ISO9001ミニ解説

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             品質マネージメント・システムー要求事項

経営資源の運用管理


6 経営資源の運用管理

6.1 経営資源の提供


企業は、品質マネージメント・システムの目指す目標が確実に満たされるようにする責務を有する。ところが、品質マネージメント・システムが「絵に描いたぼた餅」だけでそれを運営するために必要となる充分な経営資源を経営者が提供しなければ、企業の目標を成功裏に全うさせることはできない。品質マネージメント・システムの運営や維持管理に必要な経営資源だけでなく、継続的改善を実行し、顧客満足を向上されるための経営資源も必要となる。

6.2 人的資源

6.2.1 一般

企業の従業員達の技能と能力を評価することが求められ、従業員がすでに受けている教育、トレーニング、さらに経験を考慮して従業員の能力を測ることが必要である。その上で、従業員が品質マネージメント・システムに関わっている業務を実行する技能と能力を持っているかどうかを判断すべきである。

英語のCompetencyとは、どの部門に行っても必要とされるような普遍的な能力のことであり、コミュニケーション能力やリーダーシップなどを指す。一方、スキルとは業務に直結する技能、技術、資格。つまりそれぞれの部門や職場での業務を遂行する上で必要とされる具体的で限定的な能力のこと。

6.2.2 能力、認識・自覚、トレーニング

従業員が業務を効果的に実行できるように充分なトレーニングが行われているかどうかを見極めることは、企業の責務である。この責務を果たすには、必要とされる技能に不足する従業員にはトレーニングを行い、現在在職している従業員に新しい技能を付けさせるための教育訓練プログラムを策定すること求められる。もちろん、必要とならば技能面ですぐれ能力のある要員を外部から雇用することでも補える。

6.3 インフラストラクチャー

品質マネージメント・システムに於けるインフラストラクチャーには、製品あるいはサービスを作り出すことに関わる職場、設備並びに支援サービスが含まれる。企業は、計画された目標を達成するために必要となるインフラストラクチャーを明らかにし、提供し、維持管理することが求められる。

6.4 作業環境

品質面での期待された目標を満たすために従業員の力が発揮できるような作業環境を整えることが必要である。良き作業環境とは、従業員が創造性を発揮でき、清潔で、適切な安全規則と設備があり、人間工学的な配慮がなされ、空気・水などの汚染が管理され、容易く他の職場と接触できることなどである。

 

製品の実現


7 製品の実現

7.1 製品実現の計画作成

製品の実現とは、物品もしくはサービスの受注からその出荷までのステップとプロセスを対象とする。品質マネージメント・システムでは、顧客との折衝から始まり最終的な納入までの複雑な取り組みを整理整頓し、集大成されることが求められる。自社のみならず供給者を含めた手段やステップをまとめあげるだけでなく、重要な手段やステップを文書化する必要がある。すなわち、顧客の要求事項をふまえて、いかに製品やサービスを顧客に納入ないしは提供するかの企業業務のアウトラインを明らかにすることが求まられているが、次項の要求事項にしたがえば自然に明確化したことになる。ただし、プロセス志向の業務運営では、部門にこだわらない顧客価値創造のプロセス連鎖が暗黙に求められていることに留意すべきである。

7.2 顧客関連のプロセス

7.2.1 製品に関連する要求事項の決定

製品に関連する要求事項は顧客から伝えられることが一般的かもしれないが、法令によって強制されることや業界で一般的に受け入れられた規格である場合もある。顧客の要求事項をいかにして決定するのかについていまのプロセスを自ら評価することが必要となる。販売部門がいま行っている契約書や口頭での取り決め方を手始めに見直せばよいだろう。契約書を改訂する必要はないかも再考する必要があるかもしれない。

7.2.2 製品に関連する要求事項のレビュー

製品またはサービスの要求事項は何かを決めた後、これらを確実に満たしていることレビューすることが求められる。このレビューを実行するためのロジカルな考えの流れは、1)要求事項が明確化された、2)自社はこれらの要求事項を満たす能力を有している、3)プロセスもしくは生産上の変更があれがレビューされ文書に残す、ということになる。

7.2.3 顧客とのコミュニケーション

効果のある品質マネージメント・システムとは顧客とのコミュニケーションに対して適切に対処できるものである。この仕組みによって、製品の見積り依頼、契約交渉の状況、発注の仕方などの情報を顧客がいつでも使えたり持っているようにできる。もちろんであるが、顧客がフィードバックしたり、苦情を表明できることになっている。顧客とのコミュニケーションは、以下の設計開発の計画のための情報を提供するつながりがある。

7.3.1 設計・開発の計画

設計・開発のプロセスを効果的に計画するためには、まずプロセスに関わる段階を明瞭に定めることが求められる。この段階が定められたならば、これらの段階各々に対する責任を有する部署を明らかにすること。最後にこれらの責任が効果的に実行されたかをレビューする必要がある。

7.3.2 設計・開発のインプット

ある製品あるいはサービスを適切に設計・開発するためには、あらゆるファクターをインプットとして考慮する必要がある。製品あるいはサービスが顧客に受け入れられるかに対峙することも当然必要となる。しかしながら、品質マネージメント・システムで配慮しなければならないもっとも重要なことは、性能、法令と規制、そして企業の規範的な行動のようなその他の要求事項である。

7.3.3 設計・開発のアウトプット

設計・開発のアウトプットとしては、インプットの文書で指定された要求事項が設計された製品によって満たされていることを示すための十分な情報があることが求められる。しかも潜在的なリスクがいかに緩和されているかも含まれるべきである。さらに、生産の過程で必要となる仕様、購買、検査・試験、記録、文書化など製品がいかに作られるについての情報、トレーニングの必要性、使用者と顧客の情報も入る。これらのプロセスは記録され承認される必要がある。

7.3.4 設計・開発のレビュー

設計・開発の要求内容が何かが決まれば、これら正しいかどうかのレビューを行う必要がある。このレビューには設計・開発に関わる社員が参加すべきである。彼らは設計・開発のプロセスが正しいことを決定するためにレビューを行うとともに問題点を指摘しその解決策を提案する役割をもつ。設計・開発のレビューは記録されること。

7.3.5 設計・開発の検証

設計・開発のプロセスの計画とレビューが終われば、出来上がったアウトプットが設計・開発のインプットを満たしていることを確かめるために試験や検証を実行する必要がある。この検証のための手段はいろいろ考えられるが各自の事情を勘案して実行できる最善のものを採用すればよい。試験結果は記録として残し、もしさらに何かを行う必要があれば、その内容を決めて記録する。

7.3.6 設計・開発の妥当性確認

設計・開発の検証が終了すれば、実際に使用される条件下で妥当性確認が行われる。もしも製品が複数の違った使い方をされるならば、各々の使用条件で妥当性を確認することになる。設計・開発のアウトプットとして決定された妥当性確認の手段に従うことはもちろんである。自動車の実車テス、試験的販売の結果、食品の試食テスト、建造物の施主検査などがある。可能な場合、新製品や新しいサービスの妥当性確認は顧客に製品を引き渡す前に行われなればならない。

7.3.7 設計・開発の変更

はじめての設計では顧客の注文内容を受け入れるために変更されることはしばしば起こることである。設計変更は、性能を上げるためとか、インプット条件が変わったとか、その他妥当な理由によって起こることも大いにあり得ることである。規格は、これらの機能的な変更を明確にし文書化することを求めている。また、製品を設置したりサービスを提供したりする前に変更を分析し、変更が与える影響にはどのようなことがあるのかを考慮することも要求している。これらの分析結果を記録し、もしさらに何かを行う必要があれば、その内容を決めて記録すること。

 


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