環境ISO取得ブームには首を傾げざるをえない。なぜならそれほど日本企業が過去立派なことをやってきていないことを自認しているからだ。定年間際に経験したことだが、合併相手の国際企業が事業所を訪れて徹底的に過去30年間に起こった事故を調べた。その担当者に対して十数年前に起こった濾油事故を説明した。これが最後の最後まで合併の支障となったことは退職後知ったことである。

 考えると日本企業が本当のことを言うとは思えない。ちょっとでも不利となることは隠すのが体質になっていることぐらいはだれでも知っている。そんな日本企業を相手に環境管理体制なんかを話をすることでけでも身の毛がよだつ。真実を明かさないでいくら環境管理システムを作ってもだれも信用してくれないだろう。環境ISOブームは私には過去の環境対策の悪さを担保しているようにしか見えない。

顧客満足の追求ー求められる仕組み作り

 先週北海道である企業で行った「顧客満足ってなーに?」の話とそっくりのことをケー・アソシエイツ代表 小林祐氏が日経新聞に寄稿されているので転載する。

「CS(顧客満足度)の追求が注目され始めてから、かなりの時間がたつが、本当に成果を上げたケースは少ない。顧客重視と言いながら、実際はひとりよがりのCSだったからである。
 例えばバブル期、多くの企業が多様化している顧客ニーズへの対応を理由に多品種化に走った。だが、その顧客ニーズは、メーカーが勝手に想像したものだった。つまり、供給者が先走って、必要以上の多品種化を推し進めたのだ。
 どの銀行をCSに力を入れていると宣伝しているが、いまだに休日や夜間に利用できるATM(現金自動受け払い機)機能は限定されている。大蔵省の指導があるとしても、顧客が一番必要な時にATMを動かさないのが不思議である。
 テレビ界などは顧客を意識さえしていない。意識しているのは顧客ではなく視聴率だ。出演者にしても、いったんどこかの番組に登場して「大過」なければ、他局でもこぞって採用する。失敗と言われた時に言い訳がたつからだ。
 歯に衣きせぬキャラクターと感受性に欠けることの区別がつかず、見識に欠ける人物をワイドショーに招くなど、世の中の常識とかけ離れた価値観が支配している。視聴者という顧客を理解できず、当事者だけ悦に入っている世界で作られるテレビ番組がまともな人間に面白いはずがない。
 このような風潮のなかで、まじめにCS活動に取り組んでおられる読者に若干のヒントを提供したい。
 まず第一のチェックポイントは、銀行やテレビのように、サプライサイド・ロジック(供給側の論理)にとらわれていないかと言うことだ。これは日頃の発想の癖からくる問題なので。意識しないと直らない。例えば、顧客ニーズを探るための顧客アンケートですら、ほっておくと供給側の発想で組み立てられる。
 二番目はCSを検討する対象が一部に限定されていないか、すべてをカバーしているかの確認である。CSという以上、商品そのものは当然、営業員の商品知識や配送担当者の応接態度を含め、企業と顧客の接点すべてについての満足度問わなければならない。
 あいさつなど従業員の態度を改善するのがCSだと勘違いし、他の問題をそのままにしているケースは多い。肝心の商品が不満足なものであっては、いくら販売員の愛想が良くても意味がない。あなたの会社は「CS=あいさつ運動」になっていないだろうか。
 第三は精神論だけに終わらずに、顧客満足を生み出す仕組み作りをしているかどうかだ。顧客を満足させるには、顧客との接点にある販売や配送業務などのサービスはどうあるべきか、納期は長すぎないか、といった具合に、業務フローを再設計するつもりで具体化していかなければ、CS活動も周辺をなでただけになってしまう。つまり、CSはシステムで解決しなければ本物にはならないのである。」

 顧客ニーズを本当に理解していない例はもっとある。例えば、日本旅館の夕食である。食べきれないほどの料理を出して、残りを捨てている。エステに通う若い女性や健康を最大に大切にしている中年男性にあんなに多くの食べ物を出すことは殺人的なことだと思わないのだろうか。

 いま不景気で困っている旅行会社は相も変わらず団体旅行を宣伝している。団体旅行は我々が貧しかったとき、安い価格で旅行の喜びを与えてくれる商品であって、いまの個人旅行の時代には向いていないぐらいは分かりそうなのに変えない。顧客アンケートを一体どのように分析しているのだろうかと疑いたくなる。

 それもこれもサービス経済社会への移行が進んでいるにも関わらずサービス産業界がそれを意識していないということである。「顧客に軸足を置いて」とか「顧客の目線で」とか言ってるにも関わらず全然それを不思議とも思わないこれらの産業界をもちろん笑ってはいられないが、あまりにも嘆かわしいとも思う。

 小林氏が示唆している仕組み作りに役立つのが2000年版ISO9000である。2000年版では、顧客ニーズや要求を完璧に理解するためのプロセスを明文化することが求められ、顧客満足を満たすためのシステムを構築することが必須である。CS活動を推進するシステム作りは2000年版ISO9000に基づけば難なくできるといいたい。

マツダ社長のTQM

   給料システムも能力市議を反映させらるように変えて行きますか。

 時間をかけて、理解してもらえるようにしたい。上司と部下が仕事の目標を決め、部下は上司に対し自分の強さと弱さをオープンに話さないといけない。そうすれば、数値的な判断もしやすくなる。年度末になって初めて話すようではだめだ。

 上司は人の能力を見極める力が一層求められますね。

 評価能力というよりはむしろ、指導力とカウンセリングという方がいいだろう。部下の仕事をレベルが不十分なら、それに適切なアドバイスができることだ。上司の役割はより重要になる。

 2000年版で個人の役割を明確にすることは、部下が自分の能力にあっているかどうかを判断できない。だから個人にもちゃんと業務の責任分野を決めなさいとなっている。それができないと教育訓練プログラムも作れない。いままでのように上司が「文句言わないで、やれ!!」というスタイルはもう時代遅れ。いまは「それはこうやるともっとうまくできるよ」と指導するスタイルがアメリカ流。時代は変わっています。

 目標を立てなければ、個人の成果を評価できない。評価できないということは、本当に貢献した人を表彰することもできない。それではいっこうに個人に報いることはできないとうことも2000年版にある。これらはすべてマツダの社長が言っていることと同じである。彼はすでに実践しているという自信がある。

情報革命

 60肩に悩まされている毎日だが今日は少しよい。車をガレージに入れる時ハンドルを大きく切れるかどうかが肩の調子を見る目安にしている。よい知らせもあった。昔苦労を共にした友人の常務役が株主に承認された。そんなことで夕方の焼酎もうまい。朝日新聞の経済気象台もご機嫌で読んだ。

 人類は三回の産業革命を経験した。第一回は、農業革命である。その完結には数千年を要した。第二回は、工業革命(狭義の産業革命)である。これは二十世紀におおむね完結したが、それまでに数百年を要した。第三回は、情報革命である。二十一世紀は情報革命の世紀になるが、情報革命には数十年を要するにすぎないだろう。

(途中略)  しかし、情報革命においては、このような有利性はもはや存在しない。あるソフトウエアが世界制覇を遂げた後で、多少の改良ソフトを世に問うても勝ち目はない。
 この現象は、工業革命のさなかに、すでに観察できた。証券市場、商品市場、金融市場、保険、放送、格付機関、等々。
 情報革命の世紀には、工業、農業を含むあらゆる産業が情報化する。そして、そこでの基本ルールは、スピード優先(遅れれば勝ち目はない)である。このことを肝に銘じて行動できるか否かで、明日が決まる。

 約25年前のことだが、ある日突然流通部門の責任者に移された。そこで気づいたことは輸出書類を作るというあまりにも単純なことに多くの女子社員が時間を費やしていることだった。これは無駄だから、コンピューターにやらせるべきと思った。ところがIBMに依頼すると、なんと約五千万円もの見積もりが提出された。どこかしこに頼んでもその金額は大きな差はなかった。そこで英文ワープロで何とかできないかと思い,あるメーカーを訪れた。ワープロの単語記憶能力を使おうというアイデアからであった。見事に成功したが、大きな問題が起こった。社員組合の反発である。赤旗がひるがえり、合理化反対ストライキが幾日も続いた。卑怯な個人的な攻撃もあった。「そんなに無理することはないでは」という管理職でさえ出てきた。

 そんなに反対した組合員がいまどう振る舞っているか。パソコンに振り回されていやでも働いている。だったら、あのときの猛烈な反対はなんだったのか。それに対して自分自身どう納得させているのか。そんなことは気にならず、「若気の至り」で整理しているか。そんな輩がいま多く働く日本に何が情報革命などに生き残れるのかと問いたい。アジア地域では情報革命はとっくに進められていて、日本はもう遅れてしまった。シンガポール、インドなどの方がずっと前に進んでいる。そんな危機感もない日本人の意識革命の方が必要だろう。

「管理」より「リード」を!

 2000年版ISO9000の品質マネージメント・システムを本物にするには、ManagementではなくLeadすることの大切さを理解することが必要だと思う。同じことを朝日新聞の「English Conversation」に載っている。

 "Let's get rid of MANAGEMENT"(管理はやめよう)。ある米国企業のトップは、世界各地から集まった幹部にこう語りかけた。

 そして次のように続けた。"People don't want to be managed. They want to be led."(人は管理なんかされたくない。リードされることを望んでいる)。

"Whoever heard of a world manager? World leader,yes. Educational leader. Business leader...They lead. They don't manage." (世界のマネジャーなんて言わない。世界のリーダーですよ。教育界のリーダー、経済界のリーダー、みんなリーダーでマネジャーとは言わない。彼らはリードするのであって、管理したりしない)

 要はマネジャーにとって大事なのは「リーダーシップ」だということ。そのことを強調するために、この企業ではMnagers meeting とは言わず、 Leadership Meeting と呼ぶ。ちなみに営業担当マネジャーの責務は"responsible for leading our sales efforts"と表現し、managingは使わない。従業員の意識改革も「はじめに言葉ありき」である。

 2000年版ISO9000に採用されている八つの原則にはリーダーシップがるが、その中身はこのことをいっている。

新生「長銀」の最高経営責任者に八城政基氏の就任に思うこと

 今朝の朝日新聞や日経にトップで報道された新生「長銀」の 最高経営責任者として就任する八城政基氏は、元エッソ石油の社長で 定年で退職された後、シティバンク日本代表になられ、今のシティバンク を日本に定着させた方です。京大、東大大学院を終えられ30代には エッソ石油の重役に就任。その後社長となられました。

 今朝、八城さんの下で活躍された元人事担当重役の方がわれわれ退職者にメール 発言された内容を転載します。

 「かねてから話題になっていた長銀問題が、昨日正式に米リップル社
  に譲渡されることと、八城さんがその新社長に就任されることが発
  表になりました。

  今日の日経にはその記者会見の模様が八城さんの写真とともに出て
  います。何とも喜ばしいことです。

  ただ、これからの難しさは想像にあまりあると思いますが、八城さ
  んのことですから抜群の柔軟性と先見性、実行力、それに加えるに
  あのお人柄で立派に処理されて行かれることと思います。

  健康に留意され、更なるご活躍を皆さんとともに祈りたいと思います。」

 エッソ在職時代、八城さんのプレゼンテーションを聞く機会が多くありました。 彼のプレゼンテーションのやり方を見ていて、社員のみならず顧客にも 意見や経営状況を説明することの重要性やその伝え方の大切さを学びました。 いかに優秀で深い内容であったとしても、プレゼンテーションの仕方次第で その意図が伝えられるかどうかは決まる。もちろん八城さんのようには できませんが、いま私がやる話のした方は八城さんの影響を受けていること だけは確かです。

 マネジメントレビューのやり方がよく話題になります。 日本企業のISO取得指導を通じて知ったことの一つは、マネジメントレビュー のやり方が下手だと言うことです。もっと言うならば、会議そのものも効率的で 質の高いものにする必要性があります。データをうまく使う、たとえば内部監査の 結果報告でも単純に結果そのものだけを報告するのではなく、現在の工数と比較して 改善を加えればこれぐらい工数を低減でき、全社に適用すればこれほどの利益向上に 役立つまで言及することが理想です。よくあることは、マネジメントレビューをしても 「So what?」ということになる。そうならないように内容をよく吟味する必要があります。

 ISO9000取得をしてもあまりメリットが見えないと言うことを聞きますが、 それはマネジメントレビューのやり方が不十分なことが原因である場合が多いのではと 推測しています。品質記録がどうだとか、手順書が悪いなども問題ではありますが、 やはり会社全体に関わるところにまで対象を広げることが必須となります。これを上手にやれば 「モノ」の質から「サービス」の質までカバーするシステム作りへと変換させられる と思っています。ISO担当者の責任やその力量が問われる所以です。経理や財務、 経済計算、統計などにも精通する必要があります。


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