顧客・市場の理解

 日本経営品質賞の審査基準は、「顧客・市場の要求や期待は、どのように把握されていますか。また、それらを予測するための情報・データは、どのように収集され、分析されているかもあわせて記述してください」である。ここでは、いかに顧客・市場についての知識が確かであるかが問われている。たまたまであるが、経済構造の変化によってマーケティング手法の転換を促している新聞情報があったので、これを転載しながら解説に変えたい。この紙面論文は、神戸大学教授、石井 淳蔵氏のものである。

 『近年になって従来の営業スタイル--顧客と営業担当者個人の信頼関係のみをベースにした--では通用しなくなっている。その大きい理由は、いわゆる「投機型」経済から「実需対応型」経済へと大きく転換していることにある。「投機形」とは、大量の見込み生産と大量在庫、系列化などを通じた売れ残りリスクの分担や融通の聞く取引慣行を、その内容とするものである。その核心は、言うまでもなく「規模の経済」の追求にある。
 一方、実需対応型経済とは、最終顧客の要望や注文に同期させて。企画・開発・生産・在庫を調整しようとする企てである。そのために、注文から納入までのリードタイムの短縮化と、生産・配送におけるロットサイズの最小化が図られる。追求去れるのも、規模の拡大ではなく、モノ・情報の「流れのスピード」に変わる。
 このような経済の転換に伴い、営業スタイルも大きく変わる。先進的な企業は、それを見越して、営業のスタイルを変えようとしている。それは、以下の議論を要約して言えば、「科学的な営業」と「利益重視の営業」である。その具体的中身を伝統的な営業と対比させて示せば、表のように整理できる。』

        新しい営業体制の特色

  伝統的な営業体制               新しい営業体制
  商品の売り込み                企画提案(顧客問題解決)
  顧客とのかけがえのない信頼関係        顧客満足プログラム
  個人の営業                  組織の営業
  閉ざされた情報                開かれた情報

『顧客との関係も、個人的な信頼関係から顧客満足プログラムへと変わる。@顧客の満足度が継続的にチェックされる体制が作られるA顧客満足度が営業業績の評価の重要な基準になるB営業担当も、それに合わせて購買後の顧客へのフォローを重視するようになるCかけがえのない信頼関係で結ばれた場合には簡単でなかった顧客担当者のローテーションも、それほど抵抗もなくできるようになる。』 『新しい営業体制において、情報機器・システムが重要な役割を果たしていることは改めて言うまでもないが、一つの特徴は、そこで流れる情報が、得意先との新たな関係づくりに利用されている点である。
 具体的には、「得意先と在庫情報を共有する」「得意先に対して製品やそれ以外の情報を積極的に提供する」「営業の中で、得意先から意見を聞くために費やす時間を取る」「得意先と共同で問題解決にあたる」などの試みを挙げることができる。』

『新しい営業スタイルを採用する先進的企業が目指すのは、第一に、営業の効率化である。営業担当者あたりの生産性や成約率の向上あるいは営業知識のスピードといった面で効果が表れる。第二に、顧客の問題解決の有効性である。顧客自身が自覚できないようなニーズを共同で探索して発見したり、顧客自身の顧客へのマーケテイングのありようを提案したりするのは、問題解決の例の一部である。顧客とのそうした新しい関係づくりを、新しい営業体制は目指している。
 第三に、営業担当者自身の満足度である。新しい営業体制は、営業活動のマニュアル化を志向する。それだけを聞けば、人間的な味が失われた営業へと変わっていくように思われるかもしれない。しかし、そうとばかりは言えない。顧客との問題解決という創造性を発揮する場が生まれている。そこに新たな営業のヒーローも誕生する余地がある。こうした新しいスタイルを志向する企業はそうでない企業に比べて、営業の仕事に対する強い誇りを与えることが考えられる。

 以上のように、営業のスタイルは大きく変化している。新しい営業は、伝統的なそれとは相いれない要素を持っている。その背景にある経済がそもそも違っている。営業の目的も要求される営業担当の資質も違っている。その意味で、単に手法の変化という以上の変化を含んでいる。
 営業の価値、目的、手法のすべてが変わるというのは、営業のパラダイム・シフトである。その意味では、旧来のやり方を残したままで新しいやり方を根づかせようとしても、木に竹を接いだものになってしまいやすい。』

 審査項目は、既存顧客の要求と期待を把握するだけでなく、「市場の要求・期待の把握」をどのようにしているかも問われる。一般には、マーケット・リサーチを行う古典的手法が用いられてきた。30年ほど前になるが、特殊合成ゴムの新用途開発のために、マーケット・リサーチを行ったことがある。日本ではまだ商品化されていないが将来有望な商品を探求するのが目的であった。このときは、この特殊合成ゴムがどうように使われるかを全ての産業分野に亘って分析を進めた。その結果、自動車、電気、建築土木での応用が考えられることが明確になってきた。そこで、分野に於ける開発計画が作成され、実施となった。その結果、現実に商品化されていまも残っているのは、チューブレスタイヤの空気不透過膜、屋根防水シート、廃棄物処理地の廃液浸透防止膜、家電製品に使われる防震材などである。このように商品を新しく作り出すには、何らかの分析と解析が必要である。しかし、この豊潤時代では単にマーケット・リサーチを行っただけでは、新商品などを見つけだすことはできない。では、いまどのような手法があるかだが、なるほどと思わせるのが日経の紙面にあった。「マズローの欲求五段階説」からの発想である。

 「30年近く前の名著、『日本人とユダヤ人』では、日本人は「水と安全はタダだと思っている」とされていたが、近年かなり事情も変わってきたようだ。タダ同然の「水道水」の安全性も一般に議論され流用になり、浄水器やペットボトル入りのミネラルウォーターが日本でも商売になる時代となった。消費者は「水」にも「安全」にも価値を見いだしてカネを払う時代になりつつある。
 「水と安全がタダ」だった日本では、マズローの五段階説に従うように人間(消費者)の欲望の高度化の合わせた商品が開発されてきた歴史がある。そこでは「安全」は特別な価値を認められないテーマとして重視されず、メーカーは次々と「新機能」を開発することに専念したきた。一方、消費者もそれに踊らされ、短いサイクルで次々と「高度化」した商品に買い替えてきた。現在なお技術革新の真ん中にある情報通信機器はまさにその典型である。

 しかし、このような商品機能の「高度化」にもいずれ限界は来る。新機能もそうそうあるわけではなく、成熟段階に達した多くの商品においては、もはや微細な差別化を競う袋小路に入っている。一方、「水と安全がタダではない」欧米では、「安全」もまた重要な価値を持つテーマとして重視され、様々な安全商品・サービスが登場してきた歴史がある。そこには今、袋小路にある日本企業も学ぶべきことが多くありそうだ。
 例えば乗用車。最近の日本車ではエンジンや馬力よりも、そのスタイリングや果ては抗菌処理、紫外線カットガラスといったものまでが差別化ポイントになり、技術的な成熟感も著しい。ところが、欧州車では「安全性」を他社との対抗上の大きなフィーチャーにしてきたし、日本で輸入販売され、評価されている車種でも「安全性」が評価されているものも多い。
 例えばドイツ車においては、メーカーが率先して警察と協力して交通事故のデータを分析、それを反映させて車両の剛性を高めてきた歴史がある。その背景には「安全性の向上」に対する価値を認め、対価を払おうとする消費者意識がある。この欧州車の流入が日本の消費者を変えた面もあろうが、日本車でもこのところようやくエアバッグの装備や車体の高い剛性が、セールスフィーチャーとして一般化してきている。安全性が商売になる時代に入りつつある、というところである。
 このように自動車では、安全対策がメーンのセールスフィーチャーのひとつ「ポジティブ・フィーチャー」になりつつある。だが、多くの商品・サービスにおいては、依然として安全対策は商品の持つ危険性=マイナス面をカバーするための「ネガティブ・フィーチャー」のままである。こうした「ネガティブ・フィーチャー」の場合には、対応が社内でも後ろ向きととらえられがちで、社内での企画・開発の姿勢にもいま一つ力が入らないのが通例である。そのため、安全性の向上がなかなか進まない。
 ところが、「ポジティブ・フィーチャー」ということになれば、各社の商品企画・開発担当者も熱心に取り組むようになる。そうなれば、各社の競争もあり、結果的に業界全体として商品の安全性向上のピッチも上がる。

途中略

 自動車と並んで安全が重要なフィーチャーであるのが、住宅産業だ。95年の阪神淡路大震災以降、「自然災害(特に地震)からの安全性の高さ」がますます広く重要視されるようになった。メーカー、工務店が比較的対策を立てやすい「新築住宅の安全性」がポジティブ・フィーチャーなのは当然として、中古住宅や、ホテル、商業・レジャー施設などにおいても。耐震性・耐火性などの安全性を高めることが「消費者に安心して過ごせる空間を提供する」というポジティブなフィーチャーに十分なりうる。(以下省略)」

ここでも、「顧客期待の把握」がいかに重要であるかを知ることが出来た。日本の自動車は世界一と自慢している内に、顧客が本当に期待している機能、即ち「ポジティブ・フィーチャー」を見逃していたのが日本車だ。アメリカから帰国したときに、「日本車はこのままだとだめだ」と言ったら大変な反発を受けたことを思い出した。そこで何故だめなのかを確かめる行為が「日本経営品質賞」で求められている「顧客期待の把握」である。

顧客への対応

 審査基準は、「顧客との良好な信頼関係は、どのように維持され、構築されていますか。特定顧客や一般顧客の期待を理解し、促進するために、顧客との対応とフォローはどのように行われているかについてあわせて記述してください」となっている。

 顧客とに対応は第一線の販売担当者によって行われているのが一般であろう。したがって、彼らの行為・行動は直ちに顧客との信頼関係を左右することになる。販売担当者の能力を高めることの重要性は言うまでもない。ただし、この能力向上であるが、たぶんに天性の素質によって異なるのではと考える。それは、以下のような人物も実在するからだ。彼は、現在一部上場企業の専務であり、わたしの個人的な友人でもある。30年も前のことだが、彼と私は、接着剤の粗原料である化学合成樹脂の日本での市場開発に携わった。彼は、販売員としての役割で、私は技術サービスを受け持っての二人三脚であった。彼は、直ちにその天性の素質を発揮し、次々に顧客との信頼関係を短期間に築いていった。彼の話し方が特に上手でもなければ、宴会での芸達者でもない。そんな彼がどのように顧客の心をつかんでいったかであるが、顧客訪問を重ねるうちに次第に分かってきた。それは、自分の会社の都合はほとんど気にかけないで、100パーセント顧客側の立場で商談を進めていることだった。当然のことながら、当時の外資会社という枠組みや風土のもとで、自社内での彼の立場は次第に弱くなり、かれも自信も悩み、ついに日本企業に転職してしまった。しかし、彼の天性は日本企業の中で一気に花を咲かせた。昨年には、大企業の専務に就任することになったと知らせてきた。これではっきり言えることは、頭脳優秀なる人が必ずしも販売員として優秀とは言えないことである。むしろ、会社の側に立たず、会社の営業方針に苦情を言う社員をじっと見つめ、彼の言っていることは顧客の言葉とすることが大切と考えるがいかがだろう。本論に戻そう。

 米国で隠れたベストセラーとなった「超品質」から引用して、「クオリティ・ファースト」の考えを明確にしたい。

 「クオリティの定義を、商品の健全性にのみ限定するという時代はもうすでに終わっている。たとえば、かつては耐久性とか堅牢性などをもってクオリティとして考えたが、こうした時代はすでに終わった。アメリカの企業が再発見した新しいクオリティはどういう種類のものかというと、単に物理的、外在的、あるいは目にみえる形のものではなくて、もっと文化的なものといえる性質のものなのである。」

 『クオリティに身を捧げて』という本を書いたパトリック・タウンゼントは、クオリティを二つに分けるたいへんおもしろいモデルを提示している。
 「クオリティ事実と受けとめ方」という表題に下で「事実のクオリティ」とはサプライヤー(提供者・供給者)側から見ての品質であり、「受け止め方」というのは顧客側の見方のことを示している。前者は「正しくことをやること、正しい方法であること、最初から正しくやること、時間どうりにやること」であり、それに反して後者のクオリティに対する受け止め方は、「正しい製品を届けること、顧客のニーズを処理すること、顧客の期待に応えること、すべての顧客に対して廉直性と礼儀正しさと、尊敬の念を持って接し対応することである」とする。

 このようなコンセプトを基盤とする「日本経営品質賞」の経営理念はもちろん、品質システムの国際規格ISO9000も「クオリティ」に関しては同じである。このコンセプトを欧米風と片づける方はまさかいるまい。ならば、「製品の品質」で競い合う時代ではなくパラダイム・チェンジが進行しているととらえるべきであろう。

 顧客からの苦情をどのように処理するかは、顧客への対応の重要な要素である。審査項目では、顧客意見の窓口、苦情などの解決と未然・再発防止のプロセス、顧客との信頼関係強化の方法、顧客対応プロセスの評価・改善があり、実態がどうなっているかが審査される。特に、顧客からのアクセスが容易であり、苦情への解決が短時間に行われる仕組みがあることが重要である。この点は、ISO9000の不適合処理に関する項目と同じである。米国での調査であるが、顧客苦情を上手に処理した場合の顧客が将来顧客となる率は、明らかに高いことが分かっている。では、将来顧客を失ってしまった例を挙げよう。私自身のことである。従来の電話をISDNに切り替え、ターミナル・アダプター(TA)を購入した。ところが、インターネットへの接続が出来ず困り果てTAのメーカー(NEC)にメールを送ったところ、こんなメールが送り返されてきた。そのまま転記する。

『Aterm担当@NECです。 平素はNEC製品をご愛顧賜り、誠にありがとうございます。 1998/02/05 00:16:39 +0900に"Y.Yoneto" さんに頂いた「ISDNの接続が出来なくて困っています」へのご返事です。
以下の件、モデム・プリンタ関連の機能拡張をいくつか外す必要があります。 Macintoshは標準の状態では、モデムポートやプリンタポートを監視しており、 標準のモデムでは通信に問題ないのですが、Atermを接続する場合には、 モデムポートの監視に対して、OT/PPPが割り込むことができず、 このようなエラーが発生します。
機能停止すべき機能拡張については、機種によっても異なりますので、 アップル社にお問合せください。
よろしくお願いいたします。』

 この担当者は大きな間違いを犯している。それは自社製品が機能できず困っている顧客に解決策を提示していない。アップル社に問い合わせをして、問題解決方法を入手し、顧客に返すだけでなく、その情報を製品のマニュアルに加えて行くことによって製品に係わるサービスを向上できるチャンスと、同時に将来顧客を失ってしまっている。反対に好例を示す。

 米国で「マルコム・ボルドリッチ賞」を受賞したデパートメント・ストアでの従業員の顧客対応である。靴売場で顧客のサイズに合った商品が欠品していることを知った店員は、その街の靴販売店に電話をし、顧客が求めているサイズの在庫があることを確かめた。その上で、顧客にその靴店までの地図を書いて渡した。「日本経営品質賞」の顧客への対応とは、このようなことを求めている。昔からの日本のサービス精神はいつの間にか失われていることを、このページのどこかに述べている。「顧客への対応」の大切さを訴えたかったからだ。

 今日は2月19日で、NECからのアクセスがあったことを確認しました。NECの顧客苦情に対しての対応が悪かったことを指摘した。ここで、エピローグを明かしたい。実は、NECのメールでの返事は、どうしたらISDNで接続すればよいのか私をさらに困らせました。アップル社の電話はいくらかけてもかからないことは知っている。そこで、解決策を求めて有名なMacお助けホームページである「Mac診断室」を尋ねてみました。ホームページのTA/モデムに関するFAQのページを見てみると、同じNEC製TAの問題に対しての解決策がとられていることが分かったのです。そこでは解決のためのホームページにリンクが張られていた。そこへ行くと、なんとNECのホームページではないか。NECとアップル社が共同して対処したウエアソフトをインターネットで公開していたのである。ソフトはちゃんとダウンロードできるようになっていたのです。顧客サービスの担当者は、これをまったく知らなかったとしか思えない。NECの技術陣は、とっくに対策をとっていたのに、顧客と直接接する担当者はそれを知らされていなかったのだろうか。これではっきり言えることは、いかに社内での情報伝達を徹底させることが難しいかである。こんなことで、顧客を満足させることができると思われでしょうか?顧客指向のマネージメント・システムは重要であることは理解できても、デパートメント・ストアの女子社員のように「顧客指向とは何か」を徹底させことは生やさしいことではない。お客さまと日常的に接する従業員にまで浸透させるには経営者を含むマネージメントが大変なエネルギーと努力を費やさねばならないことを指摘したい。

 「望ましい顧客関係」、すなわち、現在の顧客の満足を維持、向上させ、長期的な信頼関係を構築することである。ここでは、長期的な信頼関係を築くことをマネージメントの柱にしている好例を示したい。「BRP 」(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)のコンピューター・システムを日本ででも発売を始めた米ジェイ・ディ・エドワーズ社の会長兼社長、C.エドワード・マグビィニー氏のことばを引用する。

「現在、世界的に「BRP 」が重要だととらえられているが、抜本的な確信を行う前に企業がやるべきことはたくさんあるはずだ。毎日の積み重ねによる品質改善や改良などが本当に重要だと思っている。「BRP 」は大胆なモノであっても、一過性の改革に過ぎない。「BRP 」で失敗している企業が多い理由は、このためだろう。企業の変化には二種類ある。すなわち継続的な変化と継続性のない変化だ。革新的な変化も重要だろうが、変化の激しい時代には継続的な変化が求められることは言うまでもない。

 こうした理由から、当社は顧客との長期的な関係というものが、とても重要だと考えている。これから先5年、10年、20年といった長期にわたって継続する関係を我々は重視している。顧客にとって大切なのは、ソリューション、継続的な関係、経済的な価値の三点だが、この中でも継続的な関係を築いていくことが何よりも重要だと思っている。当社は毎年、継続的にソフトウエアを改善していく努力を続けている。またそのことを4300以上の顧客企業に約束している。(以下省略)」

 この社長の言葉は、だれでも顧客に言うことではあるが、このように紙面で明確にコミットメントすることは誰にでもできることではない。特に、米国人がこの発言をしていることに意外性を感じた。日本人経営者は心にもない外交辞令としてよく口にする言葉が、米国人によってなされているからだ。明らかに「マルコム・ボルドリッチ賞」の思考が反映されているしか思えない。「マルコム・ボルドリッチ賞」では、利益をもたらすビジネスを継続的に行うことを期待して、信頼と相互の尊重の上に築く、密接かつ長期的な関係を構築する仕組みを企業が取り入れてかが問われるからだ。

顧客満足の明確化

 「私どもは、モノづくりという製造業の原点から企業のあるべき姿に至るまで、すべての最終決定者はお客様であると観点に立って企業経営を行っている。これが本田のフィロソフィーだ。  
 お客様の満足は時代とともに変化する。この変化を把握するため、70年代前半から米国を皮切りに、今は全世界でお客様満足度を数値化し、分析している。
 本田グループの基本理念のひとつに『三つの喜び』を掲げている。すなわち、『買って喜び、売って喜び、作って喜ぶ』であるが、私どものIR活動も、この理念に基づいて、株主や投資家、アナリストの方々に満足や喜びを実現して頂けるように実行していくことを基本としている。」(本田技研工業会長 宗国旨英氏)

 顧客満足の明確化には、数値化することが絶対条件となる。

 | メニューに戻る|