ISO9001ミニ解説

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             品質マネージメント・システムー要求事項

 

7.4 購買

7.4.1 購買のプロセス

供給者と取引をするために管理されたプロセスを持つ必要がある。購買グループには購買先をいかに評価し、選定するかの基準を定めること求められる。発注した仕様を満たすことができるかどうかの供給者の能力に基づく基準であるべきである。購買品が指定した仕様を満たすことが確実に行われるための手順が必要となろう。最後に、購買品がいかに評価され、問題を見つけたときに何を行ったかを示す記録を維持管理しなければならない。
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7.4.2 購買情報

購買情報とは購入されるべき製品を記述したものであり、契約、発注書、その他の文書を含まれることになる。購買情報が要求条件を満たしていることが確実にできるように品質マネージメント・システムの中に策定し、何時どのような承認が求められるかを定めるべきである。また、購買情報が指定した要求事項に適合するように特別の条件を記述することも必要となることもある。


7.4.3 購買品の検証

あくまで適用できる場面で必要な時に限定されるが、購買品の検証のための手順を定めることが求められることもある。発注した製品やサービスが事前に決められた仕様を満たしていることを確かめるためのある程度のテストをする必要がある。これらのテスト結果を文書化する必要がある場合もある。

7.5 生産およびサービス提供

7.5.1 生産とサービス提供の管理

生産活動と計画作成は管理された環境で実行されるべきである。管理された環境とは、従業員がいかに作業をするか、製品を組立てたりサービスを提供するために必要となるすべての装置をいかに使用するのかが分かるように指示書が使えたり整備されていることを意味する。製品の要求事項が開発される時点から製品もしくはサービスが引き渡される時点までの一連の課程を通じてこの管理された環境が存在していることが求められる。また、このような管理された環境を示す文書は、「品質計画書」と称されることもある。

7.5.2 生産およびサービス提供のプロセス妥当性確認

妥当性確認とは、プロセスを適切に適用することよって計画された結果を達成できることを明示できることを意味する。モニタリングや測定によって最終製品やサービスを検証することが不可能な場合には、品質マネージメント・システムでそれを妥当性確認と定義するべきである。製品が使用されたりサービスが提供し終わるまで欠陥が特定できない時には、この妥当性確認は特に重要である。妥当性確認が適用できる場合には、プロセスの中でも次の領域に対して基準を明らかにすべきである。すなわち、妥当性確認の手順と装置の承認、従業員の資格、もし妥当性がなくなった場合にしなければならないこと。1994年版での特殊工程と同等であり、サービス業で多用できるだけでなく製造業でも利用できることが多い。

7.5.3 識別およびトレーサビリティ

ある製品がテストされるかあるいは測定される場合には、生産サイクルのどのようなポイントで製品は識別されなければならない。この識別は、トレーサビリティのために、もしくは物理的にかつ文書で生産プロセスの全体で製品を追跡できる能力を示すことに使われる。

7.5.4 顧客の所有物

顧客が彼らの所有物を使用させるため、あるいは製品に組み入れるために企業に提供する場合には、特別な取り扱いをする必要がある。提供された顧客の所有物を識別し保護することが求められることもある。また顧客の所有物を紛失したり、それが損傷を受けたり、あるいはそれが不適切であるならば記録を維持管理しなければならない。

7.5.5 製品の保存

企業が製品および部品の取り扱い、保管、包装、保存、納入のための手順を維持管理することを規格が要求している。

7.6 モニタリングおよび測定機器の管理

効果的な品質マネージメント・システムで中心的な役割を果たすのはモニタリングとテスト機器であることが多い。この事実によって、規格はこれらの機器を注意深く管理、維持することを強調している。適切なモニタリングと測定の手段が計画された結果を達成するために用いられていることを定めた手順を確立させることが求められている。許容される基準にしたがってモニタリングと測定が実行されるためのプロセスが隔離されるべきである。モニタリングもしくは測定機器は損傷や予期できない調整が行われないように保護されること。モニタリングと測定結果は維持管理され評価されなければならない。機器が適切に校正されていないことを示す結果が得られたならば、修復のために行われたアクションは文書化されること。


測定、分析および改善

8 測定、分析および改善

8.1 一般

品質マネージメント・システムの効果が改善されていることを確かめるために何らかのモニタリングと測定手法を開発する必要があろう。品質マネージメント・システムが効果を発揮していることを示す最終的な結果は顧客満足の向上であるから、次項の顧客満足の測定でもよい。しかし、顧客満足だけでなく製品の適合性や生産性などもモニタリングすることも必要な企業もあろう。

8.2.1 顧客満足

品質マネージメント・システムの目標の一つは顧客要求を充足することであるから、製品やサービスに対する顧客満足をいかに測定するかを定めることが求められている。


8.2.2 内部監査

内部監査は、要求されている手順が守られているかを確かめるために企業の従業員によって実施されるダブルチェックである。品質マネージメント・システムで網羅されている個々の分野について内部監査を実施することを規格は要求している。監査を実施するに当たっては次のことを決めることが必要になる。すなわち、どの分野がテストされねばならないか、どの程度詳しく調べるか、インタビューなのか文書をレビューするのかのような監査の手法をどうするか、監査を実施する責任を誰に与えるか。監査の結果は記録として維持管理されること。また、監査の手順は文書化されねばならない。

8.2.3 プロセスのモニタリングと測定

規格は、企業の種々のプロセスが望ましい結果を生んでいるかを測定することを要求している。規格条項4.1で規定されているように生産に関連するプロセスだけでなく営業や設計・開発など製品の実現プロセス全体が対象となる。もしも計画された結果が達成できなかった場合には是正処置を講じるべきであるし、そのプロセスの効果を再検討するべきである。

8.2.4 製品のモニタリングと測定

生産プロセスでは、製品の要求事項が満たされていることを確かめるために製品の測定とモニタリングを行う必要がある。これを満たすには、製品が合否判定基準を満たしていることを確かめること、製品が引き渡される前にレビューされること、製品を顧客に引き渡すことを承認するのは誰かが決められることを文書化する必要もあろう。


8.3 不適合製品の管理

不適合製品とは、測定結果が要求事項に達していないいかなる製品あるいはサービスをいう。不適合製品は生産プロセスのいかなる場所でも見つけ出されることがある。たとえば、原材料の受け取り時、最終製品の監査時、あるいはこの二つの時点の間にあるいかなる場所である。不適合製品の管理、識別、使用の防止のための手順を文書化するが要求されている。できる範囲でよいが、不適合製品を除外ないしは修正するためのアクションを実行して不適合製品を管理することが求められている。また、顧客の同意を受けることで不適合製品を引き渡すことも許容される。これらのプロセスを文書化し、不適合製品に取られた処置は記録として維持管理されねばならない。

8.4 データの分析

品質マネージメント・システムが機能していることを示す情報を収集すること、並びにシステムの効果と効率を評価するために収集されたデータを分析することを規格は要求している。収集され分析される情報には、品質目標にかかわる情報を含めること。規格で述べられているように、これらの目標は顧客の要求事項を満たしていることと品質マネージメント・システムが継続的に改善されていることである。特に評価されるべきこととしては、供給者の実績である。プロセスと製品の特性を管理するために適切である場合には、統計的手法を用いるべきである。データの分析結果は、次項の継続的改善に使われる。

8.5 改善

8.5.1 継続的改善

継続的改善がいかに重要であるかを強調するために、品質マネージメント・システムが継続的に改善されていることを達成目標とするように再び規格は繰り返している。新規格は、次項の是正処置や予防処置よりも継続的改善を強化していることに気づくべきである。なぜならば、是正処置では影響に見合った処置でよく、予防処置では必要性を評価してだから必要がなければ何も行うことはないからだ。


8.5.2 是正処置

企業の品質マネージメント・システムにかかわる問題を是正するために講じられたアクションを記述した文書は、是正処置要求書とよばれ、管理文書として扱われる。品質マネージメント・システムが規格の要求事項に到達できていない場合これを「不適合」となる。もっと易しい表現するならば、最終製品やサービスを生産している過程で発生した問題が不適合として扱われる。効果的な是正処置には、問題を明確にし、根本原因を摘出し、再発防止策としての試みを計画し、この試みの効果を評価することを行う。これらすべてを文書化することが求められている。


8.5.3 予防処置

是正処置として速やかに処置を講じるとともに、問題としてまだ発生していないことについても対処する必要がある。すなわち、予防処置である。効果的な予防処置には、潜在的な問題を明らかにし、根本原因を究明し、再発を防止する措置を講じ、その措置の効果を評価することが求められる。これらのすべては文書化されるべきである。

(以上)


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