リーダーシップがいま求められている

リーダーシップ発揮の仕組み

 「リエンジニアリングの神髄は、『顧客満足度を上げることで収益を増大させること』を最終目標に掲げ、時代遅れのルールを廃止し、新しい業務のやり方を再構築することにある。これまでの業務のやり方、組織、習慣にとらわれてはいけない。ブームの火付け役である、情報コンサルタントのマイケル・ハマー氏もリエンジニアリングは『最初からやり直すこと』と定義している。
 実際多くの企業は過去の単なる習慣に基づいた業務のやり方を踏襲し、不合理なルールに従っている。たとえばある企業では、『販売計画は本部が立てる』『問い合わせ窓口は部品ごとに置く』、という昔からのルールがあり、顧客の満足度を損ねていた。この企業は営業の現場に販売計画を任せたり、問い合わせ窓口を一本化することで顧客満足度を上げ。リエンジニアリングを成功させた。

 リエンジニアリングは、多くのケースで中間管理職の削減、年功賃金、終身雇用制の廃止など、雇用体制の変更も伴うため、トップの強力なリーダーシップが不可欠だ。権限を奪われる部署や、従来の業務のやり方に慣れた社員からの反発が予想されるため、どんな優秀な人材を充ててもボトムアップでは絶対に成功しない。

 トップダウンは、コンセンサツ重視の社内文化をもつ日本企業には受け入れ難い面がある。このため、安易な妥協を行ったり、先延ばしすることによって、リエンジニアリングが失敗に終わる企業も出よう。

 多くの市場が成熟期を迎えつつあるなか、拡大を前提とした企業形態は大転換がもとめられるている。特に、国際間競争にさらされている業界の場合、リエンジニアリングに踏み切れない企業は、自然死を待つしかない。今、トップの経営責任は一段と重くなっているといえよう。」

これは日経新聞の記事であるが、日本企業の経営トップが発揮すべきリーダーシップの中身を知ることができよう。リーダーシップの発揮とは、トップダウンの経営に切り替えることとも言える。審査基準では、「経営における理念・ビジョン・方針は、どのように明確にされていますか。また、それをどのように浸透させているかもあわせて記述してください」としている。

 経営理念・ビジョンは、組織が取り組むべき行動指針であり、定性的なゴールと同時に定量的な達成目標を明白に打ち出し、全社員、利害関係者、顧客に伝達されていなければならない。では、ページの冒頭でも引用したリコー会長、浜田広氏の主張を紹介しよう。

 トップが旗を振るべき四つのこととして「RRCC」を挙げている。最初の「R」はリストラ、後ろ向きでもやらねばならない。次の「R」はリエンジニアリングで、前向きの構造改革だ。「C」はコア・コンピタンス、つまり会社の強み。そして最後の「C」はカストマー・サティスファクション、お客の満足度の追求を意味しているとのこと。

取り組みのポイント

 組織の最高経営幹部による強いリーダーシップは、世界的に評価されている企業組織の欠くことのできない特徴となっている。したがって、経営幹部が組織内で効果的な改革・改善活動を主導し、維持することが必要である。そのためには、自分自身自らが取り組む姿勢を示し、クオリティ・バリューを採択し、そのバリューを継続的に追求することが求められる。クオリティ面でリーダー的役割を果たす企業は、クオリティとビジネスの計画を切り離すことはしない。よって、クオリティ計画は、ビジネス計画と同じであるとする場合がしばしばである。

 最高経営幹部は、クオリティ・バリューを創生し、企業運営面にそのバリューを築くことである。すなわち、最高経営幹部は、明瞭で目に見えるクオリティ・バリュー・システムは何かを示し、支援することが肝要となる。また、企業活動をクオリティ・エクセレンスに向かわせることができる支援マネージメント・システムを構築することが必要となる。経営幹部と企業のクオリティ・リーダーシップは、地域社会のような外部の組織にも対応しなければなければならない。優れた企業とは、これら社会的責任とクオリティ・バリューを統合し、実践しているものである。

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