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           新規格ISO9001の解釈と対応 


4 品質マネージメント・システム

 品質マネージメント・システムを難しく考える必要はない。なぜなら、企業が自社の組織をどのように経営し管理するかの手段・手法そのものであるからだ。したがって、どののように行うかは企業自身が決めればよいだけである。しかし、ISO9001:2000ではどのように行うかのプロセスを組み合わせたシステムでなければならない。このプロセスを「業務」とか「仕事」と言う言葉に置き換えると意味が分かりやすい。あるいは、プロセスと言う単語だけでなく、「業務プロセス」とすればよい。業務プロセスは、「手順・手続き」と従業員の「能力・経験」をバランスよく組み合わせて構成される。たとえば、経験を積んだベテラン従業員ならば、手順や手続きが書かれた簡単な書類があればすむがそうでない人には作業指示書と十分なトレーニングがないときちんとした仕事ができない。これで分かるように、品質マネージメント・システムは、企業の成熟度や複雑さ、また製品やサービスに求められるクオリティの高度さによって大きく異なる。

 とはいえ、多くの日本企業では新規格が要求している業務プロセスの多くをすでに持ち、それに基づいて業務が運営されている。でなければ、企業として今日存在していないはずだ。ところが、混乱するような規格の文言がつながっている。「プロセスを明らかにしなさい」、「相互作用を決めてください」、「プロセスをモニターするために十分な情報があること」、そして「管理を維持するために必要な場合には、プロセスを文書化しなさい」などがそれである。今やっていることを整理整頓すればすむことだ理解すれば、これとて困難ではあるまい。

 規格では、「プロセスは、インプットをアウトプットに変換する、相互に関連する、あるいは相互に作用する一連の活動」としている。これを易しく言い直すと、内部もしくは外部の顧客に製品やサービスを提供するための組織の部門横断的な一連の活動となる。ここで留意してほしいことは、「部門横断的な一連の活動」の意味は、各部門が顧客価値創造のために水平的なつながりを持って行う活動であり、部門間の壁を作っている縦割りの組織ではないことだ。もっと易しく言うと、顧客のために何をしなければならないかだけがすべての部門の目的であって、組織の各部門の目的がそれぞれ違うということがないような活動である。今日、日本の役所や一部の大企業で見られる「縦割り組織の弊害」の源を絶つ考え方である。

 プロセスの中身を言いなさいと問われると、「何をしなければならないか」、「其れをなすにはどの手段をとるのか」、そして「その結果は何なのか」ですと答えることもできる。だから、手順とか手続きと従業員の能力とか経験がプロセスを支えていることが理解できよう。規格文の日本語訳は「procedure」を「手順」としているが、これは誤解を生む可能性が高い。組織で行われている業務プロセスを細々と文章にする行為に結びつくからだ。特に、1994年版ではこのような文書化を受け入れる傾向が強かった。このためにあまりにも過剰な文書化が行われた企業もあるようだ。ISO9001:2000の品質マネージメント・システムは、下位の文書を作ることなく品質マニュアルの作成だけすむこともあると強調したい。文書化に勢力を注ぐのは愚の骨頂である。文書の量だけでなく、ISO9001:2000は、たとえば品質マニュアルの構成にも柔軟性を持たせている。何も規格の章立てに従う必要もない。むしろ自社の業務の流れに沿わせるのが正しい。これを文章にすることは困難を伴うから、下図のようなプロセス・フロー図にすれば簡単になる。下図は、顧客の注文を受けてから、出荷するまでのプロセスの流れを表しているイメージ図である。内容の詳細は、ここをクリックすれば見ることができる。

 

  

 

 

さらに、海外から入手したプロセス・モデルを五種類を示す。いずれも英文ではあるが、表現方法にはいくつもあり自社の業務内容によって選択すればよい。

 モデル A もっとも汎用性のあるモデル。 ただし、プロセスの尺度などを決める必要がある。

 モデル B 品質マネージメント・システム全体をまとめた良い事例。CPIは、プロセスの尺度。

 モデル C 簡略化された全体像を示すが、製品実現のプロセスを強調している。

 モデル D 高次のプロセスから低次のプロセスへのつながりを重視している。

 モデル E プロセスとプロセスの尺度を図示化

モデル F  製品の実現プロセスを強調したモデル

 


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