新規格ISO9001の解釈と対応
5.2 顧客重視
規格の要求事項は単純で、7.2.1項の顧客の要求事項を明確化し、8.2.1項の顧客満足を測定することをトップマネジメントが宣言すればよいだけである。とはいえ、顧客満足をどのように測定するのかは決して容易ではない。そこである手法を紹介する。この手法はオーストラリアの経営コンサルタントがホームページで紹介しているものであるが、事例はThe Quality Seminarが作成した。まず下図を参照してほしい。
これは顧客の要求内容を明確にし、それを充たしているかどうかを判定するために使う尺度を見つけだすためのワークシートである。このワークシートの使い方は以下の通りである。
顧客ーー自社の製品やサービスの重要な顧客をトップ5社を選び出す。たとえば、生鮮食品加工会社を想定すると、顧客はスーパーや小売店が顧客となる。これらの中からもっとも自社にとって重要なxxxスーパー、yyyyスーパー、zzzzスーパー、aaa商店、bbb食品会社であるとする。これらの顧客を重要度の高い順番にリストする。
アウトプットーー製品ーこれらの顧客に供給している製品、あるいは製品グループを重要度の高い順番にリストする。たとえば、北海かに、生鮭、生いくら、塩鮭、カニ缶とする。
アウトプットーーサービスーこれらの顧客に供給している製品に付随するサービスを重要度の高い順番にリストする。たとえば、顧客が魅力的な宣伝を行えるように製品の産地や加工方法に関する情報である。
顧客価値ーー製品ー顧客にとってもっとも重要な製品の特性を重要度の高い順番にリストする。たとえば、新鮮さ、価格、正味期限の長さ、魅力的な包装、製品の在庫量などである。
顧客価値ーーサービスー顧客にとってもっとも重要なサービスの特性を重要度の高い順番にリストする。たとえば、納入時間の短さ、衛生管理などの信頼性、納入のスピード、営業や工場との連絡の取りやすさなどである。
測定の尺度ーー企業の業績向上を測定する尺度を重要度の高い順番にリストする。たとえば、顧客の「浮気率」、返品率、市場占有率、在庫切れ率、店舗当たり取引額などである。もちろん、顧客満足調査もその一つになる。
顧客満足を測るには、自社のもっとも重要な指標を使うこともできるし、すでに導入している企業も多い。これを決めるのにこのようなちょっとした工夫や努力によって正確に導き出せる。