常識が一番役立つ

ISO 9000の長所・欠点に関して議論をすると、結局は次のような結論になるようだ。 ISO 9000の仕組みを取り入れて、それを 実践している企業ではメリットはあるとしたり、逆にむしろ害があるとする双方の意見が交互に入り交じっていることだろう。ISO9000の仕組みはかならずよい効果を生だすものだと、わたし自身は信じている。 このISO9000のもたらす効果については、コンサルタントからと認証登録機関からの双方の見方を知る機会があった。 彼らの意見を総合すると、ごく一部の企業ではISO9000は企業にとってかならずしも有益であったとは言い難いとするものもあったが、ほとんどの企業では大きな利益をもたらしていることが判明した。このようなことから、 結論はやはりISO9000は企業にとって効果的な仕組みと信じざるを得ない。

効果を疑問視する企業は、ISO9000の規格を自社にとってもっとも適切な方法で解釈し、仕組みを構築し、その上で実践段階に移ったのだろうか? これは実際に起こった別の例なのだが、ある企業では, 文書の維持管理を行っている人だけでなく、ISO9000に基ずくガイドラインの範囲内で業務をさせられている人々までも官僚的なやり方で仕事するようになってしまい、まるで悪夢に悩まされているような事態になったらしい。一体このようなことがどうして起こるのだろうか?

ISO9000以外のマネージメント手法でも、実施面での長所・欠点はありうるものである。 要は、 ISO 9000 のようなマネージメント手法がもたらす有利さをうまく利用しないとこんなことになりうる。 だから、自分が運用する企業の文化・風土と異なるところは賢明な調整と「当てはめ」をきちんと行えば良いだけのことなのだ。 結局、 ISO 9000 の実践には、「変化」をもたらすプロジェクトであると認識して、企業内の「人々」をいかに上手に扱かうかを考える必要があると言える。 結論的に言ってしまえば、変革・改善に用いるあらゆる経営管理手法を企業で実践する場合と同じで, ISO9000の実践には「常識をもって判断する」ことが大いに役に立つものである。<戻る>

Kate Seastone
UK
September 1996

ISO 9000 は生産的なシステムである

わたしは 品質に関連したトピックを教えることをなりわいとする一人です。 わたしはISO 9000 のことを自動車に例えていままで表現してきました。すなわち、自動車は運転するすべを覚えなければ駐車場に止めておくしか仕方のないものです。ことさように、 ISO 9000 システムあるいはそれ以外の品質向上に役立つ優れた手法を、多くの企業は自動車のように走らせていないのではないかと考えています。

もっと言わせてもらえれば、 ISO 9000 は 「クオリティ」のアルファベットだとするとアルファベットのなかのたった一文字にすぎないと思う。だとすれば、アルファベットの中の もっと多くの文字を学ばなければ単語を作ることも出来ません。しかも単語ができればやっと文章を作ることが出来るのだと言うことを考えてください。 同じようなことが、 「クオリティ」についても言えます。 ISO 9000 を「クオリティ」の柱に例えればこの一本の柱で建物を支えることは出来ないのです。他の 品質に関連した活動と連携させる必要のあるたった一つの「行動規範」 にすぎないのがISO9000なのです。このように、 ISO9000が「クオリティ」の終点で、しかも全てであるとして作成されたものだとはけっして思っていません。このように考えてくると、確かにISO9000そのものはある限られた働きしかできないものではあるが、 生産的な価値をまったく持ち合わせていないとは言い切れない。ISO9000は、現時点ではその価値を引き出すには限りがあるかもしれないが、きっとこれから生産的な価値を今以上に発揮することになるに違いない。

その証拠となるのが、企業の組織にはより透明性を高める文書管理システムがあることです。この恩恵を受けて、 スタッフは自分の個人的役割を今よりよく知ることができるようになる。 このような事柄全てが利点である。 経営者がこの生産的な面を活用しないで、 ISO 9000 をけっしてとがめてはならない。<戻る>

Roger Georgeson
South Africa
September 1996

中小企業のための ISO 9000

ISO 9000 は、いったい何なのか?そして、 ISO 9000に関してさらに深く知るにはどうしたらいいのだろうか? このような疑問に答えをするのが、国際的な品質管理システム( QMS )規格のシリーズである。この規格は、 製造およびサービス産業に関わる企業に等しく適用できるものである。 規格の意図するところは、拡大を続けている世界的なビジネス環境に置かれている企業での業務遂行に伴う不確実性を最小限にすることである。 ISO 9000 は 、1987年国際規格標準化機構 によって始めて導入されたが、 1994 年に改訂版が発行された。 ISO の文字は、規格機関の頭文字をとったものという訳ではなく、 ギリシアの言葉『匹敵する人』-「 isos」 に由来したものである。現在有効な1994版は、 2000 年に改訂が行われる予定である。 ISO 9000 は、企業と取引先との関係だけでなく、企業内部の部門ないしは社員をも「顧客」として取り扱っている。

ISO9000は基本的な次に述べる三つ要素から構成されている:

1.経営管理

ISO9000は、企業が設定した戦略上の重要なゴールを達成できる方向へ組織を前進させるだけでなく、コスト面での効率を上げ、顧客ニーズへの対応性を向上し、 生産性を高め、さらに新製品開発を適切に管理するために有効に働くシステムである。 経営者の見直し、内部監査、是正および予防処置に関する規格の要求項目にこれらのことが詳細に述べられる。
ISO9000は、企業組織がどのように動いているか、そして予期していることからどの程度逸脱しているを関知し、その逸脱を正しい方向に移す軌道修正を行っているかを認識するための情報を収集することはもちろん、経営者に企業の運営上なくてはならない必要な情報を絶えず提供する緻密なフィードバック・ループ・システムの一つである。 経営者に関わる規格のセクションでは、無理のないよく勘案された品質方針、またシステムを実践・維持する上で必要な経営資源を提供する意思と確約の表明、さらに上級経営者に対する現状報告が確実に実行できる仕組みをつくりこむことを要求している。

2.品質システム

ISO9000は、自分の企業内でなにが行われ、どのようにおのおのの仕事が行われ、その実施内容を証明するために記録として残す手順を文書化することが求められている。したがって、企業の組織に適切であるだけでなく、一貫したシステムが構築されることになる。 このシステムは業務の全般にわたって展開され、そのシステムにしたがって業務がなされ、その上、そのシステムそのものは適切に維持・管理されていなければならない。すなわち、 文書管理の規定に基づいて文書類が更新・変更されたときには最新の手順で業務を行うことが求めらている。また、 設計図や仕様書はきちんと整理整頓し管理されていなければならない。 さらに、計測器また測定器は適時校正されていなければならない。 以上のような事柄が全て確実に実施されていることを確認するために、内部品質監査を定期的に行なわれなければならないとしている。したがって、 このような全て活動によって生だされるデータの量は大きなものになるが、 データはなにごとにも使えて便利なものになる。一方、データは実際に効率よく利用できるような方法で管理されなければならないのは当然である。

3.継続的な改善

ISO 9000 は、企業組織の多くの面に関わることになる。 すなわち、販売、購買、製造、在庫管理、出荷関連そして設計・開発に対するシステムを文書として構築されていることが求められる。 これらのシステムは、いつでも変更・更新されるように起動性を発揮できるプロセスに基づいて構築されているのが一般である。
よって、企業組織に所属する人々全員が参画意識が高くし、社内でのあらゆる業務が「次工程はお客様」とする風土で行われるように組織が管理されていれば、「 継続的な改善」が行われる環境が育てられる。

ISO 9000に関してたびたび尋ねられる質問・回答を間もなく始めます! きっともっと多くのことを理解していただけるでしょう。<戻る>

New Jersey Institute of Technology
USA

(ホームページ・オーナーのコメント:この工科大学は、かつてわたし達が住んでいた地区の近くにあり、車でよくこの前を走りました。このページを見たときは、アメリカでの生活を思いだし、懐かしさがこみあがってきました。しかも、偶然とはいえ、中小企業のためのISO9000が表題だったので、内容はともかくとりあげた。このページにはNew Jersey州の中小企業であれば認証取得を支援するから連絡するようにと呼びかけていた。わたしの意図することとまったく同じである。)

ISO 9000 がもたらす被害を主張

(ホームページ・オーナーからの注意:この文を読まれる方は、かならず最後まで読み切ってください。)

Advertising Standards Authority ( ASA )は , ISO 9000 が生産性を改善すると主張することに関してイギリスの国家規格協会 ( BSI )に対し不平を申したてた。 ASA は、非合法的な、そして不正直で、下品な広告から消費者を守る 英国の団体 である。 イギリスの新聞は、 ASA のルールに触れるのが明らかな広告を行わない自主規制を守っている。 苦情を申し立てたのは、 心理学者でISO 9000 に関する研究者である John Seddon 氏であった。

Buckingham のオフィスでSeddon 氏は次のように語った、「 BSI は、ISO 9000 が生産性を改善することができるとして、決してその意向を変えないことにはわたし自身何の疑問ももっていない。そして、 彼らは前に言っていたとおり、この生産性を向上させると言うことは中小企業にはかならずしも当てはまらないこということも是認するつもりである。」

Seddon によると、BSIでの最初の論争はなんらの結論をもたらさなかったが、2回目の結論は、ISO9000は品質面ではなんの役にも立たないとなったことも事実であるとしている。

Seddon 氏はさらにつぎのように述べた:
「 ISO 9000 は生産性を改善することができると主張するために、認証取得会社を対象とした調査を実施すべきだ。そんな調査は簡単に出来るではないか。」と。
Seddon 氏の苦言はまだ続く。
「我々が関知しているどのケースでも、 生産性と競争力に悪影響を与えるのがISO9000だった。ところが、 ISO 9000 は有益であるとこれらの企業の上級管理者が信じていたのだ。同情に値するするのは、 彼らはとんでもなく間違った指導を受け入れていたことだった。
とは言え、そんなことは中小企業には当てはまらないよと主張する人がいるとすれば、 中規模以上の企業にはISO 9000認証登録のためには高額の費用がかかることを認めたようなものである。反対に、中小企業には費用が安くなるようにしているから、へんな苦情が起こらないだけのことだ。 中小企業のためにより安価に取得できるようにいろんなことが行われてきたことも事実である。 こんなことはまったく無意味なことであり、 ISO 9000 の誤りを世にさらすことでもある。 ISO 9000 は、イギリスの産業にとっての重荷であり、品質がすぐれている証には決してならない。 英国の50,000 社以上の企業が支払ってきたコストは、英国にとっての目に見える重荷だけである。それだけなく、 もっとひどいことはそれらの企業で起こっている業務運営上の障害によってもたらされた損失は計上し難いほど大きなものになっている。 顧客に対するサービスは悪くなり非効率になる一方である。そして 、こんなことが 起こっているのはISO 9000 の認証取得企業であるということがはっきりしてきたのだ。」

Seddon 氏の最近の研究( ISO 9000 - 3事例研究)は http://www.vanguardconsult.co.uk から自由に利用できる。 当社は ASAの 裁定 とSeddon氏 の主張に関するコメントを BSI に対して要求している。 当社の無料ニュースサービスにぐずぐずしないで今すぐ登録してください。当社はBSIのコメントが提供されるやいなや、皆様方にお知らせいたします。<戻る>

News Headlines by
Tesseract Publishing
September11,1996

監査員に適用される倫理規定

監査員の資格認定の取得に関する訓練コースでの中で、「監査員に適用される倫理規定 」についての説明があった。そのときには、何らの疑問をいだかなかったが、自社の品質システム監査のときに、不自然な気持ちになったのでこの手紙を出しました。

監査の前日、監査員の接待のために夕食会が持たれた。この夕食会にはISO9002認証取得に関係する当社の主だった管理職が出席することになった。わたしは、この夕食会には出席しなかったので、どの程度のもてなしだったかは不確かではあるが、翌日の監査は予定どうりの時間に終わりました。監査チームから指摘された不適合はマイナーなもので、二つだけであった。これだけでも不思議に思った。なぜならば、監査前日まで文書や記録の作成のために多くの人々が夜遅くまで残業をしてなんとか監査を受ける準備を終えた。にもかかわらず、たった二件の不適合は、社員からすればISO9000の監査は一般に言われているほど厳しいものではないと感じざるをえなかった。

当然のごとく、監査のあとは翌日と同様に夕食となった。これには、わたしも出席しました。その席で監査員が話しをしていたことは、他の会社の監査をしたときに連れていかれた中国料理店の食事がいかに素晴しかったかであった。当社が接待した中国料理店よりずっと高級な店であったので、私のボスはたいへん恐縮していた。さらに驚いたことは、日本や韓国で監査するときには、夕食のあとは女性のホステスがいるカラオケにかならず連れていかれるとのことだった。シンガポールでもこのようなカラオケのバーがありますが、終わったあとで渡される請求書にはたいへん高額な代金が記入されています。だから、一般の人達は決して入りません。ビジネスマンだけが利用するところです。わたしの質問は、一体このような接待を監査員にすることは、倫理規定に違反しないのでしょうか?ということです。たしか、訓練コースでは、監査がすべて終了した日の夜に、常識的な夕食は規定に違反しないが、前日や監査途中での接待は受けないのが倫理規定だといっていたように思います。正しい答えをいただきだいと思います。

私個人は、ISO9000のシステムはいろいろな点で有効であり、品質を保証する最善の手法だと思っています。内部監査であれ外部監査であれ、そのプロセスは仕事のやり方を改善するのにたいへん役立っていると思っています。だから、監査は厳格に行って改善に役立てるべきだと考えています。

では、ご回答を記事に出してくださることを期待しています。<戻る>

匿名
Singapore,Singapore

(ホームページ・オーナーのコメント:訓練で習ったことが正しいのです。日本でも、と言うより、私自信がやってきました。カラオケ・バーには連れては行きませんでしたが、結構な食事は毎回の如くやっていました。これを観察していて感じたことは、監査員などの職業はまるでどさ回りの役者ではないかと思った。行く先々で接待を受けるのが楽しみになっているとみました。このような光景を見ていたので、監査員登録のための書類をロンドンに送るのをやめました。このような投書を読むと、これでよかったとつくずく思っています。)

社員の資質と品質システムでの教育 計画

品質改善やISO 9000認証取得についての討議がいろいろと行われているが、 最も重要な部分、すなわち、従業員トレーニングと知識向上のための側面を明確に記述することを取りこぼしている。 製造会社には、製造機械、製造プロセス そして品質のできばえを決めるパラメーターに関しては、詳細で、そして高度な審査手続きがあるかもしれない。しかし、 従業員のための審査手続きはどうなってるんでしょうね? どんなに素晴しい考えと計画が品質システムに組み入れられていても、従業員の知識向上のための計画がきちんと文書化されていなければ、その品質システムは不完全だとしか思えない。<戻る>

Glen W. Spielbauer
Dallas,Texas


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